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番外編
打ち上げ
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四月も半ばを過ぎると、新年度の雑務もそこそこ落ち着いてくる。
教授会を終えて研究室に戻れば、資料整理をしていた万城目から、出版社のカドワカから連絡があったと報告を受けた。
「打ち上げ?」
「はい、早坂さんから」
『動物とヒトの距離感』なんて一般向けの本を出し、大学の広告塔としてメデイアに多少顔出しもしている獣医師で研究者な俺と、人気恋愛小説家・甘糟塔子との恋愛テーマな対談連載。
掲載誌である月刊誌の、担当編集者からの連絡であった。去年の三月に始まり、今年の三月に終わった連載の打ち上げなのだろうが。
「もう最後の取材から、三ヶ月近く経ってるぞ」
「年度始めが過ぎるまでは先生忙しいだろうからって時期を伺っていたそうです。甘糟さんも忙しかったみたいですし。それに雑誌の連載は先月に出た4月号で終了ですし」
「ああ、そういや」
白衣のポケットから煙草を取り出して咥えながら直近で会った女の様子を振り返る。
「前に会った時に悪魔払い中のバケモンみたいになってたな……」
「……なんですかそれ」
マキ、コーヒーくれと言いながらソファに腰を下ろす。
俺の言葉になんとなく察するものがあったのだろう、呆れながらもコーヒーメーカーのある備品棚へと万城目は移動した。
「気がついたら二週間近くお互い音信不通にしてて、電話もメールも無反応だからよ、家に寄ってみたら……黒髪の四本足の怪奇生物が玄関の床に這ってて、な」
指に挟んだ煙草から立ち上る煙をなんとなく遠い目で眺めながら、三週間前の出来事を思い浮かべる。
『か……かみつ、はら……さ、ん……』
久しぶりに姿を見たと思ったら、長い黒髪を下ろし四つ這いで玄関に崩れ落ち、空腹が過ぎた低血糖状態で目を回した塔子にホラー映画の怪奇人間かゾンビかよと溜息が出た。
世間じゃ可憐な美人作家などと評されているが、日常生活はそんな雰囲気殆どない。
『何日食ってない?』
『ふ、二日……ほど……夕方、終わって……』
なんでも雑誌の短編と文庫本の解説の締め切り、単行本のゲラのチェックが重なったらしい。
どうせそんなことだろうと、コンビニで果肉の詰まったゼリーと2L入りのミネラルウォーターを買っておいたのは正解だった。
「忙しいからって買物後回しにしてたら、ピーク時に食料が尽きたんだってよ。ったく……自宅で遭難すんなって」
ポコポコと鳴るコーヒーメーカーの音を聞きながら万城目に説明すれば、それは玄関ロック外せてよかったですねと至極冷静なコメントが返ってきた。
まったくだ、ふらつくほどの低血糖状態などあまり笑える話じゃない。本当にそのまま血糖コントロール異常を起こして低血糖症になったらどうすると思う。
いざなにかあればヒトじゃなく動物の医者である俺はなにも出来ないってのに、あの不摂生女。
「けど、本当に付き合ってるんですねぇ。甘糟さんと」
どうぞと差し出されたコーヒーを受け取り、煙草は灰皿にカップを口元に運びながら、まあなと答える。
瓢箪から駒というか嘘から出たまことというか、最終回の取材から程なくして甘糟塔子と男女の仲となった。
約三ヶ月経過したが、いまのところ大きな破綻はない。破綻をきたすほど会ってはいないからかもしれんが。
「月一くらいしかまともに会ってねえけど」
「会いたいんですか?」
「それなりには」
資料整理に戻った万城目の問いかけに答え、ずずっと音を立ててコーヒーをすする。
ゼリーと水と、一応、備えで買った避妊具は役に立たなかった。
ひとまずゼリーを食べさせ、簡単な買物と飯を作る間は風呂に追いやり、飯を食わせ、片付けている間に塔子は寝落ちた。
女の家に立ち寄って家事してソファで独り寝、まともに話すこともなく早朝帰るなんぞいままでないことだったが仕方ない。恋愛仕様ではないのだ甘糟塔子という女は。
運んで寝かせたのは自分ではあるものの、寝心地よさそうなベッドで熟睡している様子がなんとなくむかついたので額に「寝食おろそかにするべからず」と書いた付箋を貼りつけてやって塔子の家を出た。
迷惑なことに朝一から会議が入っていた。
「――へえ」
「なんだよ」
表情は変わらないがなにか納得したように眼鏡のフレームを押し上げているのがなんとなく気に食わず、顔を顰めた。自分でも少し驚くほど低い声が出たが、指導していた院生の頃からそんなことを気にするような可愛げのある奴ではない。
まったく平気の平左で万城目は話をカドワカの打ち上げに戻した。
「打ち上げ、再来週の金曜で費用は全額カドワカ持ちだそうです」
「……行くか」
流石は天下の大手出版社。会費不要とは太っ腹だと言えば万城目は呆れたように肩を落とした。
「なんて現金な」
「現金大事だろうが、あっち持ちならお前も来たらどうだ。毎回のようにお茶出し係やってたんだ労ってもらえ」
きっと幹事は早坂に決まっている。
万城目と同世代で馬が合うのか、仕事を離れても友人付き合いしているらしいからたぶん誘いがきているだろうと思った通り、万城目にも声が掛かっていた。
「僕もお誘い受けたので出席で即答しました。カドワカの奢りですし」
「お前も人の事言えねえじゃねーかよ」
「教授の年俸に、印税に講演料に出演料にと貰っている人と一緒にしないでくださいよ」
「税金で結構持ってかれるけどな……」
万城目の淡々とした言葉に、俺もまた淡々とひとりごちる。
大学の年俸は七割、その他収入が三割といったところ。
個人の活動部分は法人化する程でもないために、取られるがままに取られている。
たとえ額面上は助教である万城目の二倍近くても、手取りで考えたらせいぜい四割増に届くかどうか。
立場上、出す金もそれなりにあるし、万城目の実家暮らしの利を考えたらたぶんそれほど変わらんぞ、と思うがそこまで言うほど金銭に頓着するわけでもない。
しかしそう考えるとあいつ偉いなと、塔子のことを思い浮かべる。
まだ学生の十九歳で少女小説の作家としてデビューして卒業後しばらくして一般文芸に移り、ずっと作家一本でやってきているらしい。
駆け出しの頃は、たぶん普通の事務職とかわらないかそれより低い収入だったかもなどと言っていたが。
たぶん、作家ってそれ一本でやっていける奴、ほとんどいないよな?
「あら、今頃、気がついたの上津原先生てば」
塔子が手洗いに立ち、なんとなくそのことをポツリと漏らせば、塔子を隣に俺の斜め向かいに座る、彼女の長年の担当編集者にして連載企画を裏で仕切っていた松苗女史が赤ワインの入ったグラスを傾けながら拾った。
「いや、自分がカドワカからもらってるもん考えたら、よくやってんなあって」
打ち上げは西麻布の“仔鹿のワイン”といった名の店だった。
なんのことはない “vin” “vin” “wine”。
仏・伊・英それぞれのワインといった単語を並べた読みを、“バンビノワイン”と平坦なカタカナ読みにしてもじったふざけた店名ながら、肉とワインが美味かった。たぶん松苗女史の手配だろう。
オレンジ色の白熱灯のライトを多用したやや薄暗い店内はレストランというよりは、ワインバーに近い。
テーブル席に、俺を含めて出席者は六人。
塔子と万城目、早坂と松苗女史、カメラマンの弓月。
本当は掲載誌である『野人時代』の編集長である日下部という男も参加予定だったそうだが急用で欠席となったらしい。
「塔子は雑誌の掲載料もあるもの。まあ最初のうちは穴埋めや保険が多かったし、小説じゃないライター記事みたいなものもあったけど、あの子編集からみたら拝みたいほど模範的な作家だから。締切厳守。調子の波も少ない。おまけに礼儀正しい。デビュー時から本もコンスタントに出せているし」
「ああでも甘糟さんには毎回毎回本当に助かりましたよ。先輩から聞かされていた話通りで職人的とでもいうか」
松苗女史とは別の赤ワインを手酌で自分のグラスに注ぎながら、うんうん頷いて早坂が言う。隣で早坂となにかしら喋って盛り上がっていた万城目はコースで頼まれていた料理が一通り済んですぐに酔いが回って落ちていた。三十分も放っておいたら起きて帰るのは知っているから心配はない。
「信頼と実績のトーコちゃんかあ。珍しいねこの業界では」
グラッパなんてぶどうの搾りかすのアルコールを蒸留した強い酒を飲みながら、ヘラリと軽薄な調子で弓月が相槌を打つ。
それにしても、なんだ出版社組は、全員ザルか?
