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第四部 魔術院と精霊博士
144.遅れた知らせ
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不思議な光景だった。
天井から、真っ直ぐ床に向かって線を引くように差す陽の光。
青、赤、褐色、蜂蜜色をした四色の貴石に飾られ、古色で鈍色になった金属の輪が、白い床を照らす円い光の枠のように置かれている。
枠の中で、天井から差す光が虹色になって揺れている。
「光が、水みたい……」
呟いたわたしの側で、静かにと注意するようにルイが形の良い口元へ彼の人差し指を軽く当て、慌ててぽかんと開いていた唇を閉じて表情を取り繕う。
神殿の、円形の広間の真ん中に置かれた聖具の側で、高らかに収穫祭のお祈りの文句を唱えているシュゼを、わたし達や集まった近隣の集落の人々がぐるりと取り囲んでいる。
収穫祭の儀式はつつがなく進行し、シュゼは立っていた場所から左へ退いて、最後に領主としてルイが進み出ると、集まった人々へ収穫の恵みを言祝ぐ。
領民達は跪いて静かにルイの言葉を聞き、それが終わるとほっと解放されたように表情を緩めて、ぞろぞろとわたし達も通った通路から神殿の外へと出ていった。
どうやら、彼らにとって収穫祭の儀式は緊張と堅苦しさしかないもののようだ。
「私達も外へ」
床と同じ、白い石造りのベンチに座っていたわたしを振り返ったルイに促され、立ち上がって彼に歩み寄る。
ルイの側にいるシュゼが体を折り曲げて床へと腕を伸ばし、聖具を拾い上げた。
天井から差す光は儀式を行っている間に移動し、シュゼの手にある聖具は煤けた金属の輪で、さっきまでその内側で光の水を湛えていたのが幻だったのではと思える。
嵌め込まれた貴石も、ただ表面を磨いてつるりとさせたただの色石に見える。正直、聖具ではなくがらくただと言われても違和感がない古道具に見えた。
それを大事そうにシュゼは、絹織の祭服の袖に包むように抱え持つ。
「私はこちらを片付けて参ります。また戻っていらっしゃいますね」
「ええ」
シュゼとルイのやりとりに、少しばかりなんだろうと疑問に思ったけれどルイにエスコートの手を差し出されて、二人で神殿の外へ出る。
白い石の柱が並ぶ開けた場所にはまだ領民達が残っていて、いくつかの集まりができていた。
それぞれの集まりでなにか話し込んでいる。
年配の男性や精悍な若者、彼等にはっきりと物を言うおかみさん風の女性が大半で子供はいない。複数の集落でなにかしら役割を持っている人たちが集まっているようで、交流や情報交換の場でもあるようだ。今年の作物や森の採集場がどうだ、そっちではなにか面白いことはなかったかといった会話が聞こえてくる。
人々の様子を見回していたら、三人で額を突き合わせるように話していた年配男性達が神殿から出てきたわたし達に気がついた様子でこちらに目を向け、ルイの側までやってくる。
「このあたりも今年は困らずに済みそうですね」
ルイが話しかければ、お陰様でと三人とも恭しく礼を取る。
集落の長達です、と小声で囁かれ、わたしは彼らに微笑む。
「ですが、その……」
「……おいっ」
「ん?」
「いいえ、領主様を煩わせるようなことでは」
なにかを言いかけた一人をその脇にいた者が肘で小突き、もう一人が嗜めた様子に、わたしは彼らに声をかけた。
「困りごとがあるのなら遠慮なく仰ってくださいませ。ただ儀式だけではなく、こうして直接お話しをお聞きできる機会でもあるのですから」
「彼女の言う通りです。なにか?」
「いえっ、本当に! 魔獣が出たわけでもありませんし!」
「魔獣?」
眉を顰めたルイが話してみてくださいと促したこともあって、困惑気に顔を見合わせ、実は……と、集落の長達が話し始めた話をまとめればこうだった。
さっき数えたばかりの家畜や鶏の卵の数が合わない。
領民の家で時折ミルクや水甕の水が大きく減る。
風もないのに窓や戸ががたがた音を立てる、などなど。
妙なことが起きると訴える領民が近頃増えている。
「いなくなった家畜は?」
「それが皆で大騒ぎで探していたら、誰が見つけたというわけでもなくいつの間にか元通りの数に戻っていまして」
「数え間違えでは?」
「家畜はそうかもしれませんが、家の中のものが減るのは」
「誰も姿を見ていませんが、余所者が知らぬ間に潜んで家々から盗んでいるのやもと……」
どう考えても小精霊の悪戯だ。
長達の話を聞きながら、人が増えて姿を隠した、自称“よき隣人達”を思い浮かべて、わたしは額を押さえたくなる。
あれだけいるのだもの。
こんな神殿が近くにある森の中の集落だし、あると思う。
「侵入者を阻む魔術ができる人はいませんか?」
「おるにはおりますが……あまり、なあ」
「村の魔術師では効き目がないようで」
「まあ、食料や金品がなくなるわけでもなし……」
実害らしい実害はなさそうだけれど。
振り回されるのは疲れるだろうし、気味悪がる人もいるだろう。
困ったものだと、ため息を吐く代わりにわたしは長達に話しかけた。
「あの……よろしいでしょうか?」
「奥方様」
「マリーベル?」
「そのお話、おそらくは精霊の仕業かと」
精霊!
長の一人が上げた声に、交流でざわついていた周囲がしんと静まる。
人々の注意を一気に向けられて、えっと……と、引き攣りそうになった頬に手を当てて誤魔化し長達に頷いた。
「よろしければ、対処のおまじないをお教えしましょうか?」
思いのほか、悩まされていた家は多かったらしい。
その場にいた人々が我先にと、領主様であるはずのルイを押し退ける勢いでわたしの周りに集まってきた。
*****
「それはおそらく居心地の良い家と思っていますね。窓辺にミルクのお皿を置いたり、可能なら夜眠る前に少しだけ食べ物をテーブルに置いてください」
「毎日でございますか?」
「時折でいいですよ。七日の内に一度くらいを目安に。家付精霊になれば家を守ってくれるし、関心を引きたいだけなので悪戯もほどほどになると思います」
はい、お次の方。
領民を捌く役を買って出たシュゼに若干呆れながら、わたしは目の前にやってきた領民ににこりと微笑み、名前と相談内容とその対処法を簡単にメモする。
簡易椅子と簡易机に、紙とペン。
どれも統括組織の文官が所持していたものだ。
野営の時に使っているらしい。
こんな用意もしているなんて仕事熱心な人達だ。だからこそルイも、小さな国といってもいいくらいの広さを持つロタール領の統治を彼等に任せていられるのだろう。
わたしが領主夫人といっても、これとなにかする必要もなく暢気にしていられるのも彼等の働きがあってのことだもの、感謝しないとだ。
「苗の葉の色が変わるのは、なにかを知らせているのかも」
「なにをでしょうか」
「そうですね。病気や害虫もありますが……反対にとてもよく育っている苗ということも。怖がらず苗の様子をよく見てください。あ、水撒きの時に虹なんか作ってあげると喜びますよ」
「虹……?」
「こうおひさまへ向けて水を……水浴びも普通に楽しみますけど」
「はあ」
東部やロタール領は精霊信仰が他の地域よりも盛んだけれど、領民達の話を聞くに精霊に対応するおまじないは伝わっていないらしい。
そういえば、わたしも、母様に教わったこと以外に聞いたことがない。
人々の間で知恵としても受け継がれていないのは、やっぱり精霊と直接言葉を交わせ、人と精霊の仲立ちとなれる精霊博士が魔術師と比べて極端に少ないためだろうか。
魔術は魔力と引き換えに精霊の力を動かす。ルイの言葉を借りれば、精霊達はこの世の様々なものを構成する一つの要素にすぎない。
神々や精霊信仰だってよく考えれば似たようなものだ。神々と精霊に祈りを捧げることで彼等から守護や祝福を得ることを願う。
どちらにしても、人とは異なる種族として、その言葉に耳を傾け交流するものではない。
ルイが魔術で用いる詠唱と聖職者のお祈りの言葉は似ているし、だからアントワーヌ様は精霊信仰を研究していたのかも。
魔術とは異なるけれど、聖職者のお祈りも一定の効果がありそうだもの。
わたしがルイに贈った飾り紐、あれは司祭長様に祝福の祈りを捧げてもらったもので、ルイは護りの力を帯びていると言っていた。それに大聖堂の場の力だって。
あとで、ルイの考えを聞いてみようと思いながら、わたしは紙にペンを走らせる。
対処を教えた人々の数は十数人ほど。
一人に伝えている間に似たことに悩まされていた人達が近づいてうんうん頷いたり、横から質問してきたりで、思っていたより早く進んだ。
夜の祭りの準備があるためか、対処法を知って満足した人から集落へと帰っていく。
徐々に人は減り、最後に集落の長達が残って、わたしは簡単に相談記録をつけた手元の紙を見下ろす。
「簡単なものですけれど相談記録をつけましたから、後ほど写しをそれぞれの集落へ届けさせますね。お伝えしたことを忘れたり、他に困っている方が出てきたりしても対処ができるように」
一通り、教えたつもりだけど口伝えでは後で困るかもしれない。
簡易机の向こうで横並びでいる長達が口々にお礼を述べる背後で、彼等に仕えるように立っているシュゼに気が付く。
なにか期待を込めた眼差しで、じいっとわたしを見詰めている。
「し、神殿にも……お渡し、します……」
「なんたる僥倖! ありがとう存じます!」
僥倖もなにも、そんな狂信者みたいな目で見つめられたら、そうするしか……恨まれそうで怖いし、もしくは長達が迷惑を被りそうだ。
