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第17話 戦場の日常 神霊神軍 VS 超神神軍 序盤戦① / 船内貴賓室① / 水晶洞窟①
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舞台は、神霊神軍と超神神軍が激しく火花を散らす戦場である。
現状では、両軍間で前哨戦が始まっている。
両軍にらみ合う中でお互いの戦場対応型神兵器が空の藻屑とかすまで潰しあいが行われていた。
さきほど、戦闘準備体制に移行するようブリックスが命じてから、事態が突然急変した。
まず、戦闘準備体制が全軍完了したと同時に、神霊神軍を取り掛込むほど巨大な超神網が突如出現、
神霊神軍側は緊急回避をおこなうも、辛くも超神網から脱出することが出来たのだが、
それを待っていたかのように、前方の地平線の彼方に突如超神軍が集団転位し、
神霊神軍が混乱状態に陥る最中で、両軍の激突が開始された。
神霊皇槍御船の操舵室では、艦長神『セント=ブリックス』が、
神霊思念波フィールドが展開された大空の空間に向けて、様々な指示を出した。
((本艦全神霊波動主砲敵陣営に標準合わせ))
((③・・②・・①・・発射ーー))
((各主砲順次装填準備に入れ))
神霊皇槍御船の周囲に幾つもの神霊光球が出現するのだが、
徐々に神霊光球の面積が肥大化し、発射の合図と共に敵陣営に狙いを定め、
かなりの数の神霊光直線が、一瞬結ばれては直ぐにかき消えていった。
敵陣営側では、赤い花が咲き乱れ、やがて消えていく。
((全神霊自動波動弾敵陣営の標準合わせ))
((③・・②・・①・・発射ーー))
((各弾砲順次装填準備に入れ))
神霊皇槍御船の周囲に、数多くの銀色の物質が突然出現すると、
全ての銀玉が肥大化していき、発射の合図とともに、
敵陣営に狙いを定め、かなりの速度で飛来していった。
その後、敵陣営側では、また赤い花が咲き乱れ、やがて消えていく。
逆に今度は超神神軍側で小さな光球が星の数ほど出現し、どんどん肥大化していく。
(敵陣営に我が方に向けて、神撃光線発生の兆候確認)
(全盾晶球の配置完了しました)
作業神等の神霊思念派がブリックス達のいる操舵室に届いた。
((前方に展開している全盾晶球の障壁展開))
((神霊皇槍御船、前方神障壁展開開始))
((神霊神軍は、神透過体勢を取れ、急げ、来るぞ))
ブリックスは、次々に的確な支持を下していく。
神霊思念派が全軍に伝わると同時に、敵超神軍から、神撃光線のシャワーが神霊神軍の降りかかる。
神霊神軍の前方で展開している全盾晶球の障壁が、
ほぼ全ての神撃光線を防いだのだが、大半の全盾晶球が大空の藻屑と化した。
残りのすり抜けた神撃光線の雨は、神軍内に損害を与えずに素通りしたのだが、神軍戦神等の御力量を犠牲にすることになった。
((被害状況報告せよ))
(盾晶球損耗率70%、軽度損傷率10%残り以上ありません)
((戦術格納庫、剣晶兵、銃晶兵、槍晶兵))
((オールリモートモードで順次発射!!))
((防衛格納庫、盾晶球我が軍前方に展開))
((オールリモートモードで順次発射!!))
((フィールド指揮所、神霊力フィールド、直ちに展開せよ))
((その後神霊カフィールド10分刻みに展開せよ))
神霊思念派がファールド展開空域に木霊すると、神霊皇槍御船側面箇所の横一列に渡り小穴が無数開き、
その小穴から剣晶兵、銃晶兵、槍晶兵が大空に大量に射出され続けていく。
剣晶兵、弾晶兵、槍晶兵は連隊を組んで、敵陣営に特攻を駆ける。
新たにさきほど現れた横一列小穴に下に、さらに横一列の小穴が無数開き、その小穴から、盾晶球が雨あられのように射出されていく。
剣晶兵、弾晶兵、槍晶兵は、時間を設定し、超過すると、
勝手に消滅してくれるエコ神兵器で、各神設計図がかなり細かく作りこまれている為、
弱い創造御力で大量の神機体を作成出来る安価な大量生産型神兵器である。
艦長神『セント=ブリックス』の、神霊思念派が戦場に何度もこだましている。
((シリヴァリス神将軍、教皇神の御名において命ずる))
((神霊軍を指揮し、敵陣に特攻せよ))
((了解であります))
神軍戦神等は、自身の戦いが始まるのを緊張の趣で待ち望み、
遠くで神兵器等の戦いを凝視するように見守っていた。
まだまだ、両軍の戦いは始まったばかりであるが、神霊皇槍御船内第1貴神区画の教皇神特別区画では、また違ったやり取りが行われていた。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
舞台教皇神特別区画内貴賓室に移り変わる。
絢爛豪華けんらんごうかな大広間の端はしには、給仕が数神控え、四方の壁際には巨大な雄大ゆうだいな風景画が飾られている。
床面は、神大理石の上に、素晴らしい柄の模様を織り込まれた絨毯じゅうたんが、中央に支点を合わせて敷かれていて、
