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497、肝レシピゲット! 師匠すげえ!
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落ち込む俺の肩に、ポンとヒイロさんの手が乗る。
「だ、だ、大丈夫、これから見えるようになるからな……? 多分。きっと、頑張りやなマックなら何でもできる!」
思いっきり慰めがどもってますよ。目が泳いでますよ。でもなんかその姿が可愛いから少しだけ和む。
俺が復活すると、ヒイロさんは「それにしても」と俺のレシピを見ながら首をひねった。
「内包魔力とかも見れねえのに新しいレシピを作るとか、マックはあれか? 天才か?」
「半分は失敗しますよ」
「それでもだよ。素直にすげえなって思うよ」
「じゃあ、素直に喜んでもいいですか?」
「ああ、もちろん。すっげえな、マックの野生の勘」
いい笑顔でサムズアップされた俺は、またしても動きを止めた。
えっと、野生の勘? これって、勘とかそういう分類に入るの?
俺、野生? 野獣?
ヴィデロさんが野獣だったらそれはそれはかっこいい野獣になると思うけど、俺が野獣って……野兎より弱そうだよ……。
前に呪いで生えてしまった黒歴史を思い出して、ついでにクラッシュの吹き出した顔を思い出して、またしても俺は落ち込むのだった。
「とりあえず肝だな。確かに気持ちわりい魔素が入ってて食いたいとも思わねえから、これを抜くか。っつうかよくこれを食う気になったな」
「気持ち悪い魔素? って、穢れてるとかそんなですか? 魔魚自体は触っても全然穢れたりはしなかったですけど」
「ああ、あれだ。魔物自体の魔素の濃いやつみたいな感じだ。極たまーに出てくるでかいやつ辺りが纏ってる魔素がこんな感じなんだけどな。魔物の内臓そのまま手に入れたような感じなんだよなあ」
「……まあ、魔物の体内にある内臓の一つですからね……」
ヒイロさんは爪でさくっと魔魚の肝を切ると、何やら透明な液体を取り出して、それに放り込んだ。
肝の周りに気泡が出来るのをじっと見て、首をかしげている。
「師匠、その液体は何ですか?」
「これ? 酒だ」
「酒」
「なんかこれなら大丈夫そうだな」
盲点だった。酒は確かめてないよ。普段飲まないからなあ。
少しの間瓶を眺めていた師匠は、蓋を開けて、匂いを嗅ぎながら「おお!」と声を上げた。
「よし、これなら毒素だけ抜けて肝心の効能は抜けてねえ」
「おお!」
酒を窓の外に捨てながら、ヒイロさんが肝を瓶から取り出す。捨てた酒を「もったいねえなあ」といいながらも、いまだ青い色をしている肝を陽に透かしてみたりしている。
「その酒は飲めないんですか?」
「飲めねえことはねえけど、めちゃくちゃ不味そうなんだよ。魔物の魔素が溶けた酒なんて飲みてえか?」
「あ、無理です」
ヒイロさんは肝を少しだけ齧ってみて、む、と眉を顰めた。
「不味い」
どうして生のまま食べてみようと思ったのか、それを俺は知りたい。だってさっきまで毒素が入ってたものだよ。
すっごい顔をしてヒイロさんを見ていると、ヒイロさんはぺっぺっと舌を出しながら、それを俺に返してきた。
「なんか料理作ってくれねえ? あと、残ったやつでなんか調薬してみる」
「了解しました」
ということで、ヒイロさんの家でレッツクッキング。
肝って言ったら肝吸い? この肝カツオ節みたいだから出汁はバッチリ取れそう。あ、でもお醤油がないんだよなあ。塩で代用してみようかな。
鍋を取り出して魔法で水を出し、肝を入れる。
味を調えつつ、勝手に使っていいよとお墨付きを得た薬味を入れていく。
あ、塩でもいける。
そっと味見をして、よし、と火を止めた。
鑑定眼は忘れずに。
『魔魚の肝スープ:魔魚の肝を使って作ったスープ スタミナ上限微上昇(小)』
「おっしゃきた」
思わずぐっと握りこぶしを握ると、ヒイロさんが鼻をヒクヒクさせながら隣に来た。
「いい匂いだなあ。俺にも味見させてくれ」
出してきた皿がどんぶりのような大きなものだったので思わず笑う。味見じゃなくてがっつり食べる気満々でしょ。
たっぷり分けると、ヒイロさんは嬉しそうにテーブルに着いた。ちゃっかりパンまで持ってるところを見ると、食事をする気満々らしい。味見じゃないよそれ。
「うま! 何だこれうま!」
ズズズ……と音を立ててスープを飲み干しつつ、パンを齧る。ってもうなくなってるじゃんスープ。
これでヒイロさんはスタミナ微上昇したってことかな。
俺も自分用にお椀によそって、ヒイロさんの目の前に座る。
「美味かった。お礼にこれな」
ヒイロさんはそういうと、目の前にひらりとレシピと瓶を置いた。
もしかして。
レシピを覗き込むと、魔魚の肝を使った調薬レシピがしっかりと書かれていた。俺が途中まで使っていた素材もちゃんと使ってくれてる。
す、すごい。
「『スタミナレイズポーション』飲むとスタミナ上限微上昇+3。すっごい」
今の肝吸いで上がったスタミナ上限値は1だったけど、こっちは3上がるんだ。料理でも調薬でもいけるんだ。すごい、案外万能なんだな肝。
「ついでになんか食うもんねえ?」
「あ、魚食べます?」
「魚……? ええと、魚って食うもんなのか?」
ヒイロさんも狸さんと同じようなことを言っている。
獣人には魚を食べる文化はないのか。ヨシュー師匠なんて魚咥えてるイメージなのに。
狸さんにもあげた料理を一つ取り出してヒイロさんの前に置くと、ヒイロさんは怪訝な顔をして魚をつついた。
「マックが作ったなら美味いんだろうけど……美味いのか?」
恐る恐る魚の尻尾付近に齧り付いたヒイロさんは、「うん?」と声をあげると、バリバリと骨をかみ砕く音をさせながら食べ始めた。
「魚うめえ! ってか魚ってどこら辺にいるんだ?」
「湖とかないんですか?」
「ねえなあ。水源は全部聖域の山から貰ってるから」
そうなんですかと頷きながら、どうやってその山から水を貰うんだろう、と首をひねる。世界の神秘にまた触れてしまった。
俺はモロウさんの所からそこまで遠くない湖で釣ったんだということを教えると、「今度狩りに行く」というヒイロさんにまずはコースト村に行くことをお奨めした。ケインさんがいればいつでも行けるよね。あっちだったら釣り竿も手に入るし、釣り方も教えてもらえるはずだから。
行ってみよう、とワクワクし始めたヒイロさんにお礼を言って、俺はヒイロさんの所を後にした。帰り際に雄太に『肝料理とレシピゲット』と送ることを忘れなかった。
村付近の森で素材をゲットしつつジャル・ガーさんの所に戻ってくると、未だにジャル・ガーさんはより分けをしていた。もう一本の列がなくなっていたってことは、そっちの人たちは無事獣人の村に行けたってことか。
狸さんもげんなりしながらワイワイ並んでいるプレイヤーの対処に追われている。大変だね。
