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第四部 魔術院と精霊博士

145.もう一つの脅威

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 目に映る森の様子に、馬車から降りた私はあらためて周囲を見回して首を傾げた。
 ルイも訝しそうに眉間に皺を寄せている。

「報告では……国境側の森一帯が枯れ果てたということでしたよね?」
「ええ」

 結局、神殿を辞したその日暮れ前に、一夜にして枯れ果てたとムルトから報告があった森にルイとわたしは到着した。
 本当なら、今日の内にあともう一つ集落を回り、明日は明日で訪れる予定の町があったけれど、神殿内の広間で報せを持って来た文官とのやりとりを聞いていたシュゼが、わたし達の代理を申し出てくれたからだ。
 どちらの集落も司祭がおらず堂守りが神事の祈りを捧げている小聖堂で、大聖堂から派遣された聖職者である彼が出向いて神事を行うのであれば、領民も一応の納得はするだろうと。
 
『国境近くの森とは穏やかではない、領主様も気掛かりでしょう』
『なにが望みです?』 
『望みなど……ただ王国の一員として心配なだけです。願わくば後日、椿事の顛末をお知らせいただければ』
『聖職者が一体なんの心配ですか』
『一夜で広大な森が枯れ果てるなど、無視できない人知を超える出来事です』
『つまり、調査許可が欲しい』
『私共でお役に立てることもあるかもしれません』

 とってもにこやかな、胡散臭い微笑みの応酬だった……。
 ルイとしては不本意だったようだけれど、急ぎ確認したかったのだろう。
 シュゼの要求を飲んだ。
 
『集落の祭には参加しないのですか? そういったものにも興味があるのでしょう?』
『夜は聖典を読み、聖堂日課に従って祈りを捧げねばなりません。お気遣いは無用です。天上の紡ぎ糸の導きでこちらに参って五年経ちますし』

 もう集落の祭りは満喫したということなのだろう。
 司祭長様もだけど、大聖堂の聖職者ってにこやかに我と押しの強い人が多いのだろうか。
 とにかく、わたし達のお役にというよりは、ご自分の好奇心を満たしたいのが勝っていそうなシュゼのおかげで、早くても明日の夜か明後日になるはずの場所へ報せを受け取ったその日の内に行くことができた。
 できたのだけれど。

「……枯れていませんよね?」

 揺れ止めや安全に走るための補助魔術、馬の疲労を避ける魔術を施し、普通は出せない速度でオドレイが馬を操り移動していた馬車の中から少しおかしいと思っていた。
 報告に記されている一帯らしき場所に入っても、周囲は鬱蒼とした針葉樹の森がどこまでも続くような景色で一向に窓の外が変化しなかったから。

「そのようですね」 
 
 ルイは静かに応え、彼が考えを巡らせる時の常で口元に指を当てて、木々の様子を見ている。
 
「場所が違うのでしょうか……」

 ルイに尋ねるともなく呟きながら、わたしも頭の奥でなにかが小さく渦巻いているような形容し難い違和感のようなものを覚える。

「いえ、合っているでしょう。所々の枝に魔術の残滓が感じられる」
「魔術の?」
「ええ、おそらくは枯れ果てた枝を保護するような。祭りのために、普段は通らない道を通り、採集にやってきます。報告内容が真実なら持ち込まれた火の気が引火しないよう施されたのでしょう」

 ほとんど剥がれ落ちているも同然ですが、とルイは呟いた。
 だから残滓と言ったのだろう。

「精霊の悪戯……とか?」
「規模が大きすぎます」
「ですね。それにこの辺りまったくそういった気配もしませんし」

 ああそうだ。こんなに深い森なのに、まったく彼等の気配がない。
 違和感の正体がわかって少しすっきりした。
 それはそれで引っかかりを覚えるけれど。

「気配がない?」

 ルイも不審を覚えたらしい。
 確認してきた彼に、わたしは頷く。
 良くも悪くもそこここに見かけるような精霊達は無邪気だから、隠れて様子を見ていてもまるで子供のかくれんぼのように隠れ切ってはいない感じがある。
 
「古精霊や四大精霊みたいなのはわかりませんけど」
「冗談でもよして欲しいですね。そんな大物の気まぐれなど」

 彼らは基本的にめったに人の前には現れない。
 たとえ近づいても精霊の領域からこちらを見ているようなところがある。
 幼い頃の記憶から辿ってみても、わたしも蔓バラ姫と地の精霊グノーンくらいしか知らない。
 地の精霊グノーンはジャンお爺さんとして人間の中に紛れ込んでいたし、蔓バラ姫はフォート家の守護精霊だからか随分と人懐っこいけれど。

「一度神殿に戻り、翌朝また来ましょうか」

 もう日が暮れると、ルイが難しい顔で木々の枝に塞がれた空を見上げながら呟いた時、わたし達が来た方向から複数の馬の足音が近づいてくるのが聞こえた。
 御者台で待機していたオドレイがひらりと馬車から飛び降りて、わたしとルイを庇う位置まで来て身構え、わたし達の馬車についていた騎馬の護衛三人も迎え撃つように馬の方向を変えた。
 
