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生意気な女の子、久しぶりのお仕置き

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 居間から乾いた音と2つ上の兄の悲鳴が聞こえる……。どうやら兄がまた何かやらかしてお尻を叩かれているようだ。

 私には兄と弟がいる。2人ともやんちゃ坊主で、よく母にお仕置きされている。私はあまりされないが、家ではお尻叩きは珍しい光景ではない。男の子が叩かれて育つのは普通のことなのだろう……。
 
 私は自分の部屋でスマホを弄って寛いでいたのだが、音が気になったのでお仕置きの様子を見にいくことにした。すると……。

 パチン! パチン! パチン!

「痛ってえ! 母さんごめん、ごめんって……」

 居間では兄が四つん這いの姿勢で剥き出しのお尻を打たれていた。うわあ……恥ずかし……。兄のお尻はまるでお猿さんみたいに真っ赤に腫れ上がっていて、それはとても情けない姿だった。
 
 私が居間のソファに腰掛けるとちょうどお仕置きは終わった。その途中、兄と目が合ったがすぐに逸らされた。

「しばらく反省!」

 母が兄を怒鳴りつける。すると兄は剥き出しのお尻のまま立ち上がって、壁際に気を付けの姿勢で直立した。我が家ではお尻を叩かれた後はこんな風にしばらく立たされる。これがとても恥ずかしい。どうやら兄は夕飯の時間まで立たされるようだ。立たされている間は可哀想なので流石にそっとしておいた。

 しばらくして、夕飯の時間になると兄はようやく許された。弟と仕事から帰ってきた父も集まって来て皆食卓に着く。兄も席に着いたので私は早速、少し小馬鹿にするような感じで兄に尋ねた。

「お兄ちゃん、またお尻叩かれて恥ずかしー。ってかなんで叩かれたの?」

「べ、別にお前には関係ないだろ」

 兄は顔を赤らめながら私にそう返した。結局、なぜ叩かれたのかは教えてくれそうにない。でも面白いのでもうちょっとからかってやろうと思った。

「なんでよー、それくらい教えてくれたっていいじゃん。あ、そうだ今度悪いことしたら私が叩いてあげようか?」

「お……お前なあ……」

 兄がムスッとして私を睨みつける。しかし、優等生の私には何も反論できないだろう。

「彩花、流石にそれはお兄ちゃんに失礼じゃないか?」

 父に軽く注意された。確かに失礼といえば失礼かもしれない。でも、そもそも怒られるようなことをする兄が悪いのではないか。そんなことを思っていると……。

「そうよ彩花、お兄ちゃんに謝りなさい」

 母からも兄に謝るよう促された。こんなことで馬鹿兄貴に謝らなくてはいけないなんてどうも納得いかないが、2人に言われたら仕方ないだろう。

「はいはい、からかってごめんね。お兄ちゃん」

 まったく誠意のない言い方だったが私はしぶしぶ謝った。すると、母からまた注意された。

「彩花! 何その態度は?」

「何って、そもそも悪いことした馬鹿兄貴が悪いんじゃない! なんで私が謝らなきゃいけないの?」

 母に反抗するのはまずいかもと心の中では思いつつも、ムカッとした私は思わず強めの口調で言い返してしまった。すると、母は呆れた顔で父と顔を見合わせながらこう呟いた。

「はあ……最近彩花は反抗的で全然言うこと聞かないのよね……。そろそろお仕置きが必要かしら」

「確かに最近の彩花は調子に乗って手が付けられなくなってて心配だな。ここは1回ビシッと躾ける必要があるんじゃないか?」

 母の提案に父も頷いている。まさか本当にお仕置きするつもりなのだろうか。驚いた私はすぐに反論した。

「ちょ……ちょっと待ってよ、お仕置きって……。私、そんな悪いことしてないじゃない?」

「そういうところです! 最近の彩花はそうやってすぐ口答えするよね! やっぱりお仕置きが必要ね!」

 それも母からすぐに咎められた。なんだか理不尽な気がするが、私は一旦謝ることにした。

「分かった……分かったよ。お兄ちゃんごめんなさい。今後は反抗しません。態度も改めます」

「今更、口で言われたって信用できません。今までだって何度もその態度については注意してきたでしょう? それでもあなたは態度を改めなかった。口で言って分からない子は叩くしかないでしょう?」

