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『墓地ダンジョンでの薬師マックは神がかってる【ゴッド降臨】』

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「辺境の北のゴーストダンジョンに行ったことある人いる?」

「あ、俺一度行って即死に戻りした」

「なんだそこ、初耳」

「僕行ったことあるけど、魔法もある程度しか効かなくて最初の方で詰んだよ」

「ところでその洞窟と薬師マックとどう関係があるんだ」

「この動画を見て。特に魔物の上のHPバー」

「Σ(゜Д゜)」

「( ゜Д゜)」

「(゜Д゜;)」

「何……だと」

「これは本当に薬師マックか……?」

「後ろ姿だけど、この見慣れたローブは」

「あの短剣は」

「あの身長は」

「身長のことは言わないであげて。これ、薬師マック大活躍の動画よ。今も並行して撮ってるけど、一人でほぼすべての魔物を倒してるわ」

「横で呑気に見てるの、『高橋と愉快な仲間たち』のリア充野郎どもじゃね?」

「ってことは……もしかして……ゴクリ」

「もしやあなた様は」

「あの谷間の……」

「撮影係よ。もしクリアの参考になるならと思ったんだけど、攻略スレだとちょっと問題が大きくなりそうだったので、こっちに上げることにしたの。でも本人が嫌がったら消すわね。今のうちに見ていて。これはちょっとすごい見ものなのよ」

「ほんとにな。こんな魔法見たことねえ。聖魔法、だっけ」

「俺も聖魔法覚えてえ。どうやって覚えるんだ?」

「教会で講習受けるといいんでしたっけ?」

「教会かあ……クソ高えからなあ」

「あら、情報が遅いのね。今は教会の講習はとてもリーズナブルよ」

「確かに。『聖魔法』『祈り』講習が通常の講習と同じような値段になっていたから、俺気になって行ってきたんだ。薬師マックも使ってるし、なんて何気なく」

「それで」

「どうなったんだ?」

「それな、『祈り』は覚えたけど、『聖魔法』は講習を拒まれた」

「拒まれたって?」

「拒むこともあるんだ。でもなんで?」

「『闇魔法』を覚えてるからって言ってたな。闇魔法を一つでも覚えちまうと、絶対に聖魔法は覚えられないんだと。講習代が勿体ないから受けるなって言われちまった」

「なんか教会が前と違う……」

「教会、親切」

「教会、がめつくない……どうした」

「あら、知らないの? 教皇が変わったのよ」

「へえ……」

「そうなんだ」

「あ、それなんか聞いたことある。誰かプレイヤーが教皇を引きずり下ろしたとか……セィの街で」

「それ、俺も聞いたことあるよ。なんでも【この文章は消去されました】」

「なんだ……? どうした。ふざけてるのか」

「ふざけてないよ。だから、【この文章は消去されました】なんか聞いた噂を打ち込んだ瞬間消えてくんだよ。もしかしてこれ、噂が本当ってことかな」

「どんな噂なんだよ!気になるじゃねえか!」

「でも打ち込むと消されるから、掲示板内では教えられないよ」

「どこにでもあるアウトワードの一つなんでしょ。自動で設定されてるのかも。じゃあ諦めるしかないわね。私、セィで噂探ししようかしら」

「あ、俺も。どうにも気になって仕方ねえ」

「自動で消去される内容だよ。知ったら大変かもよ」

「そうそう、それより薬師マックの活躍を見て欲しいわ。これよ」

「すげえ……黄色ゲージが約3発……しかも範囲魔法で5体同時……どうした」

「魔物無双してる……やっぱつええええええ」

「うっそ、あそこの魔物、こんなに簡単に倒せたっけ? 俺、めちゃくちゃ苦労した気が」

「私達だけでも苦労したわよ。うちのリーダーなんてHP削れもしないわ。物理にとってはとんでもなく難易度高いダンジョン、なんだけどね……正直誘った私たちも驚いてるわ」

