死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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30-晩餐

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あの後風呂場でまた兜合わせをされ、今日二度目の絶頂を迎えた。

ぐったりしている僕をそのまま身体を綺麗にし、風呂からだし、さっさと身支度を済ませる。



今日は父上と夕食を食べる日だった。

…なんてタイミングだ。こんなことされまくった日に父上と食べたくない。というか身体重い。

僕の隣で何食わぬ顔で食事をとるラルク。
…もはや恐怖でしかない。


父の執事から躾られたテーブルマナーを守りつつ、僕も食事を取るが、あまり食べる気分じゃない。


「調子はどうだ。ルーク」


絶不調です。


「変わりなく、元気ですよ」


執事から習ったフォンルージュ流営業スマイルで返す。

父はこちらを向くことも無く、淡々と食事をとりながら会話をする。


「お前の母…私の妻だが、1ヶ月後こちらに帰るとの言伝があってな。

…最近の気持ちの方はどうなんだ?」


…ああ、そういうこと。母親の前で面倒な事をするなと言う釘刺しか。

そもそも父のせいで僕は今何も出来ない。
僕が死ねると思った瞬間に発動するこの枷のせいで。


「妻は見た目は良いが、少々面倒な女でな。お前に奇行を取られては私が面倒なことになる」


隠す気もないってね。


「…父上が心配していることは何も起こしませんよ。


「枷以外でもだ。アレを決して怒らせるなよ。面倒だから別邸に行かせたものを…あいつに地位などなければ切り捨てたいところだ」


これだけ本音を喋るくらい、僕らは偽るに足らない存在なんだね。僕だけならまだしもラルクの前でまでやめて欲しい。


「くれぐれも私の足を引っ張らないようにな。では、私は失礼する」


いつの間にか食べ終わっていた父はそのまま食卓からいなくなる。

たったこれだけを言うために一緒に食事を取ったのか。どれだけ僕は警戒されているのか。


まあ、でも急に自分の息子がまるで違う人物のように振る舞いだしたら、どんな親でも気になるよね。


…母親か…。


その言葉だけでどんよりとしてしまう。
それに父にあれだけ言われるような人って、何だか嫌な予感もする。


まだ半分くらい残っていたが、僕はもう食欲が無くなっていた。




「…ルーク様、無理して食べなくても良いですよ。お部屋戻りましょう?」



食べ終わったであろうラルクが僕に促す。

さっきまで凄い鬼畜だったのに、急に優しさを発揮するのやめて欲しい。
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