その中央には、重厚な年季の入った長テーブルと対になった高級椅子が、数多く置かれている。
しかし、最奥の1席を除いて、高級椅子は全て空席となっていた。
1席には、銀髪の長髪を後ろで束ねてお団子にした柔らかい空気を纏まとった老女神がゆったりと腰掛けている。
老女神は、傍そばで仕えている秘書風の神衣装を着ている美しい女神に、なにやら細かい報告に受けながら、
長テーブルに並べられている色とりどりの豪華な御料理を、ゆっくりと味わい堪能たんのうしていた。
老女神に報告している秘書神の後ろにも、秘書風の神衣装に神体を堅めた5柱の貴神等が、緊張した趣で整列して控ひかえている。
また、老女神の後ろにも、護衛神と思しき神物が4柱控えていた。
秘書風の神衣装に神体を堅めた貴神等は、
老女神の神名は、『セント・バランシャイラ・レイ・ルリーア』
聖神霊教会を束たばね、実質的頂点に君臨くんりんする教皇神様であった。
「ヘスカ。計画の進捗状況は、どこまで進んでいるですか」
「私に分かるように説明してもらえますか」
バラン教皇神は、身に付いた優雅な作法を自然にこなして、御食事の手をそっと休ませ、秘書神に説明を求めた。
「はっ計画は順調に進行しております」
「只今ただいま我が神霊軍は、敵超神軍と交戦状態に突入」
「まもなく、当空域を離脱し、目的地に進路を取り撤退戦に以降する予定となっております」
バラン教皇神に説明している秘書神の神名は『ヘスカラシュラ』
教皇神第1位階梯秘書神である彼女神は、自然な段差が肩まである魅力的な銀髪シルバーハイレアーに、
緑みがかった瞳と目元の印象もはっきりした美神顔に、真面目で落ち着いた神衣装クールなよそおいを、
華麗に着こなして、お仕事の時間ですから騒がず真面目にしましょうという雰囲気を、神体中から醸かもし出していた。
バランは、超神界側と神霊界側が衝突して争い続けているが、
このままでは、神霊界側が負けてしまうのではないかとここ最近、
ふとした時に思い悩んでいたのだが、さきほど、分霊神のバランと分霊神のメグが、
裏取引をして、事態の全容を知ることが出来た。
ヘスカの報告を聞いた限りでは、やはり、神霊界側の劣勢は、変わりが無いことも確認できた。
バランは、思考の波に漂い続けていた。
それにしても、あの特殊神能がここまで事態を混乱させることになるとは、
やはり超神は凄い御力を秘めていることが、この事態から見てもはっきりとわかりました。
ですけど、それを裏で操る存在がいるとは、思いもしませんでした。
バランは、ヘスカの報告を聞きながらも、思考の波に大きく揺られていた。
取引自体は双方納得のいくものだったのだが、まさか、自分自神に使える秘書神がこんな大それた事をしでかすとは、
話を聞いた今でも衝撃が大きすぎて、これから為すべき役割のことなど、考えられない状態であった。
ここは、メグの言うとおりに、運ぶことになりそうです。
はー、一体全体どこまで、あの子が関わっていたのでしょう。
メグを神霊界で保護することを弟の最高神が決めたから、
こういう事態も想定しない訳では、ありませんでしたが、
今回の件に関してはメグは周りを巻き込み、事態を明らかに混迷させて、やり過ぎたようです。
この事態が収束したら、メグと一度、真面目に個人面談をしたほうが良さそうですね。
2柱で取り決めた約束に関しても、神霊界最高神である弟にも、言えないことに成りそうね。
頭がいたくなりそうです。教皇神である私をここまで、不安にさせたのは、メグが初めてです。
いったい、どうすれば良いでしょうか。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
最後の舞台は水晶壁に覆われた水晶洞窟の中から始まる。
その空間では、水晶床面から自然の造形で形作られた数多くの水晶柱が天井部まで連なっていた。
水晶の氷柱が天井一面の見渡す限りの場所から、地面の方角に向けて垂れ下る光景が広がっている。
全ての水晶から、淡い光が漏れていて、懐中神灯などの神具機器がなくても、見晴らしがよくスッキリ見渡せる。
この絢爛豪華な空間は自然の造形美により、生み出された神秘的な空間なのであった。
その自然の造形美で作られた幻想的な洞窟穴は、奥が見えなくなるほど、広大は空間がどこまで続いている。
洞窟内は、道が左右に分かれたり上下に分かれたりと、宛ら、洞窟迷宮と説明をされても納得できるような構造が永遠と広がっていた。
その洞窟内のかなり開けた空間には、透明な湖が広大な空間に広がっていた。
水面からは、湯気が立ち上っていることから、天然の温泉であるのだろう。
その天然温泉の水面には、プカプカと水晶の物体が水の力に逆らわずに浮かんでいる。
綺麗な2つのお山が、印象的な人型の体型をした水晶体が、大の字で浮かんでいるのが判別できた。
その水晶体は神衣装ドレスを着ているようだが、神衣装そのものが、水晶で出来ているかのように、透明に透けて見え、水面にゆらゆらと広がるように漂っていた。
透過してみえる神衣装ドレスの奥の水晶素肌が、なんとも官能的に映ってしまう。
その水晶体は、時間がどれだけ経過しようとも、大の字で温泉に浮かび続けていた。
どれくらい、時間が経過したのだろうか。
そのまま、時間が経過していくと、なにやら空間の奥の方から、綺麗な輝きを放つ水晶神鳥が、水辺で黄昏るように浮かぶ水晶体に向けて、飛来してくる。
水晶神鳥が水晶体に近づいてくると、翼を羽ばたかせながら、着地体勢の姿勢をとった。
綺麗な大山の上に、見事な着地を一発で決め、水晶神鳥が降り立つ。
「モリアちゃん、モリアちゃん、事件発生、事件発生だよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、大変だよ」
「モリアちゃん、なんとかしないと、危ないよ」
「モリアちゃん、聴いてるでしょ、事件なんだよ」
水晶神鳥は言葉を話し、女性体型の水晶体に訴えを聞き届けて貰えるように、必死になって呼びかけている。
「モリアちゃん、今凄い事になってるよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、起きてよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、朝だよ。もう起きようよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、寝すぎだよ」
「モリアちゃん、そろそろ、ご飯の時間だよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、事件発生、事件発生なんだよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、大変だよ」
「モリアちゃん、眠ってからもう10年はたったよ」
「モリアちゃん、みんな起きるの待ってるよ」
水晶神鳥は、必死に呼びかけているが、梨の礫、変化は見られない。
それでも、諦めない水晶神鳥は、さらに必死に呼びかける。
「モリアちゃん、みんな困ってるんだよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、本当に大変なんだよ」
「モリアちゃん、僕等の仲間も必死になって避難してるよ」
「モリアちゃん、もうそろ、立ち直ろうよ」
「モリアちゃん、めそめそしすぎだよ」
「モリアちゃん、いい出会いがきっとあるよ。・・・多分」
その言葉を話し終えた瞬間、突然水晶体の両腕が動き、
その手で水晶神鳥をがばっと捕まえると、そのままポイと湖に捨て去った。
処罰がすむと両腕は再び広がり、大の字になり、水面を漂い続けた。
「モガっモガッ酷いよ。モリアちゃん」
「これくらいじゃ、僕は諦めないよ」
湖に捨てられた水晶神鳥は、水が苦手らしく、バチャバチャ翼をばたつかせ、
沖の2つのお山を目指して、沈みつつ、必死にかき泳いでいく。
かなりの時間を要したが、無事2つのお山のある水晶体、
『モリアルテア』の神体のお山の山頂にたどり着いた。
「モリアちゃん。泳ぎは得意じゃないから、もうしないでよ」
水晶神鳥、名前は『ロック』、モリアからは、ロックちゃんと呼ばれている。
ロックは、モリアの身の回りのお世話をしたり、水晶諸島の警備をしたり、
他の神鳥の身の上はなしを聞いて、相談にのり問題を解決したり、
他の水晶島で神水晶を採掘してる鉱山発掘用神具機器『土山晶』の管理をしたり、
鉱山収益の書類を作成して、役所に届け税銭をきちんと支払いを済ませたり、
水晶鉱山で働く大勢の貴神等の毎月の給料面の支払い計算、その他残務処理を一手に担うなど、
かなりマルチな才能あり、この浮遊水晶諸島では、いなくなってはみんなが困る頼れる神鳥であった。
彼鳥は透明な水晶体なのだが、ときおり黒く変色する、どことなく憎めない神鳥なのだ。
そして、ロックが必死になって起きるように説得していた、
『モリアルテア』、彼女神は、この浮遊水晶諸島を創造した1柱の女神、
その土地で神水晶を採掘する会社『モリア神鉱山』の会長神である。
モリアは莫大な富を約束された神水晶の史上を、ほぼ独占している大手会社の、実質最高経営責任神であると同時に、ロックの上司でもあった。
浮遊水晶諸島は、創造したモリアの所有領なのだが、お銭のなる大樹をがっちり掴んで離さない場所として、天神界にとっても、なくてはならない重要な空域として、知れわたっていた。
この会社の会長神ともなると、寝ていてもお銭が入り、左うちわも振る必要が無いくらいの巨万の富を既に持っている。
だからモリアは、莫大な富で使い建造した神力湖温泉にゆっくり浸かって、引きこもり冬眠しようとも、全く問題無い。
それに、神力湖温泉の神力水は御力・神能の源である神力に満ちた神水である為、
引きこもり冬眠するのに問題ないばかりか、むしろ前よりお肌も綺麗になり、
もちもち肌になるなど、外面だけではなく神体内部まで綺麗になり、
神体がどんどん若返えり、御力総量もどんどんあがる効果もあり、
御力総量回復速度UP効果もつき、総合的に神体性能があがるなど、
貧乏下級神等が羨むような効果が満載であった。
貧乏貴神等が汗水流して働いている最中、モリアは左うちわをふるのも面倒くさくなるような、超BIPな生活を充分に、心ゆくまで味わい堪能していた。
けっして、今も愛してやまない旦那神がどこの馬の骨かもわからない女神と浮気して駆け落ちしたから、めそめそしてるなんて、
そんな女々しい女神じゃないもんとモリアは、思ったのだが口には出さずに、ロックを完全に無視することにした。
ロックは、ここに報告をする為に訪れる度に、毎回狸寝入りするモリアにほとほと嫌気が差しているが、これもお仕事と割り切って、また必死に呼びかける。
「モリアちゃん。本当に大変なんだよ」
ふんだ。私の地雷を踏み抜いたからには、もう起きないもんねー。
「モリアちゃん。今度イケメン紹介するから起きてよ」
旦那様以上のイケメンさんはこの天神界には存在しないもん。
ロックちゃん。地雷また1個追加したなー
もう寝ちゃうよ。お休みロックちやん。
「モリアちゃん。僕じゃ無理だからお願いだよ」
女神にお願いするには、崇め奉らないと、いう事聞かないのよ。
知ってるでしょ、ロックちゃん。
「モリアちゃん。こんなに綺麗になったのに、もう温泉はいらなくてもいいでしょ」
綺麗だなんて、言ってくれて、もう、嬉しいじゃない。
よし、ちょっと機嫌なおったよ。地雷1個帳消しだよ。やったね。
今日は後3つも地雷踏み抜いたから、ガンバだよ。ロックちゃん。
3つ帳消ししたら、光臨しちゃうぞ。負けるな、ロックちゃん。
「モリアちゃん。温泉つかっても、御心はきれいにならないよ。わかってるでしょ」
かちーん。それってこの私の御心が汚れているってことですか。
ぶぶー。不正解だよ。地雷1追加しおったなー。
あと1個地雷踏み抜いたら、素敵な場所に生涯旅行に送ってあげるわ。
覚悟して答えなさいよ。ロックちゃん。
「モリアちゃん。モリアちゃん。助けて、みんなが待ってるよ」
フンだ。従業神の1柱が、私の事を影で旦那様に逃げられてやんの。ざまーって、
話してるのを聞いちゃったのよ。
私のハートも水晶ハート、そのハートも従業神の陰口でわれちゃったわ。
今はそのハートの修復中よ。邪魔しないで、ほっといて頂戴。
「モリアちゃん。僕の大勢の家族もこまってるんだよ。助けてよ」
微笑ましい。うー、うー、でも羨ましい、妬ましい、
心寂しい、フンだ。どうせ私には、家族がいないわよ。
だって、旦那様と私の御力を合わせたお子神が欲しかったのよ。
ロックちゃんみたいに誰でもいいから種付けするなんて不潔よ、不潔。
でも、ご家族が心配な気持ちはわからないでもないから、
今回の地雷は、勘弁してあげるわ。次こそ正解目指して頑張って、ロックちゃん。
「モリアちゃん、なんとかしないと、危ないよ」
おーと、地雷スルー、やるじゃないの、ロックちゃん。
まずは地雷スルーして、機会を伺って、
私が欲しい言葉を早くつぶやくのよ。
私の氷のはーとを早く溶かして頂戴。
「モリアちゃん。起きたら美味しい御飯、用意してあるよ」
流石は、私のロックちやん、ふて腐れた女神の扱いに慣れてるわね。
でも、旦那様の作る料理が一番美味しいのよ。
ロックちやん。早く旦那様を連れ戻して来てよ。
旦那様の作る料理が美味し過ぎて、ブクブク太った私は過去の私。
今の私の姿を見たら、きっと私の元に帰って来るはずよ。
「モリアちゃん。もう起きてるのは、わかってるんだよ」
それなら、私がこのままじゃ、絶対起きないこともわかるよね。
さー早く、私が喜ぶ言葉を心の奥から叫びなさい。
「モリアちゃん、今日は本当に大変なんだよ。いつもの報告とは違うよ」
いつも、そういう話し方してるから、信じる根拠を早く言わないと、
信じるものも信じられないよ。どうせ、またいつものやらせでしょ。
でも、地雷を回避してるから、褒めてあげるわ。さすがね、ロックちゃん。
この良くわからないクイズ大会は、このまましばらく続くことになりそうであった。
今まさにモリアちゃんに魔の手がのびて、彼女神の首を締めようとしているのだが、
モリアちゃんは全く気づかずに、気持ちよく温泉に浸かって満喫していた。
神霊皇槍御船
聖神霊教会所属の教皇神乗船用特別御船旗艦。様々な神兵器を搭載。超時空跳躍も可能。船内は、第1区画から第10区画まである。第1区画は貴賓室区画。
剣晶兵 足無し人型神兵器。剣と盾を装備・尻尾の尾が剣
弾晶兵 足無し人型神兵器。光銃を装備・両肩光弾砲装備
槍晶兵 足無し人型神兵器。槍と盾を装備・尻尾の尾が矛
剣晶兵、弾晶兵、槍晶兵は、時間を設定し、超過すると、勝手に消滅してくれるエコ神兵器で、各神設計図がかなり細かく作りこまれている為、弱い創造御力で大量の神機体を作成出来る安価な大量生産型神兵器である。
盾晶球
盾型神兵器。シールド障壁展開できる。
土山晶
鉱山発掘用神具機器。鉱物感知ユニット、採掘鉱物自動選別ユニット搭載、大規模時空庫標準装備。発掘刃部分自動再生ユニット搭載。大量に導入することでかなりの経費削減につながる。
