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419、副次的効果
しおりを挟む「早速ハイパーポーションゲットしちゃったよ」
昼休み、学校の屋上で増田が俺にサムズアップしてきた。
あ、早速依頼を遂行してくれたんだ。ありがたい。
「いつもは郷野に貰う以外にゲット方法がなかったから、こういうのってすごくいい。今度はたくさん謎素材ゲットして郷野の回復薬沢山ゲットすることにするね」
『謎素材』一つにつき、それこそちょっとした鉱石の値段と同じくらいしかお金にならないからと、正直ちゃんと依頼遂行してもらえるかわからなかったんだけど。
もちろん冒険者ギルド各街に保管されていた謎素材はもれなく俺の所に舞い込んできた。
思った以上に種類があって、でもそれでも思ったほど金額は高くなくて驚いたんだけど。
それと同じだけの数ハイポーションを納め、そしてちゃんとハイパーポーションを納めた俺。ギルドももう回復薬のランク制限を解除したから、トレ周辺に人が偏らないように少しずつ売りに出すことにしたんだって。何せ若い薬師の人がとうとうランクAを作り始めたらしいから。薬師の人たちがめちゃくちゃ頑張ってるらしい。ちなみに指名依頼で何度か上級調薬レシピを教えてくれと薬師たちから依頼があったので、色々教えたから、そのうち強化系とかそういうのも出て来るんじゃないかな。さすがに例のあの虫は手に入らなそうだからとレシピすら教えてない。
「ちなみにわんさか溜め込んでいたガンツさんと月都さんがハイパーポーションを数個手に入れたのを見て、ドレインさんが頽れてたのがすごく見ものだったよ。ドレインさん、結構マメにアイテム売ってたからそれがあだになったみたい」
二人で数個ずつってことは、辺境だけですでに何十個か手に入るってことか。これから錬金フィーバーかな。楽しみ楽しみ、と言いつつ今日はバイトがあるからログインできないけど。
空になった弁当箱をしまいながら、俺は山になっている謎素材を思って、ムフフと笑った。
会社のドアを開けて中に入っていく。
いつものように佐久間さんは作業の手を止めることなくサッと片手だけあげて挨拶してくれた。
ヴィルさんは。
俺を見た瞬間被っていたギアを脱ぎ、立ち上がって手を広げた。
え、熱烈歓迎?
「健吾! よくやった!」
「何がですか?」
とりあえず胸元に飛び込んでいくことはしないで、自分の机にカバンを置いた俺は、ヴィルさんの言葉に首を傾げた。
ヴィルさんはおいでとばかりに両手を広げているけど、遠慮します。これがヴィデロさんだったら一も二もなく飛び込んでいくんだけどね。俺、浮気はしない主義だから。
「健吾が出した依頼のおかげで、トレ周辺に集まっていたプレイヤーが従来通りの流れになったよ。一日で流れを戻すなんて、健吾は天才だな!」
「はい?」
さ、兄の胸に飛び込んでおいで、と手を広げるヴィルさんを放置して、俺はヴィルさんの言葉を頭の中で反芻した。
えっと、どうしてそうなるんだろ。俺の依頼で流れが戻ったって?
あくまで飛び込まない俺に、ヴィルさんがようやく手を下ろして「弟が冷たい」とぼやく。弟はヴィデロさんであって、俺じゃないですよ。でもヴィデロさんにそれをやったらすごく冷たい目で見られそう。でもその冷たい目をするヴィデロさんもクールでかっこいいから一度やってみて欲しい。
「健吾、あの『謎素材』依頼をギルド経由で出しただろう。あの『謎素材』は特定の場所、および特定の強さ以上の魔物を倒すことでしか入手できない物だって言うのはわかるよな。そしてその特定の強さ以上の魔物はだいたいが壁の向こうもしくは辺境の北かノヴェ近辺の山脈の麓にしか出ないから、『謎素材』欲しさに先に進んだりレベル上げをするプレイヤーが一気に増えたんだ。トレで転移魔法陣を登録しようと全街から集まっていた人たちが従来の流れに戻ったんだ。だいたいトレの魔法陣の登録を終えたっていうのも大きいけれど、それは健吾の作るハイポーション欲しさにだったせいか、『謎素材』さえ手に入れたらハイポーションが貰えるとなれば、トレに来るメリットはあくまで健吾と弟の絡みを見るだけってことになってな。狙ってやっていたなら、健吾は策略家だな、と思ったけど、狙ってないんだよな」
「そんなこと考えたこともなかったです」
「だろうな。でも、健吾のおかげで何とか調整が終わったんだ。助かった。さすがにあれ以上寝れない日が続いたらいくら俺でも倒れる」
うわ、俺の依頼、変なところで役に立ってたんだ。なんか、よかった、のかな。俺も素材が集まって嬉しい、皆おまけがついてきて嬉しい、ヴィルさんは寝れて嬉しい。うん、なかなかいいことづくめだ。
というわけで今日は豪華なご飯な、と佐久間さんから要求されて、「献立通りです」と笑顔で返して、俺は俺の仕事場に向かった。
それにしても、こんな副次的効果があったなんてなあ。依頼出してよかった。
食器を洗って少しだけ事務手伝いして家に帰り着いた俺は、ちょっとだけ、とログインした。
すぐにギルドに向かって、あまり人がいないことを確認した俺は、今なら登録できるかも、と魔法陣の部屋に向かった。
部屋の中にいたのは十数名って感じで、結構閑散としていた。
そこのカウンターに座る職員さんに手順を聞いて、魔法陣を登録する。触れさせられた魔道具も、アリッサさん作なのかな。大変だなあ。
転移魔法陣解放から数日、ようやく登録が叶った俺は、意気揚々と表のカウンターに回った。
そして少しは素材が集まったかどうか聞いてみることにした俺は、職員さんに声を掛けたら、またも個室に案内された。
少し待つと、今日も同じ眼鏡の人が対応してくれた。
「実は、すでに辺境の方から200個近い素材が送られて来ています。今日受け取って行かれますか」
「にひゃっこ?! え、そんなに?!」
思わず声を上げた俺に、職員さんが真顔で頷く。数十個くらいは入ってるかな、と思っていた俺の希望は、いい意味で裏切られていた。
もちろん持ち帰ります、と答えて、追加のハイポーションを置いていくことにする。
職員さんから素材を受け取った俺は、結構埋まったインベントリにホクホクするのだった。
なんとなく気分が高揚していたので、その足で門の方に向かう。
ヴィデロさんの顔が見たい。今日は門に立ってるのかな。獣人さんたちはちゃんと門番さんしてるのかな。
軽い足取りで門に近付くと、ガレンさんが一人の子供を抱き上げているのが目に入った。
え、なんか、街で人族の子供を見るのって初めてなんだけど。
ガレンさんの隣には、私服姿のヴィデロさんも立っていた。
「ヴィデロさん、ガレンさん」
走り寄って声を掛けると、ガレンさんが片手を上げた。もう片手には小さな子が収まっている。その子はキャッキャと笑いながら、ひたすらガレンさんの耳と髭を弄っていて、ガレンさんはちょっと困ったような顔をしていた。
ヴィデロさんは両手を上げて、いつでも大歓迎状態で俺を迎えてくれた。その姿がさっきのヴィルさんと重なって、思わず顔がにやける。そして迷わずそっちに飛び込んでいった。今の仕草、すっごく似てたよ。
「マック、ちょっと頼まれてくれねえか? ヴィデロと一緒にこの子を親元に届けて欲しいんだ」
「もちろん。迷子なんですか?」
「ああ。一人でそこの大通りを歩いてたんだよ。めそめそと泣きながらだから、もしかしたら間違って表通りに出てきちまったのかもしれねえ」
「表通り……」
今は機嫌よくガレンさんのモフモフで遊んでいる子は、俺たちプレイヤーの入ることが出来ない居住区で生活している子らしい。
