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シフィ姉ちゃんの深層思考の考察⑤
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「なあ、君、その魔導具は、何処で手にいれたものだ?」
「そろそろ、教えてくれても、良いではないか」
コスタ叔父ちゃんは、両手を腰の横に手を添えて、くの字のように腕を曲げた姿勢で、凄い鋭い視線をラスレちゃんに浴びせながら、私の魔導具について色々ラスレちゃんを問い詰めているのが、私の視界に映る。
ラスレちゃんは、知り合いでもないカッコイイお兄ちゃん騎士に視線を合わせて、助けを求めるようにしている。
目でパチパチ瞑って救助要請の合図を必死に送り、コスタ叔父ちゃんの視線から逃れようとしているようだけど、どうも無理っぽい。
コスタ叔父ちゃんの後ろに、隠れているカッコイイお兄ちゃんはラスレちゃんの視線の救助要請を顔を緩めてニッコリとカッコイイ笑みを浮かべている。
その彼は私が思うに、どうもラスレちゃんのドストライク王子様なんだけど、けんもほろろで、ほろりと落ちちゃうぐらい、軽くあしらわれているように思える。
そんなカッコイイ笑みを浮かべたお兄ちゃん騎士は、更に深い笑みを浮かべながら、次の瞬間、顔を左右に軽く振り、両手で無理の合図を示して、ラスレちゃんの助けにはなれないと態度で指し、死刑判決を下した。
そんな、死刑判決を受けたラスレちゃんだけど、しっかり猫を被って、可愛らしくみえるように、下唇を少し突き出して、不満があるような表情を、カッコイイお兄ちゃん騎士に晒していた。
知り合いでもない2人が、視線でそんなやりとりをしているのを、傍らで見守っているセルディさんには、どうも面白く映らないみたい。
ラスレちゃんの後ろに控えているセルディさんが、カッコイイお兄ちゃん騎士を睨みを利かせるように凝視している。
なんだー。拍子抜け、ガッカリだよ。
ラスレちゃんの落としテクニック見たかったのに....
やっぱり、超目立ったね。そりゃ、そうだ。
だって、コスタ叔父ちゃんが目を輝かせるキテレツな魔導具は、私しか作れないからね。
否、正確には、アヴィちゃん特戦工房隊のみんなの助けがないと、私も作れないもん。
「申し訳ないのですが、その質問も製作者の居場所を特定することにつながりますので、申し上げることができません」
私には、演技をしてると丸分かりなんだけど、そんな、ラスレちゃんは、首を少しだけ下に下げて左右に軽く振り、かなり当惑しているように装い、下手にでていると分かるように、下目使いで会話してた。
相手はお貴族様なので、かなりの猫被りを披露してるラスレちゃん。
でも、そんなラスレちゃんも貴族様だから、どちらの化かし合いが勝つのか、チョット気になるよ。
どうやら、ラスレちゃんは、わたしを庇っているみたいだけど、そこまでしてもらうとなんだかチョット困っちゃう。
だってさー、どうせ私を保護してる平錬協会の分厚い障壁が、私をきっちりしっかり守るんだもん。
だから、そんなに無理して庇わなくてもいいよと、はっきり言いたくなるんだけどさー。
だけど、今見てるのは、もう過ぎていった過去の出来事だから無理、無理、無利子で、沢山お金を借りてみんなを集めて、めちゃめちゃ遊んで騒いで豪遊してシフィ姉ちゃんのつけにしてほしい。つづく。
もう、そんな考えをいだくこと自体が無意味な行為だから、仕方が無くて仕様がないよね...。
どうやら、話し合いはこの2人を主体に話し合われていて、他の2名は、後ろで固く口を噤んでる。
なんだかさ、後ろで控える2人なんだけど、場の交渉を見守る書記官みたいな雰囲気を出してるんだ。
この2人、いらなくない?お飾り物としているのかな?
戦い終わった後だから、凄く汗臭そうな飾り物だよ。
いらないよー。臭そうだよー。見つめ合ってるよー。
お互いに睨み合ってるから、もしかして、恋人同士なのかな?
こっこっこっこれはっまっまっまっマッサカー!!
──男同士の禁じられた危険な恋!!
HEARTとHEARTがぶつかり合う恋の予感!!
汗臭い男同士しかわからない、戦い争うような激しい恋!!
良いよ!!良いよ!!
それでいってほしいのだ!!
「それでは、この魔導具を考え作り出した製作者とは知り合いなのかね」
コスタ叔父ちゃんは、後ろにいるカッコイイお兄ちゃん騎士とラスレちゃんが、視線でやり取りするのが、気に食わないらしく、先程までよりも大きな声と顔に圧力をかけて、更にラスレちゃんに詰め寄るように質問を重ねていた。
コスタ叔父ちゃんは、超厳しい取調官のように表情を変えずに、ラスレちゃんに質問をしてるから、場がカチンコチンだよ。
そんなコスタ叔父ちゃんは、親子程の年の差があるラスレちゃんを、視線だけで号泣させようとするかのように、鋭く睨みつけている。
「はい、私はこの製作者とは、知り合いです」
すっかり怯えているラスレちゃんだけど、表情は崩さずに間を置かずに緊張した趣で、質問に答えていた。
そんな、ラスレちゃんもカチンコチンのキンキンだった。
私は、そんなラスレちゃんにつんつんして遊びたいけど....。
この世界では、私の身体は──目も──鼻も──口も──腕も──足も──身体も──何も存在しない。
今まで、私だけが招待される夢世界で色々面白可笑しく遊んでいた私には、この世界は全然物足りない世界にかんじちゃう。
まあ、今は我慢しよう。そうしよう。
女神様から、あの決められた舞台が上映される夢世界じゃなくて、私自身が自由自在に夢世界を作る力があると教えられたんだ。
どうも私は、夢世界の機能を全然使いこなせていないらしい。
だから、今度女神様の特訓を受けることになったんだ。
夢世界を、自由自在に使いこなせるようになると、凄く色々便利に、夢世界を利用できるようになるらしいよ。
だから、それまで我慢しよう。そうしよう。
私が、思考の海に流されている中で、こちらのシフィ姉ちゃんの深層思考空間では、コスタ叔父ちゃんがジョブチェンジをして、声音が先程までをガラリと変わる。
「知り合いなのか。おー、それは良いことを聞いた」
その声は嬉しさが、溢れ滴る水のように、空間に大きくこだましていった。
ジョブチェンジをしたコスタ叔父ちゃんは、先程までの鋭い視線と頬を緩めて、かなり嬉しい笑顔の表情になる。
おっなんだ、なんだ。急にお顔が柔らかく優しくなったよ。
よーし、ジョブチェンジしたにっこにっこ笑顔のコスタおじちゃんの話を少ししっかり聞いてみよう。
「そうか、そうか──ならば君に私の望みを偽りなく話そう」
「私は何も最初から、君に全てを差し出せと、言うつもりはないのだよ」
「そして、直ぐに全てが私の思う通りに、ことが進むとも考えていない」
「そこは、なんとか理解して欲しい」
「ではな、私の望みを話す前に、最初に名乗らせてもらおう」
「私は、ダルタロイア男爵家当主の、コスタドル・ダン・ダルタロイア」
おっと、お貴族様が名前を名乗るのは、珍しいんだよ。
因みに、エルベリア王国では、一般的な爵位は順に王爵、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵があるけど、他にもごちゃごちゃとした、爵位があるんだよ。
それぞれ、爵位をがある人物は2番目の名前に王爵ならオウ、公爵ならコオ、侯爵ならコウ、伯爵ならハク、子爵ならシ、男爵ならダン、騎士爵ならキシって名前がつくと学校で教わったよ。
「後ろにたっているのが、3男のグランドエルトだ」
後ろのカッコイイお兄ちゃんが、前に少し進み出て、軽く貴族風の礼をしたよ。
そのグランドエルトの容姿は、肩くらいの長さの銀髪を後ろで簡単に縛り、顔立ちは、コスタおじちゃんと違って、色白で柔らかい緑瞳の目が印象に残る、爽やかカッコイイお兄さんですよ。
年齢は、多分16歳~20歳くらいに見えるけど、年上大好きのラスレちゃんの好みに見事的中してそう。
コスタおじちゃんとは、正反対の顔立ちしてるけど、お母さんの遺伝子が勝利したのかな?
