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〚第四章〛〜絶望の底編〜
〚123話〛「肉片を」
しおりを挟む異形は此方を向くと肉塊でできた触手を高速で伸ばしてくる、その触手の先端には再生時に現れた歯がビッシリと並んでおり僕を喰らおうと涎を垂らしながら大きく口を開けていた。
僕はその迫ってくる触手を後ろに飛び避け、さっきまで居たところに触手があり、そこで一瞬触手が止まっていたので、異形の方へ【爆縮】を使い一気に跳びつつ剣を上に上げ触手を縦に切り裂きながら進む。
縦に切り裂かれた触手は【無風纏】で細かく飛び散りそのまま縦に切り裂かれた異形はまたも肉片と化した。
そして今度はその肉片を炎魔法で焼いてゆく…が、生活魔法程度にしか使っていなかった魔法は、威力が弱いのか、異形の魔力耐性により殆ど効いていなかった。
仕方なく【神水纏】で、ひたすら腐らした。異形だった肉片は機能を失い白く変色し、酷い腐敗臭を漂わせていた。
そして復活する気配が無いのでこれが有効だと言うことが分かった。これで次に出てきても【神水纏】で腐らせればいい。
そう思いながら一つ重大な事を思い出した。
この異形の肉食わなきゃスキル手に入らない事を。
先程まで倒す事しか思っていなかったため、目をやった先にあるのは極限まで腐敗させた異形の肉片が。
……次に会った人型の異形の肉を食べればいいか?
と思ったが次に会える保証はない、更にはこのスキルを持っているのはこの個体だけかも知れないと言う可能性や、初めて出会った人型の異形なので他にいるのかが分からないので。
どうしようかと迷いながらも取り敢えずその腐った肉片に近付きしゃがみこむ。
…………………
……………
………
‥
肉片に手をゆっくりと伸ばしてゆく。
いつの間にかヒタッヒタッと足音が小さく響き出し、それがだんだんと大きくなってゆく。
この足音には聞き覚えがあった。
人型の異形だ。
良かった……この腐肉を食べなくて済む。
そう思いながら僕は銀一色の二刀レイピアをその両手に創り出した。
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