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アルバの高等学園編
フレッド君優秀すぎ
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目の前のテーブルに数種類の薬草が並べられる。
第一群の軽薬草類、第二群の薬草類、第三群の重薬草類、そして第四群の毒草類。
それぞれ五種類ずつ並べられた。どれも中等学園の薬草学でも扱った物だ。もちろん第四群の毒草類は先生が扱うのを見せてもらっただけだけれども。解毒薬を作るためにはなくてはならないのがこの第四群だった。
「この中で、一つずつ使って、一番ポピュラーな解毒剤を作りたいと思います。それでは、その解毒剤に使われる薬草を、全て選んでください」
ああ、そういう問題か。『薬草2-2』ってなってたから名前を答えろってものだと思ってたけど、調薬のほうかあ。
俺、調薬の方はあんまり知らないんだよなあ。途中途中長く休んでたから、知識も中途半端だし。名前を答えるくらいだったら出来るけど……。
すると、フレッド君がスッと手を上げた。
「僕が答えてもいいでしょうか」
俺に目を向けてそう訊いたので、頷いた。よろしくお願いします!
「第一群から、このクール草、第二群からは群青露草、第三群からはドラム草、第四群からはフォルグ茸をほんの少しだけ使うと、『熱冷まし』が出来上がります」
迷いはなかった。
どれもメノウの森でも採取できるし、薬屋で素材として売ってもいるもの。
フレッド君はこの学園に入る前に、どれだけ勉強したんだろう。
こんなにもすぐに答えられるなんてすごい。
感心していると、フレッド君と目が合った。ぺこりと頭を下げられて、スッと目が逸らされる。
「正解です……! こんなにすぐに気付かれるとは。引っかけとしてこっちの薬草を使った『痛み止め』とか答えて貰いたかったのに引っかからなかった!」
「でも痛み止めに入る第二群の薬草、ないですよ。ここにあるのはそっくりだけど違うものです」
冷静に指摘するフレッド君は、上級生たちにキラキラした目で見られているのに、顔色も変えなかった。
すごく大歓迎ムードなんだけど、さっきまでの入りたいっていってた雰囲気はもうどこにもなかった。
お願いします、と回答用紙を出すと、そこにサインが書き入れられる。
「二群の二個目は『達磨草』ですわね。メモしておきますわ」
じっと並べられた薬草を見ていたセピア嬢がそっと声を掛けてきた。
「達磨草って可愛いですわよね。二つのまん丸がちょこんとくっついて。頭に小さな花が咲くのが可愛くて私、家の庭に植えているんですのよ」
「確かに可愛いですよね。うちの温室にもあります。ルーナが一生懸命育ててました」
「妹さんですか。素敵ですわね」
二人で顔を見合わせてほっこりしていると、上級生たちが驚いた様にこっちを見ていた。もう訊いてたから、メモの内容はチェックするよ。
思いっきり手を振って見送る上級生たちに軽く頭を下げて薬草学クラブを出ると、今度は俺たちは図書クラブに向かった。
「確か図書クラブの数字だけ多かったですよね」
「そうですね。『2-137-1』です」
「もしかして本に振ってある数字とページ数と行数とかだったりして」
ランド君のその言葉に、セピア嬢が「そんな簡単なことではないのでは?」とつっこみを入れる。
そんなこんなしているうちに部室前に着いたので、ノックをすると、中から返事があった。
「ようこそ図書クラブへ。ここは読書好きが集まるクラブです。ここから学園内の図書室に行ったり、特別棟の書庫に行ったり、ここにある書籍を読んだりして、感想や推測、考察などをするのが特徴です。とても楽しいですよ」
ここに、と指さされた方に視線を向けると、広い部室の中も小さめの図書室のように本がズラリと並んでいた。
「ここでの課題は、本を探すことです。時間はありますが、ここで時間を掛けると他の課題の場所を回る時間がなくなりますので、気を付けてください。お題は『アンフィニ山脈』。この学園の敷地から直接行くことの出来るメノウの森、その向こうに見えるアンフィニ山脈は、私たち高等学園生にはとても身近な存在です。どんな些細なことでもいいので、アンフィニ山脈の書かれている書をここのなかで探してください」
課題は流石図書クラブというものだった。
「ここは手分けしましょう。見つけた場合、声を上げてください」
俺が皆にそう声を掛けると、皆が一斉に頷いた。
第一群の軽薬草類、第二群の薬草類、第三群の重薬草類、そして第四群の毒草類。
それぞれ五種類ずつ並べられた。どれも中等学園の薬草学でも扱った物だ。もちろん第四群の毒草類は先生が扱うのを見せてもらっただけだけれども。解毒薬を作るためにはなくてはならないのがこの第四群だった。
「この中で、一つずつ使って、一番ポピュラーな解毒剤を作りたいと思います。それでは、その解毒剤に使われる薬草を、全て選んでください」
ああ、そういう問題か。『薬草2-2』ってなってたから名前を答えろってものだと思ってたけど、調薬のほうかあ。
俺、調薬の方はあんまり知らないんだよなあ。途中途中長く休んでたから、知識も中途半端だし。名前を答えるくらいだったら出来るけど……。
すると、フレッド君がスッと手を上げた。
「僕が答えてもいいでしょうか」
俺に目を向けてそう訊いたので、頷いた。よろしくお願いします!
