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一章 始まった異世界での日常
No.18 望まぬ物②
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「この金属…」
「なんだ?何かやばいものなのか?」
「いや…これは凄いぞ」
「「?」」
「この金属はな…」
「「ウンウン」」
「1gあたり800マニーする金属だ!」
「「なっなんだってー!」」
この世界では1マニーの値段は日本円に換算して10円。
つまりこの金属は1gあたり8000円の価値があるといえることになる。
「おまッアッシュそれマジで言ってんのか?」
「マジだよ?」
「凄い…です」
「それで…問題が一つ」
「なんだよ」
「どうやってこれを持って帰る?」
「アァ!」
「出口ならそこにあるとして…」
アッシュは壁にある光の楕円の方を向く。
「これをどう持ち歩くかだな…」
「私がやりますよ」
「大丈夫なのか?」
「えぇ。魔力もだいぶ回復しましたし」
「それじゃあお願いするよ」
「かしこまりました」
ミレーヌが力の魔術で金属を浮かせる。
「アッシュ…」
「なに?」
「この金属には名前はあるのか?」
「うんあるよ?氷龍の鱗っていうね」
「…いかにもだな」
後で気づいたことだが、氷龍の鱗をよく見ると水色の小さな粒が辺りに散りばめられていることが分かった…
「それじゃあこれでなんとかダンジョンクリアだ」
石によって出来た空間を背にして、光の楕円を通過した…
外に出た…
辺り一面は草原が広がっており、吹いてくる風も心地よい。
本来ならばここで寝転んで暇な時間を過ごしていたであろう。
…本来ならば
「にしても手厚い歓迎であることで…」
その開放的な空間とは裏腹に、エース達3
人と、数十人の武装した集団が対峙していた。
「…あなた方は何者ですか」
アッシュが両手を上げて聞く。
「ギルドのもんだ。他のメンバーはどうした?あとその金属はなんだ」
「…他のメンバーは全滅。金属のことは話したくないね」
「…拒否できる立場にあると思うか?」
男の後ろの武装した集団が構える。
…ギルドの者だと言っていたが格好は兵士に近い。
「分かったよ。この金属は氷龍の鱗。超レア素材さ…おそらくこれがダンジョンの財宝ってヤツだよ」
「…信じられんな」
「その選択は君達に任せるんだけど…僕達に何しに来たの?」
アッシュが声のトーンを落とす。
なんとなく殺気を放っているのが感じ取れる。
「まずそこだったな…とにかく街で話そう。いいな」
「選択権がない以上行くしかないでしょ?」
草原を場違いな集団が進んでいく。
…しかし風は非常に心地よかった。
この状況の中で唯一の癒しであったのかも知れない。
「なんだ?何かやばいものなのか?」
「いや…これは凄いぞ」
「「?」」
「この金属はな…」
「「ウンウン」」
「1gあたり800マニーする金属だ!」
「「なっなんだってー!」」
この世界では1マニーの値段は日本円に換算して10円。
つまりこの金属は1gあたり8000円の価値があるといえることになる。
「おまッアッシュそれマジで言ってんのか?」
「マジだよ?」
「凄い…です」
「それで…問題が一つ」
「なんだよ」
「どうやってこれを持って帰る?」
「アァ!」
「出口ならそこにあるとして…」
アッシュは壁にある光の楕円の方を向く。
「これをどう持ち歩くかだな…」
「私がやりますよ」
「大丈夫なのか?」
「えぇ。魔力もだいぶ回復しましたし」
「それじゃあお願いするよ」
「かしこまりました」
ミレーヌが力の魔術で金属を浮かせる。
「アッシュ…」
「なに?」
「この金属には名前はあるのか?」
「うんあるよ?氷龍の鱗っていうね」
「…いかにもだな」
後で気づいたことだが、氷龍の鱗をよく見ると水色の小さな粒が辺りに散りばめられていることが分かった…
「それじゃあこれでなんとかダンジョンクリアだ」
石によって出来た空間を背にして、光の楕円を通過した…
外に出た…
辺り一面は草原が広がっており、吹いてくる風も心地よい。
本来ならばここで寝転んで暇な時間を過ごしていたであろう。
…本来ならば
「にしても手厚い歓迎であることで…」
その開放的な空間とは裏腹に、エース達3
人と、数十人の武装した集団が対峙していた。
「…あなた方は何者ですか」
アッシュが両手を上げて聞く。
「ギルドのもんだ。他のメンバーはどうした?あとその金属はなんだ」
「…他のメンバーは全滅。金属のことは話したくないね」
「…拒否できる立場にあると思うか?」
男の後ろの武装した集団が構える。
…ギルドの者だと言っていたが格好は兵士に近い。
「分かったよ。この金属は氷龍の鱗。超レア素材さ…おそらくこれがダンジョンの財宝ってヤツだよ」
「…信じられんな」
「その選択は君達に任せるんだけど…僕達に何しに来たの?」
アッシュが声のトーンを落とす。
なんとなく殺気を放っているのが感じ取れる。
「まずそこだったな…とにかく街で話そう。いいな」
「選択権がない以上行くしかないでしょ?」
草原を場違いな集団が進んでいく。
…しかし風は非常に心地よかった。
この状況の中で唯一の癒しであったのかも知れない。
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