19 / 30
19
しおりを挟む
『魔王様、何故止める』
ブレスは無し、と言ったはずだが、どうにも彼女は怒ってしまって忘れてしまっているらしい。えーっと、とりあえず全体的に被害が無いようにお願いし直そう。
「あいつ、畑の方に行った! 畑も、人間の街も守ってくれ!」
もうちょっとだけ腕に力を入れれば、ここから俺だけ上手い事出る、って事は出来るだろうか? ちょっとってどのくらい?
『あいつは魔王様を傷つけた』
「傷ついてないから、畑を傷つけないで!」
俺の目の端で、マンティコアが畑に一直線に向かっている。肉食だと思っていたが、野生になって雑食に目覚めたのだろうか。
あいつに踏み込まれたら、ちょっと齧るピーマン如きじゃどうにもならないし、マンドラゴラの精神攻撃だって利きそうにもない。ここはやはり、レイラに頑張って貰いたいのだ。
俺は俺で、ここから頑張って出るから。
『……わかった』
不満そうではあるが、レイラが羽ばたく。そして、畑へと向かっているマンティコアへと急降下し、首筋に噛みついた。
マンティコアは随分と苦しそうではあるが、瘴気を吐き出し、しっぽの毒で攻撃を続ける。
……あまり遅くなって、レイラに毒を浴びせ続けるのもよくない。やはり少しだけ力を入れて、ここから這い出し、少しだけ力を入れて、あいつから足をもごう。
動けなくすれば、多少は倒しやすくなるはずだ。
せーの! うううううん!!!
あ、周りにちょっとヒビが入った。同時に足の下に亀裂が入った気配がする。
どうしよう。地形、変わるかも?
「サイラス……」
「ん?」
唐突に声を掛けられ、俺は首だけでそちらを見た。
勇者が、心配そうにしゃがみ込んでいた。そう言えばいたな、こいつ。マンティコアを狩って食べる事に意識がいっていたせいで忘れてた。
「それ、出られる?」
「出られるんだが、地形が変わりそうで困ってたんだよ」
力を入れただけで足元にひびが入るって、腕に力を入れるはずがよけいな部分にも入ってるて事だよな。上手くいかない。
「君さえ嫌じゃなければ、助けさせては貰えないかな?」
「願ったり叶ったりだ! 俺はどうすればいい?」
ただ手伝って貰うだけじゃ、申し訳ない。何か出来る事があったら言ってほしい。
……俺は土の中に埋まっているが。
「そ、そのままでいいよ」
「抜けた時に褒めちぎったりしなくてもいい?」
「何で!? いらないよ!」
マンドラゴラが抜けた時に傷つけて来るから、逆に良い気分にしてみてはどうかと考えたが、勇者には不要だったらしい。
「大地の精霊よ。我に力を」
魔王とは縁遠い呪文。そう言えば人間は個体によって魔法を使える奴がいるんだっけ。
俺がそんな事を考えていると、俺の周りの土だけが柔らかくなっていく。あとは這い出るだけか、と考え、手近な地面に手をつくと、もろりと崩れた。
「サイラス、ストップ!」
「え?」
俺が更に近くの地面を触ってもろりと崩したところで、勇者に止められる。
「そのまま手をつくと、アリジゴクだから」
「アリジゴク……」
勇者はウチの納屋から持ってきたらしい、新たな鍬を地面に突き立てると、俺に手を差し伸べる。
「人間程度に力を入れて掴んで」
「わかった」
人間以上に力を入れたら、勇者の手が吹っ飛ぶもんな。
俺が勇者の手を取ると、勇者は突き立てた鍬を掴みながら俺を引っ張り上げる。ずるり、ずるりと、柔らかくさらさらとした土になったその場所から、俺の身体は徐々に出た。
それにしてもこの土……水はけがよさそうだな。今度ちょっと使ってみたい。
「よし、出たよ」
「おお、ありがとう! 凄いなー、勇者は。力の使い方が上手い! しかもちゃんとピンチのタイミングで現われて、本当に勇者さまさまだ」
「褒めなくてもいいから」
褒めなくてもいいの? ありがたかったからいっぱいお礼を言ったつもりだったが、勇者には不要だったらしい。苦笑いを浮かべている。
「大体にして、あんなに強い奴を押し付けてしまったのは僕の方だ」
「いや、強くは無いぞ」
「え? でもあんなに苦戦して……」
「いや、強くは無い」
苦戦といえば苦戦だが、枷になる物があるからこその苦戦であり、イコールで相手が強いとは思っていない。
普通の物よりもサイズが大きいから、食いではあると思っているが。
「魔王パワーでどうにかすると地形が変わるし、マンティコアの存在は消滅するし、場合によっては人間の街に被害が出るから困ってただけで」
「……チート」
「チーズじゃなくて、魔王パワーだって」
「いや、チーズじゃなくて……あっ、もういいです」
チーズだかチートだか知らないが、溢れんばかりの魔力と、強大過ぎてコントロールが難しい力。それが魔王パワーだ。美味しくは無い。
「……改めて頼む。あれを倒して欲しい。僕じゃあアレは倒せない」
勇者が深々と俺に頭を下げた。
「僕も大概チート転生だと思ってたんだけどな」
「いや、勇者は人間。俺は魔王。力の差は仕方ないって」
顔を上げれば、自嘲気味に笑っていた。いやいや、勇者は悪くない。人間にしては凄い方だとは思うけど。
「じゃ、ちょっと夕食を狩ってくるから、その鍬を貸してくれ」
「あ、うん」
今まで勇者が軸にしていた鍬を借りると、俺はマンティコアへと向き直った。
意外な事に、レイラとは接戦だ。
「ちょっと行ってくるから、ここは頼んだぞ」
勇者が頷く。
「あ、そうだ。レイラの服には触るなよ!」
「えっ、あっ、そうか!」
あ、余計なひと言だったかも。いや、今はそれよりもマンティコアのお肉だ。
俺は鍬を片手に加速すると、畑の前で止まる。
マンティコアとレイラが、お互いを噛み合って大変な事になっていた。
……これは流石にちょっとだけでも力を込めねばなるまい。俺の我儘でレイラに傷を負わせているのだ。
「レイラ、もういい」
『しかし、こいつの息の根を止めていない』
「大丈夫だ。俺が息の根を止め、しっかり血抜きしてやる」
俺はレイラを宥め、そしてそっと撫でた。
何度も毒針を刺された場所の鱗は剥げ、血が滴っている。呑気に穴から出られないとか言っている場合じゃなかった。
こいつは俺が狩り、皆で食べる。必ずだ。
ブレスは無し、と言ったはずだが、どうにも彼女は怒ってしまって忘れてしまっているらしい。えーっと、とりあえず全体的に被害が無いようにお願いし直そう。
「あいつ、畑の方に行った! 畑も、人間の街も守ってくれ!」
もうちょっとだけ腕に力を入れれば、ここから俺だけ上手い事出る、って事は出来るだろうか? ちょっとってどのくらい?
『あいつは魔王様を傷つけた』
「傷ついてないから、畑を傷つけないで!」
俺の目の端で、マンティコアが畑に一直線に向かっている。肉食だと思っていたが、野生になって雑食に目覚めたのだろうか。
あいつに踏み込まれたら、ちょっと齧るピーマン如きじゃどうにもならないし、マンドラゴラの精神攻撃だって利きそうにもない。ここはやはり、レイラに頑張って貰いたいのだ。
俺は俺で、ここから頑張って出るから。
『……わかった』
不満そうではあるが、レイラが羽ばたく。そして、畑へと向かっているマンティコアへと急降下し、首筋に噛みついた。
マンティコアは随分と苦しそうではあるが、瘴気を吐き出し、しっぽの毒で攻撃を続ける。
……あまり遅くなって、レイラに毒を浴びせ続けるのもよくない。やはり少しだけ力を入れて、ここから這い出し、少しだけ力を入れて、あいつから足をもごう。
動けなくすれば、多少は倒しやすくなるはずだ。
せーの! うううううん!!!
あ、周りにちょっとヒビが入った。同時に足の下に亀裂が入った気配がする。
どうしよう。地形、変わるかも?