銀色の全身鎧も似合っていて、白馬の王子様タイプが大好物の乙女チックなラスレちゃんには、もうドストライクで、顔面に恋愛ボールが当たって、ラスレちゃんのキラキラおめ目がHEART♡HEART♡になってるよ。
どうやら、今回の被害者は、グランドエルトさんで決まりのようだね。
「いままで、名を名乗らずにいたのを、まずは詫びておこう」
「次に君達のような幼き者等に、ここまで執拗に問い詰める手法で脅したのも、この際だから、一緒に詫びておこう」
あらー、お貴族様が頭を軽く下げちゃった。これも珍しい情景だよ。
「私の方こそ、コスタドル様に数々の非礼をしてしまい、申し訳ありませんでした」
ラスレちゃんの発言が終わると2人は同時に揃って頭を下げてた。
「いや、よいよい、そのような些細なことで私の方から咎めるようなことはしない」
「「ありがとうございます」」
ラスレちゃんとセルディさんの発言が終わるとまた同時に揃って頭を下げてた。
「コスタドル様が名乗られたのですから、私の方からも名乗らせていただいても、よろしいでしょうか?」
「いや、よいよい、部下からすでに報告は受けている」
「君の名はラスレシア、後ろの君はセルディアスであろう」
コスタおじちゃんは、それぞれ指を指し示し、それぞれの名前を言い当てていく。
「はい、そうです」「はい、それが、私の名です」
「もう既にわかっていることを、くどくど腹の探り合いをするように話すのは、好かんのだ」
「それに、私は自慢ではないが、交渉の席は苦手だ」
右手を簡単に払うようにして、本当に嫌そうに答えるコスタおじちゃん。
「普段の交渉事に関しては、全て今まで交渉役に任せているのだが、このダンジョン内には、流石に連れてこれなかった」
「今は、信頼できる交渉役がいないのでな、仕方なく私が出張っているのだ」
「私の事情を察してくれれば、遠慮は不要であるし、質問があればなんでも話すが良い」
「はい、わかりました」「ありがとうございます」
ラスレちゃんとセルディさんの発言が終わると同時に、またまた揃って頭を下げてた。
「うむ。では、まず私が何故ここまで、その魔導具に執着するかは、その魔導具を使っている君らのほうが、より理解しているのではないか?」
「はい、この魔導具の圧倒的な殲滅力を見てしまえば、戦いの場に赴く者ならば、きっと誰もが喉から手が出る程に切望する魔導具なのでしょう」
「使っている私自身が、この魔導具の魅力に取り付かれてしまいそうになります」
そう、言い終わると、ラルレちゃんは、大広間に続く大穴から邪狼獣人の集団が現れたのを確認し、魔導指揮棒を軽く振って殲滅作戦を命じた。
殲滅を再び命令された30機程の魔導炎晶砲台は、邪狼獣人の集団を次々蜂の巣のように細切れに延焼させて始末していった。
「──ほーお、やはり、それほどの魔導具なのか」
コスタおじちゃんは、周辺をまだ飛び回り、周囲の警戒監視活動を従事してる魔導岩晶砲台を視界に収めて、感心したように言葉を紡いだ。
「確かに私も戦いの場で、呆けて立ち尽くしまったからな──君の言うことも、よ─く理解できるぞ」
「我が男爵家は部門を誉れとする家柄なのだが、その当主の私が衝撃を受け立ち止まり、戦いの場で呆けるなど、本来あってはならない屈辱なのだか、正直それすら、どうでもよいと思えるほど、あの状景には、唖然とさせられたな」
「おっと、そうであった、この件に関しては、他の貴族連中には、決して他言しないように、頼んでもよいか?」
