112 / 273
112
しおりを挟む
「後ほど侍従長に陛下と王妃殿下のご予定をお聞きしますね。ジーノ殿も都合の悪い日を後ほどロランヴィエルに報せてください。日時が決まれば我が家から正式に招待状を送りましょう。当日のおもてなしもお任せを。礼装ではなく普段の装いでと明記していれば、そう気を遣うこともないでしょうし、これでノーウォルト夫人もご満足されるかと」
確かに、すべてに目を瞑り、ロランヴィエルから招待されたとなればメリッサの自尊心は大いに満たされ、何の文句もないだろう。スキップする勢いでロランヴィエル邸にやって来るメリッサの姿が見えるようだ。
「ルイに任せていれば何の問題もないだろう。私とフィアナの予定はすぐに君に報せるよう侍従長に言っておくよ。ジーノもそれで良いかい?」
「はい。兄夫婦にもソワイルにも配慮いただき、公爵様にはなんとお礼をすればよいか……」
身分は遥か上であるルイだが、随分と年下の彼に顔合わせの茶会を強請るような実家の恥を見せたばかりか、その対応のすべてを丸投げしてしまい、恥ずかしさと申し訳なさでジーノは縮こまりながら頭を下げる。そんな彼にルイは小さく笑ってグラスを手に取った。
「アシェル殿と結婚するのですから、これくらいは当然のこと。顔合わせは結婚式が終わってからと思っていましたが、それが少し早まったとしても問題はありません。ただ、念押しさせていただきますが、終わりの時間は厳守でお願いします」
ラージェンとフィアナもそうであるが、公爵であり連隊長でもあるルイも多忙だ。おそらくはこの茶会の為に無い時間をこじ空けるのだろうことを思うと、やはりアシェルもジーノ同様、瞼を伏せて恥じ入るしかない。
確かに、すべてに目を瞑り、ロランヴィエルから招待されたとなればメリッサの自尊心は大いに満たされ、何の文句もないだろう。スキップする勢いでロランヴィエル邸にやって来るメリッサの姿が見えるようだ。
「ルイに任せていれば何の問題もないだろう。私とフィアナの予定はすぐに君に報せるよう侍従長に言っておくよ。ジーノもそれで良いかい?」
「はい。兄夫婦にもソワイルにも配慮いただき、公爵様にはなんとお礼をすればよいか……」
身分は遥か上であるルイだが、随分と年下の彼に顔合わせの茶会を強請るような実家の恥を見せたばかりか、その対応のすべてを丸投げしてしまい、恥ずかしさと申し訳なさでジーノは縮こまりながら頭を下げる。そんな彼にルイは小さく笑ってグラスを手に取った。
「アシェル殿と結婚するのですから、これくらいは当然のこと。顔合わせは結婚式が終わってからと思っていましたが、それが少し早まったとしても問題はありません。ただ、念押しさせていただきますが、終わりの時間は厳守でお願いします」
ラージェンとフィアナもそうであるが、公爵であり連隊長でもあるルイも多忙だ。おそらくはこの茶会の為に無い時間をこじ空けるのだろうことを思うと、やはりアシェルもジーノ同様、瞼を伏せて恥じ入るしかない。
417
お気に入りに追加
1,048
あなたにおすすめの小説
その部屋に残るのは、甘い香りだけ。
ロウバイ
BL
愛を思い出した攻めと愛を諦めた受けです。
同じ大学に通う、ひょんなことから言葉を交わすようになったハジメとシュウ。
仲はどんどん深まり、シュウからの告白を皮切りに同棲するほどにまで関係は進展するが、男女の恋愛とは違い明確な「ゴール」のない二人の関係は、失速していく。
一人家で二人の関係を見つめ悩み続けるシュウとは対照的に、ハジメは毎晩夜の街に出かけ二人の関係から目を背けてしまう…。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
どうして卒業夜会で婚約破棄をしようと思ったのか
中屋沙鳥
BL
「カトラリー王国第一王子、アドルフ・カトラリーの名において、宣言する!本日をもって、サミュエル・ディッシュウェア公爵令息との婚約を破棄する。そして、リリアン・シュガーポット男爵令嬢と婚約する!」卒業夜会で金髪の王子はピンクブロンドの令嬢を腕にまとわりつかせながらそう叫んだ。舞台の下には銀髪の美青年。なぜ卒業夜会で婚約破棄を!そしてなぜ! その日、会場の皆の心は一つになった/男性も妊娠出産できる前提ですが、作中に描写はありません。
なぜか第三王子と結婚することになりました
鳳来 悠
BL
第三王子が婚約破棄したらしい。そしておれに急に婚約話がやってきた。……そこまではいい。しかし何でその相手が王子なの!?会ったことなんて数えるほどしか───って、え、おれもよく知ってるやつ?身分偽ってたぁ!?
こうして結婚せざるを得ない状況になりました…………。
金髪碧眼王子様×黒髪無自覚美人です
ハッピーエンドにするつもり
長編とありますが、あまり長くはならないようにする予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる