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「屋敷の問題はこれで解決いたしましたわね? あとは、何だったかしら……。あぁ、そうそう、許可でしたわよね? なら、ノーウォルトのお父さまはこうして許可を出しておりますし、妹で王妃たる私も喜んで許可を出しますわ。ねぇラージェン、王としての許可はどうかしら?」
「もちろん許可するよ。何より、此度の褒美としてルイが望んでいることでもある。王として許可しないわけがない」
公の場であろうと、貴族が居並ぼうと関係なく〝私の妻が可愛い愛しい〟という感情を駄々洩れにさせているラージェンが当然とばかりに甘い微笑みを浮かべながら頷く。それにフィアナも嬉しそうに微笑んで、ツイと貴族の方へ視線を向けた。
「現当主たるウィリアムお兄さまもお許しくださるわよね?」
侯爵家当主としてメリッサと共にそこにいたウィリアムは突然話をふられて、アシェルが式典にいたことにも、急な婚姻話にもついていけずポカンとしていた顔を慌てて引き締め、ギクシャクとした動きではあるものの頷く。
「あ、え、ええ。もちろん」
「ジーノお兄さまはいかが?」
ウィリアムが肯定の言葉を吐いた瞬間に、それ以上は不要とばかりにフィアナは妻と共に参加していた真ん中の兄に視線を向けた。ウィリアムとは違い、こちらは事前に話がきていたのだろう、取り乱すこともなく微笑みさえ浮かべて胸に手を当て、頭を垂れた。
「もちろん許可するよ。何より、此度の褒美としてルイが望んでいることでもある。王として許可しないわけがない」
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