コスタおじちゃんは、ギロリと凝視して、2人に正しい回答を答えるように、目で強く訴えかけていた。
「──はい、決していいません」
「──私も、決していいません」
「幻獣の守護者内の仲間にも徹底させます」
2人は、固く誓うように大きく頷いた。
「ならば、ひと安心だ。くれぐれも変な考えは起こしてくれるなよ」
最後にもう一度、強く2人を睨み付ける。
「はい」「はい」
揃って返事をする2人。
「うむ。頼んだぞ」
そう、コスタおじちゃんが喋り終わると、また、にっこにっこ笑顔のコスタおじちゃんにジョブチェンジした。
「このような醜態を隠して、常日頃から貴族の目を気にしなければいけない程に、本当に貴族社会は、大変な世界なのだ」
「他の貴族等から、槍玉に挙げられるでけで、全く面白くない笑えない事態にまきこまれていくのが、貴族社会の習性だから、君達も貴族と対面するときは、其の辺もしっかり踏まえて、対処するように!!」
コスタおじちゃんは、自分の失態を例にして、2人に助言を与えていたが、助言を言い終わる頃には、かなり苦々しい苦しい表情をしていた。
「はい、ご忠告ありがとうございます」
「はい、肝に銘じます」
2人は素直に感謝の意をコスタおじちゃんに伝える。
「──うむ。では、話を続けせててもらおう」
「私も他の者等と同様に、確かにその魔導具を切望しているのは、事実だ....」
「だがな、私は、何もその魔導具だけを欲している訳ではないのだ」
「寧ろ、その魔導具は、私の望みから言えば──それは付属品に過ぎん」
「私はその魔導具よりも──魔導具を作った製作者の方に、関心を多いに寄せているのだよ」
「そろそろ、教えてくれても、良いではないか」
コスタ叔父ちゃんは、両手を腰の横に手を添えて、くの字のように腕を曲げた姿勢で、凄い鋭い視線をラスレちゃんに浴びせながら、私の魔導具について色々ラスレちゃんを問い詰めているのが、私の視界に映る。
ラスレちゃんは、知り合いでもないカッコイイお兄ちゃん騎士に視線を合わせて、助けを求めるようにしている。
目でパチパチ瞑って救助要請の合図を必死に送り、コスタ叔父ちゃんの視線から逃れようとしているようだけど、どうも無理っぽい。
コスタ叔父ちゃんの後ろに、隠れているカッコイイお兄ちゃんはラスレちゃんの視線の救助要請を顔を緩めてニッコリとカッコイイ笑みを浮かべている。
その彼は私が思うに、どうもラスレちゃんのドストライク王子様なんだけど、けんもほろろで、ほろりと落ちちゃうぐらい、軽くあしらわれているように思える。
そんなカッコイイ笑みを浮かべたお兄ちゃん騎士は、更に深い笑みを浮かべながら、次の瞬間、顔を左右に軽く振り、両手で無理の合図を示して、ラスレちゃんの助けにはなれないと態度で指し、死刑判決を下した。
そんな、死刑判決を受けたラスレちゃんだけど、しっかり猫を被って、可愛らしくみえるように、下唇を少し突き出して、不満があるような表情を、カッコイイお兄ちゃん騎士に晒していた。
知り合いでもない2人が、視線でそんなやりとりをしているのを、傍らで見守っているセルディさんには、どうも面白く映らないみたい。
ラスレちゃんの後ろに控えているセルディさんが、カッコイイお兄ちゃん騎士を睨みを利かせるように凝視している。
なんだー。拍子抜け、ガッカリだよ。
ラスレちゃんの落としテクニック見たかったのに....
やっぱり、超目立ったね。そりゃ、そうだ。
だって、コスタ叔父ちゃんが目を輝かせるキテレツな魔導具は、私しか作れないからね。
否、正確には、アヴィちゃん特戦工房隊のみんなの助けがないと、私も作れないもん。
「申し訳ないのですが、その質問も製作者の居場所を特定することにつながりますので、申し上げることができません」
私には、演技をしてると丸分かりなんだけど、そんな、ラスレちゃんは、首を少しだけ下に下げて左右に軽く振り、かなり当惑しているように装い、下手にでていると分かるように、下目使いで会話してた。
相手はお貴族様なので、かなりの猫被りを披露してるラスレちゃん。
でも、そんなラスレちゃんも貴族様だから、どちらの化かし合いが勝つのか、チョット気になるよ。
どうやら、ラスレちゃんは、わたしを庇っているみたいだけど、そこまでしてもらうとなんだかチョット困っちゃう。
だってさー、どうせ私を保護してる平錬協会の分厚い障壁が、私をきっちりしっかり守るんだもん。
だから、そんなに無理して庇わなくてもいいよと、はっきり言いたくなるんだけどさー。
だけど、今見てるのは、もう過ぎていった過去の出来事だから無理、無理、無利子で、沢山お金を借りてみんなを集めて、めちゃめちゃ遊んで騒いで豪遊してシフィ姉ちゃんのつけにしてほしい。つづく。
もう、そんな考えをいだくこと自体が無意味な行為だから、仕方が無くて仕様がないよね...。
どうやら、話し合いはこの2人を主体に話し合われていて、他の2名は、後ろで固く口を噤んでる。
なんだかさ、後ろで控える2人なんだけど、場の交渉を見守る書記官みたいな雰囲気を出してるんだ。
この2人、いらなくない?お飾り物としているのかな?
戦い終わった後だから、凄く汗臭そうな飾り物だよ。
いらないよー。臭そうだよー。見つめ合ってるよー。
お互いに睨み合ってるから、もしかして、恋人同士なのかな?
こっこっこっこれはっまっまっまっマッサカー!!
──男同士の禁じられた危険な恋!!
HEARTとHEARTがぶつかり合う恋の予感!!
汗臭い男同士しかわからない、戦い争うような激しい恋!!
良いよ!!良いよ!!
それでいってほしいのだ!!
「それでは、この魔導具を考え作り出した製作者とは知り合いなのかね」
コスタ叔父ちゃんは、後ろにいるカッコイイお兄ちゃん騎士とラスレちゃんが、視線でやり取りするのが、気に食わないらしく、先程までよりも大きな声と顔に圧力をかけて、更にラスレちゃんに詰め寄るように質問を重ねていた。
コスタ叔父ちゃんは、超厳しい取調官のように表情を変えずに、ラスレちゃんに質問をしてるから、場がカチンコチンだよ。
そんなコスタ叔父ちゃんは、親子程の年の差があるラスレちゃんを、視線だけで号泣させようとするかのように、鋭く睨みつけている。
「はい、私はこの製作者とは、知り合いです」
すっかり怯えているラスレちゃんだけど、表情は崩さずに間を置かずに緊張した趣で、質問に答えていた。
そんな、ラスレちゃんもカチンコチンのキンキンだった。
私は、そんなラスレちゃんにつんつんして遊びたいけど....。
この世界では、私の身体は──目も──鼻も──口も──腕も──足も──身体も──何も存在しない。
今まで、私だけが招待される夢世界で色々面白可笑しく遊んでいた私には、この世界は全然物足りない世界にかんじちゃう。
まあ、今は我慢しよう。そうしよう。
女神様から、あの決められた舞台が上映される夢世界じゃなくて、私自身が自由自在に夢世界を作る力があると教えられたんだ。
どうも私は、夢世界の機能を全然使いこなせていないらしい。
だから、今度女神様の特訓を受けることになったんだ。