『モリア神鉱山』
浮遊水晶諸島の全ての島で神水晶を採掘し、莫大な富を約束された神水晶の史上を、ほぼ独占している大手会社。
現状では、両軍間で前哨戦が始まっている。
両軍にらみ合う中でお互いの戦場対応型神兵器が空の藻屑とかすまで潰しあいが行われていた。
さきほど、戦闘準備体制に移行するようブリックスが命じてから、事態が突然急変した。
まず、戦闘準備体制が全軍完了したと同時に、神霊神軍を取り掛込むほど巨大な超神網が突如出現、
神霊神軍側は緊急回避をおこなうも、辛くも超神網から脱出することが出来たのだが、
それを待っていたかのように、前方の地平線の彼方に突如超神軍が集団転位し、
神霊神軍が混乱状態に陥る最中で、両軍の激突が開始された。
神霊皇槍御船の操舵室では、艦長神『セント=ブリックス』が、
神霊思念波フィールドが展開された大空の空間に向けて、様々な指示を出した。
((本艦全神霊波動主砲敵陣営に標準合わせ))
((③・・②・・①・・発射ーー))
((各主砲順次装填準備に入れ))
神霊皇槍御船の周囲に幾つもの神霊光球が出現するのだが、
徐々に神霊光球の面積が肥大化し、発射の合図と共に敵陣営に狙いを定め、
かなりの数の神霊光直線が、一瞬結ばれては直ぐにかき消えていった。
敵陣営側では、赤い花が咲き乱れ、やがて消えていく。
((全神霊自動波動弾敵陣営の標準合わせ))
((③・・②・・①・・発射ーー))
((各弾砲順次装填準備に入れ))
神霊皇槍御船の周囲に、数多くの銀色の物質が突然出現すると、
全ての銀玉が肥大化していき、発射の合図とともに、
敵陣営に狙いを定め、かなりの速度で飛来していった。
その後、敵陣営側では、また赤い花が咲き乱れ、やがて消えていく。
逆に今度は超神神軍側で小さな光球が星の数ほど出現し、どんどん肥大化していく。
(敵陣営に我が方に向けて、神撃光線発生の兆候確認)
(全盾晶球の配置完了しました)
作業神等の神霊思念派がブリックス達のいる操舵室に届いた。
((前方に展開している全盾晶球の障壁展開))
((神霊皇槍御船、前方神障壁展開開始))
((神霊神軍は、神透過体勢を取れ、急げ、来るぞ))
ブリックスは、次々に的確な支持を下していく。
神霊思念派が全軍に伝わると同時に、敵超神軍から、神撃光線のシャワーが神霊神軍の降りかかる。
神霊神軍の前方で展開している全盾晶球の障壁が、
ほぼ全ての神撃光線を防いだのだが、大半の全盾晶球が大空の藻屑と化した。
残りのすり抜けた神撃光線の雨は、神軍内に損害を与えずに素通りしたのだが、神軍戦神等の御力量を犠牲にすることになった。
((被害状況報告せよ))
(盾晶球損耗率70%、軽度損傷率10%残り以上ありません)
((戦術格納庫、剣晶兵、銃晶兵、槍晶兵))
((オールリモートモードで順次発射!!))
((防衛格納庫、盾晶球我が軍前方に展開))
((オールリモートモードで順次発射!!))
((フィールド指揮所、神霊力フィールド、直ちに展開せよ))
((その後神霊カフィールド10分刻みに展開せよ))
神霊思念派がファールド展開空域に木霊すると、神霊皇槍御船側面箇所の横一列に渡り小穴が無数開き、
その小穴から剣晶兵、銃晶兵、槍晶兵が大空に大量に射出され続けていく。
剣晶兵、弾晶兵、槍晶兵は連隊を組んで、敵陣営に特攻を駆ける。
新たにさきほど現れた横一列小穴に下に、さらに横一列の小穴が無数開き、その小穴から、盾晶球が雨あられのように射出されていく。
剣晶兵、弾晶兵、槍晶兵は、時間を設定し、超過すると、
勝手に消滅してくれるエコ神兵器で、各神設計図がかなり細かく作りこまれている為、
弱い創造御力で大量の神機体を作成出来る安価な大量生産型神兵器である。
艦長神『セント=ブリックス』の、神霊思念派が戦場に何度もこだましている。
((シリヴァリス神将軍、教皇神の御名において命ずる))
((神霊軍を指揮し、敵陣に特攻せよ))
((了解であります))
神軍戦神等は、自身の戦いが始まるのを緊張の趣で待ち望み、
遠くで神兵器等の戦いを凝視するように見守っていた。
まだまだ、両軍の戦いは始まったばかりであるが、神霊皇槍御船内第1貴神区画の教皇神特別区画では、また違ったやり取りが行われていた。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
舞台教皇神特別区画内貴賓室に移り変わる。
絢爛豪華けんらんごうかな大広間の端はしには、給仕が数神控え、四方の壁際には巨大な雄大ゆうだいな風景画が飾られている。
床面は、神大理石の上に、素晴らしい柄の模様を織り込まれた絨毯じゅうたんが、中央に支点を合わせて敷かれていて、
その中央には、重厚な年季の入った長テーブルと対になった高級椅子が、数多く置かれている。
しかし、最奥の1席を除いて、高級椅子は全て空席となっていた。
1席には、銀髪の長髪を後ろで束ねてお団子にした柔らかい空気を纏まとった老女神がゆったりと腰掛けている。
