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765、小さな参列者が現れた
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心臓が口から出そうなくらいドキドキしながら、ヴィデロさんの横を進む。
足元の床がピカピカで、踏ん張らないと滑りそうで怖い。
案の定二歩目でするっと行きそうになって冷や汗をかいていると、ヴィデロさんが笑いながら腕を差し出してくれた。
本当は二人でしずしずと歩く場所なんだけど、俺はその腕が嬉しくて、手を掛ける。
本当はどんなか知らないけど、まるで偉い人の夜会のように腕を組んで歩き、神主さんの前に辿り着くと、目の端に映るのは、笑いを堪える母さんと、目が真っ赤になった父さん。
アリッサさんは手にハンカチを持って、それを顔に当てて、ヴィルさんに肩を抱かれている。
巫女さんに声を掛けられて、参列している人たちが立ち上がる。神主さんの手にある大幣おおぬさと呼ばれる棒が振られ、神主さんが最初に穢れを落とすという祝詞を唱え始める。大幣がサラサラと鳴り、空気が張り詰める。
「掛けまくも畏き 伊邪那岐の大神……」
難しい言葉が並び、聞いていても意味は全くわからない。
でも神主さんがその言葉を唱えるごとに、空気が綺麗になっていく気がする。気持ちの問題だとは思うけど。
簡易式だから、色々と短縮された式だけれども、それでもやっぱり気持ちは昂る。
頭を下げて目を閉じていると、逆に周りの雰囲気がよくわかる気がする。
「祓へ給ひ清め給へと もうすことを聞し召せと 恐み恐みももうす」
大幣の動きというか音が止まり、巫女さんが皆に顔を上げる様伝える。
ちらりと横を見れば、ヴィデロさんが真剣なまなざしで前を向いていた。
神主さんが俺たちにやっぱり意味の解らない祝福の言葉をくれて、三々九度は俺がまだ18ってことでお神酒じゃなくて聖水と呼ばれる水で行った。
誰もが無駄口を叩かず、静かに俺たちを見守っている。時折すすり泣くような声が聞こえてくるのは、多分うちの父さんと、アリッサさん。あ、違う。アリッサさんは最初っから号泣していた。
「誓詞奏上」という声と共に、ヴィデロさんが一歩前に出る。
一度俺の方に顔を向けて、ふわっと微笑むと、口を開いた。
「私、ヴィデロ・オルランド改め、ヴィデロ・ラウロと、郷野健吾は、様々な困難を乗り切り、今日この時を迎えました」
穏やかな、でも力強い声が、神殿に響く。
「ケンゴを伴侶とし、私はこの幸せな日々を、満ち足りた日々を、この命果てる時まで、護り抜くことをこの胸に、そして亡き父に、剣に誓います」
ああ、と肩から力が抜ける。
いつも守ってもらってるよ。本当にその命を懸けて。
思い出すのは、目の前でお腹を裂かれたヴィデロさん。そして、泣きそうな顔をしながら、その手に結晶を掲げたヴィデロさん。もし俺と出会わなかったら、トレの門番としてもっと平穏な日々を送れたかもしれないのに。魔王となんて戦うことなんてなかったのに。こんな、全く知らない世界に来て、慣れない暮らしを甘受したりしなかったのに。
本当はダメなのかもしれないけれど、俺は、たまらずにヴィデロさんの袖をそっと掴んだ。
神様。ヴィデロさんを幸せにします。だから、永く、永く、この大好きな人を俺にください。
簡易式なので、巫女さんの舞いはなく、玉串と呼ばれる物を奉納すると、神主さんが無事二人の神前式が終わりましたと言う挨拶をして、式は終わった。
最後に境内を並んで歩いて、神社の外に出たら、本当に式は終わり。
神主さんが退場すると、皆が促されて外に出ていった。俺たちは最後に移動して、花道を歩くらしい。
それまでの間、俺はずっとヴィデロさんの袖をギュッと握っていた。なんだか離し難くて。
皆が移動しながらガヤガヤしているので、俺と親たちはちょっと中で待ち時間。
泣きはらした赤い目をした父さんが、「水合わせはしないんだな、今の神前式は」と気になるワードを呟いた。
「仕方ないわよ。簡易式だもの。ああ、上乗せして通常式にしてもらえばよかったかしら。巫女さんの舞い、見たかったわ」
「時間もかからないし費用もそこまで高くないから、悪くないとは思うけど、ちょっと寂しいな」
そうね、と頷く母さんと父さんに、ヴィデロさんが首を傾げながら「水合わせとは何ですか?」と訊く。
父さんはヴィデロさんを見上げると、目をごしっと擦ってから説明してくれた。
「お互いの家から持ち寄った水を、一つの杯に注いで二人で飲む儀式のことだよ。環境の違う二人が一緒に暮らすということは、想像以上に今までとは違っていて苦労もするだろうから、その環境にしっかりと二人で馴染んで行けるように、という儀式なんだけど」
「父さんがね、健吾朝うちに寄る時間がないだろうから、用意しないと、なんて言ってお水持ってきたのよ。出番がなかったけれどね」
「それは……素敵ですね。でも、うちからは持ってきていないから……」
「そうよね。案内にも書いてなかったから、万が一、ってことで持ってきただけなのよ。ヴィデロ君、喉乾いたなら飲む? 外はもう少し時間がかかるでしょうから」
母さんがカバンの中から小さな水筒を取り出すと、蓋のコップに水を注いだ。
ヴィデロさんはそれを礼を言って受け取って、ふと動きを止めた。
「もしかして、ここは」
小さく呟いて、俺を見下ろす。
「ケンゴ、水合わせ、出来るかもしれない」
「ヴィデロさん?」
多分、出来る、と口元を持ち上げたヴィデロさんは、小さなほぼ誰も聞き取れないような声で、何かを呟いた。
途端に、水筒の蓋の水が増す。
あ、もしかして今、水魔法使った? もしかして、ここも魔素ポイントだったってこと?
増えた水をドキドキしながら見ていると、ヴィデロさんはそれを一口含んだ。
そして、そっと俺に差し出す。
え、凄い。ヴィデロさん特製水合わせだ。
ドキドキしながら俺も水を一口飲む。味は普通の水と変わりないけれど、なんかそれだけで胸が温かくなった。
「新郎様方、お外の準備が出来ました」
巫女さんが俺たちに声を掛けると同時に、外から何かが飛び込んできた。
そして、俺の手にある水筒の蓋の縁にちょこんととまる。
「鳥?」
「迷い込んじゃったのかしら」
それは、小さな青紫の鳥で、人を怖がることなく、俺の手の上から、蓋の中の水を突いて飲み始めた。
この鳥、あの神社にいた鳥とそっくりだ。
「ヴィデロさん」
蓋を持ったまま、俺はヴィデロさんを見上げた。
ヴィデロさんは驚いたような顔をして、その後目を細めて鳥を見下ろした。
ヴィデロさんも、この鳥が何なのかわかったみたいだった。
「鳥も健吾たちを祝福しに来たのかな。君はあの山の子だね」
ひょこっと俺たちの間から顔をのぞかせたヴィルさんが、にこやかに水を飲む鳥に指を差し出す。
鳥は顔を上げてピィと鳴くと、ヴィルさんの手に乗った。そして、そこに付いていたボタンをくちばしで突いて、攻撃し始めた。
フンスと鼻息を荒くすると、鳥は水の所に戻ってきた。後には、ボロボロになった袖のボタン。ヴィルさんは笑いを堪えている。
「噛みつき方が君とそっくりだね」
「俺がいつお前に噛みついたんだよ」
「健吾で遊ぶとこんな感じになるよ、君は」
くくくと笑ったヴィルさんは、外で待ってるから、と険しい顔をしたヴィデロさんの肩を叩いて、逃げるように先に外に出ていってしまった。
足元の床がピカピカで、踏ん張らないと滑りそうで怖い。
案の定二歩目でするっと行きそうになって冷や汗をかいていると、ヴィデロさんが笑いながら腕を差し出してくれた。
本当は二人でしずしずと歩く場所なんだけど、俺はその腕が嬉しくて、手を掛ける。
本当はどんなか知らないけど、まるで偉い人の夜会のように腕を組んで歩き、神主さんの前に辿り着くと、目の端に映るのは、笑いを堪える母さんと、目が真っ赤になった父さん。
アリッサさんは手にハンカチを持って、それを顔に当てて、ヴィルさんに肩を抱かれている。
巫女さんに声を掛けられて、参列している人たちが立ち上がる。神主さんの手にある大幣おおぬさと呼ばれる棒が振られ、神主さんが最初に穢れを落とすという祝詞を唱え始める。大幣がサラサラと鳴り、空気が張り詰める。
「掛けまくも畏き 伊邪那岐の大神……」
難しい言葉が並び、聞いていても意味は全くわからない。
でも神主さんがその言葉を唱えるごとに、空気が綺麗になっていく気がする。気持ちの問題だとは思うけど。
簡易式だから、色々と短縮された式だけれども、それでもやっぱり気持ちは昂る。
頭を下げて目を閉じていると、逆に周りの雰囲気がよくわかる気がする。
「祓へ給ひ清め給へと もうすことを聞し召せと 恐み恐みももうす」
大幣の動きというか音が止まり、巫女さんが皆に顔を上げる様伝える。
ちらりと横を見れば、ヴィデロさんが真剣なまなざしで前を向いていた。
神主さんが俺たちにやっぱり意味の解らない祝福の言葉をくれて、三々九度は俺がまだ18ってことでお神酒じゃなくて聖水と呼ばれる水で行った。
誰もが無駄口を叩かず、静かに俺たちを見守っている。時折すすり泣くような声が聞こえてくるのは、多分うちの父さんと、アリッサさん。あ、違う。アリッサさんは最初っから号泣していた。
「誓詞奏上」という声と共に、ヴィデロさんが一歩前に出る。
一度俺の方に顔を向けて、ふわっと微笑むと、口を開いた。
「私、ヴィデロ・オルランド改め、ヴィデロ・ラウロと、郷野健吾は、様々な困難を乗り切り、今日この時を迎えました」
穏やかな、でも力強い声が、神殿に響く。
「ケンゴを伴侶とし、私はこの幸せな日々を、満ち足りた日々を、この命果てる時まで、護り抜くことをこの胸に、そして亡き父に、剣に誓います」
ああ、と肩から力が抜ける。
いつも守ってもらってるよ。本当にその命を懸けて。
思い出すのは、目の前でお腹を裂かれたヴィデロさん。そして、泣きそうな顔をしながら、その手に結晶を掲げたヴィデロさん。もし俺と出会わなかったら、トレの門番としてもっと平穏な日々を送れたかもしれないのに。魔王となんて戦うことなんてなかったのに。こんな、全く知らない世界に来て、慣れない暮らしを甘受したりしなかったのに。
本当はダメなのかもしれないけれど、俺は、たまらずにヴィデロさんの袖をそっと掴んだ。
神様。ヴィデロさんを幸せにします。だから、永く、永く、この大好きな人を俺にください。
簡易式なので、巫女さんの舞いはなく、玉串と呼ばれる物を奉納すると、神主さんが無事二人の神前式が終わりましたと言う挨拶をして、式は終わった。
最後に境内を並んで歩いて、神社の外に出たら、本当に式は終わり。
神主さんが退場すると、皆が促されて外に出ていった。俺たちは最後に移動して、花道を歩くらしい。
それまでの間、俺はずっとヴィデロさんの袖をギュッと握っていた。なんだか離し難くて。
皆が移動しながらガヤガヤしているので、俺と親たちはちょっと中で待ち時間。
泣きはらした赤い目をした父さんが、「水合わせはしないんだな、今の神前式は」と気になるワードを呟いた。
「仕方ないわよ。簡易式だもの。ああ、上乗せして通常式にしてもらえばよかったかしら。巫女さんの舞い、見たかったわ」
「時間もかからないし費用もそこまで高くないから、悪くないとは思うけど、ちょっと寂しいな」
そうね、と頷く母さんと父さんに、ヴィデロさんが首を傾げながら「水合わせとは何ですか?」と訊く。
父さんはヴィデロさんを見上げると、目をごしっと擦ってから説明してくれた。
「お互いの家から持ち寄った水を、一つの杯に注いで二人で飲む儀式のことだよ。環境の違う二人が一緒に暮らすということは、想像以上に今までとは違っていて苦労もするだろうから、その環境にしっかりと二人で馴染んで行けるように、という儀式なんだけど」
「父さんがね、健吾朝うちに寄る時間がないだろうから、用意しないと、なんて言ってお水持ってきたのよ。出番がなかったけれどね」
「それは……素敵ですね。でも、うちからは持ってきていないから……」
「そうよね。案内にも書いてなかったから、万が一、ってことで持ってきただけなのよ。ヴィデロ君、喉乾いたなら飲む? 外はもう少し時間がかかるでしょうから」
母さんがカバンの中から小さな水筒を取り出すと、蓋のコップに水を注いだ。
ヴィデロさんはそれを礼を言って受け取って、ふと動きを止めた。
「もしかして、ここは」
小さく呟いて、俺を見下ろす。
「ケンゴ、水合わせ、出来るかもしれない」
「ヴィデロさん?」
多分、出来る、と口元を持ち上げたヴィデロさんは、小さなほぼ誰も聞き取れないような声で、何かを呟いた。
途端に、水筒の蓋の水が増す。
あ、もしかして今、水魔法使った? もしかして、ここも魔素ポイントだったってこと?
増えた水をドキドキしながら見ていると、ヴィデロさんはそれを一口含んだ。
そして、そっと俺に差し出す。
え、凄い。ヴィデロさん特製水合わせだ。
ドキドキしながら俺も水を一口飲む。味は普通の水と変わりないけれど、なんかそれだけで胸が温かくなった。
「新郎様方、お外の準備が出来ました」
巫女さんが俺たちに声を掛けると同時に、外から何かが飛び込んできた。
そして、俺の手にある水筒の蓋の縁にちょこんととまる。
「鳥?」
「迷い込んじゃったのかしら」
それは、小さな青紫の鳥で、人を怖がることなく、俺の手の上から、蓋の中の水を突いて飲み始めた。
この鳥、あの神社にいた鳥とそっくりだ。
「ヴィデロさん」
蓋を持ったまま、俺はヴィデロさんを見上げた。
ヴィデロさんは驚いたような顔をして、その後目を細めて鳥を見下ろした。
ヴィデロさんも、この鳥が何なのかわかったみたいだった。
「鳥も健吾たちを祝福しに来たのかな。君はあの山の子だね」
ひょこっと俺たちの間から顔をのぞかせたヴィルさんが、にこやかに水を飲む鳥に指を差し出す。
鳥は顔を上げてピィと鳴くと、ヴィルさんの手に乗った。そして、そこに付いていたボタンをくちばしで突いて、攻撃し始めた。
フンスと鼻息を荒くすると、鳥は水の所に戻ってきた。後には、ボロボロになった袖のボタン。ヴィルさんは笑いを堪えている。
「噛みつき方が君とそっくりだね」
「俺がいつお前に噛みついたんだよ」
「健吾で遊ぶとこんな感じになるよ、君は」
くくくと笑ったヴィルさんは、外で待ってるから、と険しい顔をしたヴィデロさんの肩を叩いて、逃げるように先に外に出ていってしまった。
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