死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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28-ゲームオーバー

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お風呂気持ちいい。

久々に入る1人風呂は快適だった。


後、10分くらいで上がろう。もう少しゆっくりしたいが、ラルクが来たら困る。

そう思いお湯の中で足を伸ばしくつろごうとした時だった。


ニュル…


…ん?今お尻に何か触った…?なんかヌルヌルするような。


ニュルニュル…


「っぎゃァァあ!?」


バシャンッ


悲鳴をあげて思わずお湯から立ち上がる。

何だこの感触、この風呂確実に何かいる。
もう出よう。こんなとこ。


ガラガラ…


出ようとした矢先、お風呂場のドアが開く音がする。

ラルクだ…!

恐怖で血の気が引いてくる。

ペタペタと人が歩いてくる音がする。
まるで死へのカウントダウンの音を聞いているようだ。

本物の死だったらいいのに、逃げられない死だ。タチが悪い。


「…あにうえ、酷いですね。俺を置いて先に入るなんて」


あー終わった。残念でした。ゲームオーバー。

頭の片隅で他人事のように呟いていた。


据えた目でラルクは笑みを湛え、全裸で立っていた。少しは下の方をタオルか何かで隠して欲しい。僕のやつとどうしても見比べてしまう。

ラルクの身体は来た時からあった傷跡と、稽古で付いたであろう新たな傷が至る所についていた。

僕よりも筋肉が盛り上がってきてるあの身体でおさえつけられたら、僕の貧弱な身体ではどうすることも出来ない。


「…?…あぁ、何で立ってるんだと思ったら、兄上、見つけちゃいました?」


…え、何を…?


ラルクはお湯の中に手を突っ込み何かを掴む。

ラルクがお湯から引き上げると、少しピンクがかった透明なジェルみたいなものを手に掴んでいた。

まるで意思を持っているかのようにうねうねと動いている。


「そ、それ……なに?」


思わず訊いてしまった。


「これはスライムって言うんですよ。これから兄上の中を綺麗にしてくれる魔物です。そのまま置いておくと干からびちゃうので、風呂場で浸してたんです」


ま、魔物…?この世界魔物いたの?
似非中世の設定どこいったんだよ。いや、ここはなろうだった。何でもありの世界だった。忘れてたよ。
というか、僕の中を綺麗にってどういうことだ。


「安心して下さい。悪い魔物じゃないですし、強くもないですから、ね?」


…ナニを安心しろと言っているんだ。
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