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「もちろん、アシェルの兄として異論はございません。ロランヴィエル公でしたら、きっと弟を幸せにしてくださるでしょう」
 どうぞ今からでも婿にでも嫁にでも貰ってくれと言わんばかりだ。その様子にアシェルは思わず意識が遠のきそうになる。
 これは何だ。ウィリアムはともかくとして、いつの間にか父もフィアナもジーノもルイに取り込まれている。それともここは公の場であるからあのように言っているだけで、本心はもう誰でも良いからアシェルを嫁がせて厄介払いでもしたいということなのか? そういうことなのか?
(まさかそこまで重荷に思われてたなんて知らなかったな)
 そんなこと、知りたくも無かったが。
「さてお兄さま。他に誰か、許可をいただかないといけない方はいらっしゃるかしら?」
 それはそれは美しく可愛らしい笑みを向けてくる妹に、アシェルはもう帰りたいと心の底から願った。頭までスッポリと布団にくるまって眠ってしまえば、すべては元に戻る。そんな幼子の現実逃避を本気で信じてしまいたいくらいだ。けれど、それを許さないと美しく微笑む者が、もう一人――。
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