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第二章 湖の村日常編
3.自業自得
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大量のゴブリンを永遠に寝かせ、一度ルードが奥に偵察をする。
状況を確認し、このまま進むかまた違う手を講じるか。
ある程度の数は間引いたものの、こうゆう狭いところ、戦いにくいところでの戦闘は極力控えたい。
いかに歴戦の戦士や名を連ねた英雄でも、攻められ、急所に刃物が突き立てば、あっさりと死んでしまう。
上級の相手を見定める鑑定眼の技能者はよく歴戦の勇者を高LVなんぼのという言い回しもするも、世間一般には広まっておらず、また前述の様に如何に高LVであっても、幼子の刺突一つ心臓に深く突き立てば、絶息してしまうのだ。
ルードが戻ってくる。
ミカゲと会話を手早く済ませる。
「いくぞ、嬢ちゃん。」
ガッハがルマリアにそう言って肩を押す。
奥の通路手前、カエデの後ろで、カエデ以外の四人が円を組む。
話を聴きながらもガッハは周囲を警戒している。
「奥の部屋に村を襲った時の頭領がいます。こちらの状況に気づいてはいないのですが・・・ちょっと厄介かもしれません。」
ルードが淡々と説明する。話的にも少し煮え切らないが、先ほどミカゲと打ち合わせしていたので、説明を省いた感じだ。
時間がたてばそれだけ不利になる少数の状況。
経験則である程度はルマリアも聞き流す術を心得ていた。
「前衛を俺とルード。中衛をカエデとルマリアで。
少し広い感じなので、入り次第明かりを出す。おそらく「閃光」で目を潰しても無駄だ。
カエデ、ルマリア、ヤツの持っている杖を極力見るな。
カエデは「術」に集中。ルマリアはその間のカエデの身を守ってやってくれ。」
ミカゲの指示を聴いているとカタカタと何かが震えて音を鳴らすような振動が。
「団長、早めに突入してくれ、お客が仕掛けてきたようだ。」
ガッハの腕鎧の小手の部分から音がしている。
ゴブリン達と共に睡眠状態であった、数人の人がゆっくりと立ち上がってきた。
「こいつらは俺に任せろ。」
ガッハは言うと阻む壁の様に四人の視界を遮る。
カエデが何かを奥の通路に投げ込み、その前をルードとミカゲは素早く入り込む。
カエデに続きルマリアも奥の場所へ。
ガッハも構えながら後退し、奥の通路の前を阻む。
起き上がった数人のゴブリンに蹂躙され、寝ていた筈の人はガッハの元におぼつかない足取りで歩いてくる。
「た・・す・・けて。」
眼は赤く灯り力なく歩む様は死人そのものだ。
「おう、残らず助けてやるよ。」
ガッハの両手の拳が強く握られた。
力なく歩いてきた人が計四人。一斉に飛び掛かる。
ガッハの拳がその動きを確実にとらえ、手元足元、そして見えない死角からの飛来物さえも彼の前に見えない壁があるかのように的確に防いでいる。
女性たちはほぼ無手。
ゴブリン達の行為で汚れ、中には怪我をし、その部分から壊死しかけているような者までいる。
ガッハはそれらの人の攻撃を防ぎながら素早いジャブで顎先を掠め、脳を揺らし気絶させていく。
意識を支配され、動いているとすれば、それだけでも動く可能性はあるものの、
彼の拳にはそれごと、刈り取れる力があった。
最後の一人、それもゴブリンが持っていた剣を振りかざして来たものの、半身で躱すようによけ、鳩尾に一発。顎下に一発と打ち、空を舞うようにして倒れると、動かなくなった。
天井上からすぐさま何かが飛び降りてきた何かに、ガッハは拳を振り上げる。
拳の風圧でその物体は吹き飛ばされ、ゴブリンとまだ寝ている人の上に四つん這いで降り立った。
ほぼ、全裸の女。
その女の下半身がめきめきと音を立てて蛇の様な形になっていく。
「下半身が大蛇の女性か、上半身はいい肉付きなんだがな。あいにく股関節の柔い大股開き出来る子以外は及びじゃねぇんだ。」
ガッハはミカゲ並みの縮地で距離を詰めると、下半身の変態が終わらぬラミアの顔や体に容赦なく拳を叩き込んでいく。