「これ、ボスも撮ってんのか?」

「流石にそこまでは見せれないわよ。自分たちでクリアして。あと見て欲しいのはこれよ。薬師マックの大活躍」

「なんだ……?墓地が……」

「すげえ……」

「なんか……神々しい」

「なんだよ、薬師と見せかけて神かよ」

「ゴッドなんてジョブあったっけ?」

「イイもの見た……」

「拝むといいことありそう」

「<(_ _)>」

「<m(__)m>」

「m(゜- ゜ )カミサマ!」

「(^人^)」

「改めて薬師マックのすごさがわかったよ」

「なんであれだけ周りがレアに囲まれてたのかわかった。ゴッドジョブだからだ……薬師マックすげえ」

「だからゴッドなんてジョブあったっけ」

「でもこれ見ろ。ゴッド以外説明つかないだろ。な、姉御!」

「姉御ってwwwww普通に聖魔法を使っただけだから普通に説明できるんですけどねwwwwwここ、薬師マックの活躍を報告するスレでしょ。だから、これは教えないとと思って」

「ありがとう、そしてありがとう。でもこのダンジョン、俺が入っても多分無理だ」

「俺もちょっとこういう実体がないのはダメだ……心情的な意味で」

「ああ、怖いのね」

「ああそうだよ!こわいよ!悪いかよ!」

「いいえ、素直でいいと思うわ。それに、人間一つくらい弱点があった方が親しみやすいのよ、ダーリン」

「Σ(゜Д゜)ダーリン!?」

「そう言ってもらえるとすごく嬉しいよ、ハニー」

「Σ(゜Д゜)ハニー!?」

「そう、私は、今度ダーリンと一緒に獣人の村デートと釣りデートをすることになった狂戦士よ」

「そうか……薬師マックはとうとうファン同士を結び付けるほどの力を付けたのか……俺も彼女ほしいなあ!」

「くっそリア充め……!」

「これも薬師マックのおかげよね」

「だな」

「くっそ!!!!おめでとう!!!!」

「俺にも聖魔法掛けてくれ!素直に二人を祝福できるように……!」

「薬師マックの作る大人のアイテム、お薦めするわよ」

「こんなところで薦めるなよ……!(血涙)」

「でも、薬師マックスレでしょ」

「ありがとう、『愉快な仲間たち』。今度使ってみるわ。ねえ、ダーリン」

「……!!!そ、そうだな、ハニー……!今夜……!」

「今夜じゃなくて今度って言ったんだからな??落ち着け?」

「トレに行って薬師マック作のを探してくるか……あの店か……?」

「うわあ……今夜使う気満々だよ……狂戦士のお姉さん、いやなら逃げてね」

「やべえここで犯罪者が誕生するのか……?」

「は、犯罪じゃねえよ!ほ、本人の了承が……!一生大事にします!!!だから!!!神殿に一緒に行ってください!」

「いいわよ。待ち合わせはトレの噴水前かしら。その時もう一度プロポーズしてくれる?顔を見ながら言って欲しいの」

「おもしれえから見物にいこうっと」

「あ、俺も」

「僕も」

「これじゃあトレに人だかりが出来そうね……薬師マックの旦那さんが帰宅できないんじゃない?二人の愛の巣に。ってことは足止めになって、もう少し私たちは薬師マックを借りていられるってことね。ありがとう皆」

「海里ちゃっかりしてるぜwwwwwww」









「今日辺境の壁で薬師マックが墓地ダンジョンドロップ品を集めてた」

「あ、俺渡した。ってことは、上のやつ、同じ場所にいたってことか……」

「長光の待ち人が薬師マックだったらしいぞ」

「長光もいたのか」

「『高橋と愉快な仲間たち』とユキヒラも集合してたな」

「超豪華メンバーじゃん」

「そのメンバーで一体何するんだろうな」

「っていうかユキヒラはあの超難易度の墓地ダンジョン、超簡単にクリアしたらしいぜ。あそこは聖属性が弱点らしい」

「俺、聖属性の物なんて持ってねえよ」

「っていうか聖属性の物って案外ないよな」

「あれは? 聖水」

「聖水は効いた。けどランクBじゃたかが知れてる。魔法攻撃の方がまだHP削れる」

「そういや上の方に貼ってあった動画、その墓地ダンジョンで薬師マックが活躍した動画だよな」

「もしかしてもう一回墓地行くのかな」

「俺も行こうかな」

「あ、俺も」

「馬、借りれるかな」

「ごめん俺がもう先に借りてる」

「おい!!!」

「っていうか無理だと思うよ。だって皆で転移魔法陣で跳んでたから」

「薬師マックが?」

「いや、魔法陣書いてたのは『高橋と愉快な仲間たち』の可愛い方。あの、魔法エキスパートの」

「ああ……あの子ほぼ全属性覚えてなかったっけ? んでもって魔法特化でひたすら魔法スキルばっかり上げてたはず」

「俺、一緒に戦ったことあるけど、やべえよ。虫系魔物が出てきたんだけど、あの可愛い子が瞬殺オーバーキル。一瞬にして光と化していた。あの虫一匹にどれだけの力使ったのかすっげえ気になる」

「あの子な……可愛いよな。天然入ってるよな。でもあれ、高橋のリアル彼女らしいぜ……!本人たちに聞いたけど!!!」

「爆発しろ!」

「くわああああ、ずるい! 俺も可愛い彼女欲しい!」

「俺は……美人の彼女が出来たからいいや。祝福することにする。リア充パーティーもきっと幸せで楽しい毎日だよ」

「ダーリン素敵。私もそんな優しいダーリンで幸せよ」

「く……! 俺にも薬師マックと門番さんの恩恵が降り注がないかな」

「大丈夫よ。だって薬師マックを応援できる人ですもの。いい人に決まってるわ」

「(ノД`)・゜・。やさしい言葉が胸に染みる……どうして君は俺の彼女じゃないんだ……狂戦士の君」

「あら、もしかして私モテ期到来かしら」

「俺は何時でも心配だよ。だって君は美人だしすっごく可愛いし優しいから」

「やだ嬉しい。ダーリン大好き(*´з`)」

「くっそ他でやってくれ!!!」

「そんなことよりも!!!そんな(*´ε`*)チュッチュよりも!!! リア充の話はいいから! 薬師マックのその後知ってる奴いないか!?」

「あ、今さっき墓地ダンジョンに入ってった。俺も後ろから付いて行ってみたんだけど、スピードが段違い。っていうかユキヒラがサクサク倒しちまってちょっと距離が開いた瞬間ゴーストに囲まれて死に戻った。何だあの強さ。薬師マックもしっかりと聖魔法で活躍してた。他のメンバーははっきり言って付き添いみたいなもん」

「うわあ……聖魔法覚えようかな。俺、闇魔法覚えてねえし」

「ってかお前前衛だろ。脳筋だろ。魔力超少ないだろ」

「覚えられるの一つくらいはあるかもしれねえじゃん」

「なんて無謀な……」

「だって墓地クリアしたいもん。絶対に一つ目の墓地で死に戻るんだもん」

「俺もいいとこ二つ目。でも魔法使いがいないと一つ目にもたどり着けねえ」

「薬師マック一緒に行ってくれねえかな」

「ってか知らないやつに一緒にダンジョン行こうなんて誘われてもハイなんて返事しねえよ普通は。門番さんの前でなんて言ったら目ぇ付けられるぜ」

「……確かに。フレンドから始めようかな。フレ羨ましい……」

「クリアしたいならユキヒラの方がいいだろ」

「ユキヒラってなんか俺らと違う気がしねえ? 声かけにくいんだよ。だってあいつ、王様とか宰相とかそういうお貴族様系の奴らと懇意にしてるから」

「確かに……」

「その点薬師マックはフレンドリーっていうかなんて言うか。いいやつだよな」

「いいやつだな」

「でもって門番さんとラブラブだしな」

「ラブラブだな」

「だから薬師マックがいいんだよ」

「ああ、わかった。お前は薬師マックファンなんだな。奇遇だな、俺もだ」

「俺もだ」

「私もだ」

「僕も」

「ストーカー言われるよりはファンって言われた方が全然マシだね。俺もファンだけど」



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