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第12話 終末の日常① 終末コンサート第1部開幕

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水晶の浮島が大きな浮島から小さな浮島まで、数多く点在する雄大な大空の世界、

白い巨大な雲壁が浮島の集まりを覆い包むように大空に浮かんでいる。

大空には大勢の水晶神鳥の群れが幾つかの集団に分かれて、

水晶神鳥の最後の楽園を守りぬくように、蠢く群衆となり羽ばたきあっていた。

神鳥達が集まって出来た光の煌く光砂流が、辺りを神秘的に染め上げている。

この浮島水晶諸島には、数多くの神水晶の鉱脈が存在し、神々の手によって採掘され続けていた。

その1つの巨大な浮島ではあまたの水晶が、天に向かって荒々しく突き刺す槍の先端のように連なっていた。

あたり一面全てが様々な形状の水晶で覆われ、山や森や泉も全てが光り輝き、目を奪われるほどの壮大な風景が広がっている。

宝石に関わる商売をする者達にとっては、まさしく理想郷ユートピアといえるだろう。

その理想郷のきらめく水晶の山々に、ひときわ注目を集める巨大な無数の神殿で構成された水晶神宮殿クリスタルパレスが見えるはずだ。

だが、今その場所には眩しい7色のきらめく輝きを放つ繭膜が神宮殿全体を大きく覆っていた。

水晶神宮殿クリスタルパレスを覆っている繭膜は、超高濃度神威結界だった。

これほど超高濃度の神威に覆われた結界だと、大神クラスの御力でないと結界内部に御力を届かせることが出来ないだろう。

よく見ればこの結界は、少しずつだが、膨らんでいる。広がっている。大きく成長している。

この結界に向かって神晶石が集まってきては、飲み込まれていく。神晶石が捕食されているようだ。

神晶石の神工知能が危険を察知して駆けつけるのだろうが、この結界は、邪悪な神威に犯されており、

接近した神晶石が【不正侵入神能改竄】ハック・リライトの餌食になって増殖し続けている。

その超高濃度神威結界の内側では、この外の神秘的な世界とはかけ離れた世界になっており、結界の内側では大勢の貴神達が取り残されていた。

取り残された中級、下級の多くの貴神達は、事前に教わった緊急避難方法を思い出しその方法を行っていく。

貴神達は教わった通りに実際に指輪型神晶鍵ルーナキーレスに神威を込めると、上空で旋回している神晶石に緊急転移することが出来て、危機的状況から難を逃れることが出来た。

次々に神達は緊急転移して内側の世界から脱出していく。

貴神等は、無事脱出出来たことを喜び、安全神に感謝の祈りを捧げた。

そして、今回の悪役である馬鹿神霊にいつか復讐する事を誓い合った。

無事脱出出来た神は、助かって良かったのだが、結界の内側に残っている神達はまだ大勢いる。

その貴神達は、結界の内側の風景を眺めながら様々な呟きを零した。

「頼まれてももう二度と行きたくない世界だな」
「何考えてんだ。頭わいてんな」
「こんなところ、早くおさらばするか」
「バカじゃないのか」
「余興が大爆発ってあほか」
「こんな余興、全然面白くねーぞ」
「糞みたいな扱いしやがって、俺らをなめてんな」
「まるでみたいだな」

繭膜内部では、地獄の業火が辺り一帯を覆い尽くし、灼熱の炎が水晶岩グラスポッド大地を焼き尽くしながら荒れ狂う。

空間は黒煙の暗黒世界となり、幻黒大蛇に模した激しく破壊的な神威暴風嵐が、

水晶岩グラスポッドを根元から叩き織り、吹っ飛ばしていた。

狂気の水晶流星雨が飛び散るこの世界では、

暴風嵐に吹き飛ばされた水晶岩グラスポッドが流星雨のように吹っ飛ぶ光景、

吹っ飛んだ水晶岩グラスポッド同士が激突し大爆発が繰り返される光景、

水晶石が虹色繭膜神威結界とバウンドし別の方位に飛び立つ光景、

地表の周辺一帯に水晶の花びら水晶のクレーターが次第に咲き乱れる光景、

闇に魅せられし神等が略奪・女神暴行・扇動し、暗黒空間に奇声が鳴り響く光景、

まさに天地がひっくり返ったともいえる天変地異が起こっていた。

その中には、邪悪な神威に犯された貴神等が大勢破壊行為をおこなっていた。



そして天変地異を結果的に引き起こしてしまった実行犯、後光さんは、

現場から姿を消して、得意の光を灯さずに一目散に逃げ出していた。



御力の調整失敗、引火して大爆発ゴット・バーストしてしまったようだ。

後光さん。かなり落ち込んでいた。

今はそっとしておこう。


★  ★  ★  ★  ★  ★  ★



今この場に集まっている難を逃れた神々は、周りの状景を見ながら安堵の表情を浮かべている。

「助かった。ありがとうございます」
「邪悪な神威が近づいてきた瞬間、諦めたんだが、助かったー」
「凄かったな、あんな暴力的な神威、浴びたらどうなったことか」
「神講堂のお外はどうなったのかしら」
「俺らみたいに神晶鍵ルーナキーレス捨ててしまう奴らはアウトだろうな」
「外にはそういう神等が沢山いてそうだわね」

貴神等かれらは、御力の弱い神々、天神界に数多く溢れている一般的な庶民の神民だった。

「私が展開した神障壁の中にいれば、安心だ」
「だから、この中で暫く待機しているんだ」
「助けは必ずくる。祈って待つんだ」
「いいな」

善良な良識ある上級神達が、御力でつくった神障壁空間によって保護をされ、結果的に難を逃れた貴神等である。

保護の恩恵がなかった中級神、下級神は、神晶鍵ルーナキーレスを使い神晶石に転移し、無事逃げ延びている。

「あそこに綺麗な女神が、隠れているぞ」
「よし、今から汚しまくって、俺等の仲間にしてやる」
「恐怖の悲鳴から快楽の悲鳴に変えてやるぜ」
「やめてーー離してーーー誰か助けてーーー」

中には逃走に失敗した神々もいたが、その神々はもうすでに邪悪な神威に汚染され、

破壊の衝動に盲目的に従い、周囲を破壊と混乱を巻き起こし、

邪悪な神威で犯された者同士でいがみ合い争っていた。

「おらがあの女神さ、見つけただ。おらのもんだ」
「あの女神は儂に助けをもとめてる」
「どけー邪魔だーー」

その御力の強い上級神達は自神を中心に動きやすい大きさの神障壁で覆い、

神障壁で覆い助けた御力の弱い神々と共に大爆発を耐え忍び現在の状況に至っている。

「これがリスラシアの言うておった楽しい余興なんじゃろか」
「儂の好みの美神だったんじゃが、趣味が合わんの、無理じゃわい」
「やっぱりマリちゃんが一番じゃ。まっておるのじゃぞ、マリちゃん」

