103 / 216
第7章 文化祭
必然性――ヒロイン
しおりを挟む
デニスに連れられ、ノーラは生徒会室を訪れた。
話があると――そう言われて、生徒たちから好奇と恨みの視線を向けられながら。
「お茶です」
「あ、どうも……」
体格の良い糸目の男子生徒がノーラにお茶を出す。
彼はアイボリーの髪を揺らして、ノーラの顔を覗き込む。
それから優雅に一礼して名乗りを上げた。
「申し遅れました。生徒会の書記を務めております、セリノ・ウラムナムと申します。以後お見知りおきを」
「ノーラ・ピルットです……」
ノーラとデニスが向かい合う形で座り、セリノがその背後に控える。
いったいなぜ自分が生徒会室に。
戦々恐々とするノーラに、デニスはゆっくりと語りかける。
「ご足労いただき感謝します。お城でお会いしたとき以来でしょうか」
「そうですね……お久しぶりです」
夏休み中、デニスと一度だけ会った。
ノーラが浮かれてラップを歌っている最中に、デニスに話しかけられてしまったのだ。
今思い返してもアレは最悪な出会いだった。
「……」
「……」
さて、話を待っているのだが。
デニスは話題をなかなか切り出さない。
気まずい沈黙が続く。
「あの……殿下? お話とは?」
「あ、あぁ……そうですね。すみません……」
よそよそしい態度に、ノーラはどこか既視感を覚えた。
なんか見覚えがあるなぁ……と。
そんなノーラの思案を断ち切り、デニスは尋ねる。
「文化祭の準備は……順調に進んでいるでしょうか?」
「あ、はい。わたしのクラスはお化け屋敷をすることになりまして。今はみんなで案を出し合っているところです」
「なるほど。面白そうなテーマですね。と、ところで……生徒会にも出し物があるのをご存知でしょうか?」
「存じ上げませんね。どういう出し物をするのですか?」
「…………」
またもやデニスは黙りこくった。
純粋にノーラは質問しただけなのだが、何かマズいことを言ってしまっただろうか。
そのとき、背後で様子を見守っていた書記のセリノが沈黙を破る。
「生徒会の出し物は『演劇』。ニルフック学園には伝統がありまして……代々の生徒会は同じテーマの演劇を文化祭で披露してきたのです。しかも今年は殿下が主役を務められますから……それはもう素晴らしく、誰もが感涙し、歴史に名を残す傑作となるでしょう。我ら生徒会はなんとしても今年の演劇を成功させ、殿下の華々しき学園生活を……」
「セ、セリノ……その辺でいいから。……ええと、すみません。今セリノが言ってくれたように、生徒会は演劇をすることになっているのです。しかし、問題がひとつ発生してしまいまして……」
問題と聞くと嫌な予感しかしない。
デニスの気まずそうな視線を見ても、その予感は的中しそうだ。
「……ヒロイン役の副会長が病気で倒れてしまったのです。そこでヒロインの代役を探しており、ノーラさんにお願いをしようかと」
「へ……? な、なんでわたしなんですか? 他の高貴な方々にお願いすれば……いいんじゃないですかね
」
「ヒロイン役は歌を披露するんです。ですので……上手な歌を歌っていたあなたが適任かと、思いまして……すみません」
デニスの声量は尻すぼみになっていく。
最後の方は消え入りそうな声で。
絶対無理だ――とノーラは思う。
生徒会に混じって演劇をするなど、恐れ多いにもほどがある。
クラスNに入っている時点で嫉妬の嵐が浴びせられているのに、演劇のヒロイン役までやったらタダではすまない。
「わたし以外にも歌が上手な方はたくさんいます。誉れある生徒会の舞台に、わたしなんかが出るわけにはいきませんよ……自分のクラスの出し物もありますし」
「そ、そうですよね……すみません、無茶な話をしてしまって。では、この話はなかったことに……」
瞬間。
ノーラの首筋に冷たい何かが触れた。
恐るおそる振り返ると……そこには短剣をこちらへ突きつけた、笑顔のセリノが立っていた。
「殿下のご下命です。まさか断るわけ……ないですよね?」
ぐい、と刃の平らな側部が首に押し当てられる。
笑顔のままセリノは首を傾げ、言うことを聞けと脅迫した。
それを見たデニスは慌てて立ち上がる。
「ちょ、ちょっとセリノ! ダメだって!」
「いえ、殿下。反抗的な者には力で理解させなければ」
なるほど。
これは……弱気な主を、強気な臣下が引っ張っている感じの関係性。
ただし臣下が暴走すればヤバいことになる可能性も。
関係を察したノーラは首に当てられた刃物を指先で掴む。
「まあまあ、お座りください殿下。セリノ様……そういう暴力的な行為は、デニス殿下の名誉を著しく落とすことになりますよ。自重しましょう」
「……! たしかにおっしゃる通りです。殿下の名誉を傷つけることなど、あってはならない……! 失礼しました」
セリノはすぐさま矛を収めた。
やっぱりこの書記、忠義に厚すぎて冷静な判断ができないタイプだ。
要するに成績が良い馬鹿である。
「それで、殿下……わたしがヒロインでなければならない理由は、特にないんですよね?」
「そう、ですね。とにかく歌が上手ければと」
やはり断るべきだ。
平民をヒロインに登用したとあっては、デニスの誇りすら汚すことになってしまう。
そう思い、ノーラは改めて誘いを断ろうとした。
しかし、セリノが彼女を引き留めるように言う。
「殿下はノーラ殿の歌声を認めておられるのです。ヒロインの代役候補を生徒会で考えたとき、殿下は真っ先に貴殿の名を挙げられ、今までに聴いたことがないほど綺麗な歌声であったと。そうおっしゃられていました」
「え……そ、そうなんですか?」
「ええと……城でノーラさんの歌を聴いて、不思議な魅力を感じたのです。吸い寄せられるような、聴き入ってしまうような。力強くて儚くて、何色にもなれそうな……そんな音色でした」
「……ラップで? あの変なラップでそう感じたんですか?」
「はい、ラップで。他のジャンルの歌もぜひ聴かせていただきたいのです」
ノーラは頬をほころばせた。
見られることで恐れられる自分が、せめて声だけは美しくあろうとして磨いたもの。
それが歌声だった。
褒められて悪い気はしない。
それでも……自分の技量がどの程度のものなのか、理解できていないのだ。
ペートルスやレオカディアに歌声を褒めてもらったことはある。
だが、文化祭の大舞台に立てるほどではないだろう。
「少し考える時間をいただいても?」
「……! もちろんです。まだ文化祭までは時間がありますから、じっくりと考えてから返事をお聞かせください」
慎重に検討するべき事案だ。
自分ひとりでは判断がつかない。
ここは友人たちを頼ることにしよう。
話があると――そう言われて、生徒たちから好奇と恨みの視線を向けられながら。
「お茶です」
「あ、どうも……」
体格の良い糸目の男子生徒がノーラにお茶を出す。
彼はアイボリーの髪を揺らして、ノーラの顔を覗き込む。
それから優雅に一礼して名乗りを上げた。
「申し遅れました。生徒会の書記を務めております、セリノ・ウラムナムと申します。以後お見知りおきを」
「ノーラ・ピルットです……」
ノーラとデニスが向かい合う形で座り、セリノがその背後に控える。
いったいなぜ自分が生徒会室に。
戦々恐々とするノーラに、デニスはゆっくりと語りかける。
「ご足労いただき感謝します。お城でお会いしたとき以来でしょうか」
「そうですね……お久しぶりです」
夏休み中、デニスと一度だけ会った。
ノーラが浮かれてラップを歌っている最中に、デニスに話しかけられてしまったのだ。
今思い返してもアレは最悪な出会いだった。
「……」
「……」
さて、話を待っているのだが。
デニスは話題をなかなか切り出さない。
気まずい沈黙が続く。
「あの……殿下? お話とは?」
「あ、あぁ……そうですね。すみません……」
よそよそしい態度に、ノーラはどこか既視感を覚えた。
なんか見覚えがあるなぁ……と。
そんなノーラの思案を断ち切り、デニスは尋ねる。
「文化祭の準備は……順調に進んでいるでしょうか?」
「あ、はい。わたしのクラスはお化け屋敷をすることになりまして。今はみんなで案を出し合っているところです」
「なるほど。面白そうなテーマですね。と、ところで……生徒会にも出し物があるのをご存知でしょうか?」
「存じ上げませんね。どういう出し物をするのですか?」
「…………」
またもやデニスは黙りこくった。
純粋にノーラは質問しただけなのだが、何かマズいことを言ってしまっただろうか。
そのとき、背後で様子を見守っていた書記のセリノが沈黙を破る。
「生徒会の出し物は『演劇』。ニルフック学園には伝統がありまして……代々の生徒会は同じテーマの演劇を文化祭で披露してきたのです。しかも今年は殿下が主役を務められますから……それはもう素晴らしく、誰もが感涙し、歴史に名を残す傑作となるでしょう。我ら生徒会はなんとしても今年の演劇を成功させ、殿下の華々しき学園生活を……」