「夜盗かもしれません」
「夜盗?!」

 たしかにこんな人気のない森には立派すぎる馬車で、護衛はたったの三人。
 狙われてもおかしくはない。
 明らかに足手まといになるわたしは馬車の中へ戻った方がいいかもしれないと思った矢先に、ばさりと右肩から布に包まれる。

「動かないように」

 ルイのマントの中から、涼しい顔をして立っている彼を軽く見上げてため息を吐く。
 戦力を考えたら……襲ってくる側が気の毒だ。
 地を蹴る馬の足音の勢いが、静かにゆっくり近づくものへと変化して、「待て!」と聞き覚えのある声がした。
 薄暗い森の道から、四つの騎乗した人影が徐々にはっきりとその姿を現す。
 夜盗ではなかった。
 武官のような身なりの一行で、先頭の一人を除けばわたし達の護衛と同じ東部騎士団の印の入った盾を片腕につけている。
 先頭の者だけ、体格はよいが武装らしい武装はなく、厚みのある褐色の上着に赤茶けた色のマントを身につけている。
 間違いない、あの人は。

「調査か? 我々の他に東部騎士団の者がこちらへ来る連絡は受けていな……っ、この馬車。マリーベル様! 何故こちらに!」
「ムルト……何故って、だって」

 慌てて馬から降りて駆け寄ってきた人はやはりムルトだった。
 臨戦体制の構えでいるオドレイと斜交いにわたし達と向き合う。
 堂々と彼と向き合っている領主であるルイよりも、ルイのマントに包まれて顔だけ出しているわたしに真っ先に声をかけるのは統括官としてよいのだろうか。
 それはそれとして、彼の言葉に応じたもののなんとなく状況にそぐわない間の抜けた対面の図だ。
 きちんと向き合いたいけれど、ルイの左腕がマントと共に体に巻き付くようにしてがっちり抱え寄せられているからどうにもできない。

「何故もなにも、森が枯れ果てたなどと報告が届いて慌てて来たに決まっているでしょう」
「……慌てて?」

 どうやらムルトは報告書が遅れて届いていると思っていなかったようだ。
 ルイが杖を持つ手で眉間を摘んでため息を吐く。

「まあ、はっきりしていることは一つ」
「ルイ?」
「同一犯かまったく別々の何者かの仕業か。報告通りに周辺一帯の森が枯れ果てるほどにこの地の力を奪い、どこぞの腕利きの魔術師が施した森の木々への防護を剥がし落とす勢いで回復させた者がいる」

 人外の気まぐれも含めて、自然に起きたものではないようだとルイは目を細めた。 


******


「も~ぅっ! “気をつけてくださいませ”と、わたくしマリーベル様に申し上げたはずですよね? どうしてそう行動的なんですのっ!?」

 見慣れた白蝶貝の扇をぎりぎりと握りしめる手からつながる細い腕を包むのは、鮮やかなカメリア色の絹ベルベッド。
 冬の装いだわ、と約ひと月ぶりに顔を合わせたソフィー様を見る。
 若干呆れも混じったお怒りに輝く瞳は琥珀色。結い上げた淡い茶色の髪はフォート家の応接間の窓から差し込む光に黄金色にも見える。
 秋から冬へ移りゆくこの季節がよく似合う。
 領地周りを終えてフォート家の屋敷に戻り、早くも十五日が過ぎていた。
 霜の月ももう終わりだ。

「聞いていらっしゃいます!?」
「はあ、ええまあ。あの……ソフィー様って秋生まれですか?」
「ええ、そうですけれど……って、いまそんなことはどうでもよいことです!」
「でもソフィー様、ルイにも申しましたけれど不可抗力です」
「もう一度申し上げますけれど、いま、王国で現役の精霊博士と正式に認められているのはマリーベル様だけなのですよ」

 王宮を刺激するような行動は控えてくださいませ、とため息混じりに呟いて、ソフィー様はテーブルに身を乗り出し気味に浮かせた腰を椅子へと落とした。
 友人を心配させてしまったことについては反省なので、はいとわたしは項垂れる。

「珍しく同感です」

 背中越しにルイの言葉が聞こえて、首だけを動かし振り返る。
 わたしとソフィー様とで向かい合っている、小さなテーブルセットとは別。
 長椅子と一人掛けのソファで囲んだローテーブルの席に、呼びつけたムルトをまるで家臣のように控えさせて、わたしと背中合わせにルイはいる。

「どうかしら。ルイ様もあてにはなりませんもの」
「ソフィー、元王女があまり騒ぐものではないよ。こちらはこちらで大事な話をするところだ」
「放浪者なんて呼ばれている、前の王弟殿下に言われたくはございません」
「ソフィーの言い分にも一理ある」
「フィリップ……お前も、他家に嫁いで子ももうけている妹をいつまで甘やかすつもりでいる」
「降嫁しようが妹は妹だ」
「親族間の言い争いは他所でやってほしいものですね。ロベール王と司祭長の署名の入った文書は受け取りましたし、用がお済みならさっさと帰ってはいかがです」
「恐れながらまだ話は終わってはおりません、閣下――」

 わたしはさっきとは異なる理由で再び項垂れ、首を元の位置に戻して肩をすくめてお茶のカップを手に取った。
 ルイがいるのは男性の客人達の席。
 前王弟殿下で“放浪者のロワレ公”ことユーグ様、軍部長官でソフィー様のお兄様であるフィリップ殿下、そしていまや法科院の“偉大なる署名者”なる二つ名を持つ子爵領主な父様がいた。
 表向きには、王宮からフォート家にやってきた使者。

「わたくしのことは本当に不可抗力なのですよ。たまたま訪問先の集落で領民が困っていたから助言しただけで」
「わかっております。そちらだけなら些末なことでしたのに、ほぼ同時期に起こったことが問題なのです」
「……そうですね」

 東部筆頭の公爵家とはいえ一貴族の結婚の取り消しの正式な通達に、元王族と王族といった国王陛下の側近二人が使者とはなんとも仰々しい。
 その仰々しさは、本当の用件あってのことなのだけれど。
 ちなみに父様は、王宮からの使者二人の従者兼フォート家との取次役だ。
 フォート家にいる者以外で、領主屋敷と繋がる王都の邸宅の鍵を持ち、“扉”を開けられるのは父様だけだもの。
 わたしと母様が精霊博士であって“貴き血”とは無関係とはっきりし、ヴェルレーヌの働きかけもあってモンフォール家とユニ家の一応の和解が成立したらしい。
 それに伴い、王家と法科院からの要請で父様がフォート家と結んだ専属契約も解除となった。違約金も支払われたため、父様は対外的にはすっかり王宮側寄りの人になっている。
 すべてわたしとルイが留守の間にフェリシアンが応対した話だ。
 ルイは想定していたらしく、あらかじめ彼に指示していたらしい。
 ソフィー様は使者でもなんでもなく、フィリップ殿下に便乗してわたしに会いに来たのだけれど、なにかしらの理由はつけているだろう。

「社交が終わって皆退屈していることもあって、王宮ではあることないこと面白半分に飛び交っていますし」
「そうなのですか?」
「ええ。同情的な噂話も多いですけれど、なかには悪意ある話も耳にします。そちらの方が王家にとっては都合がよいと放置されているのもあって、流石にお二人がお気の毒です」

 表向き、王様がフォート家……というよりルイを押さえつけている形にしておきたいのよね。
 四大精霊の加護持ちの精霊博士を娶った、王国の脅威でもある魔術師を。
 でもって、王家が囲うわたしについてはある程度同情的な雰囲気も残しておきたい。

 ソフィー様の話では、一部の悪意ある噂では、わたしが精霊と縁があると知ったルイが思惑を持って求婚したことになっているらしい。
 それまで頑なに特定の相手を作らずにいたのに、突然、平民上がりの王妃の侍女に求婚したのはそのためだと。
 まったく、馬鹿馬鹿しい。
 わたしが結婚するつもりはないと婚約破棄したがっていることを公言していたから、精霊博士であることを秘密にして押し隠し、ルイから逃れようとしていたのだと。
 そのためルイが悪徳極まりなく王様を言葉巧みに説得し、わたしを逃げられない形にして強引に手に入れたと……。

「……それはあまり間違っていないような気がするわ」
「マリーベル様?」
「あっ、いえ、なんでもないですっ」

 とにかく。
 本当のところなんて、それが許される理由と状況とさえあれば、簡単に歪められてしまうのだわと思う。恐ろしい。

「お気持ちはとても嬉しいですけど、ソフィー様が気に病むことではないと思いますよ」
「本当に、暢気なのですからマリーベル様は」
「ですが、本当に気に病んでも仕方がないことですもの」

 ルイが厳しい目で見られるのは気掛かりだけれど。
 王様直属の魔術顧問なんて側近めいた話だけれど、公の場で従属契約を披露したようなものだもの。
 これまで王家に一歩控えても同等な態度を貫いてきた、元小国王家なフォート家の在り方を考えたら嘲笑する人もいるだろう。
 
 大抵の貴族より偉いことには変わりないのだけど……。

「話の前に、最も大事な点を確認せねばならん。ルイ」

 ユーグ様の声が聞こえて、わたしもソフィー様もなんとなく話すのを止めた。
 普段は気さくな臣籍に降った公爵様な様子なのに、真面目なお声に流石の威厳がある。

「例の森の件。最も国境に近い場所といっていい。やはりあの時、ルーテル侯の小倅は……」
「なんとも」
「ルイ」
「調べましたがあれが魔術とは……ですがもし魔術であるならば心当たりは一人です」

 ルイの言葉に、ではやはりとフィリップ殿下の言葉が続いた。

「ジョフロワ・ド・ルーテル……か」
「断定はしかねます。現時点では魔術としていいかすらも。ですが人の手で操れるものならば、防御壁の魔術は破られるでしょうね。広範囲に根こそぎ地の力を自由にできるものならお手上げです」
「もう一つの魔術の家系……いや、王国の脅威だな」

 そうユーグ様が軽く唸る声が、背中に聞こえた。
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