「頑張って」と手を振ると、2人とも疲れ切った顔に無理やり笑顔を載せて手を振ってくれた。顔が、愛想笑いを貼り付けたサラリーマンみたいになってるけど大丈夫かな。
幸い洞窟のマップ内には人はほぼいなかったので、少しだけ進んでから工房に転移で帰ると、早速肝を酒に浸した。
そこから調薬を開始して、肝のほとんどを『スタミナレイズポーション』に変えていく。
調薬レベルも上がってホクホクしながら瓶をインベントリにしまった俺は、辺境にいる雄太たちにもこれを渡すために辺境に跳んだ。
辺境は相変わらずの賑わいだった。
っていうか人が増えたかも。皆レベル上げてきてるんだな。すごい。
「今日こそは壁向こうの魔物を倒すぞ」なんて意気込んでる人までいて、素直に感心する。
雄太に『辺境に来たけど会えない?』とメッセージを送りつけると、今まだ壁の外にいるから騎士団の所で待っててくれと言われてしまった。
ただ待ってるのもつまらないから辺境ショッピングでもしようかなと足を進める。
この街はあんまりゆっくり見たことないんだよね。
大通りの武器屋や道具屋を冷かしつつ足を進める。周りを行く人たちは皆ゴツイ防具に身を包んでるから、見るからにレベルが高いっていうのがわかるのが面白い。鎧の見た目も段違いで、ここにいる人たちの鎧は「ああ、強そうだな」って思う。雄太がその筆頭なんだけどね。あいつの鎧は多分最先端を行く気がする。でも金欠だけどね。
辺境の真ん中あたりにある噴水の広場には、自分たちがゲットしてきた魔物のアイテムを売ってるプレイヤーの露店もひしめきあっていて、なかなか凄い様相を呈していた。
ウノにもこういう露店はあるんだけど、あっちは初心者用って感じなんだ。でもさすが辺境。露店に出ているアイテム内容を見ると、普通じゃ手に入らないような魔物のレア素材とか、壁向こうの魔物の肉とか、壁の向こうにある採取可能素材とか、面白い物がたくさんあった。
俺が持ってない素材なんかも売りに出されていて思わずガン見する。
「よう、買ってかないか? 素材ってのはなかなか売れねえんだ。何せあんまりこっちまでくる生産がいねえ。いたとしても鍛冶屋とかばっかりでな」
「欲しいです。この『ホワイトプリックハーブ』っていうのありったけください」
「はいよ毎度。これ壁の向こうのちょっと特殊な場所にしかねえから、値段行くけどいいか?」
「問題ないです」
お金を払って新素材をゲットしつつ、変な魔物肉なんかも買っていると、雄太が戻ってきたというチャットが届いたので騎士団の方に向かう。
面白かった。
騎士団に着くと、雄太たちと、勇者が、俺を出迎えてくれた。何で勇者まで……。
「だ、だ、大丈夫、これから見えるようになるからな……? 多分。きっと、頑張りやなマックなら何でもできる!」
思いっきり慰めがどもってますよ。目が泳いでますよ。でもなんかその姿が可愛いから少しだけ和む。
俺が復活すると、ヒイロさんは「それにしても」と俺のレシピを見ながら首をひねった。
「内包魔力とかも見れねえのに新しいレシピを作るとか、マックはあれか? 天才か?」
「半分は失敗しますよ」
「それでもだよ。素直にすげえなって思うよ」
「じゃあ、素直に喜んでもいいですか?」
「ああ、もちろん。すっげえな、マックの野生の勘」
いい笑顔でサムズアップされた俺は、またしても動きを止めた。
えっと、野生の勘? これって、勘とかそういう分類に入るの?
俺、野生? 野獣?
ヴィデロさんが野獣だったらそれはそれはかっこいい野獣になると思うけど、俺が野獣って……野兎より弱そうだよ……。
前に呪いで生えてしまった黒歴史を思い出して、ついでにクラッシュの吹き出した顔を思い出して、またしても俺は落ち込むのだった。
「とりあえず肝だな。確かに気持ちわりい魔素が入ってて食いたいとも思わねえから、これを抜くか。っつうかよくこれを食う気になったな」
「気持ち悪い魔素? って、穢れてるとかそんなですか? 魔魚自体は触っても全然穢れたりはしなかったですけど」
「ああ、あれだ。魔物自体の魔素の濃いやつみたいな感じだ。極たまーに出てくるでかいやつ辺りが纏ってる魔素がこんな感じなんだけどな。魔物の内臓そのまま手に入れたような感じなんだよなあ」
「……まあ、魔物の体内にある内臓の一つですからね……」
ヒイロさんは爪でさくっと魔魚の肝を切ると、何やら透明な液体を取り出して、それに放り込んだ。
肝の周りに気泡が出来るのをじっと見て、首をかしげている。
「師匠、その液体は何ですか?」
「これ? 酒だ」
「酒」
「なんかこれなら大丈夫そうだな」
盲点だった。酒は確かめてないよ。普段飲まないからなあ。
少しの間瓶を眺めていた師匠は、蓋を開けて、匂いを嗅ぎながら「おお!」と声を上げた。
「よし、これなら毒素だけ抜けて肝心の効能は抜けてねえ」
「おお!」
酒を窓の外に捨てながら、ヒイロさんが肝を瓶から取り出す。捨てた酒を「もったいねえなあ」といいながらも、いまだ青い色をしている肝を陽に透かしてみたりしている。
「その酒は飲めないんですか?」
「飲めねえことはねえけど、めちゃくちゃ不味そうなんだよ。魔物の魔素が溶けた酒なんて飲みてえか?」
「あ、無理です」
ヒイロさんは肝を少しだけ齧ってみて、む、と眉を顰めた。
「不味い」
どうして生のまま食べてみようと思ったのか、それを俺は知りたい。だってさっきまで毒素が入ってたものだよ。
すっごい顔をしてヒイロさんを見ていると、ヒイロさんはぺっぺっと舌を出しながら、それを俺に返してきた。
「なんか料理作ってくれねえ? あと、残ったやつでなんか調薬してみる」
「了解しました」
ということで、ヒイロさんの家でレッツクッキング。
肝って言ったら肝吸い? この肝カツオ節みたいだから出汁はバッチリ取れそう。あ、でもお醤油がないんだよなあ。塩で代用してみようかな。
鍋を取り出して魔法で水を出し、肝を入れる。
味を調えつつ、勝手に使っていいよとお墨付きを得た薬味を入れていく。
あ、塩でもいける。
そっと味見をして、よし、と火を止めた。
鑑定眼は忘れずに。
『魔魚の肝スープ:魔魚の肝を使って作ったスープ スタミナ上限微上昇(小)』
「おっしゃきた」
思わずぐっと握りこぶしを握ると、ヒイロさんが鼻をヒクヒクさせながら隣に来た。
「いい匂いだなあ。俺にも味見させてくれ」
出してきた皿がどんぶりのような大きなものだったので思わず笑う。味見じゃなくてがっつり食べる気満々でしょ。
たっぷり分けると、ヒイロさんは嬉しそうにテーブルに着いた。ちゃっかりパンまで持ってるところを見ると、食事をする気満々らしい。味見じゃないよそれ。
「うま! 何だこれうま!」
ズズズ……と音を立ててスープを飲み干しつつ、パンを齧る。ってもうなくなってるじゃんスープ。
これでヒイロさんはスタミナ微上昇したってことかな。
俺も自分用にお椀によそって、ヒイロさんの目の前に座る。
「美味かった。お礼にこれな」
ヒイロさんはそういうと、目の前にひらりとレシピと瓶を置いた。
もしかして。
レシピを覗き込むと、魔魚の肝を使った調薬レシピがしっかりと書かれていた。俺が途中まで使っていた素材もちゃんと使ってくれてる。
す、すごい。
「『スタミナレイズポーション』飲むとスタミナ上限微上昇+3。すっごい」
今の肝吸いで上がったスタミナ上限値は1だったけど、こっちは3上がるんだ。料理でも調薬でもいけるんだ。すごい、案外万能なんだな肝。
「ついでになんか食うもんねえ?」
「あ、魚食べます?」
「魚……? ええと、魚って食うもんなのか?」
ヒイロさんも狸さんと同じようなことを言っている。
獣人には魚を食べる文化はないのか。ヨシュー師匠なんて魚咥えてるイメージなのに。
狸さんにもあげた料理を一つ取り出してヒイロさんの前に置くと、ヒイロさんは怪訝な顔をして魚をつついた。
「マックが作ったなら美味いんだろうけど……美味いのか?」
恐る恐る魚の尻尾付近に齧り付いたヒイロさんは、「うん?」と声をあげると、バリバリと骨をかみ砕く音をさせながら食べ始めた。
「魚うめえ! ってか魚ってどこら辺にいるんだ?」
「湖とかないんですか?」
「ねえなあ。水源は全部聖域の山から貰ってるから」
そうなんですかと頷きながら、どうやってその山から水を貰うんだろう、と首をひねる。世界の神秘にまた触れてしまった。
俺はモロウさんの所からそこまで遠くない湖で釣ったんだということを教えると、「今度狩りに行く」というヒイロさんにまずはコースト村に行くことをお奨めした。ケインさんがいればいつでも行けるよね。あっちだったら釣り竿も手に入るし、釣り方も教えてもらえるはずだから。
行ってみよう、とワクワクし始めたヒイロさんにお礼を言って、俺はヒイロさんの所を後にした。帰り際に雄太に『肝料理とレシピゲット』と送ることを忘れなかった。
村付近の森で素材をゲットしつつジャル・ガーさんの所に戻ってくると、未だにジャル・ガーさんはより分けをしていた。もう一本の列がなくなっていたってことは、そっちの人たちは無事獣人の村に行けたってことか。
狸さんもげんなりしながらワイワイ並んでいるプレイヤーの対処に追われている。大変だね。
「頑張って」と手を振ると、2人とも疲れ切った顔に無理やり笑顔を載せて手を振ってくれた。顔が、愛想笑いを貼り付けたサラリーマンみたいになってるけど大丈夫かな。
幸い洞窟のマップ内には人はほぼいなかったので、少しだけ進んでから工房に転移で帰ると、早速肝を酒に浸した。
そこから調薬を開始して、肝のほとんどを『スタミナレイズポーション』に変えていく。
調薬レベルも上がってホクホクしながら瓶をインベントリにしまった俺は、辺境にいる雄太たちにもこれを渡すために辺境に跳んだ。
辺境は相変わらずの賑わいだった。
っていうか人が増えたかも。皆レベル上げてきてるんだな。すごい。
「今日こそは壁向こうの魔物を倒すぞ」なんて意気込んでる人までいて、素直に感心する。
雄太に『辺境に来たけど会えない?』とメッセージを送りつけると、今まだ壁の外にいるから騎士団の所で待っててくれと言われてしまった。
ただ待ってるのもつまらないから辺境ショッピングでもしようかなと足を進める。
この街はあんまりゆっくり見たことないんだよね。
大通りの武器屋や道具屋を冷かしつつ足を進める。周りを行く人たちは皆ゴツイ防具に身を包んでるから、見るからにレベルが高いっていうのがわかるのが面白い。鎧の見た目も段違いで、ここにいる人たちの鎧は「ああ、強そうだな」って思う。雄太がその筆頭なんだけどね。あいつの鎧は多分最先端を行く気がする。でも金欠だけどね。
辺境の真ん中あたりにある噴水の広場には、自分たちがゲットしてきた魔物のアイテムを売ってるプレイヤーの露店もひしめきあっていて、なかなか凄い様相を呈していた。
ウノにもこういう露店はあるんだけど、あっちは初心者用って感じなんだ。でもさすが辺境。露店に出ているアイテム内容を見ると、普通じゃ手に入らないような魔物のレア素材とか、壁向こうの魔物の肉とか、壁の向こうにある採取可能素材とか、面白い物がたくさんあった。
俺が持ってない素材なんかも売りに出されていて思わずガン見する。
「よう、買ってかないか? 素材ってのはなかなか売れねえんだ。何せあんまりこっちまでくる生産がいねえ。いたとしても鍛冶屋とかばっかりでな」
「欲しいです。この『ホワイトプリックハーブ』っていうのありったけください」
「はいよ毎度。これ壁の向こうのちょっと特殊な場所にしかねえから、値段行くけどいいか?」
「問題ないです」
お金を払って新素材をゲットしつつ、変な魔物肉なんかも買っていると、雄太が戻ってきたというチャットが届いたので騎士団の方に向かう。
面白かった。
騎士団に着くと、雄太たちと、勇者が、俺を出迎えてくれた。何で勇者まで……。
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