この世界の、10の街には、俺たちプレイヤーが歩けるギルドや武器屋道具屋などがある表通り以外に、この世界の人が住んでいる居住区という場所が結構な広さであるらしい。そしてそこは他の隠し通りと同じように制限が掛かって俺たちが入れない様になっている。あのエルフの里に続く隠し湖とか、レガロさんの店がある裏通りとかも本来ならプレイヤーは入れない場所なんだ。俺の工房はギリギリ表通りの端に面しているから、俺も居住区の方には行ったことなかったし、そっちの人と交流したこともほとんどなかった。ロイさんもフランさんと居住区で住んでいるとか。そして子供たちは表通りに出てこないようにしっかりと言い聞かされているみたい。
それが、何かの拍子に表通りに迷い出て来てしまったらしいんだ、ガレンさんが抱っこしてる子が。
ヴィデロさん、本来なら今日は森周りだったのに、その子の親探しが仕事になっちゃったらしい。
でもこの子、ガレンさん以外に抱っこされるとすぐ泣いちゃうらしい。
「俺も今日は門当番だしよ。困ってたんだよ。もう夜だろ。親も心配してるかもしれねえし」
「ほんとにね。俺は大丈夫だよ。おいで」
子供に手を伸ばすと、その子は一瞬動きを止めてから、ガレンさんの髭をさらにギュッと握った。ガレンさんの顔が引きつれてて大変なことになってる。
「ガレン、俺が当番代わるから、お前が探してやれよ」
「でも俺みたいなデカい獣人が歩いたら、こいつの親もビビるだろ。だからこういうのは人族が適任なんだよ」
「でもその子、お前から離れそうもないぞ」
「……ああ、もう、どうすっかな」
子供に顔を掴まれたまま、ガレンさんはガシガシと頭を掻いた。
昼休み、学校の屋上で増田が俺にサムズアップしてきた。
あ、早速依頼を遂行してくれたんだ。ありがたい。
「いつもは郷野に貰う以外にゲット方法がなかったから、こういうのってすごくいい。今度はたくさん謎素材ゲットして郷野の回復薬沢山ゲットすることにするね」
『謎素材』一つにつき、それこそちょっとした鉱石の値段と同じくらいしかお金にならないからと、正直ちゃんと依頼遂行してもらえるかわからなかったんだけど。
もちろん冒険者ギルド各街に保管されていた謎素材はもれなく俺の所に舞い込んできた。
思った以上に種類があって、でもそれでも思ったほど金額は高くなくて驚いたんだけど。
それと同じだけの数ハイポーションを納め、そしてちゃんとハイパーポーションを納めた俺。ギルドももう回復薬のランク制限を解除したから、トレ周辺に人が偏らないように少しずつ売りに出すことにしたんだって。何せ若い薬師の人がとうとうランクAを作り始めたらしいから。薬師の人たちがめちゃくちゃ頑張ってるらしい。ちなみに指名依頼で何度か上級調薬レシピを教えてくれと薬師たちから依頼があったので、色々教えたから、そのうち強化系とかそういうのも出て来るんじゃないかな。さすがに例のあの虫は手に入らなそうだからとレシピすら教えてない。
「ちなみにわんさか溜め込んでいたガンツさんと月都さんがハイパーポーションを数個手に入れたのを見て、ドレインさんが頽れてたのがすごく見ものだったよ。ドレインさん、結構マメにアイテム売ってたからそれがあだになったみたい」
二人で数個ずつってことは、辺境だけですでに何十個か手に入るってことか。これから錬金フィーバーかな。楽しみ楽しみ、と言いつつ今日はバイトがあるからログインできないけど。
空になった弁当箱をしまいながら、俺は山になっている謎素材を思って、ムフフと笑った。
会社のドアを開けて中に入っていく。
いつものように佐久間さんは作業の手を止めることなくサッと片手だけあげて挨拶してくれた。
ヴィルさんは。
俺を見た瞬間被っていたギアを脱ぎ、立ち上がって手を広げた。
え、熱烈歓迎?
「健吾! よくやった!」
「何がですか?」
とりあえず胸元に飛び込んでいくことはしないで、自分の机にカバンを置いた俺は、ヴィルさんの言葉に首を傾げた。
ヴィルさんはおいでとばかりに両手を広げているけど、遠慮します。これがヴィデロさんだったら一も二もなく飛び込んでいくんだけどね。俺、浮気はしない主義だから。
「健吾が出した依頼のおかげで、トレ周辺に集まっていたプレイヤーが従来通りの流れになったよ。一日で流れを戻すなんて、健吾は天才だな!」
「はい?」
さ、兄の胸に飛び込んでおいで、と手を広げるヴィルさんを放置して、俺はヴィルさんの言葉を頭の中で反芻した。
えっと、どうしてそうなるんだろ。俺の依頼で流れが戻ったって?