老女神は、傍そばで仕えている秘書風の神衣装を着ている美しい女神に、なにやら細かい報告に受けながら、
長テーブルに並べられている色とりどりの豪華な御料理を、ゆっくりと味わい堪能たんのうしていた。
老女神に報告している秘書神の後ろにも、秘書風の神衣装に神体を堅めた5柱の貴神等が、緊張した趣で整列して控ひかえている。
また、老女神の後ろにも、護衛神と思しき神物が4柱控えていた。
秘書風の神衣装に神体を堅めた貴神等は、
老女神の神名は、『セント・バランシャイラ・レイ・ルリーア』
聖神霊教会を束たばね、実質的頂点に君臨くんりんする教皇神様であった。
「ヘスカ。計画の進捗状況は、どこまで進んでいるですか」
「私に分かるように説明してもらえますか」
バラン教皇神は、身に付いた優雅な作法を自然にこなして、御食事の手をそっと休ませ、秘書神に説明を求めた。
「はっ計画は順調に進行しております」
「只今ただいま我が神霊軍は、敵超神軍と交戦状態に突入」
「まもなく、当空域を離脱し、目的地に進路を取り撤退戦に以降する予定となっております」
バラン教皇神に説明している秘書神の神名は『ヘスカラシュラ』
教皇神第1位階梯秘書神である彼女神は、自然な段差が肩まである魅力的な銀髪シルバーハイレアーに、
緑みがかった瞳と目元の印象もはっきりした美神顔に、真面目で落ち着いた神衣装クールなよそおいを、
華麗に着こなして、お仕事の時間ですから騒がず真面目にしましょうという雰囲気を、神体中から醸かもし出していた。
バランは、超神界側と神霊界側が衝突して争い続けているが、
このままでは、神霊界側が負けてしまうのではないかとここ最近、
ふとした時に思い悩んでいたのだが、さきほど、分霊神のバランと分霊神のメグが、
裏取引をして、事態の全容を知ることが出来た。
ヘスカの報告を聞いた限りでは、やはり、神霊界側の劣勢は、変わりが無いことも確認できた。
バランは、思考の波に漂い続けていた。
それにしても、あの特殊神能がここまで事態を混乱させることになるとは、
やはり超神は凄い御力を秘めていることが、この事態から見てもはっきりとわかりました。
ですけど、それを裏で操る存在がいるとは、思いもしませんでした。
バランは、ヘスカの報告を聞きながらも、思考の波に大きく揺られていた。
取引自体は双方納得のいくものだったのだが、まさか、自分自神に使える秘書神がこんな大それた事をしでかすとは、
話を聞いた今でも衝撃が大きすぎて、これから為すべき役割のことなど、考えられない状態であった。
ここは、メグの言うとおりに、運ぶことになりそうです。
はー、一体全体どこまで、あの子が関わっていたのでしょう。
メグを神霊界で保護することを弟の最高神が決めたから、
こういう事態も想定しない訳では、ありませんでしたが、
今回の件に関してはメグは周りを巻き込み、事態を明らかに混迷させて、やり過ぎたようです。
この事態が収束したら、メグと一度、真面目に個人面談をしたほうが良さそうですね。
2柱で取り決めた約束に関しても、神霊界最高神である弟にも、言えないことに成りそうね。
頭がいたくなりそうです。教皇神である私をここまで、不安にさせたのは、メグが初めてです。
いったい、どうすれば良いでしょうか。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
最後の舞台は水晶壁に覆われた水晶洞窟の中から始まる。
その空間では、水晶床面から自然の造形で形作られた数多くの水晶柱が天井部まで連なっていた。
水晶の氷柱が天井一面の見渡す限りの場所から、地面の方角に向けて垂れ下る光景が広がっている。
全ての水晶から、淡い光が漏れていて、懐中神灯などの神具機器がなくても、見晴らしがよくスッキリ見渡せる。
この絢爛豪華な空間は自然の造形美により、生み出された神秘的な空間なのであった。
その自然の造形美で作られた幻想的な洞窟穴は、奥が見えなくなるほど、広大は空間がどこまで続いている。
洞窟内は、道が左右に分かれたり上下に分かれたりと、宛ら、洞窟迷宮と説明をされても納得できるような構造が永遠と広がっていた。
その洞窟内のかなり開けた空間には、透明な湖が広大な空間に広がっていた。
水面からは、湯気が立ち上っていることから、天然の温泉であるのだろう。
その天然温泉の水面には、プカプカと水晶の物体が水の力に逆らわずに浮かんでいる。
綺麗な2つのお山が、印象的な人型の体型をした水晶体が、大の字で浮かんでいるのが判別できた。
その水晶体は神衣装ドレスを着ているようだが、神衣装そのものが、水晶で出来ているかのように、透明に透けて見え、水面にゆらゆらと広がるように漂っていた。
透過してみえる神衣装ドレスの奥の水晶素肌が、なんとも官能的に映ってしまう。
その水晶体は、時間がどれだけ経過しようとも、大の字で温泉に浮かび続けていた。
どれくらい、時間が経過したのだろうか。
そのまま、時間が経過していくと、なにやら空間の奥の方から、綺麗な輝きを放つ水晶神鳥が、水辺で黄昏るように浮かぶ水晶体に向けて、飛来してくる。
水晶神鳥が水晶体に近づいてくると、翼を羽ばたかせながら、着地体勢の姿勢をとった。
綺麗な大山の上に、見事な着地を一発で決め、水晶神鳥が降り立つ。
「モリアちゃん、モリアちゃん、事件発生、事件発生だよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、大変だよ」
「モリアちゃん、なんとかしないと、危ないよ」
「モリアちゃん、聴いてるでしょ、事件なんだよ」
水晶神鳥は言葉を話し、女性体型の水晶体に訴えを聞き届けて貰えるように、必死になって呼びかけている。
「モリアちゃん、今凄い事になってるよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、起きてよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、朝だよ。もう起きようよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、寝すぎだよ」
「モリアちゃん、そろそろ、ご飯の時間だよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、事件発生、事件発生なんだよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、大変だよ」
「モリアちゃん、眠ってからもう10年はたったよ」
「モリアちゃん、みんな起きるの待ってるよ」
水晶神鳥は、必死に呼びかけているが、梨の礫、変化は見られない。
それでも、諦めない水晶神鳥は、さらに必死に呼びかける。
「モリアちゃん、みんな困ってるんだよ」
「モリアちゃん、モリアちゃん、本当に大変なんだよ」
「モリアちゃん、僕等の仲間も必死になって避難してるよ」
「モリアちゃん、もうそろ、立ち直ろうよ」
「モリアちゃん、めそめそしすぎだよ」
「モリアちゃん、いい出会いがきっとあるよ。・・・多分」
その言葉を話し終えた瞬間、突然水晶体の両腕が動き、
その手で水晶神鳥をがばっと捕まえると、そのままポイと湖に捨て去った。
処罰がすむと両腕は再び広がり、大の字になり、水面を漂い続けた。
「モガっモガッ酷いよ。モリアちゃん」
「これくらいじゃ、僕は諦めないよ」
湖に捨てられた水晶神鳥は、水が苦手らしく、バチャバチャ翼をばたつかせ、
沖の2つのお山を目指して、沈みつつ、必死にかき泳いでいく。
かなりの時間を要したが、無事2つのお山のある水晶体、
『モリアルテア』の神体のお山の山頂にたどり着いた。
「モリアちゃん。泳ぎは得意じゃないから、もうしないでよ」
水晶神鳥、名前は『ロック』、モリアからは、ロックちゃんと呼ばれている。
ロックは、モリアの身の回りのお世話をしたり、水晶諸島の警備をしたり、
他の神鳥の身の上はなしを聞いて、相談にのり問題を解決したり、
他の水晶島で神水晶を採掘してる鉱山発掘用神具機器『土山晶』の管理をしたり、
鉱山収益の書類を作成して、役所に届け税銭をきちんと支払いを済ませたり、
水晶鉱山で働く大勢の貴神等の毎月の給料面の支払い計算、その他残務処理を一手に担うなど、
かなりマルチな才能あり、この浮遊水晶諸島では、いなくなってはみんなが困る頼れる神鳥であった。
彼鳥は透明な水晶体なのだが、ときおり黒く変色する、どことなく憎めない神鳥なのだ。
そして、ロックが必死になって起きるように説得していた、
『モリアルテア』、彼女神は、この浮遊水晶諸島を創造した1柱の女神、
その土地で神水晶を採掘する会社『モリア神鉱山』の会長神である。
モリアは莫大な富を約束された神水晶の史上を、ほぼ独占している大手会社の、実質最高経営責任神であると同時に、ロックの上司でもあった。
浮遊水晶諸島は、創造したモリアの所有領なのだが、お銭のなる大樹をがっちり掴んで離さない場所として、天神界にとっても、なくてはならない重要な空域として、知れわたっていた。
この会社の会長神ともなると、寝ていてもお銭が入り、左うちわも振る必要が無いくらいの巨万の富を既に持っている。
だからモリアは、莫大な富で使い建造した神力湖温泉にゆっくり浸かって、引きこもり冬眠しようとも、全く問題無い。
それに、神力湖温泉の神力水は御力・神能の源である神力に満ちた神水である為、
引きこもり冬眠するのに問題ないばかりか、むしろ前よりお肌も綺麗になり、
もちもち肌になるなど、外面だけではなく神体内部まで綺麗になり、
神体がどんどん若返えり、御力総量もどんどんあがる効果もあり、
御力総量回復速度UP効果もつき、総合的に神体性能があがるなど、
貧乏下級神等が羨むような効果が満載であった。
貧乏貴神等が汗水流して働いている最中、モリアは左うちわをふるのも面倒くさくなるような、超BIPな生活を充分に、心ゆくまで味わい堪能していた。