コバルトリス=リュオーラも世の最高神の1柱として、この現状を眺め呟いていた。

リスラシアは、神殿内をあっはっは~と大笑い、自由に踊りながら楽しそうに闊歩している。

コバルトリス=リュオーラ端折ってコバちゃんは、儂はどうするかと考える。

コバちゃんはこの程度の結界を破るのは訳ない。

じゃが、矢面に立っていまえば、コバちゃんが統治する世界が注目の的となり、

コバちゃんの世界が馬鹿神々共の遊び場になってしまうかもしれんと瞬時に思考し、

もう暫く、事の推移を見守ることにした。

事態を急激に推し進めると反動がでかいからのう。ちょっと様子見じゃ。

儂だけで事態を収束させると、後々面倒じゃからのう。

こういう時こそ、仲間と一緒に解決するもんじゃ。

危ない場面では仲間が出来易いもんじゃて。

ただ、コバちゃんから見たら、赤ん坊が空を飛び回って泣き喚いているを、

どうにかして助けたいと考え、策謀を巡らしている邪神等に気づかれないように、

少しずつ救出していこうと今後の方針を組み立てていく。

ついでに、他の神々と協力する名目で神友を作るのもいいかもしれんと

コバちゃんは打算を働かせた。


★  ★  ★  ★  ★  ★  ★



水晶岩グラスポッドには神子候補生が入っている。

売れ残り神子候補生の一人『ミルエッテ』は、戦い続けている。

自神が焼かれるような蒸し暑さや焼け焦げていく自神と、

「いやー、あつーい、こげるー、ぎゃー、プスップス」

水晶岩グラスポッドの中で転展てんてんして水晶壁に永遠に叩きつけられる衝撃と、

「いたー、うでおれたー、ゴロゴロ、ダン、いでー」

水晶岩グラスポッドの中でおこる超重力圧と

「うーーーーーんうごけない。くるしいーーー。いきができ・・」

突然起こる大衝撃と、

「DOKAaAN ヒデブッ ペチャッ」

何度も襲った吐き気と、

「オエー☆.。.:*・ゴエ☆.。.:*」

辺りに散らかった嘔吐物と汚物にまみれた自身の臭気、

「クサッ嘘っ私はお花の匂いがする女神…クンクン彡オエ☆.。.:*」

もう勝ち目は無いし、事実数え切れないほど勝負をしなければならず、勝敗は連戦連敗だった。

「おえー痛い、熱い、臭い、汚い、頭が回る。もぅまた死ぬクチャ」

「私、地上で王子様と結婚するのよ。こんなとこで死ねなグチャッ」

「シャル。何一人平気な顔してんのよ。助けなさいよベチャ」

死んでもその場で完全復活、下級神でも神なので安神安全、

只今無限地獄体験中である。

この光景と同じ出来事ストーリーが、救護活動にいそしむ善良な神々の保護の手から、

こぼれ落ちた哀れで可哀想な候補生達を、新たな配役キャストに添えて

強制出席体験学習絶対受けたくない授業が何度も繰り返し取り直されていた。

これだけ悲惨な世界だから、水晶岩グラスポッドの不良品があったらどうすかって?

