死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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9-悪役令息ルーク・フォンルージュ

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父とのラルクの紹介を終え、僕は今ラルクと一緒に部屋にいる。どうやらラルクは僕を監視するために父が引き取ったらしい。
その証拠にラルクは僕の部屋で、僕と一緒にこれからの生活を共にするらしい。


何ともあの父らしい。人を人とも見ていない。ラルクは父の道具。僕もだけど。


ラルクは壁際に置いてある椅子に座り、僕はベッドに腰かけている。


「……」


「……」


き、気まず…。


ルークはラルクを虐げなければならない。
そうしないとあとから来る断罪が進まない。

アニメではどうしていたのか、そもそも虐めに加担させてたシーンはあったが、僕が覚えていないだけか、屋敷で虐げていた所まではなかったと思う。


…でも僕はやらなければならない。ルークを演じなければ、僕に救いはない。


「…あ、兄上、お、おれは…」


ラルクがたどたどしく僕に話しかける。
僕は悪役、僕は悪役、悪役なんだ。

拳を握り何とか思考する。悪、悪い人、僕なんかが、僕なんかが出来るの。そんな、そんな人僕は…。




『お前なんか産まなきゃ良かった』




…あぁ、なんだ。いるじゃないか。僕にとっての唯一で悪だった人。

僕の絶望だった人。

…嫌だな、一番なりたくない人の真似をしなければならないなんて。でも僕にとっての『悪』はあの人でしかない。

ラルク、ごめんね。

僕は悪役令息ルーク・フォンルージュ。


この世界で一番死ぬべき悪。


僕は口だけの笑顔を作り、ラルクを冷たく見据える。




「兄上?誰に向かって言っている?俺とお前が兄弟なんて有り得ない。俺のことはルーク様と呼べ。それ以外認めない。



お前は今日から俺の奴隷。



身の程を弁えろ」
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