ゴキゴキと打ち込むたびに鈍くなる音。
ガッハの拳一つ一つが鈍器の、深くえぐる音の様にラミアの体に打ち込まれていく。
攻撃を仕掛ける間もなく、ガッハのおよびじゃない行為に、ラミアは滅多打ちにされ、痙攣して倒れた。
********************
ミカゲ達が突入する。
カエデの投げ入れた球が火花の様に周りを走り、ミカゲが呟くと一帯が明るくなった。
やや広い広間。その中心から少し奥に汚らしい布や、食べた骨などで飾られた台座らしき椅子に、黒い法衣の様な物をまとったゴブリンがいた。
正確には座っているのだが、力なくうなだれているような感じでもある。
ルードが素早く苦無を投げる。
ゴブリンの体に二本。
心臓と鳩尾辺りに突き立つが、ピクリとも動かない。
ミカゲはいつの間にか刀を抜く構えで半身で黒い法衣のゴブリンを見据えている。
ルードも両手に短い短剣を逆手に構え、少し腰を落とす。
片手に持った短剣は片刃がかぎ状にいくつも掛けており、剣や相手の武器を受け、折ることのできるソードブレイカーという短剣。
もう一つはミカゲよりもさらに短いカタナの様なものを持っている。
彼の戦闘スタイルはこれなんだろう。
実に自然に、当たり前のようになじんでいる。
カエデが印を組みずっと呟いている。
それを守るかのように構え、辺りを警戒するルマリア。
ミカゲに杖をと言われていたので、むしろそちらを見らず、全幅の信頼を持って背中を預け、周りを警戒する。
突入した通路の方から抉る様な音が何度かしている。
「保険を掛けていたんでしょうか」とルード
「だろうな。」
「カチン。」
ミカゲの刀を抜き差しする音がする。
音に合わせて黒い法衣を着たゴブリンの体が一度はねた。
杖を持つ片手が切り落とされ、ゴブリンは力なく床に倒れる。
杖は少し倒れそうになりふわりと浮いてバランスを保つ。
『お前達にまた会うとは。』
杖から声が発される。
「私達も会いたくなどなかったんですよ。」
『そうか、我はそうでは無いのだがな。』
杖はクジャクの羽の様な形をして、上の模様の処が大きな爬虫類のような目になる。
『久しぶりだな、ミカゲ、淫乱は元気か?』
「気になるなら会いに行けばいい」
『そうだな、ヤツの胸は甘露だ。また触れるまでの楽しみにしておこう。』
「で、なぜあなたはこんなところで?最果ての地で寝ていたのではないのですか?」
『ふむ、そうだったのだがな、やはり体が欲しく『智の魔王』にうまく遣われた形だな。』
杖自体が揺れている。
笑っているのだろうか?
『カエデとやら、「術」など施さぬとも我は何もせぬぞ、みるみる気力が減っていって忍びない。忍びだけになw』
「なんか杖が駄洒落いってるぞ。杖の魔王か?」
ガッハが後ろの通路から入ってきて開口一番いう。
『闘犬ガッハか。お初にお目にかかる。「杖の魔王」だ。
おぬしのうわさは魔界でもかねがね聴いておる。名前に負けず蛮族の血脈を受け継ぎ豪傑なようだな。』
「・・・なんかよくわからんが、大丈夫そうだな」
ガッハは来た道を戻る。
面倒事はミカゲ達に任せたといった所か片手をひらひら振って背中を見せた。
ルードのアイコンタクトでカエデは印を放す。
杖からの何らかの圧力を術で防いでいたらしい。
肩で息をしている。
『さて、お前達も言いたいこともあり、我も今後の再会で嫌悪されては叶わぬから言い訳をさせて貰いたかったのだが、時間のようだ。
ワシもどうやら利用されていたようだ。信じるか信じないかはおぬしら次第だがな。』
「湖で見たのはあなたではなかった・・・と?」
『我の分体の一つだな。あれの意識はすでにない、宿る魔力だけ上手く吸い出されているわい。』
杖がぼわっと光る。
『強制的にお呼びがかかった。
我の場所を見つけられたようだ。
すまんな上手く伝えることはかなわぬ。
我の取り巻きでも居ればよかったのだが、杖だけにな。』
杖の魔王はくるくると回り、トントンと上下に揺れた。
『ミカゲ、淫乱によろしく伝えてくれ。あと、ルマリア息災で何よりだっ・・・』
言葉を遮られるかのように消える。