全く問題無い。水晶岩グラスポッドは安神安全保障付だから天変地異でも大丈夫。

ただし空間固定ユニット、室内空間循環ユニットなど特殊ユニットはついてない。

つまり、彼女の入っている水晶岩グラスポッドは神界では安物商品バッタモノなのだ。

安物商品バッタモノは、室内居住空間の快適性は考慮してないノータッチ

安物商品バッタモノが室内居住空間も完璧だったら商売にならない。

やはり、商売をする以上、両者を比較させて購買意欲をあげるのが鉄則デフォだ。

この場で比較できる対象は只今ゆったり寛いでいるシャルシアの巨大水晶岩超高級品だ。

巨大水晶岩超高級品は、空間固定ユニット、室内空間循環ユニット、小型創造ユニット

この場で比較できる対象は只今ゆったり寛いでいるシャルシアの巨大水晶岩超高級品だ。

巨大水晶岩超高級品は庶民の下級神には目玉が飛び出るほどの御神銭額きんがく

それは、下級神が1000年コツコツ真面目に働いても無理な超高額御神銭額お高すぎる金額だ。

巨大水晶岩超高級品は下級神達である自神達には高値の花、身の丈にあった水晶岩グラスポッドに皆流れていくだろう。

だが、この後の展開を見た下級神達は無理をしてでも、巨大水晶岩伝説の舞台商品を買いたくなるはず。

予約しても1000年は買えない伝説の商品となること請け合いだ。



★  ★  ★  ★  ★  ★  ★



天変地異の映像はリアルタイムで放送されている。

その映像は神鏡球ミラービットが神撮影しつづけている。

神鏡球ミラービットにも登場神が乗っている。皆中級神だ。

数多くこの現場に投入されている神鏡球ミラービットも、また破壊的な神威暴風に身を晒され、錐揉状態きりもみじょうたいとなっている。

先程大爆発が突然起こった瞬間、彼神等かれら神鏡球ミラービットに緊急転移することで、難を逃れることが出来た。

今は機体も巧く制御出来ていない。水晶岩グラスポッドと正面衝突したりと散々な目にあっている。

だが、彼神は、現場報道の叩き上げで、多少の天変地異アクシデントでも映像を送り続ける本職プロの現場報道神だ。

いつものことだと、打たれなれた神鏡球ミラービット登場神達は気のも止めていない。

彼神は、皆『天神日輪放送サークル放送』の社神であり、

そのなかの現場監督神『サーク=ゼノバランス』は現場で

上級神『サーク=アルフジャイラ敏腕プロディーサー』が神速命令したリアルタイム

作業指示強制服従命令を、怒号を上げながらさばいていた。

飛び回っている水晶岩グラスポッドを透視して中の映像を送り続けろって言われてもな、やる方の身にも少しはなれってんだよ

(ジャスター。お姫様の表情しっかりおさめとけよ。お姫様班の統率たのんだぞ)

(サンディ。あの消えかかってる神霊ちゃん消えないように見張ってろ)

(ハーディア。10神ほど見繕みつくろって逃げてったもう一匹の神霊ちゃんを探して激写、囲んで証言をとれ!!)

(ドノバン。上位神のご命令だ。同じく10神ほど見繕って暇神達が喜びそうな映像送ってやれ)

(ノスタール。さっき、神鏡球ミラービット打ち込まれたハックされた病原菌ウイルスの正体はどうなった!!)

(了解)(了解)(了解)(了解)

(まだです。もう少し時間下さい)

(遅い!!。原因突き止めて早く燃やしてしまえ!!)


現場監督神『サーク=ゼノバランス』は、神念話を使い部下神達に光の速さで指示を出していく。


★  ★  ★  ★  ★  ★  ★


人形のように凝り固まったシャルリアが動いた。

天神界中で映像を視聴していた神等は、先程までシャルリアが神体も心も拘束されて、不当な扱いを受けていると感じていた。

映像を視聴するために寄り集まった神等は、怒り狂って神霊様を糾弾し合っていた。

しかし、大爆発が起こった後に魅了の御力が解かれたかのようにシャルリアが動きだした。

その衝撃的な映像に、天神界中で日輪放送《サークル放送》の配信映像を見ていた神等は、飛び上がるような歓声が上げ我が事のように喜び合った。

天神界中に配信されている映像は、病気ウイルズにした神鏡球ミラービットが大幅に神威カットした画像に改竄かいざん、基地局を通さずに天神界各地に直接配信された虚像の映像であった。

虚像の映像では、幻黒大蛇に模した激しく破壊的な神威暴風は、撮影映像は映らず物体がかってに飛んでいく下手な特撮映像のように改ざんされている。

炎も黒煙に包まれ殆ど何も見えない、大まかに見た限りでは周囲の状況が非常に判別しにくい映像となっていた。

ただ、シャルリアの軟禁されていた巨大水晶岩ダイグラスポッド周辺には、神障壁が常時展開されているので、

煙も炎も闇もない状態で周りが見えないぶん、妙にその周辺が強調されその部分が浮いて見える、

まさにコンサート映像向きに画像処理された映像メイキング映像だった。

そんな強調された映像だからこそ、シャルリアの行動がすぐに確認出来たのである。

そんな神々達が我が事のように喜び合っている風景が、

天神界神能研究所でも巻き起こっていた。

「一時はどうなることかと思ったぜ」
「きゃー。うれしーやったー」
「親シャルになんか負けちゃ駄目だからね、頑張ってシャルちゃん」
「塵神、また自爆したのかよ」
「俺たちの研究の邪魔をしようとしたから天罰が降ったのさ」
「俺、今日の賭け、もう負けちまったよ」
「悪は必ず滅びるのだ。これが世の理なり」

