「これを見ずして薬師マックは語れない」『【トレ】薬師マックスレ【名物】』

朝陽天満

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『プロポーズきたーーーーーーー!』

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「聞いてくれ……」

「なんだなんだ」

「姫抱っこ炸裂か?」

「違う……とうとう俺、薬師マック特製すっごーい薬もらった……」

「Σ(゜Д゜)」

「Σ( ̄□ ̄|||)」

「マジか!」

「どうだった!?」

「使った?」

「すっごーかった?」

「ああ……使った。すっごーいなんてもんじゃねえ……俺はアレのために死に戻ってもいい、壁向こうを拠点にすることにした」

「そんなにか」

「ね、すっごーいわよね。あれは使ってみないとすっごーいのがわからな……くはないけど、どこまで説明するとアウトなのかわからないから、とにかくゲットして使ってみないとね」

「ほんとにな。やべえよアレ……アレがあればそこら辺のユニークボスだって目じゃねえよ」

「え、もしかしてブースト系……?」

「いや、それとも敵デバフ系……?」

「どっちにしても欲しい……!(血涙)」

「壁を乗り越えて来いよ。最近結構手に入りやすくなった気がするから。心なしか魔物も強くなった気がするけど」

「がんばる!」

「行くぞ!」

「壁を!」

「乗り越えろ!」

「おおおお!」



「やべえ、俺見ちゃった……」

「俺も」

「私も決定的瞬間を見た……」

「何、なんだよ、決定的瞬間って」

「めっちゃかっこいいプロポーズを」

「片膝ついて手を取って、目を見上げてプロポーズしてた」

「え、薬師マックが?」

「いやいやいやいや、門番さんの方だよ!」

「Σ(゜Д゜)」

「Σ(゜Д゜)」

「( ゜Д゜)!!!」

「ちょ……」

「え、NPC とプレイヤーって結婚できるの?」

「俺のフレ一人結婚した奴いる。オットの街の子と恋に落ちたとかって」

「マジか」

「とうとう薬師マックも……」

「大きくなったな」

「お前は親父か」

「ようやく都合が付いてトレまで戻って、魔法陣を登録しようと思って街についた瞬間の出来事だった……」

「誰も訊いてないから」

「あのイケメン門番さんが徐に膝を付き、兜を外して、薬師マックを見上げたんだ」

「……」

「……」

「聞きたくないよな、そうだよな、俺の話なんて」

「いいから続きはよ!」

「聞きたいから早くしろ!」

「そうか、その時俺は」

「いやいや、お前の話じゃなくて」

「門番さんプロポーズはよ」

「そうか、残念だな……それでな、薬師マックの手を取って、こういったわけだ」

「ほう」

「ほう」

「(゜д゜)(。_。)ウンうん」

「生涯俺の横にいて、弱い俺を支えてくれ。全身全霊でお前を幸せにするから、お前も俺と幸せになってくれ……って感じだった気がする」

「ひゃあああああ! 男前!」

「何そのプロポーズ!」

「マジかあ……! 俺もそういう言葉言ってみてえ」

「いや、やめというたほうがいい。あれはイケメンだけの特権プロポーズだ」

「……俺、イケメンだけど。アバターは」

「アバターはな」

「アバターね」

「え、なんだお前そこしか見てなかったのか? その前に薬師マックも軽いノリでプロポーズしてたんだぞ?」

「Σ( ̄□ ̄|||)」

「Σ(゜Д゜)」

「え、待って」

「薬師マックが?」

「なんて言ってたんだ気になる」

「確か、『へいお兄さん俺と婚姻の儀受けに行かない?』的な感じで。隣に立ってた門番さん腹抱えて笑ってたよ。俺も吹いた」

「……台無しだ」

「全くだ」

「でも親しみを感じる、薬師マック……」

「つり合い取れてていいんじゃないか?」

「そういう見方もあるのか」

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