見えない鎖   〜育児放棄・薬・風俗の中で生きてきて〜

ぶう子

文字の大きさ
上 下
3 / 9
第二話

地獄の始まり

しおりを挟む
夜中母親の小さな車に詰めるだけの荷物を積んで家を出た。
私は住んでいたアパートを見ながら、父親は私達が居ない事にいつ気がつくだろうとか、家には普段からあまり来なかった気づかないんじゃないかとかいろいろ考えていた。

今思えば、母親が居ない時点でエステの店舗にも居られなくなるわけだから家に来なくても気づく事にはなるんだろう・・・父親が家に来て気づいたのか、店舗から追い出される時に気づいたのかは今では分からないけど・・・

新し家は二階建てで庭もあり日あたりはよくなかったけどとても広い家だった。
新しいお父さんとは、引っ越す前に何度か顔を合わせていて知っていた。
ゴリラのようにごっつくて谷村新司みたいに鼻の下に髭を生やしてた。
長距離トラックに乗ったり土木業をしていたから筋肉ムキムキで怖い感じの見た目・・・

家族とあまり一家団欒を味わった事があまりなかった私は、ドラえもんの家のような小さい庭と椅子に座る食卓テーブルが嬉しくて、お母さんのお手伝いで庭の草むしりとか、食器棚におやつとかに憧れてたから、家を探検しながらドラえもんの家族と自分の家族をダブらせ嬉しくなっていた。

けれど嬉しくなると決まって父親の最後に見た背中が私を幸せ感から引き戻す・・・本当は新しいお父さんではなく本当の父親と描きたかったドラえもんの世界だった・・


荷物も片付いてきた数日後母親は私と姉に
「お父さんと呼んであげなさい」
と言った。
私は正直、父親を見捨ててきたのに笑って日々を過ごしている自分がすごく最低な気がして、それに加え今のおじさんをお父さんと呼んでしまったら本当の父親にもっと酷い事をしているような気がして呼ぶ事に迷った・・・

でも母親が呼んであげたら喜ぶんじゃなかと思った私は
「うん」
と呼べることに嬉しいフリをした。

今思うと、実の母親に子供の私はなぜそこまで作り笑いをし、気を回してたのか分からない・・・
「ありがとう」
と母親は喜んだ。
それを見て私も嬉しかった。

たかが子供の作り笑いと嘘にきっと母親は気づいていたと思う・・・気づかない振りをしたんだろう・・・そんな母親だ・・・

その日の夜、初めて好きなわけでもない暮らしてまだ浅いおじさんをお父さんと呼んだ。
その時姉だけは下を向き呼ぶことをしなかった
「無理しなくていいよ」
と義父は言った。

この時側から見たら良い父親に見えるけど、これはコイツの表の顔・・・

後で分かる事だが、この時から義父は姉を嫌いだしていた。

自分の父親と急にバラバラに離された子供・・・呼べなくても仕方ない・・・姉は父親が大好きだった・・・そんな子供の少しの抵抗も義父は許せなかった小さい男だった・・・


数日は姉の反抗はあるものの無事に過ぎていった。本当にほんの数日間・・・

壊れるのは早かった・・・

「お父さんとお風呂に入ろう」
私は9歳になっていた・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

新宿ゴールデン街 月に吠える日記

tsukinihoeru
エッセイ・ノンフィクション
新宿ゴールデン街の「月に吠える」店主コエヌマカズユキが、この街で出会った人たちや、経験した出来事について描いた作品です。事実を元にしていますが、あくまでフィクションと認識のうえお読みください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

マンション管理員とほほ日記

おおぎや ちあき
エッセイ・ノンフィクション
長年勤めた大手メーカーを定年再雇用も終了して退社、これからは週3日くらいで楽に働いて小遣い稼ぎをしたいと、大手デベロッパー系のマンション管理員に応募。 人で不足のおり、即採用が決まった。 しかし時給はこの地域でのほぼ最低賃金。 1時間働いてもランチも食べれないくらい。 それで、楽かな?と考えていたこの管理員の仕事が、実はとんでもなく気を遣うし業務は多忙に渡り、週3日なのにもうヘトヘト。 若夫婦と小さい子供たちが住むファミリー向けマンションだが、約200戸と戸数が多いことと、若いお母さんがホントに非常識で日々泣かされています。 そんな管理員のたわいもないトホホ日記を綴ります。

クロスロード〜ある男の半生

Kaz
エッセイ・ノンフィクション
ある男の波瀾万丈な半生を基に描かれた半フィクションの物語。すばるは神奈川県の大学に通う普通の大学生。1人暮らしなのでホストのバイトをしながら学校に通っていた。しかし、予想だにしない未来がすばるを待ち受けていた。大学4年生の頃からすばるの人生が大きく動いていく。そしてあるきっかけにより東京へ行く事になった。いくつもの人生の交差点を越えて、その先にはいったい何が待っているのか?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

処理中です...