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〚第五章〛〜不幸な少女の”日常”編〜
〚141話〛「懐かしの街」
しおりを挟む段々前方が騒がしくなり、見覚えのある門をくぐったのが見えた。
暫く街の騒がしさが聞こえ、ニーチェがもう着くよと声を掛けてくる。
そして馬車がだんだんとゆっくりになって行き。
多分着いたんだろう。昔の…ナナだった頃に住んでいた街に。
「着いたよ」
馬車が止まり、僕は降りる。
「ありがとう」
「うんっ、じゃあね」
そして、ギルドに用があったらしいニーチェは、ギルドに入っていく。僕は、…………お母さんの家に…朧げな記憶ながら家への道を進んでいった。
懐かしい、このお店でよく買い物したっけ。あ、こっちの武具屋、ここでお父さんレイピア買ってきてくれたのかな。
この図書館…お母さんによく連れてきてもらったな。こっちの果物屋さんも寄ったことあった気がする。
僕は、前と変わらずにいる武具屋が、図書館が、果物屋が………あったからなのか、お母さんの家も前と変わらずに居ると思っていた。
だから。
家の扉にチェーンが掛けられ閉ざされている姿を見て、動けなくなった。お母さんに……何かあったのか。ただそれだけが僕の頭の中にあふれる。
ゆっくりと近づき扉に手を掛けると、誰も居ない、空き家だと言うのに帰ってきた、ただその思いが溢れ涙が溢れそうになった。
周りが騒がしいことに気付かず。
「…………ヤバいぞあいつ……」
「捕まるんじゃないか………?」
「誰か教えてやれよ………」
そうだ……誰かに聞けば…。
そう思い振り返ると僕を囲むように十何人と居て少し意味がわからなくなるがそんな事気にしている場合ではないと手前にいた男に聞いて見るが無視され、同じく横にいた奴にも聞いてみたが同じ反応で。
そして後ろを通ろうとしていた女の人に話を聞こうと声を掛けた。
「え?そこの家の人達?」
僕は頷く。
「本当は話しちゃいけないんだけどね?たしか……」
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