統括組織の文官に相談記録の紙を渡し、各集落へ写しを渡す指示に神殿も付け加える。
長達がそれぞれの集落へ帰っていった頃、昼下がりの鐘が遠く聞こえた。
もうそんな時間、次の予定ってどうなっていたかしらと考えていたら、いつの間にかいなくなっていたルイが丁度よく戻ってきた。
「どちらにいらしたのですか?」
「馬車で、統括組織と東部騎士団の随行の責任者と話していました。本当に、貴女という人は……」
「ルイ?」
ため息を吐いて眉間を摘んだルイに、わたしは首を傾ける。
「人の話をまったく聞いていない」
「んんっ、なんですそれ」
突然の苦言に不服を漏らせば、統括組織と東部騎士団と話はつけたと彼は言った。
三つの集落で起きている領民の様々な困りごとをまとめて解決。それも精霊絡み。
精霊博士は本来王家の管轄下であるのに、勝手に動かれると後々問題になりかねないということだった。
「でもまだ、フォート家です」
ルイとの結婚はまだ白紙になってはいない。
わたしはフォート家の公爵夫人でロタールの領主夫人だ。
たしかに精霊への対処法を知っている人は少なくなっているのかもしれないけれど、わたしが直接精霊と交渉したわけでもない。
それに、わたしが教えた対処法で、本当に領民達の困りごとが解決するかどうかもわからない。これからの話だ。
「ええ、ですから」
領民の相談をよく聞いて助言を与えたという事実だけ、報告事項とするとそれぞれの組織と合意をとったとルイはわたしに説明した。
統括組織はロタール領の、フォート家が設立したものだから王都と揉めることは避けたい。
東部騎士団は王都の騎士団本部とはあまり反りが合わないらしく、本部へ渡る報告書についてあれやこれや確認をとられる面倒は御免だと、利害が一致したらしい。
「うっかり評判になることは、くれぐれも控えるようにと言ったはずです」
「うっかりって……これは不可抗力です。どこでなにをしているのかと思ったら、馬車の中でそんな調整をしていたなんて」
「当然です」
「別に王家と反目しているわけでもないのに、そこまで神経質になるもの?」
「貴女は元王妃の侍女でロベール王とも接し、お二人への信頼が厚いのでしょうが、王家は彼等だけではなく用心するに越したことはない。私は神殿内に戻りますが貴女は馬車で待っていますか?」
わたし達の馬車にはルイの護りがかかっていて、それに御者としてついているのはオドレイだから、その辺の護衛に囲まれて待っているよりずっと安全ではある。
ルイとしては馬車で待っていて欲しいのだろうなと思ったけれど、尋ねるということは一緒に行ってもいいのかしらと解釈した。
「一緒に行っても?」
「地の力を見るだけですよ」
「地の力?」
「言葉通り、防御壁の魔術にも組み込まれている土地が保有する力です。魔術で感じ取ることもでき、さっき儀式で使った聖具で目視もできる。今回急ぐので使いませんが」
「目視……」
儀式中に光が水みたいになっていたあれかしらとルイに尋ねかけて、ふと蔓バラ姫のことが浮かんで慌てて口を閉じる。
蔓バラ姫が彼女の姿と声をルイに届くようにしてくれただけで、元々、ルイの目に彼女は金色の靄にしか見えていなかった。あれと同じで、もしもわたしにしか見えていないものだったら迂闊に口にできない。少なくともルイの側にいるシュゼは大袈裟な反応を見せると思う。
「では、中へ戻りましょうか」
「助言の資料については」
「取り上げられたくはないですから。あくまで私の個人的な資料です」
「結構」
シュゼの言葉に頷いて、ルイは彼と二人で神殿の中へと戻っていく。
二人ともにこにこ微笑みを交わしているけれど、なんだか悪い笑みだ。
神殿内の儀式を行なっていた広間に戻り、聖具を置いていた中央付近でルイは屈んだ。
天窓から差し込む光はもうかなり斜めにずれている。
「光がまっすぐ差していないのはいいのですか?」
尋ねたわたしを、何故かルイは胡乱気な眼差しで見上げた。
「貴女、本当に……どうしてそう。魔術のことはごく一般的な貴族の知識程度だというのに」
「ルイや聖堂のあれこれを見てればなんとなく、そうかなくらいのことは思います」
聖堂のあれこれとは、とシュゼが声を上げたけれど、ルイはそれを聞こえていなかったかのように無視した。彼まで話に入ってきたら面倒というのはわかるけれど、まるで彼はこの場にいないような、少しばかり気の毒に思えるほどの聞き流しぶりだった。
「光や聖具は儀式に関係するので、これから行うこととは関係しません」
「そうなの」
「ええ。ここの儀式が少々勝手が違うというのは、他の儀式同様に“地の精霊”を讃え、次の実りをもたらす種子への加護を願うものであるに、地の力を大きく補強する面があるからです」
“――”
ルイが、口の中で古い言葉を呟く。
彼を中心に、円形の広間全体にいくつもの銀色の光の筋が、床を這うよう蛇行しながら広がっていく。足元を過ぎる光を避けながら光が向かう先を目で追う。
なにか模様を描いているみたい、そう思いながら広間をぐるりと見渡して気がついた。
床全体に広がった光の筋は、魔術の陣を描いている。
「やはり何度見ても壮観の一言。紙や布に描くか道具に刻んで拵えるかが普通の魔術の陣を、その場で魔力によって具現するだけでも凄まじいというのに、この美しさ! 嗚呼、まさに伝説の偉大なる王の……」
「――出来損ないの息子が始祖です」
昂って、そうなんだといった魔術解説を早口で語るシュゼの言葉を、これ以上ないほど淡々と冷ややかな調子で遮って、ルイは立ち上がると目を細めて口元に指を当てて黙考する。
「どうかした?」
「……いえ」
わたしが尋ねればルイは曖昧な返事をして軽く首を振った。
なにか呟いたような声がきこえたけれど、言葉までは聞き取れなかった。
「領主様、なにか問題でも?」
「まったく問題ありません」
「ならば、国境は安泰。そのような難しい顔する必要はないのでは」
「そうですね……想定以上に満ちている」
そう答えて、ルイが右手を握って軽く腕を振る。魔力の光で描かれた陣は、熱した鍋の底に少量垂らした水が蒸気となって消えるように消えていった。
陣が消えたのとほぼ同時に、外で待機していたはずの統括組織の文官の一人が神殿内にやってきて、ルイの目の前に一通の文書を差し出した。
封印の日付が五日も前であるのを訝しんだルイが文官に尋ねれば、なんでもわたし達がグミーヌの町を出て半刻もしないうちに、フォート家を経由して町長の館に通信用の“箱”を使って届けられたもので、町長の家の使いの者がわたし達を追って届けてくれたものであるらしい。
「だとしてもどうしてそんなに……統括組織からフォート家へ“箱”を使えば一瞬です。フェリシアンが転送を怠るなど考えられない」
「詳細はわかりませんが、フォート家のお屋敷に届くのが遅かったようで」
とにかく、中身を確認しましょうと文書を開いて目を通したルイの表情は特に変化はなかったけれど、なにかあったと直感的にわたしは思った。
「遅れて届いた理由はわかりました。ムルトが出先で書いて出した報告のようです。今日明日で残る二つの小集落を回り、日暮れ前にはトゥルーズへ立ち寄ろうとしていたところです。これでは直接渡してもらうのとそう変わりない」
縮こまった文官に、君を責めているわけではないと断って、ルイはもう一箇所行く場所が増えたと文官に伝えた。
「儀式の出席が追加になったのですか?」
「いえ、視察です」
「視察?」
「本当はここから直接行く方が近く、これから向かいたいところですが、集落の儀式の予定は変えられませんからね」
「なにかあったの?」
これから向かいたいなんてルイが口にするくらいだ、ムルトからの報告のようだし只事とは思えない。とはいえルイが文官の前で平然とした様子でいるのに、わたしが慌てるわけにもいかず努めてのんびりと尋ねる。
しかし、返ってきたルイの答えはとても平然としていていいものとは思えなかった。
「ここから国境沿いに北東へ進んだ場所にある森が、一夜にして枯れ果てたそうです」
天井から、真っ直ぐ床に向かって線を引くように差す陽の光。
青、赤、褐色、蜂蜜色をした四色の貴石に飾られ、古色で鈍色になった金属の輪が、白い床を照らす円い光の枠のように置かれている。
枠の中で、天井から差す光が虹色になって揺れている。
「光が、水みたい……」
呟いたわたしの側で、静かにと注意するようにルイが形の良い口元へ彼の人差し指を軽く当て、慌ててぽかんと開いていた唇を閉じて表情を取り繕う。
神殿の、円形の広間の真ん中に置かれた聖具の側で、高らかに収穫祭のお祈りの文句を唱えているシュゼを、わたし達や集まった近隣の集落の人々がぐるりと取り囲んでいる。
収穫祭の儀式はつつがなく進行し、シュゼは立っていた場所から左へ退いて、最後に領主としてルイが進み出ると、集まった人々へ収穫の恵みを言祝ぐ。
領民達は跪いて静かにルイの言葉を聞き、それが終わるとほっと解放されたように表情を緩めて、ぞろぞろとわたし達も通った通路から神殿の外へと出ていった。
どうやら、彼らにとって収穫祭の儀式は緊張と堅苦しさしかないもののようだ。
「私達も外へ」
床と同じ、白い石造りのベンチに座っていたわたしを振り返ったルイに促され、立ち上がって彼に歩み寄る。
ルイの側にいるシュゼが体を折り曲げて床へと腕を伸ばし、聖具を拾い上げた。
天井から差す光は儀式を行っている間に移動し、シュゼの手にある聖具は煤けた金属の輪で、さっきまでその内側で光の水を湛えていたのが幻だったのではと思える。
嵌め込まれた貴石も、ただ表面を磨いてつるりとさせたただの色石に見える。正直、聖具ではなくがらくただと言われても違和感がない古道具に見えた。
それを大事そうにシュゼは、絹織の祭服の袖に包むように抱え持つ。
「私はこちらを片付けて参ります。また戻っていらっしゃいますね」
「ええ」
シュゼとルイのやりとりに、少しばかりなんだろうと疑問に思ったけれどルイにエスコートの手を差し出されて、二人で神殿の外へ出る。
白い石の柱が並ぶ開けた場所にはまだ領民達が残っていて、いくつかの集まりができていた。
それぞれの集まりでなにか話し込んでいる。
年配の男性や精悍な若者、彼等にはっきりと物を言うおかみさん風の女性が大半で子供はいない。複数の集落でなにかしら役割を持っている人たちが集まっているようで、交流や情報交換の場でもあるようだ。今年の作物や森の採集場がどうだ、そっちではなにか面白いことはなかったかといった会話が聞こえてくる。
人々の様子を見回していたら、三人で額を突き合わせるように話していた年配男性達が神殿から出てきたわたし達に気がついた様子でこちらに目を向け、ルイの側までやってくる。
「このあたりも今年は困らずに済みそうですね」
ルイが話しかければ、お陰様でと三人とも恭しく礼を取る。
集落の長達です、と小声で囁かれ、わたしは彼らに微笑む。
「ですが、その……」
「……おいっ」
「ん?」
「いいえ、領主様を煩わせるようなことでは」
なにかを言いかけた一人をその脇にいた者が肘で小突き、もう一人が嗜めた様子に、わたしは彼らに声をかけた。
「困りごとがあるのなら遠慮なく仰ってくださいませ。ただ儀式だけではなく、こうして直接お話しをお聞きできる機会でもあるのですから」
「彼女の言う通りです。なにか?」
「いえっ、本当に! 魔獣が出たわけでもありませんし!」
「魔獣?」
眉を顰めたルイが話してみてくださいと促したこともあって、困惑気に顔を見合わせ、実は……と、集落の長達が話し始めた話をまとめればこうだった。
さっき数えたばかりの家畜や鶏の卵の数が合わない。
領民の家で時折ミルクや水甕の水が大きく減る。
風もないのに窓や戸ががたがた音を立てる、などなど。
妙なことが起きると訴える領民が近頃増えている。
「いなくなった家畜は?」
「それが皆で大騒ぎで探していたら、誰が見つけたというわけでもなくいつの間にか元通りの数に戻っていまして」
「数え間違えでは?」
「家畜はそうかもしれませんが、家の中のものが減るのは」
「誰も姿を見ていませんが、余所者が知らぬ間に潜んで家々から盗んでいるのやもと……」
どう考えても小精霊の悪戯だ。
長達の話を聞きながら、人が増えて姿を隠した、自称“よき隣人達”を思い浮かべて、わたしは額を押さえたくなる。
あれだけいるのだもの。
こんな神殿が近くにある森の中の集落だし、あると思う。
「侵入者を阻む魔術ができる人はいませんか?」
「おるにはおりますが……あまり、なあ」
「村の魔術師では効き目がないようで」
「まあ、食料や金品がなくなるわけでもなし……」
実害らしい実害はなさそうだけれど。
振り回されるのは疲れるだろうし、気味悪がる人もいるだろう。
困ったものだと、ため息を吐く代わりにわたしは長達に話しかけた。
「あの……よろしいでしょうか?」
「奥方様」
「マリーベル?」
「そのお話、おそらくは精霊の仕業かと」
精霊!
長の一人が上げた声に、交流でざわついていた周囲がしんと静まる。
人々の注意を一気に向けられて、えっと……と、引き攣りそうになった頬に手を当てて誤魔化し長達に頷いた。
「よろしければ、対処のおまじないをお教えしましょうか?」
思いのほか、悩まされていた家は多かったらしい。
その場にいた人々が我先にと、領主様であるはずのルイを押し退ける勢いでわたしの周りに集まってきた。
*****
「それはおそらく居心地の良い家と思っていますね。窓辺にミルクのお皿を置いたり、可能なら夜眠る前に少しだけ食べ物をテーブルに置いてください」
「毎日でございますか?」
「時折でいいですよ。七日の内に一度くらいを目安に。家付精霊になれば家を守ってくれるし、関心を引きたいだけなので悪戯もほどほどになると思います」
はい、お次の方。
領民を捌く役を買って出たシュゼに若干呆れながら、わたしは目の前にやってきた領民ににこりと微笑み、名前と相談内容とその対処法を簡単にメモする。
簡易椅子と簡易机に、紙とペン。
どれも統括組織の文官が所持していたものだ。
野営の時に使っているらしい。
こんな用意もしているなんて仕事熱心な人達だ。だからこそルイも、小さな国といってもいいくらいの広さを持つロタール領の統治を彼等に任せていられるのだろう。
わたしが領主夫人といっても、これとなにかする必要もなく暢気にしていられるのも彼等の働きがあってのことだもの、感謝しないとだ。
「苗の葉の色が変わるのは、なにかを知らせているのかも」
「なにをでしょうか」
「そうですね。病気や害虫もありますが……反対にとてもよく育っている苗ということも。怖がらず苗の様子をよく見てください。あ、水撒きの時に虹なんか作ってあげると喜びますよ」
「虹……?」
「こうおひさまへ向けて水を……水浴びも普通に楽しみますけど」
「はあ」
東部やロタール領は精霊信仰が他の地域よりも盛んだけれど、領民達の話を聞くに精霊に対応するおまじないは伝わっていないらしい。
そういえば、わたしも、母様に教わったこと以外に聞いたことがない。
人々の間で知恵としても受け継がれていないのは、やっぱり精霊と直接言葉を交わせ、人と精霊の仲立ちとなれる精霊博士が魔術師と比べて極端に少ないためだろうか。
魔術は魔力と引き換えに精霊の力を動かす。ルイの言葉を借りれば、精霊達はこの世の様々なものを構成する一つの要素にすぎない。
神々や精霊信仰だってよく考えれば似たようなものだ。神々と精霊に祈りを捧げることで彼等から守護や祝福を得ることを願う。
どちらにしても、人とは異なる種族として、その言葉に耳を傾け交流するものではない。
ルイが魔術で用いる詠唱と聖職者のお祈りの言葉は似ているし、だからアントワーヌ様は精霊信仰を研究していたのかも。
魔術とは異なるけれど、聖職者のお祈りも一定の効果がありそうだもの。
わたしがルイに贈った飾り紐、あれは司祭長様に祝福の祈りを捧げてもらったもので、ルイは護りの力を帯びていると言っていた。それに大聖堂の場の力だって。
あとで、ルイの考えを聞いてみようと思いながら、わたしは紙にペンを走らせる。
対処を教えた人々の数は十数人ほど。
一人に伝えている間に似たことに悩まされていた人達が近づいてうんうん頷いたり、横から質問してきたりで、思っていたより早く進んだ。
夜の祭りの準備があるためか、対処法を知って満足した人から集落へと帰っていく。
徐々に人は減り、最後に集落の長達が残って、わたしは簡単に相談記録をつけた手元の紙を見下ろす。
「簡単なものですけれど相談記録をつけましたから、後ほど写しをそれぞれの集落へ届けさせますね。お伝えしたことを忘れたり、他に困っている方が出てきたりしても対処ができるように」
一通り、教えたつもりだけど口伝えでは後で困るかもしれない。
簡易机の向こうで横並びでいる長達が口々にお礼を述べる背後で、彼等に仕えるように立っているシュゼに気が付く。
なにか期待を込めた眼差しで、じいっとわたしを見詰めている。
「し、神殿にも……お渡し、します……」
「なんたる僥倖! ありがとう存じます!」
僥倖もなにも、そんな狂信者みたいな目で見つめられたら、そうするしか……恨まれそうで怖いし、もしくは長達が迷惑を被りそうだ。
統括組織の文官に相談記録の紙を渡し、各集落へ写しを渡す指示に神殿も付け加える。
長達がそれぞれの集落へ帰っていった頃、昼下がりの鐘が遠く聞こえた。
もうそんな時間、次の予定ってどうなっていたかしらと考えていたら、いつの間にかいなくなっていたルイが丁度よく戻ってきた。
「どちらにいらしたのですか?」
「馬車で、統括組織と東部騎士団の随行の責任者と話していました。本当に、貴女という人は……」
「ルイ?」
ため息を吐いて眉間を摘んだルイに、わたしは首を傾ける。
「人の話をまったく聞いていない」
「んんっ、なんですそれ」
突然の苦言に不服を漏らせば、統括組織と東部騎士団と話はつけたと彼は言った。
三つの集落で起きている領民の様々な困りごとをまとめて解決。それも精霊絡み。
精霊博士は本来王家の管轄下であるのに、勝手に動かれると後々問題になりかねないということだった。
「でもまだ、フォート家です」
ルイとの結婚はまだ白紙になってはいない。
わたしはフォート家の公爵夫人でロタールの領主夫人だ。
たしかに精霊への対処法を知っている人は少なくなっているのかもしれないけれど、わたしが直接精霊と交渉したわけでもない。
それに、わたしが教えた対処法で、本当に領民達の困りごとが解決するかどうかもわからない。これからの話だ。
「ええ、ですから」
領民の相談をよく聞いて助言を与えたという事実だけ、報告事項とするとそれぞれの組織と合意をとったとルイはわたしに説明した。
統括組織はロタール領の、フォート家が設立したものだから王都と揉めることは避けたい。
東部騎士団は王都の騎士団本部とはあまり反りが合わないらしく、本部へ渡る報告書についてあれやこれや確認をとられる面倒は御免だと、利害が一致したらしい。
「うっかり評判になることは、くれぐれも控えるようにと言ったはずです」
「うっかりって……これは不可抗力です。どこでなにをしているのかと思ったら、馬車の中でそんな調整をしていたなんて」
「当然です」
「別に王家と反目しているわけでもないのに、そこまで神経質になるもの?」
「貴女は元王妃の侍女でロベール王とも接し、お二人への信頼が厚いのでしょうが、王家は彼等だけではなく用心するに越したことはない。私は神殿内に戻りますが貴女は馬車で待っていますか?」
わたし達の馬車にはルイの護りがかかっていて、それに御者としてついているのはオドレイだから、その辺の護衛に囲まれて待っているよりずっと安全ではある。
ルイとしては馬車で待っていて欲しいのだろうなと思ったけれど、尋ねるということは一緒に行ってもいいのかしらと解釈した。
「一緒に行っても?」
「地の力を見るだけですよ」
「地の力?」
「言葉通り、防御壁の魔術にも組み込まれている土地が保有する力です。魔術で感じ取ることもでき、さっき儀式で使った聖具で目視もできる。今回急ぐので使いませんが」
「目視……」
儀式中に光が水みたいになっていたあれかしらとルイに尋ねかけて、ふと蔓バラ姫のことが浮かんで慌てて口を閉じる。
蔓バラ姫が彼女の姿と声をルイに届くようにしてくれただけで、元々、ルイの目に彼女は金色の靄にしか見えていなかった。あれと同じで、もしもわたしにしか見えていないものだったら迂闊に口にできない。少なくともルイの側にいるシュゼは大袈裟な反応を見せると思う。
「では、中へ戻りましょうか」
「助言の資料については」
「取り上げられたくはないですから。あくまで私の個人的な資料です」
「結構」
シュゼの言葉に頷いて、ルイは彼と二人で神殿の中へと戻っていく。
二人ともにこにこ微笑みを交わしているけれど、なんだか悪い笑みだ。
神殿内の儀式を行なっていた広間に戻り、聖具を置いていた中央付近でルイは屈んだ。
天窓から差し込む光はもうかなり斜めにずれている。
「光がまっすぐ差していないのはいいのですか?」
尋ねたわたしを、何故かルイは胡乱気な眼差しで見上げた。