「第一群から、このクール草、第二群からは群青露草、第三群からはドラム草、第四群からはフォルグ茸をほんの少しだけ使うと、『熱冷まし』が出来上がります」
迷いはなかった。
どれもメノウの森でも採取できるし、薬屋で素材として売ってもいるもの。
フレッド君はこの学園に入る前に、どれだけ勉強したんだろう。
こんなにもすぐに答えられるなんてすごい。
感心していると、フレッド君と目が合った。ぺこりと頭を下げられて、スッと目が逸らされる。
「正解です……! こんなにすぐに気付かれるとは。引っかけとしてこっちの薬草を使った『痛み止め』とか答えて貰いたかったのに引っかからなかった!」
「でも痛み止めに入る第二群の薬草、ないですよ。ここにあるのはそっくりだけど違うものです」
冷静に指摘するフレッド君は、上級生たちにキラキラした目で見られているのに、顔色も変えなかった。
すごく大歓迎ムードなんだけど、さっきまでの入りたいっていってた雰囲気はもうどこにもなかった。
お願いします、と回答用紙を出すと、そこにサインが書き入れられる。
「二群の二個目は『達磨草』ですわね。メモしておきますわ」
じっと並べられた薬草を見ていたセピア嬢がそっと声を掛けてきた。
「達磨草って可愛いですわよね。二つのまん丸がちょこんとくっついて。頭に小さな花が咲くのが可愛くて私、家の庭に植えているんですのよ」
「確かに可愛いですよね。うちの温室にもあります。ルーナが一生懸命育ててました」
「妹さんですか。素敵ですわね」
二人で顔を見合わせてほっこりしていると、上級生たちが驚いた様にこっちを見ていた。もう訊いてたから、メモの内容はチェックするよ。
思いっきり手を振って見送る上級生たちに軽く頭を下げて薬草学クラブを出ると、今度は俺たちは図書クラブに向かった。
「確か図書クラブの数字だけ多かったですよね」
「そうですね。『2-137-1』です」
「もしかして本に振ってある数字とページ数と行数とかだったりして」
ランド君のその言葉に、セピア嬢が「そんな簡単なことではないのでは?」とつっこみを入れる。
そんなこんなしているうちに部室前に着いたので、ノックをすると、中から返事があった。
「ようこそ図書クラブへ。ここは読書好きが集まるクラブです。ここから学園内の図書室に行ったり、特別棟の書庫に行ったり、ここにある書籍を読んだりして、感想や推測、考察などをするのが特徴です。とても楽しいですよ」
ここに、と指さされた方に視線を向けると、広い部室の中も小さめの図書室のように本がズラリと並んでいた。
「ここでの課題は、本を探すことです。時間はありますが、ここで時間を掛けると他の課題の場所を回る時間がなくなりますので、気を付けてください。お題は『アンフィニ山脈』。この学園の敷地から直接行くことの出来るメノウの森、その向こうに見えるアンフィニ山脈は、私たち高等学園生にはとても身近な存在です。どんな些細なことでもいいので、アンフィニ山脈の書かれている書をここのなかで探してください」
課題は流石図書クラブというものだった。
「ここは手分けしましょう。見つけた場合、声を上げてください」
俺が皆にそう声を掛けると、皆が一斉に頷いた。
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