けっして、今も愛してやまない旦那神がどこの馬の骨かもわからない女神と浮気して駆け落ちしたから、めそめそしてるなんて、
そんな女々しい女神じゃないもんとモリアは、思ったのだが口には出さずに、ロックを完全に無視することにした。
ロックは、ここに報告をする為に訪れる度に、毎回狸寝入りするモリアにほとほと嫌気が差しているが、これもお仕事と割り切って、また必死に呼びかける。
「モリアちゃん。本当に大変なんだよ」
ふんだ。私の地雷を踏み抜いたからには、もう起きないもんねー。
「モリアちゃん。今度イケメン紹介するから起きてよ」
旦那様以上のイケメンさんはこの天神界には存在しないもん。
ロックちゃん。地雷また1個追加したなー
もう寝ちゃうよ。お休みロックちやん。
「モリアちゃん。僕じゃ無理だからお願いだよ」
女神にお願いするには、崇め奉らないと、いう事聞かないのよ。
知ってるでしょ、ロックちゃん。
「モリアちゃん。こんなに綺麗になったのに、もう温泉はいらなくてもいいでしょ」
綺麗だなんて、言ってくれて、もう、嬉しいじゃない。
よし、ちょっと機嫌なおったよ。地雷1個帳消しだよ。やったね。
今日は後3つも地雷踏み抜いたから、ガンバだよ。ロックちゃん。
3つ帳消ししたら、光臨しちゃうぞ。負けるな、ロックちゃん。
「モリアちゃん。温泉つかっても、御心はきれいにならないよ。わかってるでしょ」
かちーん。それってこの私の御心が汚れているってことですか。
ぶぶー。不正解だよ。地雷1追加しおったなー。
あと1個地雷踏み抜いたら、素敵な場所に生涯旅行に送ってあげるわ。
覚悟して答えなさいよ。ロックちゃん。
「モリアちゃん。モリアちゃん。助けて、みんなが待ってるよ」
フンだ。従業神の1柱が、私の事を影で旦那様に逃げられてやんの。ざまーって、
話してるのを聞いちゃったのよ。
私のハートも水晶ハート、そのハートも従業神の陰口でわれちゃったわ。
今はそのハートの修復中よ。邪魔しないで、ほっといて頂戴。
「モリアちゃん。僕の大勢の家族もこまってるんだよ。助けてよ」
微笑ましい。うー、うー、でも羨ましい、妬ましい、
心寂しい、フンだ。どうせ私には、家族がいないわよ。
だって、旦那様と私の御力を合わせたお子神が欲しかったのよ。
ロックちゃんみたいに誰でもいいから種付けするなんて不潔よ、不潔。
でも、ご家族が心配な気持ちはわからないでもないから、
今回の地雷は、勘弁してあげるわ。次こそ正解目指して頑張って、ロックちゃん。
「モリアちゃん、なんとかしないと、危ないよ」
おーと、地雷スルー、やるじゃないの、ロックちゃん。
まずは地雷スルーして、機会を伺って、
私が欲しい言葉を早くつぶやくのよ。
私の氷のはーとを早く溶かして頂戴。
「モリアちゃん。起きたら美味しい御飯、用意してあるよ」
流石は、私のロックちやん、ふて腐れた女神の扱いに慣れてるわね。
でも、旦那様の作る料理が一番美味しいのよ。
ロックちやん。早く旦那様を連れ戻して来てよ。
旦那様の作る料理が美味し過ぎて、ブクブク太った私は過去の私。
今の私の姿を見たら、きっと私の元に帰って来るはずよ。
「モリアちゃん。もう起きてるのは、わかってるんだよ」
それなら、私がこのままじゃ、絶対起きないこともわかるよね。
さー早く、私が喜ぶ言葉を心の奥から叫びなさい。
「モリアちゃん、今日は本当に大変なんだよ。いつもの報告とは違うよ」
いつも、そういう話し方してるから、信じる根拠を早く言わないと、
信じるものも信じられないよ。どうせ、またいつものやらせでしょ。
でも、地雷を回避してるから、褒めてあげるわ。さすがね、ロックちゃん。
この良くわからないクイズ大会は、このまましばらく続くことになりそうであった。
今まさにモリアちゃんに魔の手がのびて、彼女神の首を締めようとしているのだが、
モリアちゃんは全く気づかずに、気持ちよく温泉に浸かって満喫していた。
神霊皇槍御船
聖神霊教会所属の教皇神乗船用特別御船旗艦。様々な神兵器を搭載。超時空跳躍も可能。船内は、第1区画から第10区画まである。第1区画は貴賓室区画。
剣晶兵 足無し人型神兵器。剣と盾を装備・尻尾の尾が剣
弾晶兵 足無し人型神兵器。光銃を装備・両肩光弾砲装備
槍晶兵 足無し人型神兵器。槍と盾を装備・尻尾の尾が矛
剣晶兵、弾晶兵、槍晶兵は、時間を設定し、超過すると、勝手に消滅してくれるエコ神兵器で、各神設計図がかなり細かく作りこまれている為、弱い創造御力で大量の神機体を作成出来る安価な大量生産型神兵器である。
盾晶球
盾型神兵器。シールド障壁展開できる。
土山晶
鉱山発掘用神具機器。鉱物感知ユニット、採掘鉱物自動選別ユニット搭載、大規模時空庫標準装備。発掘刃部分自動再生ユニット搭載。大量に導入することでかなりの経費削減につながる。
『モリア神鉱山』
浮遊水晶諸島の全ての島で神水晶を採掘し、莫大な富を約束された神水晶の史上を、ほぼ独占している大手会社。
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