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番外編5
魔大陸開墾編 14
しおりを挟む「すごいな……さっきまでと全然違う」
陽炎さんが、足元の花を摘んで、匂いを嗅ぎがならそんなことを言う。その後、詰んだ花はリザの口元に持って行って食べさせている。
リザもちゃんと食べられるとわかっているかのように、躊躇いなく口に含んでいる。
「お、ステータスに『所属国:ソレイル』って追加されてる」
「ほんとだ」
三人が宙を睨み、声を上げる。
俺も一応開いてみるけれど、メダルを持っていない俺はどこ所属でもなかった。
「これからは開拓ゲームの始まりかな」
それもまた楽しそうだな、と笑う三人は、今度は農業シュミレーションゲームでもはじめるんだろうか。
「とりあえず所属の街とか村とか、希望できるらしいぞ。とことん探すぞ!」
「「おー!」」
気合十分の三人は、何やら運営からメールを貰ったらしく、所属国が復活したら所属の街や村に登録できるようになることを教えてくれた。
すっかりソレイル国を探索したそうにしている『リターンズ』に現地解散を提案して、俺は転移でソレイルの中央まで跳んだ。
そこから始まりの村に跳び、ソレイル復活に盛り上がるクラッシュの店を覗いてからトレの工房に戻った。
「でさ、『リターンズ』がメダルをゲットして出た瞬間、いきなり周りの雰囲気が変わってさ。あれはグランデと変わりない空気だったよ」
「そうか。俺も鎧で姿を隠して『エピ』まで行ってきたんだが。もう大丈夫そうだな。このままプレイヤーたちが頑張ってくれるのが、ありがたい」
「皆今度は国を作るって張り切ってたけど」
「じゃあ今度はおかしな行動をする奴を止めるのが仕事になるかもな」
マンションの一室、俺とヴィデロさんの部屋で、テーブルを囲みながら、今日の報告をする。なんだ、ヴィデロさんはエピに行ってたのか。
「一緒に行きたかったな」
「俺も、マックと一緒に行きたかった」
二人で顔を見合わせてふふっと笑う。
運営は今度、国が復活したらその国の特産品や農作物などを使った交易イベントを考えているらしく、早く全部の国が復活するのを今か今かと待っているらしい。
さすがアリッサさんだな、と思いながら、二人きりの晩餐を堪能した。
こうして夜に二人でゆっくりできるのもなかなかない。
広めのバスルームで二人湯船につかりながら、ギュッとしまったヴィデロさんの身体を指でなぞる。
「誘ってるのか?」
「うん」
笑っているヴィデロさんに、素直に答えると、ヴィデロさんの大きな手が俺の貧相な身体を這い始める。
「ここだけ柔らかくしたら、のぼせる前にベッドに行こうか」
セクシーに耳元で囁かれて、その声だけで蕩けそうになった。
おざなりに身体を拭いて、ヴィデロさんにベッドまで裸で運ばれてしまう。
相変わらず俺を軽々持ち上げるヴィデロさんの力強さにキュンキュンしながら、我慢できなくて歩いている間にもヴィデロさんの顎にキスの悪戯を繰り返した。
ベッドに降ろされた瞬間、深く唇を重ねられる。
絡んだ舌がすっかり蕩けた俺のナカを更にぐずぐずにさせる。
「そのままもう、挿れて……」
我慢できない、と暴露すれば、ヴィデロさんのヴィデロさんが蕩けた場所に触れた。
挿れられる前にイっちゃいそう……
俺の呟きで、触れていたヴィデロさんのヴィデロさんが更に質量を増したのがわかって、胸がときめいた。
「あ、あぁあ……っ」
挿入と同時に声と白濁が零れる。
ナカがギュッと締まると、ヴィデロさんの形がリアルにわかって胸が熱くなる。
ゆっくりと抜けていき、ゆっくりと内壁を割り開いて挿入されるその熱は、すぐまた俺を天国に導いていった。
次第に早くなるヴィデロさんの動きに身体を揺すられながら、奥を突かれる度に声が切羽詰まった者になっていく。
自分でもどうにもできない嬌声をどうしようもなくて、ヴィデロさんの首に抱き着いて引き寄せ、キスを強請る。
舌を絡められて吸われると、今度は悩まし気な吐息が漏れる。
「健吾……最高」
「俺も……っ、ヴィデロさん好き……っ、あん、あ、んン……」
だめ、待って、また、イっちゃう……
吐息と共にそう零した瞬間、腰を掴まれてヴィデロさんの動きが激しくなった。
グリッと奥を抉られて、頭が真っ白になる。
抜けるギリギリまで引き抜かれて、下腹部がギュッと締まる。
すぐにまた最奥にぐっと熱を押し込まれて、全身が痙攣する。
口から洩れる甘い声が止まらない。
自分でも何を言ってるのかわからないくらい、いい、気持ちいい、好き、をただひたすら繰り返して、ヴィデロさんの熱を身体の奥で堪能した。
ヴィデロさんが俺の最奥で熱を放出した時には、俺の身体は力が入らないくらい疲労困憊になっていた。
それでも身体は敏感で、抜かれる感触にも汚れたところを拭かれるときにも触れられたそこに熱がこもる気がした。
綺麗に整えてくれたヴィデロさんが俺の横に潜り込んでくると、俺はその身体に引っ付いた。
ヴィデロさんも素晴らしい腕枕をしてくれる。
心地よい疲れにまどろんでいると、ぽつりとヴィデロさんが呟いた。
「健吾も、どこかの国に所属したいか……?」
正直半分以上頭に入ってこないくらい睡魔に襲われていた俺は、なんて返事をしたのかも認識しないまま、深い眠りに吸い込まれていった。
次の日、またしても運営からの通知で皆が沸いた。
蛇紋石のアクセサリーのことがどこかのスレッドに上がって、それでも話題が高騰しているんだとか。
あの石を売っている店に行けるのは、本当に一握りのプレイヤーだけなんだけど、レガロさんは相変わらず朽ち果てそうな外観の店でのんびり店主さんをやっている。
「それでもだいぶ売れているんですよ。ありがたいことです」
そのありがたいは、商品が売れたことなのか蛇紋石を使える人が増えたことなのかどっちなんだろう。
じっとレガロさんに視線を向ければ、いつもと同じような楽し気な笑顔を返されてしまった。
「このまま行きますと、大陸の復活も目前ですね」
いつもと同じ表情なのに、その言葉には何やら安堵の感情が乗っている気がした。俺はレガロさんじゃないからハッキリとわかるわけじゃないけどね。
必要素材をゲットして、他の欲しいものは見つからずに呪術屋を後にする。
きっと近いうちに他の国が復活したことも告知されるんだろうな。
全部の国が復活したら……
頭の中で、戦国時代のシュミレーションゲームが浮かんでくる。
自由をうたったVRMMOゲーム『アナザーディメンションオンライン』通称『ADO』
シナリオも何もない、けれど、NPCと呼ばれる人たちと心を通わすと、心揺さぶられるような展開が沢山でてくるADO。
魔大陸が復活したら、今度はジャンル転向しそうな予感に、笑いがこみ上げて来て止まらなかった。
おわり。
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