 それでも母は許してくれない。確かに今までも注意されてきたことだ。まずい……急に部屋の空気が重く感じられた。心臓もどきりとする。焦った私は必死に謝った。

「待ってください……。本当に本当にごめんなさい! 反省しました! もう本当に反抗しません! 絶対に言うこと聞きます!」

「もう遅いです。言い訳はお仕置きの後聞きます。お尻叩くから準備しなさい!」

「うう……ごめんなさい……ごめんなさい」
 
 今更、私は調子に乗ってしまったことを物凄く後悔した。しかしもう遅い、こうなってしまったら母が許してくれることはない。お仕置きなんて何時振りだろう……。私はどこかでお尻叩きなんて兄弟が受けるもので、もう自分には関係のない話だと思い込んでいた。だけどそれは大きな間違いだった……。私はこれから叩かれるんだ。兄達の前で兄達と同じようにお尻丸出しにされて……。勘違いしていた自分が情けなく、恥ずかしい。思わず涙が溢れてきた……。

「彩花! 早くお尻を出しなさい! まだ反抗するつもりですか?」

 私がモジモジしていると母に怒鳴りつけられた。もう覚悟を決めるしかない。兄達も見守る中、私は席を立ってスカートの中の下着に手を掛けた。そしてそれを断腸の思いで膝まで降ろした。お尻がすうすうとして恥ずかしい。

「はい、じゃあそこに四つん這い!」
 
 私が下着を降ろすと母はすぐに私に指示を出した。さっきのお兄ちゃんと同じ姿勢にされるんだ……。想像しただけでも私は恥ずかしくなって顔が熱くなった。……数秒深呼吸してから、私は膝と手を床についた……。

「み、見ないで……」

 私はどうしても恥ずかしくなって、兄達にお願いをした。こんな姿本当に見られたくない。

「あなたにそんなことを頼む権利はありません! 早くスカートを捲り上げなさい!」

 母から怒号が飛ぶ。身体がビクンと震える。私は涙を流しながらスカートに手を掛けた。そして、それを思い切り捲り上げた。私の剥き出しのお尻が情けなく曝け出される……。兄弟とはいえ男の子に自分の肌を見せるのは本当につらい。これだけでも充分な懲らしめになっていると思うが、本番はこれからだ。私は俯いて目をギュッと閉じた。

 カチャカチャ……

 母が戸棚を開ける音が聞こえる。恐らく私を打つための定規を取り出しているのだろう。定規なんて兄達でも滅多にされないことだ。今日は相当厳しく打たれるのだろう。

 ヒュン! ヒュン!

 素振りの音が聞こえる。怖い……。もうすぐだ……。

「それじゃ、定規で20発打つからね。とっても痛いから覚悟しなさい!」

「は……はいぃ!」

 いよいよ打たれる……。緊張で胸の鼓動は滅茶苦茶だ。叩かれるまで後数秒か……。
 
 
 ヒュン……パッチイイィン!

「きゃああああああああああ!」

 あまりの痛みと衝撃で思わず悲鳴を上げてしまった。羞恥心なんて一瞬で吹き飛んだ。本当に信じられないほど痛い。息をするのもつらい。これがお尻叩き……。こんなのを後19回なんてきつ……いやあああああああ!


……それから私は宣言通り20発打たれた。打たれる度に身体を揺らしながら大きな悲鳴を上げていたから、近所迷惑だったんじゃないかと思う。そんな私を兄弟達はどんな気持ちで見ていたのだろう……。

「立ちなさい! しばらく反省!」

 定規20発が終わってもまだ罰は終わりではない。私は剥き出しのお尻のまま壁際に直立した。先程の兄と同じように気をつけの姿勢で反省の時間だ。身体中から火が出るんじゃないかと思うほど恥ずかしい。打たれたお尻がびりびりと痛いが庇うことは許されない。姿勢を崩せば追加で罰を受けてしまう。こんな仕打ちを女の子にもするなんて本当に厳しい。しかし我が家では男女で特別扱いなどしないという方針なのだ。私はぽろぽろと涙を溢しながらその屈辱の時間をひたすら耐えた。そしてもう兄弟のことをからかうのはやめようと心に誓った……。


……その日から、私は人の痛みがわかる人間になれたと思う。人をからかったり、馬鹿にするようなことはもうしない。同級生が弱っていたら、できるだけ寄り添って慰める。今はそんな私を自分でも誇りに思う。悔しいけど体罰は有効なのかもしれない。ただ兄弟の前じゃなくてプライバシーが確保されている空間でやって欲しかったけど。
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