7 / 35
7. 瘴気
しおりを挟む
森を抜けて街道に出る。
遠巻きに街の入り口を見ると、物々しい様子を醸し出す兵士の姿があった。
「東に迂回して北上しよう。しばらく歩くが大丈夫か?」
「はい。東へ行くと……ロックス伯の領地に入ることになりますね」
「そのとおりだ。エムザラは貴族の派閥については詳しいのか?」
グリムの問いに私は首肯する。
政治的な事情は、政務を通して把握していた。
領地経営を通して、他の諸侯の情報も仕入れる必要があったから。
とはいえ私に裁量権はなく、お父様の代わりに仕事を押しつけられていた……というのが正しい。
「ロックス伯といえば、あまり信用がない方ですよね」
隠れて歩く道すがら、グリムから説明を受ける。
「ああ。ロックス伯爵の二つ名は『薄情な風見鶏』……王国に属しているが、親帝国派の側面も併せ持つ。
領地が帝国に接しているからこそ、見事な政治的な手腕がなければ生き残れない。ロックス伯とは俺も親交がある。事情を話せば匿ってもらえるはずだ」
「ロックス伯と面識はありませんが、常に警戒していました。彼の領地から間者などが入り込まないように……」
「王国の貴族からしたら、いつ帝国に寝返るかわからない存在だからね。目の上のたんこぶってやつだろう」
そんな人を信じてもいいのだろうか。
たけど、私はグリムを信じている。
だからグリムの信じるロックス伯も信じようと思う。
街からはそれなりに離れて、木立の中に伸びる道に入った。
ここまで来れば安心だろう……安堵したときだった。
ふと、頬に冷たいものが触れた。
……雨だ。
ひとつ、ふたつと水滴は増えていき、やがて本格的に雨が降りだした。
「チッ……こんなときに限って。だが、追手の足も遅くなるはずだ。体が冷える前に、雨を凌げる場所を探さないとな」
雨を凌げる場所……周囲をぐるりと見渡す。
木々の葉の隙間に、黒い靄のようなものが。
あれは聖女の私にとって見慣れたものだ。
「グリム、こちらへ」
「ん」
枝に擦れないように気をつけながら、木々の間を縫って進む。
視界が開けると、そこにはぽっかりと口を空けた洞窟があった。
しかし入ることはできない。
洞窟の入り口に、紫色の霧がある。
「これは……瘴気、か?」
顔をしかめるグリム。
瘴気は大地から沸き出るもので、常人が近づけば健康に害を及ぼす。
「私が払いますね。グリムは離れていてください」
雨を打たれながら、私は瘴気に歩み寄る。
聖女は影響を受けない。
そっと紫紺の霧に触れて力を籠めると――
一気に霧が払われた。
洞窟の中もよく見通せるようになる。
どうやらそこまで深くはない、行き止まりのほら穴のようだ。
「これが聖女の力か……すごいな。もう危険はないのか?」
「問題ありません。中に入って雨風を凌ぐには充分でしょう」
私はグリムが不安にならないように率先して入る。
すると彼もすぐ後を追ってきた。
中はひんやりとしている。
しかし、雨に打たれるよりは体温の低下を防げるだろう。
「エムザラのおかげで助かった。すぐに火を起こそう。寒いだろう」
「ええ、少し」
グリムは手際よく火起こしに取りかかる。
私も手伝いたいところだが、やり方がわからなかった。
彼の髪から滴る水滴が、ぽたりと地面に落ちる。
私の髪もすっかり濡れてしまった。
パチンと大きな音が鳴って、薪が燃え上がる。
私は慎重に焚火に近づいた。
そして服の裾を持ち上げて……
「ちょっと待て。……何をしている?」
「……? えっと、服を乾かそうと」
「あのな、少しは人目を気にした方がいい。君は令嬢だろう」
恥ずかしそうにうつむきながら、グリムは呆れたように言った。
もちろん、普段は他の人の前で服を脱いだりしないけれど……今は気にしている場合ではないと思った。
「すみません……グリムなら別にいいと思ったので」
「……だから、そういうことは……」
彼が今まで見なかったような表情を見せる。
困っているようだった。
「困らせてしまってすみません……」
「別にいい。少し抜けたところもかわいいじゃないか」
「か、かわいい……ですか?」
彼を迷惑をかけてしまうのは本意ではない。
その一方で、もっと彼の新しい表情を見てみたいという思いもある。
「俺は後ろを向いてるから、濡れた服だけ脱いで外套を羽織ってくれ」
「わかりました」
言われるがまま着替える。
濡れてしまった服を脱いで、その上にぶかぶかとした大きめの外套を。
「終わりました」
「ああ。とにかく体温を下げないように。
風邪をひかれても嫌だから」
服を脱いで肩まで出したせいで、外套を羽織っていても寒い。
もっと火に近づきたいけれど、やけどしてしまうかも。
「グリム。寒いです、少しだけ」
「強がらなくていい。ほら」
正直に気持ちを伝える。
私が体調を崩してしまったりしたら、かえってグリムの迷惑になってしまう。
彼は少し迷った素振りを見せたが、大人しく私の隣に座って……私を抱きしめてくれた。
「あ、ありがとうございます……なんだか不思議な気分ですね」
「こうして君の近くにいられて……俺は幸せだ」
グリムの体温を感じる。
息づかいも近くで感じて、あたたかい。
ここまで近くで、誰かに触れてもらったことはない。
婚約者のゼパルグ殿下とも、手を組んだことすらなくて。
おそらく……これからもグリム以外の人に抱きしめてもらうことなんてないだろう。
彼はいま、幸せだと言った。
私も幸せ……なのだと思う。
遠巻きに街の入り口を見ると、物々しい様子を醸し出す兵士の姿があった。
「東に迂回して北上しよう。しばらく歩くが大丈夫か?」
「はい。東へ行くと……ロックス伯の領地に入ることになりますね」
「そのとおりだ。エムザラは貴族の派閥については詳しいのか?」
グリムの問いに私は首肯する。
政治的な事情は、政務を通して把握していた。
領地経営を通して、他の諸侯の情報も仕入れる必要があったから。
とはいえ私に裁量権はなく、お父様の代わりに仕事を押しつけられていた……というのが正しい。
「ロックス伯といえば、あまり信用がない方ですよね」
隠れて歩く道すがら、グリムから説明を受ける。
「ああ。ロックス伯爵の二つ名は『薄情な風見鶏』……王国に属しているが、親帝国派の側面も併せ持つ。
領地が帝国に接しているからこそ、見事な政治的な手腕がなければ生き残れない。ロックス伯とは俺も親交がある。事情を話せば匿ってもらえるはずだ」
「ロックス伯と面識はありませんが、常に警戒していました。彼の領地から間者などが入り込まないように……」
「王国の貴族からしたら、いつ帝国に寝返るかわからない存在だからね。目の上のたんこぶってやつだろう」
そんな人を信じてもいいのだろうか。
たけど、私はグリムを信じている。
だからグリムの信じるロックス伯も信じようと思う。
街からはそれなりに離れて、木立の中に伸びる道に入った。
ここまで来れば安心だろう……安堵したときだった。
ふと、頬に冷たいものが触れた。
……雨だ。
ひとつ、ふたつと水滴は増えていき、やがて本格的に雨が降りだした。
「チッ……こんなときに限って。だが、追手の足も遅くなるはずだ。体が冷える前に、雨を凌げる場所を探さないとな」
雨を凌げる場所……周囲をぐるりと見渡す。
木々の葉の隙間に、黒い靄のようなものが。
あれは聖女の私にとって見慣れたものだ。
「グリム、こちらへ」
「ん」
枝に擦れないように気をつけながら、木々の間を縫って進む。
視界が開けると、そこにはぽっかりと口を空けた洞窟があった。
しかし入ることはできない。
洞窟の入り口に、紫色の霧がある。
「これは……瘴気、か?」
顔をしかめるグリム。
瘴気は大地から沸き出るもので、常人が近づけば健康に害を及ぼす。
「私が払いますね。グリムは離れていてください」
雨を打たれながら、私は瘴気に歩み寄る。
聖女は影響を受けない。
そっと紫紺の霧に触れて力を籠めると――
一気に霧が払われた。
洞窟の中もよく見通せるようになる。
どうやらそこまで深くはない、行き止まりのほら穴のようだ。
「これが聖女の力か……すごいな。もう危険はないのか?」
「問題ありません。中に入って雨風を凌ぐには充分でしょう」
私はグリムが不安にならないように率先して入る。
すると彼もすぐ後を追ってきた。
中はひんやりとしている。
しかし、雨に打たれるよりは体温の低下を防げるだろう。
「エムザラのおかげで助かった。すぐに火を起こそう。寒いだろう」
「ええ、少し」
グリムは手際よく火起こしに取りかかる。
私も手伝いたいところだが、やり方がわからなかった。
彼の髪から滴る水滴が、ぽたりと地面に落ちる。
私の髪もすっかり濡れてしまった。
パチンと大きな音が鳴って、薪が燃え上がる。
私は慎重に焚火に近づいた。
そして服の裾を持ち上げて……
「ちょっと待て。……何をしている?」
「……? えっと、服を乾かそうと」
「あのな、少しは人目を気にした方がいい。君は令嬢だろう」
恥ずかしそうにうつむきながら、グリムは呆れたように言った。
もちろん、普段は他の人の前で服を脱いだりしないけれど……今は気にしている場合ではないと思った。
「すみません……グリムなら別にいいと思ったので」
「……だから、そういうことは……」
彼が今まで見なかったような表情を見せる。
困っているようだった。
「困らせてしまってすみません……」
「別にいい。少し抜けたところもかわいいじゃないか」
「か、かわいい……ですか?」
彼を迷惑をかけてしまうのは本意ではない。
その一方で、もっと彼の新しい表情を見てみたいという思いもある。
「俺は後ろを向いてるから、濡れた服だけ脱いで外套を羽織ってくれ」
「わかりました」
言われるがまま着替える。
濡れてしまった服を脱いで、その上にぶかぶかとした大きめの外套を。
「終わりました」
「ああ。とにかく体温を下げないように。
風邪をひかれても嫌だから」
服を脱いで肩まで出したせいで、外套を羽織っていても寒い。
もっと火に近づきたいけれど、やけどしてしまうかも。
「グリム。寒いです、少しだけ」
「強がらなくていい。ほら」
正直に気持ちを伝える。
私が体調を崩してしまったりしたら、かえってグリムの迷惑になってしまう。
彼は少し迷った素振りを見せたが、大人しく私の隣に座って……私を抱きしめてくれた。
「あ、ありがとうございます……なんだか不思議な気分ですね」
「こうして君の近くにいられて……俺は幸せだ」
グリムの体温を感じる。
息づかいも近くで感じて、あたたかい。
ここまで近くで、誰かに触れてもらったことはない。
婚約者のゼパルグ殿下とも、手を組んだことすらなくて。
おそらく……これからもグリム以外の人に抱きしめてもらうことなんてないだろう。
彼はいま、幸せだと言った。
私も幸せ……なのだと思う。
60
お気に入りに追加
1,844
あなたにおすすめの小説
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる