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暴れることもできずただただ止めろと叫ぶことしかできなかったアシェルは、香油を塗り終わった後には疲れ果て、グッタリとしていた。なんだか変な疲労感を覚えると、現実逃避するかのようにボンヤリしていれば、その方がありがたいとばかりに侍従たちはアシェルを抱き上げ、用意されていた黒色のズボンを履かせ、真っ白のフリルがついたシャツを着せる。そして上から藍色の上着を着せ車椅子に戻すと、飾りを丁寧に着けた。後ろでは侍女が髪を丁寧に結い、飾りをつけている。唯一の救いは、結うといっても頭の後ろで纏め、残りを大きな三つ編みにするといった、髪の長い男性がする一般的な結い方で、飾りもそれにふさわしいものになっていることくらいか。
「よくお似合いでございます」
「……どうも」
にこやかにアシェルを褒める侍従たちに、もはやアシェルは嫌味のひとつも言う気になれない。もうこのまま馬車に乗って田舎に買った屋敷に帰りたいと心の底から思うが、そんなアシェルの胸の内など知らぬ彼らは自分達の仕事に満足し、アシェルの乗った車椅子をテーブルの前に移動させて、見た目も美しい軽食を並べた。
「よくお似合いでございます」
「……どうも」
にこやかにアシェルを褒める侍従たちに、もはやアシェルは嫌味のひとつも言う気になれない。もうこのまま馬車に乗って田舎に買った屋敷に帰りたいと心の底から思うが、そんなアシェルの胸の内など知らぬ彼らは自分達の仕事に満足し、アシェルの乗った車椅子をテーブルの前に移動させて、見た目も美しい軽食を並べた。
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