三人三様のペースではあるが、自分の飲み物のボトルを傍らに置いている。
俺の認識ではボトルってのはそのテーブルにいる複数の人間で一本を空けるものなはずなんだがな。
「自分の社会性の無さに絶望してが動機なだけに、憧れ交じりな作家志望者とは最初から仕事に対する構えが違うもの。実際のところ言うほど社会性ないわけじゃないんだけど。あの子いまだに自分はいつ干されてもおかしくないって本気で思ってんだから」
「で、受けるだけ仕事受けて死にかけるわけか」
「そういうこと」
「ったく、あの寝食忘れるやり方だけはなんとかならねぇのかよ……」
グラスで頼んだコクのあるアルザスの白を飲み干し、チーズの盛り合わせを突きながら俺がぼやけば、「はあ……すみません」と申し訳なさそうな声がして、顔を上げれば向かいの席に塔子が戻ってきていた。
「まったくだ。なにするにしたって体が資本だろうが」
「やだ、オヤジの説教~」
「あ~センセー不惑もすぎてるもんねえ」
「弓月さんよぉ……あんたとはたしか三つしか違わなかったよな?」
「再来月まではまだ三十代だから」
確かに、この場の最年長者ではある。
現在、俺は四十三。弓月が三十九で間もなく不惑を迎えるらしい。松苗女史は三十八で、塔子は三十一。
万城目と早坂は塔子の一つ下だ。本当ならこいつらと付き合っていてもおかしくないのだ。
二人とも結構コアなファンではあるし。
なんでまた一回りも年上の、バツイチのオヤジを気に入ったんだか、好かれそうなことよりも嫌われそうなことをした覚えのが多いし皆目見当がつかない。
「……な、なんですか?」
つい、まじまじと顔を見てしまったからだろう。塔子がたじろいだのに、別にと答え、まだ半分ほど酒が残っている彼女のグラスを席を外している間に頼んでおいた炭酸水のグラスと取り替えた。
顔に出ないタイプで、弱くはないが強くもない。
規格外の奴らに囲まれ、彼等につられて飲んでいたら崩れる。
「これは引き取る」
「あ、はい」
「なにおどおどしてんだか、これでも食っとけ」
ピックに刺したオリーブを塔子の口元に押し付ければ、「過保護」「過保護だわ」「過保護だ…」と三重になった声が聞こえたのに「うるせえ」と俺はぼやいて、塔子から取り上げたグラスを呷る。
ただの白のグラスと思っていたら、上等な蜂蜜みたいなさらりとした甘さのソーテルヌワインだった。
松苗女史が単行本の発売日が正式決定した旨を告げる形で締めくくった打ち上げの会が終われば、下心などなくても帰る方向が同じ塔子と、それぞれ方向違いな他のメンバーとは六本木の駅で自然に分かれた。
久しぶりに外に出たから少し歩きたいと言った塔子に付き合う形で、一駅分歩く。
春の、湿った温かさの夜だった。桜の時期なら夜桜見物もできただろうがすでに散っている。
金曜の夜だが、残念ながらお互い週末とか土日とかいった概念がない仕事に就いている者同士だ。
「あの……この間は」
塔子が口を開いたのに、取ってつけたみたいに歩きたいなどと言い出したことに対して、ああと合点がいった。
どうやら先日の事を気にして、謝るつもりでいたらしい。
「気にすんな」
「でも、だってあの付箋! 怒って……ません?」
「ホラーや前後不覚に陥るなんてのは今にはじまったことじゃないだろうが……まあ、寝食忘れて目を回すまで仕事すんのはいい加減やめとけと思うけどよ。もう若くねぇんだから」
「うっ、そんな言い方……」
「言っとくが二十代の無茶は三十半ばでくるぞ……倒れたくなきゃいまのうちに手を打っとけ」
「……やっぱり、きますかね」
――ったく、三週間ぶりでなんて会話だ。
うーん、やっぱりなあ。最近徹夜がしんどいし……などとぶつぶつ言いながら軽く握った手を口元に思案顔で隣を歩いている。
色気のない事甚だしいことを言っているが、その横顔は言葉の内容とは無関係に綺麗だ。
長い睫毛に縁取られた眼差しはアルコールの為か少し潤みがちに遠くを見るようで、料理の油分で若干艶めいて見える血色のいい唇が誘うようだった。
