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598、うさ耳で調薬
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長光さんからお花を差し出されたけど、それは断った。だってそれは長光さんのドロップ品だから。
今度またアクセサリー工房に行って、爪をアクセサリーに加工して来よう。何か効果付与できる錬金の石も持って行って、付け方習おう。そして俺だけのオリジナルアクセサリーをヴィデロさんにプレゼントするんだ。これで、一度だけピンチを脱することが出来るってことだよな。どこまでのピンチを回避できるのかはわからないけど。それでよしとしよう、と俺は涙を呑んだ。
その後は魔物が出てくることもなく、鉱石ザクザクして帰ってきた俺たち。
長光さんの工房で見せてもらった鉱石類はかなりレアものが多かった。
中にはちゃんと謎素材の鉱石もあって、それは問答無用で長光さんから貰ってしまった。謎素材に関しては後々錬金鉱石で返してくれればいいそうで。こっちとしてもそう言ってもらえると、謎素材を受け取りやすかった。長光さんの厚意で出来上がった錬金物も、俺が使いたい物はもちろん省いていいとのこと。確かに錬金物を使って更なる錬金が出来たりするからね。そこらへんは俺を優先してくれるらしい。ありがたい。
でもやっぱり鉱石類の中には『真秘黒宝石』はなかった。やっぱり錬金を重ねて行かないとだめだってことなんだろうなあ。
錬金レシピ集に載ってる鉱石は、長光さんが惜しげなく渡してくれた。中には次の鎧用の鉱石もあったみたいなんだけど、それはいつでも採れるからって。
俺もお礼にたんまりと錬金で出来上がった鎧付与の宝石を山積みにしてきた。
きっと俺も長光さんも目が輝いていたことだろう。なにせヴィデロさんが苦笑してたし。
傷ついた鎧はすぐさま直してもらって、俺たちはトレに帰ってきた。
いてもたってもいられなくて、錬金の部屋に向かう。
ヴィデロさんもまたしても一緒に部屋に籠ってくれるみたいなので、幸せ気分で釜に謎液体を満たした。
「片っ端から作れば何かヒントみたいなのが出てくると思ったのになあ」
溜め息を吐きながら、手に握られた宝石を見下ろす。『真黒宝石』。一文字足りないだけなのに全く違うアイテムっていうのが辛いところだ。
んーと伸びをする。そんな俺を見て、ヴィデロさんが微笑んだ。ちらり、と視線が頭の上に行ったのは気のせいかな。今はヴィデロさんに買ってもらったローブだから耳が付いてないはずなんだけど。
「そんなにすぐには出来ないだろ。無理はするなよ」
「うん、ありがとう」
俺を気遣ってくれるヴィデロさんに思わず頬が緩む。
色々とやりたいことを羅列していくと段々ときりがなくなっちゃうのがなかなかに辛い。
そしてそろそろ就職の用意もしないといけないのがまた。
出社にスーツはいらないって言われてるし、前にアリッサさんとヴィルさんからプレゼントされてるけど。アレ、絶対高いスーツだよね。汚してもいい様なものも一着くらい用意しておいた方がいいのかな。
この時期に一気に免許を取りに行けとも母さんに言われてるし、どれから手を付ければいいのかな。
とりあえずの目標である『蘇生薬ランクS』は一つだけ成功してるからそこはまあよしとして。エルフの里の手伝いしたいし、調薬レベルを上げてシックポーションランクSも作りたい。
「よし、気分転換に調薬しよ」
「それは気分転換になるのか……?」
勢いよく椅子から立ち上がった俺に、ヴィデロさんが呆れたようなまなざしを向けてきた。気分転換になるよ。全然違うよ。
ドアを開けて、キッチンと続いている調薬の工房の机に座ると、ヴィデロさんも後ろをついてきて、俺の邪魔にならないようにキッチンの方のテーブルに腰を下ろした。
錬金の時はそばにいたのにな、とちょっとだけ寂しく思いながら、調薬キットを取り出す。
セットしていると、ヴィデロさんが椅子からこっちをじっと見て、口を開いた。
「前に、ヒイロが『調薬は目と耳と鼻と手、五感全てを使ってやるものだ』と言ってたことがあるんだ。もしかしたら、スノウイーターラビットローブを装備したら、もう少しだけ調薬がしやすくなるんじゃないか?」
真顔でそんなことを言うので、ハッとした。
確かに、ヒイロさんは五感ほぼすべてをフルで使ってる。確かに音を拾えるだけでもちょっと違うかも、なんて思った俺は、ローブを交換してみた。
う、耳がピンと立ってる。お風呂場で水滴が落ちる音が聞こえる。すごく不思議な感覚。今もしかしたら隣の建物に赤片喰さんが来てるのかも。声が聞こえる。
いきなり敏感になった耳をぴくぴくさせていると、ヴィデロさんが目を細めてくすっと笑った。
今、可愛いってめっちゃ小さい声でつぶやいたの聞こえちゃったんだけど。
ホントに漏れ出た吐息のような呟きまで聞こえるこの耳、なんていうか、うん、恥ずかしい。
耳がぴくぴくと動いてるのが自分でもわかる。本物の耳に近いんじゃないだろうか、この感覚。
これ、集中できるのかな。
そう思いながら素材を用意していくと、なんてことはない。この耳、集中するのにも長けていた。そうだよね。魔物を気にした時、ずっとそっちに集中させられてたもんね。確かにこの装備の方が調薬はすごくいいのかもしれない。幸運値は少しだけ下がるけど。
真剣に目の前の素材に手を加えていく。
小さな変化がよくわかる気がする。気泡が出てくるときのちょっとした変化を耳が拾っていく。
ポタリ、と獣人の村にしかない素材の汁を一滴たらして、様子を見る。
コポリ。
明らかにほんの少しだけ高くなった気泡の音に、俺は咄嗟に火を消した。
「あ……」
作っていたのは、シックポーションで。
出来上がったのは、ランクSだった。
今まであの最後の気泡の所が全然変化がわからなかったけど。
この耳を付けてると、本当にふとしたことに気付く。
ヴィルさん、こういうのを見越して俺にこれをくれたのかな。
瓶に移したシックポーションを手に取りながら、俺は兎の耳の生えたフードを頭から外した。
途端に音が途絶える。多少は音を拾うけど、フードを被っている時よりは明らかに劣る聴覚に、かなり違和感があった。
「ヴィデロさん」
顔を上げて声を掛けると、ヴィデロさんは手にあった本から顔を上げて、俺に視線をくれた。
「シックポーション……ランクS、出来た」
席を立って、シックポーションを持ったままヴィデロさんの方に近付いていく。
そして、ヴィデロさんを見上げながら、ヴィデロさんの身体に手を伸ばした。
椅子に座っているヴィデロさんの膝の上に乗り上がるようにして、ヴィデロさんの腰にあるカバンに出来上がったばかりのシックポーションを詰め込む。
これで、ヴィデロさんがいつ『コウマ病』にかかってもすぐ治るね。もう、『コウマ病』は怖い病気じゃない。自分で薬を作って、初めて心から安堵した。
ヴィデロさんはただ黙って俺の行動を見ていた。止められなかったことにホッとする。
しまい終わって顔を上げると、思った以上に近かったヴィデロさんの顔につい見惚れてしまった。カッコいい。その深い緑色の瞳が、静かな澄んだ森の空気を感じさせる気がする。瞳はアリッサさんからの遺伝で、ヴィルさんも同じ色をしている。三人並ぶと、どこからどう見てもちゃんと家族に見えるのが、すごく嬉しい。
ヴィデロさんにちゃんと家族がいることが、すごく嬉しい。最初のころ、家族はいない、って視線を落として言ってたのを憶えてるから。
伸びあがってちゅ、とキスをすると、ヴィデロさんがくすっと笑って、俺にフードを被せた。そして、頭、耳、肩、腕を順に手の平でなぞっていく。
「本当に手触りが凄いな……もう手を離したくなくなる……耳の感覚はないのか?」
「触られた感覚とかはないよ。だってこれ、ローブの付属品だもん」
「そうだよな……動きが、なんとなくマックと連動してるように見えたから、本物かなって」
そう言いながら耳を撫でるヴィデロさんに、思わず吹き出す。本物って。でも確かにぴくぴく動く気がするし、立つし、へにょッとするんだよなあ。何だろこのローブ。ヴィルさんが持ってきたっていう時点で普通じゃないのはわかってたけど、普通じゃないレベルがもう上限超えてるよこのローブ。
「心地いい……このまま抱きしめていていいか?」
「もちろん」
頷くと、ヴィデロさんはフード越しに俺の頭に頬擦りした。手はずっとゆったりと背中を撫でている。
うっとりとした顔がなんとも安らかで、いつになく安心しているみたいで、なんとなくいかがわしい気分にはなれなかった。俺は今、ヴィデロさんのクッション。人をダメにするクッションそのままだよね。
今度またアクセサリー工房に行って、爪をアクセサリーに加工して来よう。何か効果付与できる錬金の石も持って行って、付け方習おう。そして俺だけのオリジナルアクセサリーをヴィデロさんにプレゼントするんだ。これで、一度だけピンチを脱することが出来るってことだよな。どこまでのピンチを回避できるのかはわからないけど。それでよしとしよう、と俺は涙を呑んだ。
その後は魔物が出てくることもなく、鉱石ザクザクして帰ってきた俺たち。
長光さんの工房で見せてもらった鉱石類はかなりレアものが多かった。
中にはちゃんと謎素材の鉱石もあって、それは問答無用で長光さんから貰ってしまった。謎素材に関しては後々錬金鉱石で返してくれればいいそうで。こっちとしてもそう言ってもらえると、謎素材を受け取りやすかった。長光さんの厚意で出来上がった錬金物も、俺が使いたい物はもちろん省いていいとのこと。確かに錬金物を使って更なる錬金が出来たりするからね。そこらへんは俺を優先してくれるらしい。ありがたい。
でもやっぱり鉱石類の中には『真秘黒宝石』はなかった。やっぱり錬金を重ねて行かないとだめだってことなんだろうなあ。
錬金レシピ集に載ってる鉱石は、長光さんが惜しげなく渡してくれた。中には次の鎧用の鉱石もあったみたいなんだけど、それはいつでも採れるからって。
俺もお礼にたんまりと錬金で出来上がった鎧付与の宝石を山積みにしてきた。
きっと俺も長光さんも目が輝いていたことだろう。なにせヴィデロさんが苦笑してたし。
傷ついた鎧はすぐさま直してもらって、俺たちはトレに帰ってきた。
いてもたってもいられなくて、錬金の部屋に向かう。
ヴィデロさんもまたしても一緒に部屋に籠ってくれるみたいなので、幸せ気分で釜に謎液体を満たした。
「片っ端から作れば何かヒントみたいなのが出てくると思ったのになあ」
溜め息を吐きながら、手に握られた宝石を見下ろす。『真黒宝石』。一文字足りないだけなのに全く違うアイテムっていうのが辛いところだ。
んーと伸びをする。そんな俺を見て、ヴィデロさんが微笑んだ。ちらり、と視線が頭の上に行ったのは気のせいかな。今はヴィデロさんに買ってもらったローブだから耳が付いてないはずなんだけど。
「そんなにすぐには出来ないだろ。無理はするなよ」
「うん、ありがとう」
俺を気遣ってくれるヴィデロさんに思わず頬が緩む。
色々とやりたいことを羅列していくと段々ときりがなくなっちゃうのがなかなかに辛い。
そしてそろそろ就職の用意もしないといけないのがまた。
出社にスーツはいらないって言われてるし、前にアリッサさんとヴィルさんからプレゼントされてるけど。アレ、絶対高いスーツだよね。汚してもいい様なものも一着くらい用意しておいた方がいいのかな。
この時期に一気に免許を取りに行けとも母さんに言われてるし、どれから手を付ければいいのかな。
とりあえずの目標である『蘇生薬ランクS』は一つだけ成功してるからそこはまあよしとして。エルフの里の手伝いしたいし、調薬レベルを上げてシックポーションランクSも作りたい。
「よし、気分転換に調薬しよ」
「それは気分転換になるのか……?」
勢いよく椅子から立ち上がった俺に、ヴィデロさんが呆れたようなまなざしを向けてきた。気分転換になるよ。全然違うよ。
ドアを開けて、キッチンと続いている調薬の工房の机に座ると、ヴィデロさんも後ろをついてきて、俺の邪魔にならないようにキッチンの方のテーブルに腰を下ろした。
錬金の時はそばにいたのにな、とちょっとだけ寂しく思いながら、調薬キットを取り出す。
セットしていると、ヴィデロさんが椅子からこっちをじっと見て、口を開いた。
「前に、ヒイロが『調薬は目と耳と鼻と手、五感全てを使ってやるものだ』と言ってたことがあるんだ。もしかしたら、スノウイーターラビットローブを装備したら、もう少しだけ調薬がしやすくなるんじゃないか?」
真顔でそんなことを言うので、ハッとした。
確かに、ヒイロさんは五感ほぼすべてをフルで使ってる。確かに音を拾えるだけでもちょっと違うかも、なんて思った俺は、ローブを交換してみた。
う、耳がピンと立ってる。お風呂場で水滴が落ちる音が聞こえる。すごく不思議な感覚。今もしかしたら隣の建物に赤片喰さんが来てるのかも。声が聞こえる。
いきなり敏感になった耳をぴくぴくさせていると、ヴィデロさんが目を細めてくすっと笑った。
今、可愛いってめっちゃ小さい声でつぶやいたの聞こえちゃったんだけど。
ホントに漏れ出た吐息のような呟きまで聞こえるこの耳、なんていうか、うん、恥ずかしい。
耳がぴくぴくと動いてるのが自分でもわかる。本物の耳に近いんじゃないだろうか、この感覚。
これ、集中できるのかな。
そう思いながら素材を用意していくと、なんてことはない。この耳、集中するのにも長けていた。そうだよね。魔物を気にした時、ずっとそっちに集中させられてたもんね。確かにこの装備の方が調薬はすごくいいのかもしれない。幸運値は少しだけ下がるけど。
真剣に目の前の素材に手を加えていく。
小さな変化がよくわかる気がする。気泡が出てくるときのちょっとした変化を耳が拾っていく。
ポタリ、と獣人の村にしかない素材の汁を一滴たらして、様子を見る。
コポリ。
明らかにほんの少しだけ高くなった気泡の音に、俺は咄嗟に火を消した。
「あ……」
作っていたのは、シックポーションで。
出来上がったのは、ランクSだった。
今まであの最後の気泡の所が全然変化がわからなかったけど。
この耳を付けてると、本当にふとしたことに気付く。
ヴィルさん、こういうのを見越して俺にこれをくれたのかな。
瓶に移したシックポーションを手に取りながら、俺は兎の耳の生えたフードを頭から外した。
途端に音が途絶える。多少は音を拾うけど、フードを被っている時よりは明らかに劣る聴覚に、かなり違和感があった。
「ヴィデロさん」
顔を上げて声を掛けると、ヴィデロさんは手にあった本から顔を上げて、俺に視線をくれた。
「シックポーション……ランクS、出来た」
席を立って、シックポーションを持ったままヴィデロさんの方に近付いていく。
そして、ヴィデロさんを見上げながら、ヴィデロさんの身体に手を伸ばした。
椅子に座っているヴィデロさんの膝の上に乗り上がるようにして、ヴィデロさんの腰にあるカバンに出来上がったばかりのシックポーションを詰め込む。
これで、ヴィデロさんがいつ『コウマ病』にかかってもすぐ治るね。もう、『コウマ病』は怖い病気じゃない。自分で薬を作って、初めて心から安堵した。
ヴィデロさんはただ黙って俺の行動を見ていた。止められなかったことにホッとする。
しまい終わって顔を上げると、思った以上に近かったヴィデロさんの顔につい見惚れてしまった。カッコいい。その深い緑色の瞳が、静かな澄んだ森の空気を感じさせる気がする。瞳はアリッサさんからの遺伝で、ヴィルさんも同じ色をしている。三人並ぶと、どこからどう見てもちゃんと家族に見えるのが、すごく嬉しい。
ヴィデロさんにちゃんと家族がいることが、すごく嬉しい。最初のころ、家族はいない、って視線を落として言ってたのを憶えてるから。
伸びあがってちゅ、とキスをすると、ヴィデロさんがくすっと笑って、俺にフードを被せた。そして、頭、耳、肩、腕を順に手の平でなぞっていく。
「本当に手触りが凄いな……もう手を離したくなくなる……耳の感覚はないのか?」
「触られた感覚とかはないよ。だってこれ、ローブの付属品だもん」
「そうだよな……動きが、なんとなくマックと連動してるように見えたから、本物かなって」
そう言いながら耳を撫でるヴィデロさんに、思わず吹き出す。本物って。でも確かにぴくぴく動く気がするし、立つし、へにょッとするんだよなあ。何だろこのローブ。ヴィルさんが持ってきたっていう時点で普通じゃないのはわかってたけど、普通じゃないレベルがもう上限超えてるよこのローブ。
「心地いい……このまま抱きしめていていいか?」
「もちろん」
頷くと、ヴィデロさんはフード越しに俺の頭に頬擦りした。手はずっとゆったりと背中を撫でている。
うっとりとした顔がなんとも安らかで、いつになく安心しているみたいで、なんとなくいかがわしい気分にはなれなかった。俺は今、ヴィデロさんのクッション。人をダメにするクッションそのままだよね。
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