四天王の姫

1章

プロローグ

中学の卒業式。それは最悪な形で終わった。


「宇野咲。」
「先生？」
「……｡」
「どうしたんですか？」

学校に来て式が始まるまで教室にい、友達と話していると後ろから自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。後ろを見ると悲しい顔をした先生がいた。

「宇野咲、お前の父さんが………」



「今さきほど息を引き取ったそうだ。」

「……え」

お父さんが、息を引き取った？死んだの？何かの間違いじゃなくて？うそ、僕まだ謝ってもらってない。行かなきゃ、嘘かもしれない。先生よく嘘つくから、また何かの間違いかもしれない

「何処ですか？父は今何処に居ますか？」
「××病院だ。」

行かなきゃ。行かなくちゃ。

「行くのか？」
「行かなきゃ行けないの」
「………わかった。先生の車に乗っていけ。送って行ってやる。」

お父さん。お父さんお父さん。僕まだ謝ってもらってないよ。パチンコしてた事。煙草をしてた事。お酒を飲んでた事。

僕を一人にしないって約束したのに1人にした事。

「まだ謝ってもらってないよっ！」
「…………」

涙を流す僕を見て見ぬふりをする先生が今は嬉しかった。






病院についたら看護師さんがお父さんに合わせてくれた。

「お父さん……」

お父さんはもうここにはいなかった。
父は交通事故で呆気なく死んだのだ。
一人になってしまった。
本当に一人になってしまった。
もう僕には誰もいない。


「君が、宇野咲 空叶君かな？」
「貴方は……誰ですか？」
「私は君のお母さんの父。つまり君のおじいちゃんだよ。」

自分のおじいちゃんと言った人はまだ若くてほうれい線が見えるけど髭もなくシミもない綺麗な肌だった。30歳と言われても違和感は無い。本当にこの人が僕のおじいちゃんなのか疑った。でも産まれてからこの十五年間母と祖父母に会ったことがないので本当なのかもという気持ちもあった。

「私の家に来ないかい？」

その言葉で僕の生活は180度変わった。



15歳
宇野咲 空叶
母は僕が産まれてすぐ亡くなり父は13歳まで僕を育ててくれた。
でも僕が14歳になると父はパチンコ、煙草、お酒に溺れ、遂には僕を虐待するようになった。
そんな父が卒業式当日に交通事故で亡くなった。
悲しみのあまり泣き崩れた僕の前に現れた自分の祖父と言う人に「家に来ないか。」と言われ、僕は祖父について行くことになった。
ずっと居た町から遠く離れた場所に行くことになり、僕は志望していた高校を断念する事になった。
そして、祖父母が紹介してくれた山の中にある高校に行く事になった。

この先何が起こるか宇野咲はまだ知らない。
その高校に行った事で宇野咲は新しい出会いをする。
彼らと宇野咲は上手くやって行けるのか。それはまだ分からない。