天神日輪放送サークル放送が配信さらた四次元映像が設置された中央ホールでは、

先ほどよりもさらに神の総数が膨れ上がり、混迷を極める歓声が沸き立っていた。

これだけ研究神として真面目な貴神等がホールに増えたのには理由がある。

貴神等が研究をするには煩すぎて、注意しようと研究所の中央ホールに、

真面目な研究神が飛び込んでいくが、状況を理解するに従って自神も怒りで目が赤く染まり、

やがて大声で騒ぎ始め、そして、その工程がまた繰り返される。

そんなねずみ講の被害者の会のように、中央ホールはどんどん増加の一途を辿っていった。

「うーシャルちゃん無事で良かったよー」
「きっとオビちゃんの願いがかなったのよ」

シャルリア専属研究主任女神『オビラージュ』ももう1柱の研究女神とがっちりと抱き合った。

オビラージュのペッタンコともう1柱の女神のペッタンコがガッチンコしていた。

お互いにがっちり固まり合ってホールドお互いの匂いを…クンカ‥クンカ…嗅ぎ合っている…クンカ‥クンカ…嗅ぎ合っている…クンカ‥クンカ…

主任女神オビラージュは、ロリ系桃髪のサラサラ髪を束ねて結ってお団子髪で、お顔に装着している赤セル丸めがねがとっても似合うチャーミングな女神様だ。

自神で創造したフリフリピンクの研究神衣装もとってもキュートで、男性研究神達の目線はいつも彼女神のお胸様に集まってしまう。

彼女神とシャルリアは大の仲良し子よしの間柄、シャルちゃんオビちゃんの呼び名で言い合い、同じペッタンコ種の系譜をたどる同士でもあった。

「シャルちゃんがいなくなったらと思うと、私泣けてきちゃうわ」
「もう研究なんて、していられないわ。」
「皆で助けにいくわよ。みんなも一緒にいこう」

オビラージュは感情が制御できていないのか血迷った発言を吐いた。

どれくらい血迷った発言かを今から説明しよう。

オビラージュがいる神能研究所とシャルリアのいる水晶神宮殿はとても距離が離れる。

わかりやすく説明すると、地球からアンドロメダ星雲に行くぐらいの距離と言えば分かりやすのではなかろうか。

そう簡単に行ける距離ではないということがお分かり頂けただろうか。

強力な御力をもっている最高神の系譜の神ですらすぐには転移できない。

長距離転移陣を展開するにもかなりの準備期間と費用が必要になる。

それを今から買い物にいく乗りで言われても、絶対に叶いません。

神々の持つ技術・御力を結集した時空光神距離跳躍ユニット標準搭載された神装御船なら、お買い物感覚でいけるが、莫大な費用お銭代ととんでもない御力が掛かる事になる。

オビラージュの貰うお給料では、無理な銭額だ。

勿論研究所の研究予算を無断で使ったとしてもまったく足りない。

「よーし、皆大仕事だ。全員各種作業にかかれー」
「俺たちの研究の成果を見せてやれ」

だが、ここに諦めない男性研究神は心に炎を灯し皆に向かって叫んだ。

彼等をまとめ上げる『ルベクトル』は、各自の作業を割り振り、

積極的に現場を纏め上げ、皆の士気を高めていく。

アベクトルは、瓶ぞこメガネがトレンドマークのひ弱な研究神だが、

彼のかける言葉に、意を唱える神は1柱もいない。

アベクトルの指示する言葉を理解し、ペッタンコ種を愛してやまない男性研究神等は、

一斉に長距離転移用神能陣を、皆一丸となり作成する為に演唱する。

(((((すべては、ペッタンコの為に)))))

男性研究神は、ハモりながら神念話で叫んだ。

彼神らは、自分の欲望に忠実な研究者であるので、自神の名前と顔を覚えて貰い、最終的には、2柱で一緒に手を取り合ってペッタンコの子孫神を創造したいと考えていた。

全てはペッタンコの系譜を見守るため。ペッタンコこそ正義の使徒。

彼神等は、『ぺったん教会』の派閥に属したぺったん教会神だった。

この結界設置作業は、神能研究所の所長つまりこの研究所の最高責任神

『ゲオラディアード』が男性研究神達を怒鳴り叱りつけるまで続いた。

その後、皆を煽ったオビラージュは、お給料3ヶ月減俸処分となった。

処分を聞いたオビラージュは、ふらふらとノックダウン。


★  ★  ★  ★  ★  ★  ★


シャルリアは、お母さんいつもと違う大失敗いつものして大炎上いつものしたんだろうと察していた。

お母さんがいつもと違うのは、わかってるのに、どうして変わったのかわからない。

でも私がお母さんの失態を挽回するから安心してと決意を新たに鼻息をふんす!とならす。

シャルが動くと事態がややこしくなるからやめなさいと注意して諌める忠告者が傍にいない。

こだまが響き渡らないので、シャルリアはそのまま突き進んでいく。

脳裏世界では、既に超緊急お母さん大失態隠蔽支援援助特別協議会が開催される運びとなり、

おっかい議事堂内の円卓の間に大勢の幼いシャルリア達、総勢500柱が一斉にわーいと集まり、

巨大な円卓の椅子に次々と飛び込んでいく。

わいわいがやがやと騒然とした雰囲気に、儀仗音が脳裏に轟く。しーん

騒がしかった脳裏が静まり返り、「開廷するよー」の声が会場に響き渡った。

超緊急お母さん大失態隠蔽支援援助特別協議会、

略して『おっかい』が無事開廷した。

巨大水晶岩ダイグラスポッドの中でシャルリアは、周囲を円を描くようにくるくると歩き回っていた。

うーんと可愛いらしく唸っていたかと思うと急にチョコンと寝転んで、

水晶の地面に向かって指先でうにょうにょしだした。足をパタパタしてるのが初々しく見える。

脳裏では黒板に見立てた板に指先に色をつけて、いろいろ文字を書き綴っている。

指先なので文字はみえないが、シャルリアの脳裏では、山のように膨大な黒板がどんどん積まれていった。

神速で行われている『おっかい』が白熱紛糾しているようだ。

ー今回はまた一段と派手だよね。

ーこの光景が世界中で流れているんだよね。もう無理じゃない。

ー後光さんも注意しなさいよ。

ーいつも一緒になっておバカなことして、対処するこっちの身にもなってほしいわ。

ー神様なんだから、もっと神らしい行動してよね。

ーお母さんも少しは自重してよ。

ー今日のサル☆シャル☆おシャルディ、これからもっと白熱するわね。

ーお母さんやりすぎたから、神罪にとわれたらどうしよう。

ーお母さんが地上に追放されるなんて嫌よ。

ーまだ決まってないよ。

ーこんだけの大失態を無傷でやりきるなんて無理よ。

ーあきらめよう。お母さんのことは1週間は忘れないよ。

ーまだ、あきらめないで。

ーメグちゃん助けて。

ーメグちゃんいないんだから私達でなんとかしなきゃ駄目よ。

ーこの光景が収まった後、修繕神威銭額しゅうぜんひがとんでもない額で請求されそう。

ー家貧乏なのにもっと貧乏になるよ。ご飯にならぶ品が減るね。

ー家族全員路頭に迷うかもね。

ー皆で仲良く下界投下確定だよね。

ーそれ、いやーーーー

ー皆もっと神剣に考えるわよ。どうすればいいか、知恵をかして!!

ーえーお腹すいた。

ー眠たいよ。一回寝てから、もう一度協議しよ。

ーそれなら簡単だよ。

ーどういうこと。詳しく説明してほしいわ。

ーこの状況より目立てば、なんとかなるんじゃないかな。

ーそれじゃあ意味わかんないよ。

ー無責任だよ。

ーもっと詳しく説明するでしゅ

ー歌って踊ろう。

ーみんなの視線を私にあつめるの。

ー皆と『芸能神ゴッコ』して遊んだときみたいにするの。

ー面白そう。ここから、私の芸能神転属生活げいのうしんデビューが始めるのね。

ーそれ、いいかも。

ーあの時、超楽しかった。最後皆で大合唱して大盛り上がりだったよね。

ーそう。それよ。自然な感じで合唱会に持って行くの。

ーできるかな。

ーやるのよ。お母さんを助けるために頑張るのよ。

ー音楽どうするの。

水晶岩グラスポッドにきっと音楽再生機能ついてるはずだよ。超高級品でしょ。それくらいついてるはずだわ。

ー歌詞はどうするの。

ー『即興歌詞を作詞する会』略して『そっかい』も緊急開廷して私を完璧にサポートするわ。

ー踊るのも神々の視線をあつめるからやるべきよ。

ー『可愛いダンスで皆の視線を集める会』略して『だっかい』も緊急開廷するわ。サポートはまかせなさい。

ーでも、踊って歌っただけで、この状況がなんとかなるのかな。

ーいつもなんとかなってきたから、なんとかなるよ。

ーほんとうかなー。

ー私を信じなさいよ。

ーまあやるだけ、やってみようか。

ーその前に水晶石がどれくらい能力あるのか、確認しなきゃね。

ー創造ユニットの確認は絶対だよ。

ー創造ユニットついてたら、どれくらいの物質が創造できるか、それも確認ね。

ーそれで巧くいきそうなら、そのままGOGOGOー

ー皆一致団結してこの難局を乗り越えよう。

ーえいえいおー

シャルリアは顔を上げて頷いた。無事『おっかい』を乗り切ったようだ。

今回は結論が出てよかったとシャルリアは安堵した。

それから、ゆっくり立ち上がり緊張しないようにフーと深呼吸、そして辺りを見渡した。

突き刺さるような視線を感じられる。全世界から見られているので今更かと、

計画にそって水晶岩グラスポッドの能力を確認することにする。

創造ユニットがあれば、計画も断然楽に進む。

シャルリアは、水晶岩グラスポッドに向かって座れるような椅子を用意するようにお願いしてみる。

すると、後ろにシャルリアの髪の色とお揃いの純白の超高級ふかふかソファが現れた。

ーやったー創造ユニット確認完了。
ー飛び込んじゃえー。

シャルシアは、超高級フカフカソファに飛び込んだ。ダイブ

「いー匂い。癒されるよ。メグちゃんと一緒に寛ぐイチャイチャには最高のソファだね」

ー次は創造ユニットの物質確認よ。

シャルリアは、喉が渇いた。なにか飲みたいと念じてみる。

すると、高級グラスに神果実の果汁水がテーブル付で現れた。

「うわーこの神水おいしーーーい。もう最高!!」そこでシャルリアは微笑んだにっこりさん

ー超おいしー
ーとろける~
ーふやける~
ーふにゃららら~
ーほんとに溶けちゃ駄目。

シャルリアは、お腹が「ぐー」となった。ちょっと恥ずかしそうだ。

ー今から合戦がはじまるのよ。御力補充しとかないと。
ーどうせなら、今まで食べたことのない料理お願いしてみたら

どうせならと何か食べ物を出して欲しいと念じてみる。

すると、巨大な超高級長テーブルに最高神が食べるような超高級神饌物マスターゴッドディナーが食べきれないほど現れた。

「うわーー最高に美味しい。お母さん特製ハンバーグ女神の得意料理匹敵するよ」

「こんなにあったら食べきれないよ。皆に渡すお土産できちゃった。ありがとう」

ー御力補充完了。おいしかった。
ーもう死んでもいいかも
ーまだやめて

ここで、上を見上げて感謝の言葉をかけた。

ーそれじゃーミュージックスタート!!

すると空間内に素敵な音楽ミュージックが流れ出す。

ーすっごい響き渡って
ー雑音遮断して
ーみんながうっとりする音に変換して
ーエフェクターも思考変換付で
ーとってもかわいらしい
ー軽くて丈夫な
ーマイクよこいこい

ここで次にシャルリアが願ったのは、高級神音響機器マイクだった。

高級神音響機器マイクは、時空音響ユニット標準装備である。

ーやったー
ーいけるよ
ーみんなのお陰だよ
ーまだ安心しちゃ駄目
ー皆がんばるわよ

そしてシャルリアはにかわいらしい笑顔にっこりさんを辺りに振り撒きながら

軽やかに踊り始めたシャルちゃんダンス。クルッと回って素敵な笑顔にっこりさん

ーまずは挨拶が基本だよ。
ーぺっこりん
ーあんたがしてどうするのよ。

「みんなーみてるーげんきーみんなーあいしてるー」

ー『おっかい』準備できてる。
ー準備完了!!いつでもいける。

「神子候補生のみんなー.。.:わたしのために。.:」

ー『そっかい』そっちはどう。
ー準備完了!!いけいけだよ。

「こんなすてきなぶたい。.:*つくってくれて☆.。.:*・ありがと」

ー『だっかい』そっちはどう。
ー準備完了。きゃぴきゃぴだよ

「みんなのために☆.。.:*わたし☆.。.:*・うたいます」

ー『おっかい』緊急開廷!
ー『そっかい』緊急開廷!
ー『だっかい』緊急開廷!

「えいぞうみてるみんな☆.。.:おうえんしてね☆」

ーみんな。楽しんでいこうね。

時空を超えて子供の可愛らしい声シャルちゃんボイスが神々の御心をくすぐった。

シャルリアは自神の持てる力を振り絞って歌った。

神鏡球ミラービットはシャルリアの映像を水晶岩グラスポッドを避けながら様々な角度から撮影し続けた。

シャルリアの脳裏では、神速で『おっかい』『そっかい』『だっかい』

3協議会が超緊急討議をかさね、議題を次々処理していった。

音楽も色々曲調が変わるが、シャルリアは全ての曲調にあった歌詞を歌ったシャルちゃんソング

巨大水晶岩ダイグラスポッドさんもこれならどうだと、子供が歌うには難解な曲を敢えて選択、シャルリアを挑発する。

脳裏の『おっかい』『そっかい』『だっかい』3協議会が超緊急討議をかさね、議題を神速で次々処理していった。

ーもっと処理能力をあげるのよ。馬車馬のごとく働きなさい。
ーもうむり死にそう。
ー終わってから死になさい。

3協議会が超緊急討議をかさね、議題を超神速で次々処理していった。

辿たどしいながらも、必死に食らいついて踊る歌うシャルちゃんシャルリアダンス&ソング

巨大水晶岩ダイグラスポッドさんも大人げないと言われかねないような曲を選択セレクトする。

ビート、エレトリック、遠い下級世界のアニメ音楽まで。

神々も子供神にそこまでするかと巨大水晶岩ダイグラスポッドさんに憤慨した。

シャルリア脳裏内では『おっかい』『そっかい』『だっかい』3協議会が超緊急討議をかさねていたが、ある結論に至った。

ー3つあるとうざい。
ー3つあるとややこしい。
ー3つあるとめんどい。

ー合体しよう。

その瞬間、脳裏で脳内革命が起こった。3協議会を結合。新たな競技会『さんかい』が創設された。

ー合体スーパートランスシャルちゃん誕生
ー合体スーパートランスシャルちゃん誕生
ー合体スーパートランスシャルちゃん誕生

この脳裏内の出来事によって、処理速度が大幅に向上していくことになる。

能力大幅向上したシャルリアスーパーシャルちゃんは超神がかりその選曲に全て可愛らしい踊りシャルちゃんダンスと、

即興歌詞を声を張り上げてシャルちゃんウオー

巨大水晶岩ダイグラスポッドさんの予想を更に超えていく。

「ジャスター、お姫様ペース上げすぎだ」
「こりゃもたねーぞ」
「よーし、ぶっ倒れる表情、絶対死んでも写せ」

現場監督神ゼノバランスは、シャルちゃん神衛隊ファンクラブの第1隊隊長なのだが、仕事に忠実な現場監督神であった。

シャルリアと巨大水晶岩ダイグラスポッドさんの熱気ボルテージは、

選曲が変わる事に激しさが増して行き、さらに増して行き、

全ての神々がその姿を目に焼き付けるまでに至った。

この終末の世界に相応しいシャルちゃん音楽発表会終末記念コンサートが始まった。
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