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三章 ミラルドの村

No.53 鎮圧

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「ッ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫び声が大きなホールに響く。
「エース!?」
「エースさん!?」
「一体…何が?」

「ここで制圧しておいた方が良さそうですね」
太腿に仕込んでおいた銀のナイフを取り出し、両手で逆手に構える。
「イギ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッアリサ! アリサァァァァァァァァァ!」
左側の魔力が爆発するかのような感覚に襲われる。
「想像以上に…これは」
魔力が形を帯びてエースの身体に纒わり付く。
「フー…フー…(首を…獲る!)」

「…早期決着が最善手」
深紅の断罪クリムゾンパラージ
紅に染まった細い線がエース目掛けて飛来する。
「ギシギシ」
純白の伝説ホワイトワード
エースの前に大盾が形成。
真紅の線をいとも簡単に弾く。
「アリサ様ァァァ!」
漆黒の伝説ブラックワード
今度はリュミエスを黒い函が覆う。
「リュミエス!?」

「まずッ…」
函が閉じると、内部から棘が無数に出現する。
「ムシ(二色の力を行使。ラストは…?)」

「カハッ…」
函が開くと、リュミエスが血を吐いて倒れている。
「これ程の力を…どこで? まさか…? それも最上位の……神にも匹敵する…」
脚が震えながらも、なんとか立ち上がる。
「にゃ(まだ立つ。鉄紺かな?)」
鉄紺の伝説ブルーワード

「もう止めて!」

「いいえ。ミレーヌ様。何も問題ありません…使いたくは無かったのですがやむを得ません」





暗黒回帰ダークネビュラ



「えっ?」

「今のって?」

「…第七の魔皇の力。暗黒回帰ダークネビュラ

「「!?」」
思わずリュミエスの方に駆け寄る。
「ちょっとどういうこと!?」

「サイリア家恐るべし…第二の魔皇に加えて第七の魔皇までいるとは」
すると何かに憑依されたようなエースが叫ぶ。
「魔皇だと!? 確かに…全滅した筈じゃ……」

「現にこうして力を行使出来る人間がいるのよ。ミレーヌ様、そして私リュミエス・ラインハルト。災厄の罪人ディザストシン暗黒回帰ダークネビュラがね。暗黒回帰は魔力の還元、吸収なのよ。その暗闇の空間がどこに繋がってるのかは分からないけどね」

「ッ…がぁぁぁあ!」
根源の伝説ラストワード

「させないよ」
止められないと判断したアッシュがハンドガンを生成し、右肩に発砲する。
「ナッ!」

「申し訳ないです。無力化します!」
超雷撃剣フォトンデバッカー
電撃の一閃がエースの肉体を穿ち、その電圧で身体の自由が利かなくなり、地に伏せる。
「ここが……この肉体の…限………界なのか。報…告を……」

「何だったんだ」
口を開いたのはリュミエスだった。
彼女はエースが口に出したアリサという名に聞き覚えがあったのだ。
彼女というよりかは彼女の家系だが。
「謎ですね」

「だね。…それよりもだ。リュミエス。第七魔皇所持者だったんだね。意外だよ。こんなにも早く見つかるなんて」

「私も知らなかった!」

「…申し訳ございません」
ミレーヌに向かって深々と頭を下げる。
「…あとは少なくとも四人。シンゲツは判明しているから第一魔皇、第三魔皇、第四魔皇、第五魔皇。一体どんな能力を持ってるんだろう。早めにシンゲツを探し出して問わないといけないね」

「当面はそれが目的になりそうですね」

「…ならば、ミラルドの村に行くと良い」
エースの豹変ぶりを見てからだんまりしていたアヴァが話す。
「ミラルドの…村?」
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