「なんですか? 上津原さん?」
俺の視線に気がついて、こちらを上目に見上げた塔子に、いや…と、曖昧な返事をする。
駅前に続く道はまだ人通りがある時間だ。車道の車も絶え間無く流れている。一筋裏手の路地では飲食店が並んでいて賑わっているはずだ。
だから、力を込めたら折れそうに華奢な塔子の腕を取り、ビルとビルの路地とも言えない隙間に奥へと押し込んでキスをする。
なにをやっているのだか……俺は。
「ん……っ、ふ……」
軽く触れるだけのキスを数度繰り返し、塔子の顔を見れば酔いが回ったように真っ赤になって、驚いたのか苦しかったのか明らかな涙目でこちらを睨んでいる。
「なんだよ」
怒ったか……まあそうだよな、そう思った刹那、大雑把な動作で両頬から頭を下に引き寄せられて噛み付かれた。
いや、歯で噛まれたわけではなかったが。そのまま舌も入れて貪れば最後に飲んだワインに似た微かな甘みがした。離れれば、はあ……と息を吐いて塔子は俺の着ているジャケットの襟元を軽く掴んで胸に額を預けきた。
「はじめて恋愛作家ぽいなと思ったんだが?」
「うっ……からかわないで、ください」
上津原さんが……こんな事するから。
ぼそりと不服そうな呟きに、俺のせいかよと言えば、額を擦り付けるようにしてくる。
「くそっ、意外と悪というか狡い女だな」
言いながら、下唇に指で触れて顎先を持ち上げてまた重ねていた。
こんな場所で、いい歳した大人がきりがない。
「塔子……」
家来るか? 誘えば小さく頷いた頭を引き寄せて抱き締める。これじゃどっちが誘われたんだかわからない。
「あ、でも上津原さん仕事は?」
ここで急に顔を上げて我に返るところが甘糟塔子だ。だが問われてこちらも若干冷静になり、明日の仕事の段取りを頭の中に思い浮かべて、その順序を入れ替えた。
「午前中はなんとかなる、そっちはどうなんだよ?」
「ちょっと落ち着いたので、えっと、もし一度ノートパソコン取りに家に寄れたら、その……日曜日まで、いられ……ます」
「それはまた随分身勝手かつ興味深い提案だな」
抱きしめたまま頭を撫でる。さらさらとした髪が掌に心地よかった。
「日曜なら夕方まではゆっくりしていられる」
それなら今夜は帰って日曜日に、とはお互い考えていないことがわかった。
地下鉄には乗らずにタクシーで移動し、塔子の家を経由して自宅に着いてすぐ、電気も点けずにとても外では出来ないキスをして玄関から一番近い自室の床で服もきちんと脱がさずに抱いた。
ほんの数十センチ先のベッドまで堪えられなかった自分にも呆れるが、驚いたのは先に崩れて俺の肩に腕を回し抵抗もなくむしろ煽るようだった塔子だ。
「意外に激しい女だな」
「だって……次、いつになるかわからないし」
「いつでも連絡すりゃいいだろうが、無理ならそう言うし大丈夫ならそうするし……俺もこんなガキみたいにがっつかなくて済む」
抱き起こして、ベッドにもたれて膝の上に囲って向き合う。
はい、と少し低い綺麗な声がして塔子が俺の肩にこめかみを預けた。
「眠い……」
「寝るならせめてシャワー浴びて化粧落としてからにしろ」
「……上津原さん、お母さんみたい」
くすくすと笑う塔子に、誰がお母さんだよと呆れれば、好きですと囁かれた。
その言葉をその声で聞くのははじめてで、しかも先を越された。
ちょっと前まで喪女で処女でろくに恋愛経験もなかったくせに。
「それ、飯食わせてくれるからとかそういったことじゃないだろうな……」
「もちろ……あ、うん……そんなことはたぶん」
「……悩むなよ」
当面は餌付けか。まあそれもいいかもしれない。こうして抱いていてもこの女は細過ぎる。
まあなんでもいい、時折こうしていられるのなら。
そのうちままならないなりに噛み合ってくるだろう、なんとなくそんな気がした。
教授会を終えて研究室に戻れば、資料整理をしていた万城目から、出版社のカドワカから連絡があったと報告を受けた。
「打ち上げ?」
「はい、早坂さんから」
