死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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11-かみさまみたいな人

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ーラルフsideー



おれはの要求を飲んだ。
と言うよりおれにそもそも拒否権などないも等しい。

おれの帰る場所などどこにもないのだから。

おれを愛してくれる人がいない世の中等どうでもいい。フォンルージュも何もかも。



そして兄上…ルーク・フォンルージュと会う。父上から聞いた話だと、兄上は自決しようとしていたらしい。

死のうとするくらいルークはフォンルージュ家が嫌になったのだろうか。真意は不明だが、もしそうだったら、


おれの兄弟や父達よりはマシな人なのかもしれない。


そう頭の片隅に淡い期待をもっておれは兄になる人に会った。



ーーー


「初めまして。俺はルーク・フォンルージュ。今日から君の兄だ。よろしくね、ラルク」


とても綺麗な人だった。胡散臭い父と同じ漆黒の髪、だけど光に当たるとキラキラと深い海のように青く光る。

そして何よりルークは母上に似ていた。顔のパーツと言うより雰囲気が。


おれを唯一愛してくれた人。


深海のような色の目に引き込まれる。


ルークはふわりと笑みを称えおれに手を差し出す。


何もかもなくなった俺の世界に唯一手を差し伸べてきた人…まるでかみさまみたいだ。




おれは無意識にその手に手を伸ばした。


ーーー



兄上に連れられ兄上の部屋に上がる。
おれは今日からここで兄上と生活を共にするらしい。


それは父上からの言いつけだった。兄上がフォンルージュ家に逆らう行動を取らないよう監視するようにするためだろう。


おれはどこにいていいか分からず、壁際にあった椅子に、兄上はベッドの上に腰掛けた。


「……」


兄上と俺の間に沈黙が流れる。


チラリと兄上を見る。
兄上は広いベットの端に座り俯いていた。
やはり父上が怖かったのだろうか。


「…あ、兄上、お、おれは…」


おれはフォンルージュの人間とは違う。
おれは、俺だけは貴方のみかたです。


兄上は笑った。窓から入る月明かりに照らされて深海のような色の瞳がキラキラと光っていて綺麗…




「兄上?誰に向かって言っている?俺とお前が兄弟なんて有り得ない。俺のことはルーク様と呼べ。それ以外認めない。



お前は今日から俺の奴隷。



身の程を弁えろ」


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