「セ、セリノ……その辺でいいから。……ええと、すみません。今セリノが言ってくれたように、生徒会は演劇をすることになっているのです。しかし、問題がひとつ発生してしまいまして……」
問題と聞くと嫌な予感しかしない。
デニスの気まずそうな視線を見ても、その予感は的中しそうだ。
「……ヒロイン役の副会長が病気で倒れてしまったのです。そこでヒロインの代役を探しており、ノーラさんにお願いをしようかと」
「へ……? な、なんでわたしなんですか? 他の高貴な方々にお願いすれば……いいんじゃないですかね
」
「ヒロイン役は歌を披露するんです。ですので……上手な歌を歌っていたあなたが適任かと、思いまして……すみません」
デニスの声量は尻すぼみになっていく。
最後の方は消え入りそうな声で。
絶対無理だ――とノーラは思う。
生徒会に混じって演劇をするなど、恐れ多いにもほどがある。
クラスNに入っている時点で嫉妬の嵐が浴びせられているのに、演劇のヒロイン役までやったらタダではすまない。
「わたし以外にも歌が上手な方はたくさんいます。誉れある生徒会の舞台に、わたしなんかが出るわけにはいきませんよ……自分のクラスの出し物もありますし」
「そ、そうですよね……すみません、無茶な話をしてしまって。では、この話はなかったことに……」
瞬間。
ノーラの首筋に冷たい何かが触れた。
恐るおそる振り返ると……そこには短剣をこちらへ突きつけた、笑顔のセリノが立っていた。
「殿下のご下命です。まさか断るわけ……ないですよね?」
ぐい、と刃の平らな側部が首に押し当てられる。
笑顔のままセリノは首を傾げ、言うことを聞けと脅迫した。
それを見たデニスは慌てて立ち上がる。
「ちょ、ちょっとセリノ! ダメだって!」
「いえ、殿下。反抗的な者には力で理解させなければ」
なるほど。
これは……弱気な主を、強気な臣下が引っ張っている感じの関係性。
ただし臣下が暴走すればヤバいことになる可能性も。
関係を察したノーラは首に当てられた刃物を指先で掴む。
「まあまあ、お座りください殿下。セリノ様……そういう暴力的な行為は、デニス殿下の名誉を著しく落とすことになりますよ。自重しましょう」
「……! たしかにおっしゃる通りです。殿下の名誉を傷つけることなど、あってはならない……! 失礼しました」
セリノはすぐさま矛を収めた。
やっぱりこの書記、忠義に厚すぎて冷静な判断ができないタイプだ。
要するに成績が良い馬鹿である。
「それで、殿下……わたしがヒロインでなければならない理由は、特にないんですよね?」
「そう、ですね。とにかく歌が上手ければと」
やはり断るべきだ。
平民をヒロインに登用したとあっては、デニスの誇りすら汚すことになってしまう。
そう思い、ノーラは改めて誘いを断ろうとした。
しかし、セリノが彼女を引き留めるように言う。
「殿下はノーラ殿の歌声を認めておられるのです。ヒロインの代役候補を生徒会で考えたとき、殿下は真っ先に貴殿の名を挙げられ、今までに聴いたことがないほど綺麗な歌声であったと。そうおっしゃられていました」
「え……そ、そうなんですか?」
「ええと……城でノーラさんの歌を聴いて、不思議な魅力を感じたのです。吸い寄せられるような、聴き入ってしまうような。力強くて儚くて、何色にもなれそうな……そんな音色でした」
「……ラップで? あの変なラップでそう感じたんですか?」
「はい、ラップで。他のジャンルの歌もぜひ聴かせていただきたいのです」
ノーラは頬をほころばせた。
見られることで恐れられる自分が、せめて声だけは美しくあろうとして磨いたもの。
それが歌声だった。
褒められて悪い気はしない。
それでも……自分の技量がどの程度のものなのか、理解できていないのだ。
ペートルスやレオカディアに歌声を褒めてもらったことはある。
だが、文化祭の大舞台に立てるほどではないだろう。
「少し考える時間をいただいても?」
「……! もちろんです。まだ文化祭までは時間がありますから、じっくりと考えてから返事をお聞かせください」
慎重に検討するべき事案だ。
自分ひとりでは判断がつかない。
ここは友人たちを頼ることにしよう。
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる