13 / 25
13 学校での生活 授業編
しおりを挟む
午後の授業になった。特に誰かに絡まれることなく、普通にここまでこれた。
普段から玲と武尊は学校で寝てばかり。特に問題を起こさない。たまーに喧嘩をして窓ガラスを割ったり、壁を壊したりするくらいだ。教師にとってはそれが問題なのだが、玲と武尊は普段から暴れたりしていない。
たまに喧嘩に巻き込まれたり、教師に呼び出されたりと、学校にも敵は多いが、玲はこれから卒業まで頑張らなければならない。
まずは、学校の授業をきちんとうけて出席日数を稼ぐこと。サボるわけにはいかない。その中で危険な授業が、体育だ。
玲は着替えをトイレで済ませたが、他にも問題はある。運動能力が落ちていることだ。
最悪なことに、今日は体力テスト。ただひたすら校庭を走るだけだ。なんの罰ゲームだと思うが、高校のカリキュラムにあったので仕方ない。
玲は体の調子が悪い中、わき腹を押さえて必死に走った。クラスメイトからは、玲が退院して弱っているのだと思われてしまったが、それでも玲は頑張って走った。
「玲。あんまり無茶するな。体がまだ作り替わってないんだろ?」
武尊が優しく声をかけてくれるが、玲は突っぱねる。
「俺はこの程度で負けねぇ」
「おいおい。何と戦ってんだよ。体育の評価が悪くても、出席さえあればなんとかなるだろ。無茶するな」
玲は額にものすごい汗を流している。
「いいから、先に行ってろ。俺は俺のペースで走る」
「そうか? 無茶するなよ玲」
武尊は先を走っていく。他の男子も玲を追い越していく。クラスの男子たちは弱っている玲を見て、もしかしたら、今なら喧嘩で勝てるんじゃねぇか? と玲を見ているが、武尊が睨みを利かせたので、すごすごと退散していく。
ぜーぜー言いながら、玲は校庭を走る。顔を上気させ、陸上部に負けてなるものかと、必死に走る。すでに周回遅れだが、玲は巻き返してやると頑張っている。
そこで、体育の教師からストップがかかった。ゴリラのような、体育教師からだ。
「おい玲! 無茶するな! お前は退院明けと聞いたぞ! こっちに来て休め!!」
今の時代、熱中症で倒れる子供は普通にいる。教師もこのようなケアは重要だ。ゴリラのような教師は、へとへとになっている玲に近づくと、肩を貸した。
「倒れられると、俺が困るんだよ! お前のようなクズでも、学校の生徒なんだからな!」
ゴリラ教師は不良の玲を嫌っているが、玲も生徒だ。救急車にでも運ばれたら、大ごとになる。
「いいか!? 面倒は起こすな! 俺の給料に響くんだよ! 分かったなら…………えっ!?」
ゴリラ教師は、玲の上気した顔を見てギョッとする。
「え!? お前、斉藤玲か?」
「あ? 何言ってやがる、ゴリラ」
「ゴリラって、お前な……、いや、でも」
ゴリラ教師は玲に肩を貸して、ドギマギする。
玲は顔を真っ赤にさせて、はぁはぁと息を切らせている。舌を少しだけ出して、目も潤ませている。汗だらけの体からは、女の子の甘酸っぱい香りが漂っている。
完全に女の子のような玲を見て、ゴリラ教師はびっくりする。
「れ、玲? お前、玲だよな?」
「あ? だから何言ってんだゴリラ」
玲は悪態をつくが、はぁはぁ息を切らせている。武尊が遠くから玲を心配していたが、教師が近くにいるので手が出せない。
「なんだか、体もやわらかいが、まあいい。とにかく休め。ちゃんと出席しておいたことにしてやる」
「そうか? あんたが俺に優しくするなんて珍しいな」
玲はゴリラ教師に向かって、ニコッと笑った。
玲の顔はとても整っており、美人化してきていたので、笑顔一つとっても破壊力がある。ゴリラ教師は玲の笑顔に魅了され、変な世界に目覚めそうだった。
「うっ」
校庭の隅まで肩を貸してやり、玲を下す。下手な女子生徒より可愛かったので、ゴリラ教師は信じられない。
「今日は見学していろ。無理はするなよ」
「おお。ありがとう」
玲はまた微笑む。すごく可愛い顔だ。普通にお礼を言っただけだが、ゴリラ教師には、玲が気があるように見えたかもしれない。
「うっ」
ゴリラ教師は玲の男の娘ぶりにたじろぎ、何も言わずに去っていく。それに気づかない玲は、「どうしたんだあの野郎は? いつもと態度が違うぞ。いつもなら引っ叩いても走らせるのに」とぼやいた。
「まぁいいか。体が慣れるまで休もう。今日はラッキーだな」
玲はまったく気づかなったが、クラスの男子には体力が無いことがばれ、体育教師には玲の異変を感じ取られ、かなりまずい状況になっていった。まだまだ病気が進行していくのに、早い段階で玲の症状に気付かれてしまった。
普段から玲と武尊は学校で寝てばかり。特に問題を起こさない。たまーに喧嘩をして窓ガラスを割ったり、壁を壊したりするくらいだ。教師にとってはそれが問題なのだが、玲と武尊は普段から暴れたりしていない。
たまに喧嘩に巻き込まれたり、教師に呼び出されたりと、学校にも敵は多いが、玲はこれから卒業まで頑張らなければならない。
まずは、学校の授業をきちんとうけて出席日数を稼ぐこと。サボるわけにはいかない。その中で危険な授業が、体育だ。
玲は着替えをトイレで済ませたが、他にも問題はある。運動能力が落ちていることだ。
最悪なことに、今日は体力テスト。ただひたすら校庭を走るだけだ。なんの罰ゲームだと思うが、高校のカリキュラムにあったので仕方ない。
玲は体の調子が悪い中、わき腹を押さえて必死に走った。クラスメイトからは、玲が退院して弱っているのだと思われてしまったが、それでも玲は頑張って走った。
「玲。あんまり無茶するな。体がまだ作り替わってないんだろ?」
武尊が優しく声をかけてくれるが、玲は突っぱねる。
「俺はこの程度で負けねぇ」
「おいおい。何と戦ってんだよ。体育の評価が悪くても、出席さえあればなんとかなるだろ。無茶するな」
玲は額にものすごい汗を流している。
「いいから、先に行ってろ。俺は俺のペースで走る」
「そうか? 無茶するなよ玲」
武尊は先を走っていく。他の男子も玲を追い越していく。クラスの男子たちは弱っている玲を見て、もしかしたら、今なら喧嘩で勝てるんじゃねぇか? と玲を見ているが、武尊が睨みを利かせたので、すごすごと退散していく。
ぜーぜー言いながら、玲は校庭を走る。顔を上気させ、陸上部に負けてなるものかと、必死に走る。すでに周回遅れだが、玲は巻き返してやると頑張っている。
そこで、体育の教師からストップがかかった。ゴリラのような、体育教師からだ。
「おい玲! 無茶するな! お前は退院明けと聞いたぞ! こっちに来て休め!!」
今の時代、熱中症で倒れる子供は普通にいる。教師もこのようなケアは重要だ。ゴリラのような教師は、へとへとになっている玲に近づくと、肩を貸した。
「倒れられると、俺が困るんだよ! お前のようなクズでも、学校の生徒なんだからな!」
ゴリラ教師は不良の玲を嫌っているが、玲も生徒だ。救急車にでも運ばれたら、大ごとになる。
「いいか!? 面倒は起こすな! 俺の給料に響くんだよ! 分かったなら…………えっ!?」
ゴリラ教師は、玲の上気した顔を見てギョッとする。
「え!? お前、斉藤玲か?」
「あ? 何言ってやがる、ゴリラ」
「ゴリラって、お前な……、いや、でも」
ゴリラ教師は玲に肩を貸して、ドギマギする。
玲は顔を真っ赤にさせて、はぁはぁと息を切らせている。舌を少しだけ出して、目も潤ませている。汗だらけの体からは、女の子の甘酸っぱい香りが漂っている。
完全に女の子のような玲を見て、ゴリラ教師はびっくりする。
「れ、玲? お前、玲だよな?」
「あ? だから何言ってんだゴリラ」
玲は悪態をつくが、はぁはぁ息を切らせている。武尊が遠くから玲を心配していたが、教師が近くにいるので手が出せない。
「なんだか、体もやわらかいが、まあいい。とにかく休め。ちゃんと出席しておいたことにしてやる」
「そうか? あんたが俺に優しくするなんて珍しいな」
玲はゴリラ教師に向かって、ニコッと笑った。
玲の顔はとても整っており、美人化してきていたので、笑顔一つとっても破壊力がある。ゴリラ教師は玲の笑顔に魅了され、変な世界に目覚めそうだった。
「うっ」
校庭の隅まで肩を貸してやり、玲を下す。下手な女子生徒より可愛かったので、ゴリラ教師は信じられない。
「今日は見学していろ。無理はするなよ」
「おお。ありがとう」
玲はまた微笑む。すごく可愛い顔だ。普通にお礼を言っただけだが、ゴリラ教師には、玲が気があるように見えたかもしれない。
「うっ」
ゴリラ教師は玲の男の娘ぶりにたじろぎ、何も言わずに去っていく。それに気づかない玲は、「どうしたんだあの野郎は? いつもと態度が違うぞ。いつもなら引っ叩いても走らせるのに」とぼやいた。
「まぁいいか。体が慣れるまで休もう。今日はラッキーだな」
玲はまったく気づかなったが、クラスの男子には体力が無いことがばれ、体育教師には玲の異変を感じ取られ、かなりまずい状況になっていった。まだまだ病気が進行していくのに、早い段階で玲の症状に気付かれてしまった。
14
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる