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「すみません。お父上の代理として王妃殿下から婚姻のお返事をいただいた時に、てっきりあなたも了承されているものとばかり……」
「つまり、理由はどうであれ妹が暴走した結果なのでしょう。なら、あなたを責めたところで意味が無い。納得、したわけではありませんが」
 だが、アシェルは臣民だ。王妃の命令を拒める立場になく、拒んだところでフィアナがアシェルを逃がすとも思えない。結局は誰かに嫁がされることになるのだろう。相手がルイか、そうでないかの違いでしかない。ならば、今のところはアシェルに対して丁寧に接してくれるルイであるだけ、まだマシなのだろう。
「そう悲しそうな顔をしないでください。確かにあなたにとっては不本意な状況でしょうが、決してあなたを不幸になどしません。我が剣に誓いましょう」
 まるで美しい令嬢にするかのように恭しくアシェルの手をとって、そっと口づけをする。遠巻きに見ていた令嬢たちからキャァ、と小さく黄色い悲鳴が零れ落ちた。
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