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 さて、この式典に自分がいる意味は何だろうかと、ロランヴィエル卿のことさえ頭の片隅から追い出して訥々と考えていた時、威厳に満ちた王の声が何故か鮮明に頭に響いて、アシェルは思わず顔を上げた。
「我が国と民の命を脅威から守り、私の願い通りに事を成してくれた皆の労苦をねぎらいたい。第一連隊長ルイ・フォン・ロランヴィエル。そなたの望みを聞こう」
 とんでもない褒美を強請られぬよう、事前に内容を知っている王が平然としているのだから実現不可能な願いではないのだろうが、既に地位も名誉も財産も持っている男が何を願うのかとアシェルはほんの少し興味を抱いて、グルグルと考え込んでいたものを中断し、視線を跪いているルイ第一連隊長に向けた。
「はい陛下。叶いますならばノーウォルト侯爵家の三男、アシェル・リィ・ノーウォルト殿との婚姻をお許しいただきたく」


 …………は?


「私としては叶えるにやぶさかではない。王妃も同意見だよ」


 …………はぁ?


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