『動物とヒトの距離感』なんて一般向けの本を出し、大学の広告塔としてメデイアに多少顔出しもしている獣医師で研究者な俺と、人気恋愛小説家・甘糟塔子との恋愛テーマな対談連載。
掲載誌である月刊誌の、担当編集者からの連絡であった。去年の三月に始まり、今年の三月に終わった連載の打ち上げなのだろうが。
「もう最後の取材から、三ヶ月近く経ってるぞ」
「年度始めが過ぎるまでは先生忙しいだろうからって時期を伺っていたそうです。甘糟さんも忙しかったみたいですし。それに雑誌の連載は先月に出た4月号で終了ですし」
「ああ、そういや」
白衣のポケットから煙草を取り出して咥えながら直近で会った女の様子を振り返る。
「前に会った時に悪魔払い中のバケモンみたいになってたな……」
「……なんですかそれ」
マキ、コーヒーくれと言いながらソファに腰を下ろす。
俺の言葉になんとなく察するものがあったのだろう、呆れながらもコーヒーメーカーのある備品棚へと万城目は移動した。
「気がついたら二週間近くお互い音信不通にしてて、電話もメールも無反応だからよ、家に寄ってみたら……黒髪の四本足の怪奇生物が玄関の床に這ってて、な」
指に挟んだ煙草から立ち上る煙をなんとなく遠い目で眺めながら、三週間前の出来事を思い浮かべる。
『か……かみつ、はら……さ、ん……』
久しぶりに姿を見たと思ったら、長い黒髪を下ろし四つ這いで玄関に崩れ落ち、空腹が過ぎた低血糖状態で目を回した塔子にホラー映画の怪奇人間かゾンビかよと溜息が出た。
世間じゃ可憐な美人作家などと評されているが、日常生活はそんな雰囲気殆どない。
『何日食ってない?』
『ふ、二日……ほど……夕方、終わって……』
なんでも雑誌の短編と文庫本の解説の締め切り、単行本のゲラのチェックが重なったらしい。
どうせそんなことだろうと、コンビニで果肉の詰まったゼリーと2L入りのミネラルウォーターを買っておいたのは正解だった。
「忙しいからって買物後回しにしてたら、ピーク時に食料が尽きたんだってよ。ったく……自宅で遭難すんなって」
ポコポコと鳴るコーヒーメーカーの音を聞きながら万城目に説明すれば、それは玄関ロック外せてよかったですねと至極冷静なコメントが返ってきた。
まったくだ、ふらつくほどの低血糖状態などあまり笑える話じゃない。本当にそのまま血糖コントロール異常を起こして低血糖症になったらどうすると思う。
いざなにかあればヒトじゃなく動物の医者である俺はなにも出来ないってのに、あの不摂生女。
「けど、本当に付き合ってるんですねぇ。甘糟さんと」
どうぞと差し出されたコーヒーを受け取り、煙草は灰皿にカップを口元に運びながら、まあなと答える。
瓢箪から駒というか嘘から出たまことというか、最終回の取材から程なくして甘糟塔子と男女の仲となった。
約三ヶ月経過したが、いまのところ大きな破綻はない。破綻をきたすほど会ってはいないからかもしれんが。
「月一くらいしかまともに会ってねえけど」
「会いたいんですか?」
「それなりには」
資料整理に戻った万城目の問いかけに答え、ずずっと音を立ててコーヒーをすする。
ゼリーと水と、一応、備えで買った避妊具は役に立たなかった。
ひとまずゼリーを食べさせ、簡単な買物と飯を作る間は風呂に追いやり、飯を食わせ、片付けている間に塔子は寝落ちた。
女の家に立ち寄って家事してソファで独り寝、まともに話すこともなく早朝帰るなんぞいままでないことだったが仕方ない。恋愛仕様ではないのだ甘糟塔子という女は。
運んで寝かせたのは自分ではあるものの、寝心地よさそうなベッドで熟睡している様子がなんとなくむかついたので額に「寝食おろそかにするべからず」と書いた付箋を貼りつけてやって塔子の家を出た。
迷惑なことに朝一から会議が入っていた。
「――へえ」
「なんだよ」
表情は変わらないがなにか納得したように眼鏡のフレームを押し上げているのがなんとなく気に食わず、顔を顰めた。自分でも少し驚くほど低い声が出たが、指導していた院生の頃からそんなことを気にするような可愛げのある奴ではない。