ルマリアはなぜ自分の名前が呼ばれたのか分からなかった。
ミカゲは杖の消えた後をじっと見ていた・・・。
状況を確認し、このまま進むかまた違う手を講じるか。
ある程度の数は間引いたものの、こうゆう狭いところ、戦いにくいところでの戦闘は極力控えたい。
いかに歴戦の戦士や名を連ねた英雄でも、攻められ、急所に刃物が突き立てば、あっさりと死んでしまう。
上級の相手を見定める鑑定眼の技能者はよく歴戦の勇者を高LVなんぼのという言い回しもするも、世間一般には広まっておらず、また前述の様に如何に高LVであっても、幼子の刺突一つ心臓に深く突き立てば、絶息してしまうのだ。
ルードが戻ってくる。
ミカゲと会話を手早く済ませる。
「いくぞ、嬢ちゃん。」
ガッハがルマリアにそう言って肩を押す。
奥の通路手前、カエデの後ろで、カエデ以外の四人が円を組む。
話を聴きながらもガッハは周囲を警戒している。
「奥の部屋に村を襲った時の頭領がいます。こちらの状況に気づいてはいないのですが・・・ちょっと厄介かもしれません。」
ルードが淡々と説明する。話的にも少し煮え切らないが、先ほどミカゲと打ち合わせしていたので、説明を省いた感じだ。
時間がたてばそれだけ不利になる少数の状況。
経験則である程度はルマリアも聞き流す術を心得ていた。
「前衛を俺とルード。中衛をカエデとルマリアで。
少し広い感じなので、入り次第明かりを出す。おそらく「閃光」で目を潰しても無駄だ。
カエデ、ルマリア、ヤツの持っている杖を極力見るな。
カエデは「術」に集中。ルマリアはその間のカエデの身を守ってやってくれ。」
ミカゲの指示を聴いているとカタカタと何かが震えて音を鳴らすような振動が。
「団長、早めに突入してくれ、お客が仕掛けてきたようだ。」
ガッハの腕鎧の小手の部分から音がしている。
ゴブリン達と共に睡眠状態であった、数人の人がゆっくりと立ち上がってきた。
「こいつらは俺に任せろ。」
ガッハは言うと阻む壁の様に四人の視界を遮る。
カエデが何かを奥の通路に投げ込み、その前をルードとミカゲは素早く入り込む。
カエデに続きルマリアも奥の場所へ。
ガッハも構えながら後退し、奥の通路の前を阻む。
起き上がった数人のゴブリンに蹂躙され、寝ていた筈の人はガッハの元におぼつかない足取りで歩いてくる。
「た・・す・・けて。」
眼は赤く灯り力なく歩む様は死人そのものだ。
「おう、残らず助けてやるよ。」
ガッハの両手の拳が強く握られた。
力なく歩いてきた人が計四人。一斉に飛び掛かる。
ガッハの拳がその動きを確実にとらえ、手元足元、そして見えない死角からの飛来物さえも彼の前に見えない壁があるかのように的確に防いでいる。
女性たちはほぼ無手。
ゴブリン達の行為で汚れ、中には怪我をし、その部分から壊死しかけているような者までいる。
ガッハはそれらの人の攻撃を防ぎながら素早いジャブで顎先を掠め、脳を揺らし気絶させていく。
意識を支配され、動いているとすれば、それだけでも動く可能性はあるものの、
彼の拳にはそれごと、刈り取れる力があった。
最後の一人、それもゴブリンが持っていた剣を振りかざして来たものの、半身で躱すようによけ、鳩尾に一発。顎下に一発と打ち、空を舞うようにして倒れると、動かなくなった。
天井上からすぐさま何かが飛び降りてきた何かに、ガッハは拳を振り上げる。
拳の風圧でその物体は吹き飛ばされ、ゴブリンとまだ寝ている人の上に四つん這いで降り立った。
ほぼ、全裸の女。
その女の下半身がめきめきと音を立てて蛇の様な形になっていく。
「下半身が大蛇の女性か、上半身はいい肉付きなんだがな。あいにく股関節の柔い大股開き出来る子以外は及びじゃねぇんだ。」
ガッハはミカゲ並みの縮地で距離を詰めると、下半身の変態が終わらぬラミアの顔や体に容赦なく拳を叩き込んでいく。
ゴキゴキと打ち込むたびに鈍くなる音。
ガッハの拳一つ一つが鈍器の、深くえぐる音の様にラミアの体に打ち込まれていく。
攻撃を仕掛ける間もなく、ガッハのおよびじゃない行為に、ラミアは滅多打ちにされ、痙攣して倒れた。
********************
ミカゲ達が突入する。
カエデの投げ入れた球が火花の様に周りを走り、ミカゲが呟くと一帯が明るくなった。
やや広い広間。その中心から少し奥に汚らしい布や、食べた骨などで飾られた台座らしき椅子に、黒い法衣の様な物をまとったゴブリンがいた。
正確には座っているのだが、力なくうなだれているような感じでもある。
ルードが素早く苦無を投げる。
ゴブリンの体に二本。
心臓と鳩尾辺りに突き立つが、ピクリとも動かない。
ミカゲはいつの間にか刀を抜く構えで半身で黒い法衣のゴブリンを見据えている。
ルードも両手に短い短剣を逆手に構え、少し腰を落とす。
片手に持った短剣は片刃がかぎ状にいくつも掛けており、剣や相手の武器を受け、折ることのできるソードブレイカーという短剣。
もう一つはミカゲよりもさらに短いカタナの様なものを持っている。
彼の戦闘スタイルはこれなんだろう。
実に自然に、当たり前のようになじんでいる。
カエデが印を組みずっと呟いている。
それを守るかのように構え、辺りを警戒するルマリア。
ミカゲに杖をと言われていたので、むしろそちらを見らず、全幅の信頼を持って背中を預け、周りを警戒する。
突入した通路の方から抉る様な音が何度かしている。
「保険を掛けていたんでしょうか」とルード
「だろうな。」
「カチン。」
ミカゲの刀を抜き差しする音がする。
音に合わせて黒い法衣を着たゴブリンの体が一度はねた。
杖を持つ片手が切り落とされ、ゴブリンは力なく床に倒れる。
杖は少し倒れそうになりふわりと浮いてバランスを保つ。
『お前達にまた会うとは。』
杖から声が発される。
「私達も会いたくなどなかったんですよ。」
『そうか、我はそうでは無いのだがな。』
杖はクジャクの羽の様な形をして、上の模様の処が大きな爬虫類のような目になる。
『久しぶりだな、ミカゲ、淫乱は元気か?』
「気になるなら会いに行けばいい」
『そうだな、ヤツの胸は甘露だ。また触れるまでの楽しみにしておこう。』
「で、なぜあなたはこんなところで?最果ての地で寝ていたのではないのですか?」
『ふむ、そうだったのだがな、やはり体が欲しく『智の魔王』にうまく遣われた形だな。』
杖自体が揺れている。
笑っているのだろうか?
『カエデとやら、「術」など施さぬとも我は何もせぬぞ、みるみる気力が減っていって忍びない。忍びだけになw』
「なんか杖が駄洒落いってるぞ。杖の魔王か?」
ガッハが後ろの通路から入ってきて開口一番いう。
『闘犬ガッハか。お初にお目にかかる。「杖の魔王」だ。
おぬしのうわさは魔界でもかねがね聴いておる。名前に負けず蛮族の血脈を受け継ぎ豪傑なようだな。』
「・・・なんかよくわからんが、大丈夫そうだな」
ガッハは来た道を戻る。
面倒事はミカゲ達に任せたといった所か片手をひらひら振って背中を見せた。
ルードのアイコンタクトでカエデは印を放す。
杖からの何らかの圧力を術で防いでいたらしい。
肩で息をしている。
『さて、お前達も言いたいこともあり、我も今後の再会で嫌悪されては叶わぬから言い訳をさせて貰いたかったのだが、時間のようだ。
ワシもどうやら利用されていたようだ。信じるか信じないかはおぬしら次第だがな。』
「湖で見たのはあなたではなかった・・・と?」
『我の分体の一つだな。あれの意識はすでにない、宿る魔力だけ上手く吸い出されているわい。』
杖がぼわっと光る。
『強制的にお呼びがかかった。
我の場所を見つけられたようだ。
すまんな上手く伝えることはかなわぬ。
我の取り巻きでも居ればよかったのだが、杖だけにな。』
杖の魔王はくるくると回り、トントンと上下に揺れた。
『ミカゲ、淫乱によろしく伝えてくれ。あと、ルマリア息災で何よりだっ・・・』
言葉を遮られるかのように消える。
ルマリアはなぜ自分の名前が呼ばれたのか分からなかった。
ミカゲは杖の消えた後をじっと見ていた・・・。
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