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「あなたは相変わらずですね。どんな状況であっても、お優しいままだ。その優しさが、あなたを蝕んだと言うのでしょうか」
 柔らかな白髪を撫でる。この髪も、以前はフィアナと同じ茶色だった。艶こそ戻っているが、変わってしまった色は元には戻らなかったらしい。幼き日には無邪気で可愛らしい満面の笑みを浮かべていたというのに、それさえも時は残酷に奪い取ったのか。それでも――。
〝あなたがどんな髪色で生まれようと、どんな瞳を持っていようと些細なことだよ〟
 それでも、その優しさは僅かも変わらない。今この時でさえも。
「けれどアシェル、私はあの時のままではありません。もう、この手であなたを守ることだってできるのです。小さくて臆病だった私ではありません。だからアシェル、これからはあなたを背負わせてください」
 独りで戦わないで。独りで抱え込まないで。独りで、諦めたりしないで。
 どうか、と祈るように、ルイはアシェルの手をそっと握った。
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