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639、業務内容ADO内行動
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立て続けに大量納品を終わらせた俺は、今度は会社でログインすることになった。
アリッサさん、というか運営からの依頼だ。
俺だけじゃなくて、『高橋と愉快な仲間たち』も同じように依頼を受けた。
とはいえ、ギルド経由で宰相さんの名前での依頼だったから、しっかりとクエストにはなったけど。
雄太たちは残り少ない春休みをADOの中で謳歌しているらしく、連日朝から晩までログインしてたらしく、すぐに依頼を受けていた。
そして、俺は今、雄太たちと共に、魔大陸の地に立っている。
なぜか、ヴィルさんとクラッシュも一緒に。
オランさんの村と思われる守護樹が植わっている村から程よく離れた隣の村にも、魔物避けの魔道具が設置されているので、その村を拠点にして、今回の緊急依頼をやろうとしているらしい。
まずオランさんの村に入ったヴィルさんは、澄んだ空気と守護樹を見て、満足そうにうなずくと、樹に「しばらくはここに入れなくなるかもしれないが大丈夫か?」と訊いていた。
ナチュラルに樹と会話するヴィルさんに、雄太たちが生暖かい目を向ける。守護樹は話せるんだよ。いい子だよ。そんな目で見るなよ。やっぱりそんな状態を普通に受け止めてしまうヴィルさんがすごいんだろうなあ、ってちょっと思う。さすがだ。
ヴィルさんは、俺から受け取った聖水を樹に与えると、立ち上がって村の外に俺たちを促した。
そして、入り口の足元に隠れる様に置いてある魔道具に触れて、何かをした。
「よし。これで魔物だけじゃなくて、俺たちプレイヤーも中には入れない」
と満足そうに頷いたヴィルさんに、雄太たちが驚いた声を上げた。
ヴィルさんが透明な壁に手をつくように、入り口を触っている。
パントマイムのようなその仕草に、雄太たちも同じように入り口に手を出した。
透明な壁がある。どう頑張っても向こうには行けなそうな感じだった。アリッサさんの才能ほんと怖い。俺たちプレイヤーも引っかかる様に魔素の数値を弄ったとかヴィルさんが言ってるけど、なんていうか、まずそんな魔素の数値がどうのとか研究するこの人たちが人間離れしてるんだと思うことにする。
クラッシュも「面白そう!」と手を伸ばして見ていたけれど、クラッシュはなぜか透明な壁に阻まれることなく、スッと村の中に入っていった。
「え、何で?」
「天使は生身だろ。この魔道具は生身には全く意味がないから当たり前だな」
「そっか。じゃあ俺がしばらく守護樹に栄養を与えに来ればいいんじゃない? その代わり報酬は高くつくけど」
クラッシュが自らそんなことを言い出すと、ヴィルさんは苦笑した。
「それはありがたいけど、一人ではいまいち許可したくないな。せめて俺か高橋君たちと一緒に来て欲しい。俺たちは村には入れないけど」
「でも俺、この村に跳べるしこの村から帰れるよ。何かあれば念話もできるし」
「それでもだ。不測の事態があるだろ。俺たちは不測の事態に陥っても最悪死に戻りすればいいだけだけど、天使の命は一つだろ。俺たちの命よりよほど重い」
「でも、こういうのって本来はエルフの仕事なんでしょ。一応半分は俺も血を継いでるわけだし」
「世話してみたいのか?」
「うん」
ヴィルさんの率直な問いに、クラッシュは素直に頷いていた。
エルフってそういうのを守ってる種族なんだよね。そういうの、クラッシュにも色々と考えがあるのかな。
じっとクラッシュを見ていると、クラッシュは肩を竦めて村から出てきた。
「じゃあ、今度護衛頼んでいい? 高橋、ユイ、ブレイブ、海里」
クラッシュに名前を呼ばれて、4人は即座に頷いていた。
「報酬は、多分きっとヴィルからたんまり出るはずだから。ね、ヴィル」
「ああ」
クラッシュの言葉に、ヴィルさんが苦笑して頷いた。
この魔大陸護衛、一回するごとにヴィルさんからの報酬はかなりの額貰うらしい。素材で払うよりはわかりやすいから、とヴィルさん経由でアリッサさんが提案したみたいで、4人ともしっかりと報酬は受け取ってるみたいだった。今回のこれもそう。
次の街に行くか、というヴィルさんの掛け声で、ユイが転移の魔法陣を描いた。
次の村は、空気が淀んでいた。
ここで俺の出番。
の前に、ブレイブと海里の出番。
俺から大量の『起爆剤』を受け取って、オランさんの村と同じように起爆剤を配置すると、俺に魔法を唱える場所を指示してきた。これは空間を見渡せる二人じゃないとできないよね。
俺は聖短剣を構えて、聖魔法を唱えた。
起爆剤が次々爆発し、村を勢いよく浄化していく。
ここも円状に空気の色が変わったので、ホッとすると、クラッシュが目を輝かせていた。
「すごい。これならずっといても大丈夫だね。よし。ヴィル、そっちの建物改装していい?」
「トレの職人は連れてこれないぞ? それでもいいなら、どれを使ってもいいが」
「ヴィルのことだから、異邦人の職人を連れてくる予定でしょ。その人にちょっとだけ手を貸してもらいたい……けど、そのままでも大丈夫かな。テーブルがあれば」
鼻歌を歌いだしそうな勢いで、クラッシュは村の中を移動し始めた。
っていうかなんでクラッシュまで一緒にいるんだろう。
という疑問はすぐに解消された。
「この建物なら調薬が出来るスペースもあるよ。マック! 出張トレ雑貨屋、ここでいい?」
「は?」
思わず変な声が出てしまった。
ほら、とドアを開けるクラッシュの横から中を覗き込むと、だだっ広い空間があった。ここにテーブルを置いて商品を並べて、そっちに衝立みたいな物を置いておけばそこで調薬もできるでしょ、ってクラッシュ。もしかして本気でここに店を出すつもりなの……?