夢世界を、自由自在に使いこなせるようになると、凄く色々便利に、夢世界を利用できるようになるらしいよ。
だから、それまで我慢しよう。そうしよう。
私が、思考の海に流されている中で、こちらのシフィ姉ちゃんの深層思考空間では、コスタ叔父ちゃんがジョブチェンジをして、声音が先程までをガラリと変わる。
「知り合いなのか。おー、それは良いことを聞いた」
その声は嬉しさが、溢れ滴る水のように、空間に大きくこだましていった。
ジョブチェンジをしたコスタ叔父ちゃんは、先程までの鋭い視線と頬を緩めて、かなり嬉しい笑顔の表情になる。
おっなんだ、なんだ。急にお顔が柔らかく優しくなったよ。
よーし、ジョブチェンジしたにっこにっこ笑顔のコスタおじちゃんの話を少ししっかり聞いてみよう。
「そうか、そうか──ならば君に私の望みを偽りなく話そう」
「私は何も最初から、君に全てを差し出せと、言うつもりはないのだよ」
「そして、直ぐに全てが私の思う通りに、ことが進むとも考えていない」
「そこは、なんとか理解して欲しい」
「ではな、私の望みを話す前に、最初に名乗らせてもらおう」
「私は、ダルタロイア男爵家当主の、コスタドル・ダン・ダルタロイア」
おっと、お貴族様が名前を名乗るのは、珍しいんだよ。
因みに、エルベリア王国では、一般的な爵位は順に王爵、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵があるけど、他にもごちゃごちゃとした、爵位があるんだよ。
それぞれ、爵位をがある人物は2番目の名前に王爵ならオウ、公爵ならコオ、侯爵ならコウ、伯爵ならハク、子爵ならシ、男爵ならダン、騎士爵ならキシって名前がつくと学校で教わったよ。
「後ろにたっているのが、3男のグランドエルトだ」
後ろのカッコイイお兄ちゃんが、前に少し進み出て、軽く貴族風の礼をしたよ。
そのグランドエルトの容姿は、肩くらいの長さの銀髪を後ろで簡単に縛り、顔立ちは、コスタおじちゃんと違って、色白で柔らかい緑瞳の目が印象に残る、爽やかカッコイイお兄さんですよ。
年齢は、多分16歳~20歳くらいに見えるけど、年上大好きのラスレちゃんの好みに見事的中してそう。
コスタおじちゃんとは、正反対の顔立ちしてるけど、お母さんの遺伝子が勝利したのかな?
銀色の全身鎧も似合っていて、白馬の王子様タイプが大好物の乙女チックなラスレちゃんには、もうドストライクで、顔面に恋愛ボールが当たって、ラスレちゃんのキラキラおめ目がHEART♡HEART♡になってるよ。
どうやら、今回の被害者は、グランドエルトさんで決まりのようだね。
「いままで、名を名乗らずにいたのを、まずは詫びておこう」
「次に君達のような幼き者等に、ここまで執拗に問い詰める手法で脅したのも、この際だから、一緒に詫びておこう」
あらー、お貴族様が頭を軽く下げちゃった。これも珍しい情景だよ。
「私の方こそ、コスタドル様に数々の非礼をしてしまい、申し訳ありませんでした」
ラスレちゃんの発言が終わると2人は同時に揃って頭を下げてた。
「いや、よいよい、そのような些細なことで私の方から咎めるようなことはしない」
「「ありがとうございます」」
ラスレちゃんとセルディさんの発言が終わるとまた同時に揃って頭を下げてた。
「コスタドル様が名乗られたのですから、私の方からも名乗らせていただいても、よろしいでしょうか?」
「いや、よいよい、部下からすでに報告は受けている」
「君の名はラスレシア、後ろの君はセルディアスであろう」
コスタおじちゃんは、それぞれ指を指し示し、それぞれの名前を言い当てていく。
「はい、そうです」「はい、それが、私の名です」
「もう既にわかっていることを、くどくど腹の探り合いをするように話すのは、好かんのだ」