まったく平気の平左で万城目は話をカドワカの打ち上げに戻した。
「打ち上げ、再来週の金曜で費用は全額カドワカ持ちだそうです」
「……行くか」
流石は天下の大手出版社。会費不要とは太っ腹だと言えば万城目は呆れたように肩を落とした。
「なんて現金な」
「現金大事だろうが、あっち持ちならお前も来たらどうだ。毎回のようにお茶出し係やってたんだ労ってもらえ」
きっと幹事は早坂に決まっている。
万城目と同世代で馬が合うのか、仕事を離れても友人付き合いしているらしいからたぶん誘いがきているだろうと思った通り、万城目にも声が掛かっていた。
「僕もお誘い受けたので出席で即答しました。カドワカの奢りですし」
「お前も人の事言えねえじゃねーかよ」
「教授の年俸に、印税に講演料に出演料にと貰っている人と一緒にしないでくださいよ」
「税金で結構持ってかれるけどな……」
万城目の淡々とした言葉に、俺もまた淡々とひとりごちる。
大学の年俸は七割、その他収入が三割といったところ。
個人の活動部分は法人化する程でもないために、取られるがままに取られている。
たとえ額面上は助教である万城目の二倍近くても、手取りで考えたらせいぜい四割増に届くかどうか。
立場上、出す金もそれなりにあるし、万城目の実家暮らしの利を考えたらたぶんそれほど変わらんぞ、と思うがそこまで言うほど金銭に頓着するわけでもない。
しかしそう考えるとあいつ偉いなと、塔子のことを思い浮かべる。
まだ学生の十九歳で少女小説の作家としてデビューして卒業後しばらくして一般文芸に移り、ずっと作家一本でやってきているらしい。
駆け出しの頃は、たぶん普通の事務職とかわらないかそれより低い収入だったかもなどと言っていたが。
たぶん、作家ってそれ一本でやっていける奴、ほとんどいないよな?
「あら、今頃、気がついたの上津原先生てば」
塔子が手洗いに立ち、なんとなくそのことをポツリと漏らせば、塔子を隣に俺の斜め向かいに座る、彼女の長年の担当編集者にして連載企画を裏で仕切っていた松苗女史が赤ワインの入ったグラスを傾けながら拾った。
「いや、自分がカドワカからもらってるもん考えたら、よくやってんなあって」
打ち上げは西麻布の“仔鹿のワイン”といった名の店だった。
なんのことはない “vin” “vin” “wine”。
仏・伊・英それぞれのワインといった単語を並べた読みを、“バンビノワイン”と平坦なカタカナ読みにしてもじったふざけた店名ながら、肉とワインが美味かった。たぶん松苗女史の手配だろう。
オレンジ色の白熱灯のライトを多用したやや薄暗い店内はレストランというよりは、ワインバーに近い。
テーブル席に、俺を含めて出席者は六人。
塔子と万城目、早坂と松苗女史、カメラマンの弓月。
本当は掲載誌である『野人時代』の編集長である日下部という男も参加予定だったそうだが急用で欠席となったらしい。
「塔子は雑誌の掲載料もあるもの。まあ最初のうちは穴埋めや保険が多かったし、小説じゃないライター記事みたいなものもあったけど、あの子編集からみたら拝みたいほど模範的な作家だから。締切厳守。調子の波も少ない。おまけに礼儀正しい。デビュー時から本もコンスタントに出せているし」
「ああでも甘糟さんには毎回毎回本当に助かりましたよ。先輩から聞かされていた話通りで職人的とでもいうか」
松苗女史とは別の赤ワインを手酌で自分のグラスに注ぎながら、うんうん頷いて早坂が言う。隣で早坂となにかしら喋って盛り上がっていた万城目はコースで頼まれていた料理が一通り済んですぐに酔いが回って落ちていた。三十分も放っておいたら起きて帰るのは知っているから心配はない。
「信頼と実績のトーコちゃんかあ。珍しいねこの業界では」
グラッパなんてぶどうの搾りかすのアルコールを蒸留した強い酒を飲みながら、ヘラリと軽薄な調子で弓月が相槌を打つ。
それにしても、なんだ出版社組は、全員ザルか?