「だって。これからはここも異邦人が歩き始めるんでしょ。それに、俺以外にここに来れるのは母さんとアルさんと……だけでしょ。だったら。俺はこういうところで異邦人をサポートして、ゆくゆくは」
セイジさんをサポートできる、と小さな小さな声で呟いたのを、すぐ隣にいた俺は拾ってしまった。
「ここは魔大陸だから、ハイパーポーション、卸して貰えないかなあ。高値で買い取るよ。ここで売ろ。マックは大変かもだけど」
「作るの自体はもう慣れたし、ストックはたくさんあるけど」
「トレではハイポーションしか売れないからさ。こっちではあのハイポーションでも物足りないでしょ。だったら、その場所に合わせた物を売ってサポートしたいじゃん。アルさんの所に卸してるんだったら、売ることはできるんでしょ」
「それは出来るんだけどね」
「だったら。ここで売って、売りまくろう。あの人に」
ニヤッと笑うクラッシュは、とにかくセイジさんにハイパーポーションを売りまくりたいようだった。なるほど。それが本音か。すっごいサポートだ。
「俺、またお金持ちになっちゃうじゃん」
冗談めかしてそう言うと、クラッシュはにこやかに「その時はまた増築すればいいよ」とこともなげに言った。
増築って、他に何の部屋を作ればいいんだよ。ヴィデロさん個人の部屋は断られちゃったし、隣の建物にあるし。
何か調薬に使うお高い魔道具でも買おうかな。
アリッサさん、というか運営からの依頼だ。
俺だけじゃなくて、『高橋と愉快な仲間たち』も同じように依頼を受けた。
とはいえ、ギルド経由で宰相さんの名前での依頼だったから、しっかりとクエストにはなったけど。
雄太たちは残り少ない春休みをADOの中で謳歌しているらしく、連日朝から晩までログインしてたらしく、すぐに依頼を受けていた。
そして、俺は今、雄太たちと共に、魔大陸の地に立っている。
なぜか、ヴィルさんとクラッシュも一緒に。
オランさんの村と思われる守護樹が植わっている村から程よく離れた隣の村にも、魔物避けの魔道具が設置されているので、その村を拠点にして、今回の緊急依頼をやろうとしているらしい。
まずオランさんの村に入ったヴィルさんは、澄んだ空気と守護樹を見て、満足そうにうなずくと、樹に「しばらくはここに入れなくなるかもしれないが大丈夫か?」と訊いていた。
ナチュラルに樹と会話するヴィルさんに、雄太たちが生暖かい目を向ける。守護樹は話せるんだよ。いい子だよ。そんな目で見るなよ。やっぱりそんな状態を普通に受け止めてしまうヴィルさんがすごいんだろうなあ、ってちょっと思う。さすがだ。
ヴィルさんは、俺から受け取った聖水を樹に与えると、立ち上がって村の外に俺たちを促した。
そして、入り口の足元に隠れる様に置いてある魔道具に触れて、何かをした。
「よし。これで魔物だけじゃなくて、俺たちプレイヤーも中には入れない」
と満足そうに頷いたヴィルさんに、雄太たちが驚いた声を上げた。
ヴィルさんが透明な壁に手をつくように、入り口を触っている。
パントマイムのようなその仕草に、雄太たちも同じように入り口に手を出した。
透明な壁がある。どう頑張っても向こうには行けなそうな感じだった。アリッサさんの才能ほんと怖い。俺たちプレイヤーも引っかかる様に魔素の数値を弄ったとかヴィルさんが言ってるけど、なんていうか、まずそんな魔素の数値がどうのとか研究するこの人たちが人間離れしてるんだと思うことにする。
クラッシュも「面白そう!」と手を伸ばして見ていたけれど、クラッシュはなぜか透明な壁に阻まれることなく、スッと村の中に入っていった。
「え、何で?」
「天使は生身だろ。この魔道具は生身には全く意味がないから当たり前だな」
「そっか。じゃあ俺がしばらく守護樹に栄養を与えに来ればいいんじゃない? その代わり報酬は高くつくけど」
クラッシュが自らそんなことを言い出すと、ヴィルさんは苦笑した。
「それはありがたいけど、一人ではいまいち許可したくないな。せめて俺か高橋君たちと一緒に来て欲しい。俺たちは村には入れないけど」
「でも俺、この村に跳べるしこの村から帰れるよ。何かあれば念話もできるし」
「それでもだ。不測の事態があるだろ。俺たちは不測の事態に陥っても最悪死に戻りすればいいだけだけど、天使の命は一つだろ。俺たちの命よりよほど重い」
「でも、こういうのって本来はエルフの仕事なんでしょ。一応半分は俺も血を継いでるわけだし」
「世話してみたいのか?」
「うん」
ヴィルさんの率直な問いに、クラッシュは素直に頷いていた。
エルフってそういうのを守ってる種族なんだよね。そういうの、クラッシュにも色々と考えがあるのかな。
じっとクラッシュを見ていると、クラッシュは肩を竦めて村から出てきた。
「じゃあ、今度護衛頼んでいい? 高橋、ユイ、ブレイブ、海里」
クラッシュに名前を呼ばれて、4人は即座に頷いていた。
「報酬は、多分きっとヴィルからたんまり出るはずだから。ね、ヴィル」
「ああ」
クラッシュの言葉に、ヴィルさんが苦笑して頷いた。
この魔大陸護衛、一回するごとにヴィルさんからの報酬はかなりの額貰うらしい。素材で払うよりはわかりやすいから、とヴィルさん経由でアリッサさんが提案したみたいで、4人ともしっかりと報酬は受け取ってるみたいだった。今回のこれもそう。
次の街に行くか、というヴィルさんの掛け声で、ユイが転移の魔法陣を描いた。
次の村は、空気が淀んでいた。
ここで俺の出番。
の前に、ブレイブと海里の出番。
俺から大量の『起爆剤』を受け取って、オランさんの村と同じように起爆剤を配置すると、俺に魔法を唱える場所を指示してきた。これは空間を見渡せる二人じゃないとできないよね。
俺は聖短剣を構えて、聖魔法を唱えた。
起爆剤が次々爆発し、村を勢いよく浄化していく。
ここも円状に空気の色が変わったので、ホッとすると、クラッシュが目を輝かせていた。
「すごい。これならずっといても大丈夫だね。よし。ヴィル、そっちの建物改装していい?」
「トレの職人は連れてこれないぞ? それでもいいなら、どれを使ってもいいが」
「ヴィルのことだから、異邦人の職人を連れてくる予定でしょ。その人にちょっとだけ手を貸してもらいたい……けど、そのままでも大丈夫かな。テーブルがあれば」
鼻歌を歌いだしそうな勢いで、クラッシュは村の中を移動し始めた。
っていうかなんでクラッシュまで一緒にいるんだろう。
という疑問はすぐに解消された。
「この建物なら調薬が出来るスペースもあるよ。マック! 出張トレ雑貨屋、ここでいい?」
「は?」
思わず変な声が出てしまった。
ほら、とドアを開けるクラッシュの横から中を覗き込むと、だだっ広い空間があった。ここにテーブルを置いて商品を並べて、そっちに衝立みたいな物を置いておけばそこで調薬もできるでしょ、ってクラッシュ。もしかして本気でここに店を出すつもりなの……?
「だって。これからはここも異邦人が歩き始めるんでしょ。それに、俺以外にここに来れるのは母さんとアルさんと……だけでしょ。だったら。俺はこういうところで異邦人をサポートして、ゆくゆくは」
セイジさんをサポートできる、と小さな小さな声で呟いたのを、すぐ隣にいた俺は拾ってしまった。
「ここは魔大陸だから、ハイパーポーション、卸して貰えないかなあ。高値で買い取るよ。ここで売ろ。マックは大変かもだけど」
「作るの自体はもう慣れたし、ストックはたくさんあるけど」
「トレではハイポーションしか売れないからさ。こっちではあのハイポーションでも物足りないでしょ。だったら、その場所に合わせた物を売ってサポートしたいじゃん。アルさんの所に卸してるんだったら、売ることはできるんでしょ」
「それは出来るんだけどね」
「だったら。ここで売って、売りまくろう。あの人に」
ニヤッと笑うクラッシュは、とにかくセイジさんにハイパーポーションを売りまくりたいようだった。なるほど。それが本音か。すっごいサポートだ。
「俺、またお金持ちになっちゃうじゃん」
冗談めかしてそう言うと、クラッシュはにこやかに「その時はまた増築すればいいよ」とこともなげに言った。
増築って、他に何の部屋を作ればいいんだよ。ヴィデロさん個人の部屋は断られちゃったし、隣の建物にあるし。
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