女体化してしまった俺と親友の恋

無名

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9 男から女へ

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 亜理沙の道場に入会手続きをして、その日はお開きになった。帰りはタクシーを使ったので、歩くこと無く、玲と武尊は家まで着いた。
 
 玲は帰ってきた早々、風呂に入る。ベタベタになった冷や汗が気持ち悪かったからだ。 

「はぁ。これから大変だな。こんなんで、生きてけんのかな?」

 玲は今まで男として生きてきた。セックスだって経験したし、オナニーだって沢山した。褒められた事では無いが、男として女を沢山抱いてきたのだ。

 玲の股の間には男の象徴がぶら下がっており、それが当たり前だ。それで女を泣かせてきたのだから。  

 玲は今更ながらに気づいた。当たり前が無くなる怖さを。当たり前の幸せを。

「あぁ、俺のちんこが無くなるかもしれん」 

 風呂に入りながら、一人で呟く。

 股間をみると、自慢のマグナムが発射不可能な状態まで縮んでいる。小学生低学年くらいに、ちんこが小さくなっている。

「医者の話では女性器が作られるとか、とんでもねぇ事を言ってたが、女の割れ目が出来始めたぞ。マジかよ」 

 玲は風呂に入りながら、自分の体を確認している。胸は、遂にBカップになった。腰のくびれも出来始めている。

「くそったれ! 筋肉だけは減らしたらなんねぇ!」

 玲は風呂場で腹筋をし始めた。胸をプルプル揺らしながら、腹筋を始めた。

「くそ! 胸が揺れて気持ち悪い! 見る分には良いが、やる方は最悪だ!」

 玲は風呂場で地団駄を踏む。

「なぜこんな事に。俺はこれからどうしたらいいんだ」

 鏡に自分の体を写し、絶望に浸る。

「もしも心まで女になったら、その時はどうする? 男とセックスすんのか?」

 玲は溜息をつきながら、一人の男を思い出す。

「武尊は、俺の事どう思うかな。気持ち悪いって思うかな?」

 玲は唯一の親友、武尊を想う。命がけで玲を助けてくれた時は、結構ドキドキした。ヒーローみたいに不良を全員倒してたら、別に何も思わなかったかも知れない。傷ついても、坊主にされるかも知れない状況でも、自分のプライドを捨てて助けてくれた。なぜか、あの時はカッコ良く見えた。  

 玲は武尊を思ってウットリする。

「ハッ!? ちょっと待て! 何で俺があいつをカッコ良いだなんて思うんだ!?」 

 病気になる前なら、武尊が自分をどう思っているかなんて、考えもしなかった。それが、今は頭の中いっぱいに広がっている。

「うぅ。あいつのことしか考えらんねぇ。どうなってんだ俺は。まさかもう、俺の心が?」

 玲は膨らんだ胸を見るのが嫌になり、武尊のことを考えるのが嫌になり、風呂から上がってさっさと寝た。


 

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