上 下
87 / 227
〚第四章〛〜絶望の底編〜

〚84話〛「釘先」

しおりを挟む

 そして…
 お腹に釘が当たり、それでも弱めることなく僕のお腹に向けて進めてくる。
 
 僕はどうすればいいかどうなっているのかわからなくなりひたすらやめてと繰り返していた。パニック状態だったのか、涙をながし涎は垂れ酷い顔だっただろう。
 
 すぐに僕のお腹の皮膚が限界まで伸び切る。そしてその勢いは弱まることなく続いている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ズブリッ…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そんな音を立てて銅色のマジックアイテムが僕のお腹に刺さり始めた。
 
 「ぁ……」
 
 きっとそれは僕の口からでた声だったのかもしれない。目の前の光景が、自分のお腹に長い釘の先っぽが入っている光景が一瞬で切り替わる。
 
 「ぁあぁああぁ…っ!痛い痛い痛い抜いてよ!抜いて痛い痛い痛いよっ!!」
 
 ”痛み”ただそれだけしか考えられないぐらいの激痛に目の前が真っ白になり穴という穴から体液が流れ出した。
 涙や鼻水、涎や小便。
 それでもズブズブと僕のお腹に刺さる長い釘は進むことを止めない。
 
 「イヒヒヒヒッ、最高だよッッッ!!ヴェレナァ!!肉を貫き進む感触がぁ…痛みに悶える悲鳴が最高だァァ!!」
 
 「わたしもぉ…濡れちゃった…」
 
 目を逸らそうにもノルが頭を固定してくるので目を逸らせず、ただただ壊れた人形のようにやめてを繰り返すうちに、釘は貫通し、釘に付いた細かいギザギザの鎖が僕の体内を通っていた。これもマジックアイテムの一部なのか体内を動くたびに激痛がお腹に走った。
 
 「次わぁ…んふっ…」そんな声がノルから聞こえニーナがそれに答えるように貫通した僕の血で真っ赤な釘を膀胱辺りに這わせた。
 
 ノルとニーナが僕の脚を広げて、いやらしく笑っていた顔を見た瞬間。
 僕は意味が分かり、ただひたすら叫び暴れた。
 そんな僕にニーナは徐にポーチに手を伸ばし、黄色い液体の入った小瓶を取り出した。
 
 小瓶の蓋を開けるとノルが僕の口を開けさせ、ニーナがそれを飲ませて来た。
 
 勿論拒んだが、拒んだ瞬間ニーナが僕のお腹のまだ開いていないところ目掛けて一気に釘を刺してきた、そして何故か口から血を吐く。
 痛みに恐怖し、カタカタ震える顎を必死に止めながら黄色い液体を飲み干した。
 
 その瞬間全身に痺れが走ったと思ったらそのまま動かなくなってしまった。
 だらし無く脱力してしまった僕の脚を再度広げ、釘をお腹から下へと這わせてきた。
 
 僕はただひたすら涙を流していた。動かない体が恐怖で震えていた。
 釘先はお腹から膀胱へ、そこから股へと。
 
 そして釘先は股穴へと入り込まれようとしていた。
 
 
 
 
 
 ただ痛かった。涙が止まらなかった。
 動かない口からは言葉にならない声が鳴り。
 
 ただ…ごめんなさい。
 
 そんな言葉を淡々と口にしていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 深々と刺さった釘を見て二人は気持ちの悪い笑みを浮かべると、僕を崖下へと突き落とした。
 
 ジャリ”リ”リ”リ”リ”ッッッ
 
 と、僕とニーナを繋ぐ鎖が酷い音を立てて崖際を滑っている。
 そして後の衝撃に心が壊れそうになる。両手を握ろうと動かすが、麻痺で動かない体。せめてと目を強く瞑った。
 
 …………
 
 ……
 
 …
 
 
 グジャリッッッ!!
 
 
 声が出なかった、息ができなかった。
 
 釘先に付いた返しが僕の体内を抉り、落下の速度に任せて抜けた釘は僕の胎内の肉片を吊し上げていた。
 だがその釘先は直ぐに見えなくなり、暗い崖下の、奈落の底に落ちてゆく。
 
 長い落下の中、僕の頭は傷口の痛みを忘れるほどの、長い浮遊感による恐怖に支配されていた。
 いつ終わるか、いつ地面に叩き付けられるのか、痛いのは嫌だ、地面か水面か、死にたくない。そんな思いが高速で頭の中で繰り返される。さらには自由落下による落ちどころがランダムな恐怖。衝撃で粉々になる頭、手から落ちた時の、ひしゃげた腕。水面に腹から落ち破裂する内臓。そんな死のビジョンが頭を過ぎる。
 そしてもう視界が暗くて地面が見えない。いつ来るかも分からない衝撃が怖くて怖くて仕方がなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 【固有スキル:精神崩壊がLvMaxに成りました。派生スキル•精神汚染無効が派生されました。派生スキル•精神支配無効が派生されました。派生スキル•精神汚染反射が派生されました。派生スキル•精神支配反射が派生されました。派生スキル•レベル消失が派生されました。派生スキル•ステータス消失が派生されました。派生スキル•全スキルフル強化が派生されました。】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】

迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。 ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。 自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。 「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」 「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」  ※表現には実際と違う場合があります。  そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。  私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。  ※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。  ※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。

もう二度とあなたの妃にはならない

葉菜子
恋愛
 8歳の時に出会った婚約者である第一王子に一目惚れしたミーア。それからミーアの中心は常に彼だった。  しかし、王子は学園で男爵令嬢を好きになり、相思相愛に。  男爵令嬢を正妃に置けないため、ミーアを正妃にし、男爵令嬢を側妃とした。  ミーアの元を王子が訪れることもなく、妃として仕事をこなすミーアの横で、王子と側妃は愛を育み、妊娠した。その側妃が襲われ、犯人はミーアだと疑われてしまい、自害する。  ふと目が覚めるとなんとミーアは8歳に戻っていた。  なぜか分からないけど、せっかくのチャンス。次は幸せになってやると意気込むミーアは気づく。 あれ……、彼女と立場が入れ替わってる!?  公爵令嬢が男爵令嬢になり、人生をやり直します。  ざまぁは無いとは言い切れないですが、無いと思って頂ければと思います。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

処理中です...