「サイラス……」
「ん?」
唐突に声を掛けられ、俺は首だけでそちらを見た。
勇者が、心配そうにしゃがみ込んでいた。そう言えばいたな、こいつ。マンティコアを狩って食べる事に意識がいっていたせいで忘れてた。
「それ、出られる?」
「出られるんだが、地形が変わりそうで困ってたんだよ」
力を入れただけで足元にひびが入るって、腕に力を入れるはずがよけいな部分にも入ってるて事だよな。上手くいかない。
「君さえ嫌じゃなければ、助けさせては貰えないかな?」
「願ったり叶ったりだ! 俺はどうすればいい?」
ただ手伝って貰うだけじゃ、申し訳ない。何か出来る事があったら言ってほしい。
……俺は土の中に埋まっているが。
「そ、そのままでいいよ」
「抜けた時に褒めちぎったりしなくてもいい?」
「何で!? いらないよ!」
マンドラゴラが抜けた時に傷つけて来るから、逆に良い気分にしてみてはどうかと考えたが、勇者には不要だったらしい。
「大地の精霊よ。我に力を」
魔王とは縁遠い呪文。そう言えば人間は個体によって魔法を使える奴がいるんだっけ。
俺がそんな事を考えていると、俺の周りの土だけが柔らかくなっていく。あとは這い出るだけか、と考え、手近な地面に手をつくと、もろりと崩れた。
「サイラス、ストップ!」
「え?」
俺が更に近くの地面を触ってもろりと崩したところで、勇者に止められる。
「そのまま手をつくと、アリジゴクだから」
「アリジゴク……」
勇者はウチの納屋から持ってきたらしい、新たな鍬を地面に突き立てると、俺に手を差し伸べる。
「人間程度に力を入れて掴んで」
「わかった」
人間以上に力を入れたら、勇者の手が吹っ飛ぶもんな。
俺が勇者の手を取ると、勇者は突き立てた鍬を掴みながら俺を引っ張り上げる。ずるり、ずるりと、柔らかくさらさらとした土になったその場所から、俺の身体は徐々に出た。
それにしてもこの土……水はけがよさそうだな。今度ちょっと使ってみたい。
「よし、出たよ」
「おお、ありがとう! 凄いなー、勇者は。力の使い方が上手い! しかもちゃんとピンチのタイミングで現われて、本当に勇者さまさまだ」
「褒めなくてもいいから」
褒めなくてもいいの? ありがたかったからいっぱいお礼を言ったつもりだったが、勇者には不要だったらしい。苦笑いを浮かべている。
「大体にして、あんなに強い奴を押し付けてしまったのは僕の方だ」
「いや、強くは無いぞ」
「え? でもあんなに苦戦して……」
「いや、強くは無い」
苦戦といえば苦戦だが、枷になる物があるからこその苦戦であり、イコールで相手が強いとは思っていない。
普通の物よりもサイズが大きいから、食いではあると思っているが。
「魔王パワーでどうにかすると地形が変わるし、マンティコアの存在は消滅するし、場合によっては人間の街に被害が出るから困ってただけで」
「……チート」
「チーズじゃなくて、魔王パワーだって」
「いや、チーズじゃなくて……あっ、もういいです」
チーズだかチートだか知らないが、溢れんばかりの魔力と、強大過ぎてコントロールが難しい力。それが魔王パワーだ。美味しくは無い。
「……改めて頼む。あれを倒して欲しい。僕じゃあアレは倒せない」
勇者が深々と俺に頭を下げた。
「僕も大概チート転生だと思ってたんだけどな」
「いや、勇者は人間。俺は魔王。力の差は仕方ないって」
顔を上げれば、自嘲気味に笑っていた。いやいや、勇者は悪くない。人間にしては凄い方だとは思うけど。
「じゃ、ちょっと夕食を狩ってくるから、その鍬を貸してくれ」
「あ、うん」
今まで勇者が軸にしていた鍬を借りると、俺はマンティコアへと向き直った。
意外な事に、レイラとは接戦だ。
「ちょっと行ってくるから、ここは頼んだぞ」
勇者が頷く。
「あ、そうだ。レイラの服には触るなよ!」
「えっ、あっ、そうか!」
あ、余計なひと言だったかも。いや、今はそれよりもマンティコアのお肉だ。
俺は鍬を片手に加速すると、畑の前で止まる。
マンティコアとレイラが、お互いを噛み合って大変な事になっていた。
……これは流石にちょっとだけでも力を込めねばなるまい。俺の我儘でレイラに傷を負わせているのだ。
「レイラ、もういい」
『しかし、こいつの息の根を止めていない』
「大丈夫だ。俺が息の根を止め、しっかり血抜きしてやる」
俺はレイラを宥め、そしてそっと撫でた。
何度も毒針を刺された場所の鱗は剥げ、血が滴っている。呑気に穴から出られないとか言っている場合じゃなかった。
こいつは俺が狩り、皆で食べる。必ずだ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
管理官と問題児
二ノ宮明季
ファンタジー
精術師と魔法使い(https://www.alphapolis.co.jp/novel/420208950/71763157)のスピンオフ小説です。
国家機関である就職管理局に属するジギタリスが主人公となり、国の組織として様々な問題を解決していきます。
出来るだけこれだけでも楽しめるようにしていますが、「精術師と魔法使い」と深く絡んでいる内容となっています。
小説家になろうにも同様の作品を掲載しています。
また、名義としましては、プロットとイラストに芝桜さん(@kirakira3daikon)を加えた「二ノ宮芝桜」となっております。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる