ありあまるほどの、幸せを

十時(如月皐)

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「自分が仕事をしているからといって、部下全員に帰るなと言うほど鬼ではないと自負していますが。自分の仕事が終わっているのなら帰れば良いし、サイラス様も私など気になさらず帰宅してください。奥方が待っておられますよ」
 自分は帰る気などないと言外に告げるアシェルに部下たちは気まずげに視線を彷徨わせ、サイラスは深く、それはもう深くため息をついた。
「アシェル、我々は王家に仕える官だが、それ以上に貴族だ。三男とはいえ、侯爵家の令息であるお前を置いて帰れる者がいるものか」
 ここ財務省では官吏の一人にすぎないが、アシェル・リィ・ノーウォルトは、その名が示すようにノーウォルト侯爵家の三男であり、現王妃の実の兄でもある。上司であるサイラスとて伯爵位であり、多くが子爵や男爵の子息、そして試験を突破した平民ばかりであるため、アシェルがどう言おうと彼をおいて一人で帰れるような強者はいない。
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