「それに、私は自慢ではないが、交渉の席は苦手だ」
右手を簡単に払うようにして、本当に嫌そうに答えるコスタおじちゃん。
「普段の交渉事に関しては、全て今まで交渉役に任せているのだが、このダンジョン内には、流石に連れてこれなかった」
「今は、信頼できる交渉役がいないのでな、仕方なく私が出張っているのだ」
「私の事情を察してくれれば、遠慮は不要であるし、質問があればなんでも話すが良い」
「はい、わかりました」「ありがとうございます」
ラスレちゃんとセルディさんの発言が終わると同時に、またまた揃って頭を下げてた。
「うむ。では、まず私が何故ここまで、その魔導具に執着するかは、その魔導具を使っている君らのほうが、より理解しているのではないか?」
「はい、この魔導具の圧倒的な殲滅力を見てしまえば、戦いの場に赴く者ならば、きっと誰もが喉から手が出る程に切望する魔導具なのでしょう」
「使っている私自身が、この魔導具の魅力に取り付かれてしまいそうになります」
そう、言い終わると、ラルレちゃんは、大広間に続く大穴から邪狼獣人の集団が現れたのを確認し、魔導指揮棒を軽く振って殲滅作戦を命じた。
殲滅を再び命令された30機程の魔導炎晶砲台は、邪狼獣人の集団を次々蜂の巣のように細切れに延焼させて始末していった。
「──ほーお、やはり、それほどの魔導具なのか」
コスタおじちゃんは、周辺をまだ飛び回り、周囲の警戒監視活動を従事してる魔導岩晶砲台を視界に収めて、感心したように言葉を紡いだ。
「確かに私も戦いの場で、呆けて立ち尽くしまったからな──君の言うことも、よ─く理解できるぞ」
「我が男爵家は部門を誉れとする家柄なのだが、その当主の私が衝撃を受け立ち止まり、戦いの場で呆けるなど、本来あってはならない屈辱なのだか、正直それすら、どうでもよいと思えるほど、あの状景には、唖然とさせられたな」
「おっと、そうであった、この件に関しては、他の貴族連中には、決して他言しないように、頼んでもよいか?」
コスタおじちゃんは、ギロリと凝視して、2人に正しい回答を答えるように、目で強く訴えかけていた。
「──はい、決していいません」
「──私も、決していいません」
「幻獣の守護者内の仲間にも徹底させます」
2人は、固く誓うように大きく頷いた。
「ならば、ひと安心だ。くれぐれも変な考えは起こしてくれるなよ」
最後にもう一度、強く2人を睨み付ける。
「はい」「はい」
揃って返事をする2人。
「うむ。頼んだぞ」
そう、コスタおじちゃんが喋り終わると、また、にっこにっこ笑顔のコスタおじちゃんにジョブチェンジした。
「このような醜態を隠して、常日頃から貴族の目を気にしなければいけない程に、本当に貴族社会は、大変な世界なのだ」
「他の貴族等から、槍玉に挙げられるでけで、全く面白くない笑えない事態にまきこまれていくのが、貴族社会の習性だから、君達も貴族と対面するときは、其の辺もしっかり踏まえて、対処するように!!」
コスタおじちゃんは、自分の失態を例にして、2人に助言を与えていたが、助言を言い終わる頃には、かなり苦々しい苦しい表情をしていた。
「はい、ご忠告ありがとうございます」
「はい、肝に銘じます」
2人は素直に感謝の意をコスタおじちゃんに伝える。
「──うむ。では、話を続けせててもらおう」
「私も他の者等と同様に、確かにその魔導具を切望しているのは、事実だ....」
「だがな、私は、何もその魔導具だけを欲している訳ではないのだ」
「寧ろ、その魔導具は、私の望みから言えば──それは付属品に過ぎん」
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