33 / 35
33
しおりを挟む
俺はガタガタの身体で必死に斬撃を止める。止めきれなかった勢いに、踏鞴を踏んてしまったが。
樒はと言えば、勿論これを好機と捉え、更にもう一太刀、もう二太刀と浴びせてくる。
誰がどう見たって、億が一にも俺が勝つことはありえないだろう。それどころか、引き分けに持ち込む事すら……。
「――くっ」
思わず小さな声を漏らす。
押されるばかりで、一向に攻撃に転じる事が出来ない。
「おっと、足が滑っちゃった」
言葉の意味を理解するよりも先に、俺の身体は浮遊感を覚える。気持ちの悪い感覚はいつまでも続く筈もなく、俺は背中からぐしゃりと《床》に倒れ込んだ。
つまり、俺はまたしても、足払いを掛けられて仰向けに転倒したのである。
「蓮夜!」
俺の名を呼ぶ声は、モモとセンの二人の物だった。
「ふふ、蓮夜はやっぱり可愛いなぁ」
二人に「大丈夫」という事も出来ず、ただ樒《敵》を見る。これも、睨む事すら出来ていない。
彼は俺に剣の切っ先を向けて、にっこりと笑っていた。
「はーい、胸にお注射入りまーす」
陽気な声と物騒な言葉。
「ちょ――」
一秒どころか刹那の躊躇いすらなく、俺の言葉の出番は塗り潰されて、注射針《レイピア》は俺の胸に振り下ろされた。
「ぐっ」とか「がっ」とか、とにかく俺が意図しない形で、自分の物とは思えない声が吐き出される。
「茜音は近づいちゃ駄目だよ。蓮夜に成り代わられちゃうから、動かないでね。百合は……ま、動けなさそうだからどうでもいいや」
樒の言葉から、センが俺に近づこうとしていた事が容易に想像出来た。それから、百合が受けている樒の侵食が、少しずつ進んでいる事も。
「大丈夫、彼はこのくらいじゃ死なないし、死ねないから」
ずし、と、鳩尾の辺りに重みを感じた。どうやら樒が俺に馬乗りになったらしい。
指の少ない手と、五本の指がある手。その二つが俺の首に伸ばされた。
ひやっとした心地の悪い温度が、俺に纏わりつく。
「そんなに百合が好き?」
「……あぁ、好きだ」
樒は歪んだ笑みを浮かべた。
「あの百合が好きなの? 僕じゃなくて? 僕だって百合なんだよ。今から成り代わるんだから、また主人公《ヒロイン》の百合になる。それじゃあダメなの?」
……俺には今の樒が、どこか悲しげな表情を浮かべている百合に見えた。けれどこいつは、百合じゃない。
今大切にしたいのは、しなければいけないのは、モモなのだ。
罪悪感はある。迷いもする。樒が百合に見えてくる。
けれど、それでも、俺は僅かに頷いた。
「ふーん、そう」
ぎり、と、首に纏わりつく温度に力が込められた。
酸素だとか窒素だとか二酸化炭素だとか、そう言った物の需要と供給が絶たれて、俺は金魚のように口をパクパクと動かす。これは、人間ではないが、そういった肉体の本能なのだろう。
「あーあ、蓮夜がもうちょっと可愛くなってくれればいいのになー。嫉妬しちゃうなー、羨んじゃうなー好き過ぎて殺したいなー」
首がへし折れる程ではないが、かなり強い力で締め上げられている。
……それでも、彼女の反応は尤もであり、酷いとは言えない。俺が、そうさせてしまっているのだから。
「でも、そうまでして大切にされちゃう百合に、早く成りたくなってきちゃった。これはこれで楽しいぞー♪」
唐突に締めつけから解放された。それから、鳩尾の辺りの重みからも。
百合が……いや、樒が俺から退けて、モモに向き直りに行ったのだ。俺の胸に突き立てた剣はそのままにして。
「侵食、開始。なーんてね」
樒は笑顔を浮かべると、掃除屋《シュウセイシャ》を閉じ込めていた壁を消失させた。と、同時に、俺の胸に刺さっていた剣も液体になって消えた。後に残っている黒は、俺の胸から噴き出している退色血《スミゾメ》だけ。
「あ、先輩開きましたよぉ!」
「お前の開けゴマのおかげか」
「そうに違いないです!」
んな訳ないだろ、馬鹿。俺が内心で毒づいた相手――能漸と藤は、バタバタとこちらに近づいてくる。
代わりに、壁と剣だった退色血《スミゾメ》は全て樒の元へと集まり、百合を染めていく。
「モモ!」
「止めて! 樒、止めてよ!」
俺は必死に身を起こしながらモモを呼び、センは樒に静止の声を掛ける。藤は樒に特攻しようとしたが、能漸に首根っこを掴まれた。
「あいつ――!」
「待て!」
藤が石鹸《ケシゴム》を持ち上げた所で、彼女を捕まえたままの能漸に止められた。
「このままだと、公庄百合や公森茜音にあたる可能性が高い。次にあんなことになったら……」
「それは、確かに……」
何があったのか知らないが、あいつらに頼れない事だけは分かった。
「じゃ、みんな指をくわえて待っててよ」
「……困る」
樒は楽しそうな声を上げたが、すぐ傍のモモが首を振る。
どんどん黒くなって、モモであれる場所なんてもう殆ど無い。それでも、中身はまだモモだ。いつまでもつかは分からないが、まだチャンスはあるかもしれない。
俺はよろめきながら立ち上がり、刀の切っ先を樒に向けてた。
こいつを、殺さなくてはいけない。そして、こいつを俺の中に取り込まなきゃいけない。
俺は勝たなくてはいけない。俺はモモを守らなければいけない。
たとえ樒が、百合だったとしても。
本当に、消してしまわないといけないんだ。二度と会えないんだ。あの百合に、もう会う機会なんてなくなる。
だけど、どうにかしないといけない。どうにかしなければ、と、口にしたり思ったりするだけじゃあ駄目なんだ。
「やっぱりわたしはわたしだから、困る」
モモははっきりと自分の気持ちを口にすると、退色血《スミゾメ》にまみれた手で、樒に抱き着いた。
「蓮夜、こいつを早く! わたしが抑えている内に!」
「あー、もう! 百合は可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない。最後のあがきとか止めてよ。僕と同じじゃん。ワタシと同じじゃん。ワタシはもっと蓮夜と居たいのに。邪魔しないでよ百合《ニセモノ》」
あぁ、そうだ。百合なんだ。でも、モモは偽物じゃなくて、本当に百合で……二人とも百合で……。
樒はと言えば、勿論これを好機と捉え、更にもう一太刀、もう二太刀と浴びせてくる。
誰がどう見たって、億が一にも俺が勝つことはありえないだろう。それどころか、引き分けに持ち込む事すら……。
「――くっ」
思わず小さな声を漏らす。
押されるばかりで、一向に攻撃に転じる事が出来ない。
「おっと、足が滑っちゃった」
言葉の意味を理解するよりも先に、俺の身体は浮遊感を覚える。気持ちの悪い感覚はいつまでも続く筈もなく、俺は背中からぐしゃりと《床》に倒れ込んだ。
つまり、俺はまたしても、足払いを掛けられて仰向けに転倒したのである。
「蓮夜!」
俺の名を呼ぶ声は、モモとセンの二人の物だった。
「ふふ、蓮夜はやっぱり可愛いなぁ」
二人に「大丈夫」という事も出来ず、ただ樒《敵》を見る。これも、睨む事すら出来ていない。
彼は俺に剣の切っ先を向けて、にっこりと笑っていた。
「はーい、胸にお注射入りまーす」
陽気な声と物騒な言葉。
「ちょ――」
一秒どころか刹那の躊躇いすらなく、俺の言葉の出番は塗り潰されて、注射針《レイピア》は俺の胸に振り下ろされた。
「ぐっ」とか「がっ」とか、とにかく俺が意図しない形で、自分の物とは思えない声が吐き出される。
「茜音は近づいちゃ駄目だよ。蓮夜に成り代わられちゃうから、動かないでね。百合は……ま、動けなさそうだからどうでもいいや」
樒の言葉から、センが俺に近づこうとしていた事が容易に想像出来た。それから、百合が受けている樒の侵食が、少しずつ進んでいる事も。
「大丈夫、彼はこのくらいじゃ死なないし、死ねないから」
ずし、と、鳩尾の辺りに重みを感じた。どうやら樒が俺に馬乗りになったらしい。
指の少ない手と、五本の指がある手。その二つが俺の首に伸ばされた。
ひやっとした心地の悪い温度が、俺に纏わりつく。
「そんなに百合が好き?」
「……あぁ、好きだ」
樒は歪んだ笑みを浮かべた。
「あの百合が好きなの? 僕じゃなくて? 僕だって百合なんだよ。今から成り代わるんだから、また主人公《ヒロイン》の百合になる。それじゃあダメなの?」
……俺には今の樒が、どこか悲しげな表情を浮かべている百合に見えた。けれどこいつは、百合じゃない。
今大切にしたいのは、しなければいけないのは、モモなのだ。
罪悪感はある。迷いもする。樒が百合に見えてくる。
けれど、それでも、俺は僅かに頷いた。
「ふーん、そう」
ぎり、と、首に纏わりつく温度に力が込められた。
酸素だとか窒素だとか二酸化炭素だとか、そう言った物の需要と供給が絶たれて、俺は金魚のように口をパクパクと動かす。これは、人間ではないが、そういった肉体の本能なのだろう。
「あーあ、蓮夜がもうちょっと可愛くなってくれればいいのになー。嫉妬しちゃうなー、羨んじゃうなー好き過ぎて殺したいなー」
首がへし折れる程ではないが、かなり強い力で締め上げられている。
……それでも、彼女の反応は尤もであり、酷いとは言えない。俺が、そうさせてしまっているのだから。
「でも、そうまでして大切にされちゃう百合に、早く成りたくなってきちゃった。これはこれで楽しいぞー♪」
唐突に締めつけから解放された。それから、鳩尾の辺りの重みからも。
百合が……いや、樒が俺から退けて、モモに向き直りに行ったのだ。俺の胸に突き立てた剣はそのままにして。
「侵食、開始。なーんてね」
樒は笑顔を浮かべると、掃除屋《シュウセイシャ》を閉じ込めていた壁を消失させた。と、同時に、俺の胸に刺さっていた剣も液体になって消えた。後に残っている黒は、俺の胸から噴き出している退色血《スミゾメ》だけ。
「あ、先輩開きましたよぉ!」
「お前の開けゴマのおかげか」
「そうに違いないです!」
んな訳ないだろ、馬鹿。俺が内心で毒づいた相手――能漸と藤は、バタバタとこちらに近づいてくる。
代わりに、壁と剣だった退色血《スミゾメ》は全て樒の元へと集まり、百合を染めていく。
「モモ!」
「止めて! 樒、止めてよ!」
俺は必死に身を起こしながらモモを呼び、センは樒に静止の声を掛ける。藤は樒に特攻しようとしたが、能漸に首根っこを掴まれた。
「あいつ――!」
「待て!」
藤が石鹸《ケシゴム》を持ち上げた所で、彼女を捕まえたままの能漸に止められた。
「このままだと、公庄百合や公森茜音にあたる可能性が高い。次にあんなことになったら……」
「それは、確かに……」
何があったのか知らないが、あいつらに頼れない事だけは分かった。
「じゃ、みんな指をくわえて待っててよ」
「……困る」
樒は楽しそうな声を上げたが、すぐ傍のモモが首を振る。
どんどん黒くなって、モモであれる場所なんてもう殆ど無い。それでも、中身はまだモモだ。いつまでもつかは分からないが、まだチャンスはあるかもしれない。
俺はよろめきながら立ち上がり、刀の切っ先を樒に向けてた。
こいつを、殺さなくてはいけない。そして、こいつを俺の中に取り込まなきゃいけない。
俺は勝たなくてはいけない。俺はモモを守らなければいけない。
たとえ樒が、百合だったとしても。
本当に、消してしまわないといけないんだ。二度と会えないんだ。あの百合に、もう会う機会なんてなくなる。
だけど、どうにかしないといけない。どうにかしなければ、と、口にしたり思ったりするだけじゃあ駄目なんだ。
「やっぱりわたしはわたしだから、困る」
モモははっきりと自分の気持ちを口にすると、退色血《スミゾメ》にまみれた手で、樒に抱き着いた。
「蓮夜、こいつを早く! わたしが抑えている内に!」
「あー、もう! 百合は可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない。最後のあがきとか止めてよ。僕と同じじゃん。ワタシと同じじゃん。ワタシはもっと蓮夜と居たいのに。邪魔しないでよ百合《ニセモノ》」
あぁ、そうだ。百合なんだ。でも、モモは偽物じゃなくて、本当に百合で……二人とも百合で……。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
こちら夢守市役所あやかしよろず相談課
木原あざみ
キャラ文芸
異動先はまさかのあやかしよろず相談課!? 変人ばかりの職場で始まるほっこりお役所コメディ
✳︎✳︎
三崎はな。夢守市役所に入庁して三年目。はじめての異動先は「旧館のもじゃおさん」と呼ばれる変人が在籍しているよろず相談課。一度配属されたら最後、二度と異動はないと噂されている夢守市役所の墓場でした。 けれど、このよろず相談課、本当の名称は●●よろず相談課で――。それっていったいどういうこと? みたいな話です。
第7回キャラ文芸大賞奨励賞ありがとうございました。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
※毎日18時更新予定です。
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる