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698、ゴムの着け方
しおりを挟むお互いの身体をタオルで軽く拭くと、ヴィデロさんがすかさず俺を抱き上げた。素肌が触れて、身体が火照る。
軽いな、なんて呟かれたけど、俺をひょいっともち上げてしまうヴィデロさんは本当に重さを感じてないみたいみたいで、悔しいとかそんなことより、そこまで力のあるヴィデロさんに惚れ直す。
キスを繰り返しながら、ベッドに戻ると、ヴィデロさんはそっと俺をベッドに降ろした。
お互い何も身に着けずにベッドに倒れ込む。
重なる唇が熱い気がするのは、俺もヴィデロさんも興奮してるからかな。
すごく久しぶりに愛し合う気がする。でもそれはアバターのマックとしてで、この身体では初めてな訳で。
ちゃんと愛し合えるのかな。
ちゃんと、ヴィデロさんを全部受け入れられるのかな。
ドキドキしながら、ヴィデロさんの手のひらの温もりを感じる。
ちゅ、と首にキスをされて、ぞく、と身体が震える。
親指で胸の突起を撫でられて、は、と息を吐く。
脇腹をなぞられて、身を縮める。
どれもこれも慣れ親しんだ感覚なのに、初めての様な錯覚に陥る。いや、反対かな。初めてなのに慣れてる様な気になる。
そして、いつもよりもヴィデロさんの手つきが丁寧な気がする。じれったいほどに。
俺が気持ちいいところを探し当てるように、とても丁寧に唇を身体に降らせる。
時間をかけて、ヴィデロさんは俺の身体を慣らしていった。
無垢な俺の身体は、最初はヴィデロさんの指一本でいっぱいいっぱいで、それなのにその指は俺のいいところを的確に掠めて行くから辛い。
あの繋がる心と身体の気持ちよさを知ってるから、心が逸るのに身体が追い付かないのが辛い。
指が増えたらそれだけで息が詰まりそうになるのが我が体ながらじれったい。
早く欲しいのに。
早く、ちゃんと愛し合いたいのに。指ですら太く感じるこの超初心者なお尻が辛い。
「ケンゴ、辛い時は絶対に言ってくれ」
「やだ」
「ダメだ。俺は、ケンゴに辛い思いをさせてまで抱きたくない」
「やめないで」
「ケンゴが気持ちよくないと、俺が辛い」
二本の指ですでにいっぱいなのがわかってるのか、ヴィデロさんは心配そうにそんなことを言う。
でも、愛し合いたいんだよ。ずっと、この身体でヴィデロさんと愛し合いたかったんだ。それが、叶うんだよ。
「辛い」
なかなか解れないエッチ初心者なこの身体が辛い。
俺の呟きを聞いて、ヴィデロさんは目を伏せると、指を抜こうとした。それを必死で押さえる。
「抜かないで」
「でも、辛いんだろ」
「全然ヴィデロさんを受け入れる程柔らかくならないこの身体が辛い。早く欲しい。もう、無理やりでもいいから挿れて欲しい」
心の内を暴露すると、ヴィデロさんはへにゃっと滅茶苦茶困ったような顔になった。
「それは俺が無理だ」
「でも」
「ケンゴが痛がるところを見たくない」
だから、今日は気持ちいいことだけしよう、とヴィデロさんは俺にキスをした。
でも、それは俺が待てない気がするから却下。
「……毎日ヴィデロさんと愛し合えば、ちゃんとここもヴィデロさんの大きさに馴染むから……」
だから、やめないで。
ヴィデロさんの手を押さえたまま見上げると、ヴィデロさんは困った顔のまま、「辛かったら絶対に言ってくれ」と囁いて、愛撫を再開した。
ようやく指三本を何とか挿れられるようになり、ヴィデロさんの指が抜けて行く。
とうとうだな、と絶大な違和感を下半身に感じながら、それでも気持ちいいところをずっと撫でられて中はとろとろになった俺は、手を伸ばして雄太が籠に入れた箱に手を伸ばした。
中から連なっているパッケージを取り出す。俺も本物をこうして手に取ってみたのは初めてだったから、思わずまじまじと見てしまう。
「これを、どうすればいいんだ?」
連なっているペタンコのパッケージに首を傾げているヴィデロさんに見せるように、俺は一つを破いて中から丸いゴムを取り出した。
先の所が生々しい。
「これをね……」
ガチガチでトロトロになった身体を起こすと、俺はそれを手に持って、ヴィデロさんに座って貰った。
これを先端から被せて。
「!?」
ヴィデロさんのヴィデロさんの先端にそれをくっつけると、ヴィデロさんはすごく驚いた顔をした。
あっちじゃこういうアイテムはなかったから驚くのもわかる。
ちょっとだけ驚いた顔を堪能した俺は、何とかそれを被せようとして、ゴムが分厚い場所を引っ張った。
そして、破いた。失敗した。ゴムってあんなに破れやすいんだ。びっくりした。
「破いちゃった……」
「これは……失敗なのか?」
「うん。これをちゃんとすっぽり付けないといけないんだけど……どうやったらうまくできるのかな」
もう一度パッケージを破いて中のゴムを取り出す。ピンク色のそれがヴィデロさんのヴィデロさんに被せられる様はすごくエロいんだけど、破いちゃったら元もこもないから。
慎重にもう一度被せようとしたんだけど、うまく出来ない。
「……っ、ケンゴ」
「ごめん、ちょっと待って。ちゃんと被せるから」
ヴィデロさんの足の間に座り込んで、何とかくるくるしようとするのに、上手くいかないんだけど。世の男の人たちはどうやってコンドームスキルをゲットするんだろう。経験? 経験値はゼロだよ。
ギュウ、と押し付けてしまって、ヴィデロさんが息を呑む音が聞こえる。痛かったのかな。下手でごめん。
「なるほど、これは性器に被せて使う物なんだな……」
ヴィデロさんの言葉に頷きつつも、周りの部分を引っ張る。
すると、ヴィデロさんが自分でする、と俺の手を取った。
目の前で、くるくるとゴムが下ろされていく。
「あ、そうやるんだ……くるくるするって、そういうことか……」
断片しかなかった知識が、ようやくちゃんとした知識として俺の中に入り込んできた感じだった。
引っ張って下ろすんじゃなくて、くるくると丸まってたのか……ゴムだから伸びると思ってたけど、違ってたよ。
しっかりとゴムを装着したヴィデロさんのヴィデロさんを見て、俺はあまりの破廉恥さにガン見した。ドキドキする。何もつけない方がまだよかった気がする。
ヴィデロさんは違和感が凄いのか、眉をしかめて自分のモノをなぞっている。それもまたエロい。
サイズはギリギリ大丈夫だったみたいだけど、それにしてもこれは。
「なんか……どうも感触が」
顔を顰めながら自分の物を見下ろしているヴィデロさんが可愛い。でも生々しい。生じゃないのに。
「これで……ケンゴを抱いても大丈夫ってことか……?」
違和感に目を瞑ったのか、ちょっとだけ息を吐いたヴィデロさんは、今度こそ俺の上に覆いかぶさった。
「どんとこい。俺が痛そうな顔をしてもそれは気のせいだから大丈夫だからね」
俺もどんな感触か気になって、そっとゴムに覆われたヴィデロさんのヴィデロさんに手を伸ばす。ちょっとだけぬるっとしてるけど、これ潤滑剤みたいなのが既についてるってことなのかな。しっかり血管の凹凸までピシッと覆ったゴムが目に毒で、ごくり、と生唾を呑み込んでしまう。同時にヴィデロさんの方からも悩まし気な吐息が降って来た。
ヴィデロさんは解すのに大分使ったローションをさらに手に取ると、それを手の平に垂らして、さっきまで散々解した俺のお尻に塗り付けた。残りを、自分のに塗り付ける。クチ……という音が卑猥に聞こえて、それだけで息が荒くなるような気がした。
そっと足を持ち上げられて、ヴィデロさんの首に腕を回す。
あてがわれた硬い物に、俺は、は、と息を零した。
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