三人三様のペースではあるが、自分の飲み物のボトルを傍らに置いている。
俺の認識ではボトルってのはそのテーブルにいる複数の人間で一本を空けるものなはずなんだがな。
「自分の社会性の無さに絶望してが動機なだけに、憧れ交じりな作家志望者とは最初から仕事に対する構えが違うもの。実際のところ言うほど社会性ないわけじゃないんだけど。あの子いまだに自分はいつ干されてもおかしくないって本気で思ってんだから」
「で、受けるだけ仕事受けて死にかけるわけか」
「そういうこと」
「ったく、あの寝食忘れるやり方だけはなんとかならねぇのかよ……」
グラスで頼んだコクのあるアルザスの白を飲み干し、チーズの盛り合わせを突きながら俺がぼやけば、「はあ……すみません」と申し訳なさそうな声がして、顔を上げれば向かいの席に塔子が戻ってきていた。
「まったくだ。なにするにしたって体が資本だろうが」
「やだ、オヤジの説教~」
「あ~センセー不惑もすぎてるもんねえ」
「弓月さんよぉ……あんたとはたしか三つしか違わなかったよな?」
「再来月まではまだ三十代だから」
確かに、この場の最年長者ではある。
現在、俺は四十三。弓月が三十九で間もなく不惑を迎えるらしい。松苗女史は三十八で、塔子は三十一。
万城目と早坂は塔子の一つ下だ。本当ならこいつらと付き合っていてもおかしくないのだ。
二人とも結構コアなファンではあるし。
なんでまた一回りも年上の、バツイチのオヤジを気に入ったんだか、好かれそうなことよりも嫌われそうなことをした覚えのが多いし皆目見当がつかない。
「……な、なんですか?」
つい、まじまじと顔を見てしまったからだろう。塔子がたじろいだのに、別にと答え、まだ半分ほど酒が残っている彼女のグラスを席を外している間に頼んでおいた炭酸水のグラスと取り替えた。
顔に出ないタイプで、弱くはないが強くもない。
規格外の奴らに囲まれ、彼等につられて飲んでいたら崩れる。
「これは引き取る」
「あ、はい」
「なにおどおどしてんだか、これでも食っとけ」
ピックに刺したオリーブを塔子の口元に押し付ければ、「過保護」「過保護だわ」「過保護だ…」と三重になった声が聞こえたのに「うるせえ」と俺はぼやいて、塔子から取り上げたグラスを呷る。
ただの白のグラスと思っていたら、上等な蜂蜜みたいなさらりとした甘さのソーテルヌワインだった。
松苗女史が単行本の発売日が正式決定した旨を告げる形で締めくくった打ち上げの会が終われば、下心などなくても帰る方向が同じ塔子と、それぞれ方向違いな他のメンバーとは六本木の駅で自然に分かれた。
久しぶりに外に出たから少し歩きたいと言った塔子に付き合う形で、一駅分歩く。
春の、湿った温かさの夜だった。桜の時期なら夜桜見物もできただろうがすでに散っている。
金曜の夜だが、残念ながらお互い週末とか土日とかいった概念がない仕事に就いている者同士だ。
「あの……この間は」
塔子が口を開いたのに、取ってつけたみたいに歩きたいなどと言い出したことに対して、ああと合点がいった。
どうやら先日の事を気にして、謝るつもりでいたらしい。
「気にすんな」
「でも、だってあの付箋! 怒って……ません?」
「ホラーや前後不覚に陥るなんてのは今にはじまったことじゃないだろうが……まあ、寝食忘れて目を回すまで仕事すんのはいい加減やめとけと思うけどよ。もう若くねぇんだから」
「うっ、そんな言い方……」
「言っとくが二十代の無茶は三十半ばでくるぞ……倒れたくなきゃいまのうちに手を打っとけ」
「……やっぱり、きますかね」
――ったく、三週間ぶりでなんて会話だ。
うーん、やっぱりなあ。最近徹夜がしんどいし……などとぶつぶつ言いながら軽く握った手を口元に思案顔で隣を歩いている。
色気のない事甚だしいことを言っているが、その横顔は言葉の内容とは無関係に綺麗だ。
長い睫毛に縁取られた眼差しはアルコールの為か少し潤みがちに遠くを見るようで、料理の油分で若干艶めいて見える血色のいい唇が誘うようだった。
「なんですか? 上津原さん?」
俺の視線に気がついて、こちらを上目に見上げた塔子に、いや…と、曖昧な返事をする。
駅前に続く道はまだ人通りがある時間だ。車道の車も絶え間無く流れている。一筋裏手の路地では飲食店が並んでいて賑わっているはずだ。
だから、力を込めたら折れそうに華奢な塔子の腕を取り、ビルとビルの路地とも言えない隙間に奥へと押し込んでキスをする。
なにをやっているのだか……俺は。
「ん……っ、ふ……」
軽く触れるだけのキスを数度繰り返し、塔子の顔を見れば酔いが回ったように真っ赤になって、驚いたのか苦しかったのか明らかな涙目でこちらを睨んでいる。
「なんだよ」
怒ったか……まあそうだよな、そう思った刹那、大雑把な動作で両頬から頭を下に引き寄せられて噛み付かれた。
いや、歯で噛まれたわけではなかったが。そのまま舌も入れて貪れば最後に飲んだワインに似た微かな甘みがした。離れれば、はあ……と息を吐いて塔子は俺の着ているジャケットの襟元を軽く掴んで胸に額を預けきた。
「はじめて恋愛作家ぽいなと思ったんだが?」
「うっ……からかわないで、ください」
上津原さんが……こんな事するから。
ぼそりと不服そうな呟きに、俺のせいかよと言えば、額を擦り付けるようにしてくる。
「くそっ、意外と悪というか狡い女だな」
言いながら、下唇に指で触れて顎先を持ち上げてまた重ねていた。
こんな場所で、いい歳した大人がきりがない。
「塔子……」
家来るか? 誘えば小さく頷いた頭を引き寄せて抱き締める。これじゃどっちが誘われたんだかわからない。
「あ、でも上津原さん仕事は?」
ここで急に顔を上げて我に返るところが甘糟塔子だ。だが問われてこちらも若干冷静になり、明日の仕事の段取りを頭の中に思い浮かべて、その順序を入れ替えた。
「午前中はなんとかなる、そっちはどうなんだよ?」
「ちょっと落ち着いたので、えっと、もし一度ノートパソコン取りに家に寄れたら、その……日曜日まで、いられ……ます」
「それはまた随分身勝手かつ興味深い提案だな」
抱きしめたまま頭を撫でる。さらさらとした髪が掌に心地よかった。
「日曜なら夕方まではゆっくりしていられる」
それなら今夜は帰って日曜日に、とはお互い考えていないことがわかった。
地下鉄には乗らずにタクシーで移動し、塔子の家を経由して自宅に着いてすぐ、電気も点けずにとても外では出来ないキスをして玄関から一番近い自室の床で服もきちんと脱がさずに抱いた。
ほんの数十センチ先のベッドまで堪えられなかった自分にも呆れるが、驚いたのは先に崩れて俺の肩に腕を回し抵抗もなくむしろ煽るようだった塔子だ。
「意外に激しい女だな」
「だって……次、いつになるかわからないし」
「いつでも連絡すりゃいいだろうが、無理ならそう言うし大丈夫ならそうするし……俺もこんなガキみたいにがっつかなくて済む」
抱き起こして、ベッドにもたれて膝の上に囲って向き合う。
はい、と少し低い綺麗な声がして塔子が俺の肩にこめかみを預けた。
「眠い……」
「寝るならせめてシャワー浴びて化粧落としてからにしろ」
「……上津原さん、お母さんみたい」
くすくすと笑う塔子に、誰がお母さんだよと呆れれば、好きですと囁かれた。
その言葉をその声で聞くのははじめてで、しかも先を越された。
ちょっと前まで喪女で処女でろくに恋愛経験もなかったくせに。
「それ、飯食わせてくれるからとかそういったことじゃないだろうな……」
「もちろ……あ、うん……そんなことはたぶん」
「……悩むなよ」
当面は餌付けか。まあそれもいいかもしれない。こうして抱いていてもこの女は細過ぎる。
まあなんでもいい、時折こうしていられるのなら。
そのうちままならないなりに噛み合ってくるだろう、なんとなくそんな気がした。
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