「貴女、本当に……どうしてそう。魔術のことはごく一般的な貴族の知識程度だというのに」
「ルイや聖堂のあれこれを見てればなんとなく、そうかなくらいのことは思います」
聖堂のあれこれとは、とシュゼが声を上げたけれど、ルイはそれを聞こえていなかったかのように無視した。彼まで話に入ってきたら面倒というのはわかるけれど、まるで彼はこの場にいないような、少しばかり気の毒に思えるほどの聞き流しぶりだった。
「光や聖具は儀式に関係するので、これから行うこととは関係しません」
「そうなの」
「ええ。ここの儀式が少々勝手が違うというのは、他の儀式同様に“地の精霊”を讃え、次の実りをもたらす種子への加護を願うものであるに、地の力を大きく補強する面があるからです」
“――”
ルイが、口の中で古い言葉を呟く。
彼を中心に、円形の広間全体にいくつもの銀色の光の筋が、床を這うよう蛇行しながら広がっていく。足元を過ぎる光を避けながら光が向かう先を目で追う。
なにか模様を描いているみたい、そう思いながら広間をぐるりと見渡して気がついた。
床全体に広がった光の筋は、魔術の陣を描いている。
「やはり何度見ても壮観の一言。紙や布に描くか道具に刻んで拵えるかが普通の魔術の陣を、その場で魔力によって具現するだけでも凄まじいというのに、この美しさ! 嗚呼、まさに伝説の偉大なる王の……」
「――出来損ないの息子が始祖です」
昂って、そうなんだといった魔術解説を早口で語るシュゼの言葉を、これ以上ないほど淡々と冷ややかな調子で遮って、ルイは立ち上がると目を細めて口元に指を当てて黙考する。
「どうかした?」
「……いえ」
わたしが尋ねればルイは曖昧な返事をして軽く首を振った。
なにか呟いたような声がきこえたけれど、言葉までは聞き取れなかった。
「領主様、なにか問題でも?」
「まったく問題ありません」
「ならば、国境は安泰。そのような難しい顔する必要はないのでは」
「そうですね……想定以上に満ちている」
そう答えて、ルイが右手を握って軽く腕を振る。魔力の光で描かれた陣は、熱した鍋の底に少量垂らした水が蒸気となって消えるように消えていった。
陣が消えたのとほぼ同時に、外で待機していたはずの統括組織の文官の一人が神殿内にやってきて、ルイの目の前に一通の文書を差し出した。
封印の日付が五日も前であるのを訝しんだルイが文官に尋ねれば、なんでもわたし達がグミーヌの町を出て半刻もしないうちに、フォート家を経由して町長の館に通信用の“箱”を使って届けられたもので、町長の家の使いの者がわたし達を追って届けてくれたものであるらしい。
「だとしてもどうしてそんなに……統括組織からフォート家へ“箱”を使えば一瞬です。フェリシアンが転送を怠るなど考えられない」
「詳細はわかりませんが、フォート家のお屋敷に届くのが遅かったようで」
とにかく、中身を確認しましょうと文書を開いて目を通したルイの表情は特に変化はなかったけれど、なにかあったと直感的にわたしは思った。
「遅れて届いた理由はわかりました。ムルトが出先で書いて出した報告のようです。今日明日で残る二つの小集落を回り、日暮れ前にはトゥルーズへ立ち寄ろうとしていたところです。これでは直接渡してもらうのとそう変わりない」
縮こまった文官に、君を責めているわけではないと断って、ルイはもう一箇所行く場所が増えたと文官に伝えた。
「儀式の出席が追加になったのですか?」
「いえ、視察です」
「視察?」
「本当はここから直接行く方が近く、これから向かいたいところですが、集落の儀式の予定は変えられませんからね」
「なにかあったの?」
これから向かいたいなんてルイが口にするくらいだ、ムルトからの報告のようだし只事とは思えない。とはいえルイが文官の前で平然とした様子でいるのに、わたしが慌てるわけにもいかず努めてのんびりと尋ねる。
しかし、返ってきたルイの答えはとても平然としていていいものとは思えなかった。
「ここから国境沿いに北東へ進んだ場所にある森が、一夜にして枯れ果てたそうです」
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