あくまで飛び込まない俺に、ヴィルさんがようやく手を下ろして「弟が冷たい」とぼやく。弟はヴィデロさんであって、俺じゃないですよ。でもヴィデロさんにそれをやったらすごく冷たい目で見られそう。でもその冷たい目をするヴィデロさんもクールでかっこいいから一度やってみて欲しい。
「健吾、あの『謎素材』依頼をギルド経由で出しただろう。あの『謎素材』は特定の場所、および特定の強さ以上の魔物を倒すことでしか入手できない物だって言うのはわかるよな。そしてその特定の強さ以上の魔物はだいたいが壁の向こうもしくは辺境の北かノヴェ近辺の山脈の麓にしか出ないから、『謎素材』欲しさに先に進んだりレベル上げをするプレイヤーが一気に増えたんだ。トレで転移魔法陣を登録しようと全街から集まっていた人たちが従来の流れに戻ったんだ。だいたいトレの魔法陣の登録を終えたっていうのも大きいけれど、それは健吾の作るハイポーション欲しさにだったせいか、『謎素材』さえ手に入れたらハイポーションが貰えるとなれば、トレに来るメリットはあくまで健吾と弟の絡みを見るだけってことになってな。狙ってやっていたなら、健吾は策略家だな、と思ったけど、狙ってないんだよな」
「そんなこと考えたこともなかったです」
「だろうな。でも、健吾のおかげで何とか調整が終わったんだ。助かった。さすがにあれ以上寝れない日が続いたらいくら俺でも倒れる」
うわ、俺の依頼、変なところで役に立ってたんだ。なんか、よかった、のかな。俺も素材が集まって嬉しい、皆おまけがついてきて嬉しい、ヴィルさんは寝れて嬉しい。うん、なかなかいいことづくめだ。
というわけで今日は豪華なご飯な、と佐久間さんから要求されて、「献立通りです」と笑顔で返して、俺は俺の仕事場に向かった。
それにしても、こんな副次的効果があったなんてなあ。依頼出してよかった。
食器を洗って少しだけ事務手伝いして家に帰り着いた俺は、ちょっとだけ、とログインした。
すぐにギルドに向かって、あまり人がいないことを確認した俺は、今なら登録できるかも、と魔法陣の部屋に向かった。
部屋の中にいたのは十数名って感じで、結構閑散としていた。
そこのカウンターに座る職員さんに手順を聞いて、魔法陣を登録する。触れさせられた魔道具も、アリッサさん作なのかな。大変だなあ。
転移魔法陣解放から数日、ようやく登録が叶った俺は、意気揚々と表のカウンターに回った。
そして少しは素材が集まったかどうか聞いてみることにした俺は、職員さんに声を掛けたら、またも個室に案内された。
少し待つと、今日も同じ眼鏡の人が対応してくれた。
「実は、すでに辺境の方から200個近い素材が送られて来ています。今日受け取って行かれますか」
「にひゃっこ?! え、そんなに?!」
思わず声を上げた俺に、職員さんが真顔で頷く。数十個くらいは入ってるかな、と思っていた俺の希望は、いい意味で裏切られていた。
もちろん持ち帰ります、と答えて、追加のハイポーションを置いていくことにする。
職員さんから素材を受け取った俺は、結構埋まったインベントリにホクホクするのだった。
なんとなく気分が高揚していたので、その足で門の方に向かう。
ヴィデロさんの顔が見たい。今日は門に立ってるのかな。獣人さんたちはちゃんと門番さんしてるのかな。
軽い足取りで門に近付くと、ガレンさんが一人の子供を抱き上げているのが目に入った。
え、なんか、街で人族の子供を見るのって初めてなんだけど。
ガレンさんの隣には、私服姿のヴィデロさんも立っていた。
「ヴィデロさん、ガレンさん」
走り寄って声を掛けると、ガレンさんが片手を上げた。もう片手には小さな子が収まっている。その子はキャッキャと笑いながら、ひたすらガレンさんの耳と髭を弄っていて、ガレンさんはちょっと困ったような顔をしていた。
ヴィデロさんは両手を上げて、いつでも大歓迎状態で俺を迎えてくれた。その姿がさっきのヴィルさんと重なって、思わず顔がにやける。そして迷わずそっちに飛び込んでいった。今の仕草、すっごく似てたよ。
「マック、ちょっと頼まれてくれねえか? ヴィデロと一緒にこの子を親元に届けて欲しいんだ」
「もちろん。迷子なんですか?」
「ああ。一人でそこの大通りを歩いてたんだよ。めそめそと泣きながらだから、もしかしたら間違って表通りに出てきちまったのかもしれねえ」
「表通り……」
今は機嫌よくガレンさんのモフモフで遊んでいる子は、俺たちプレイヤーの入ることが出来ない居住区で生活している子らしい。
この世界の、10の街には、俺たちプレイヤーが歩けるギルドや武器屋道具屋などがある表通り以外に、この世界の人が住んでいる居住区という場所が結構な広さであるらしい。そしてそこは他の隠し通りと同じように制限が掛かって俺たちが入れない様になっている。あのエルフの里に続く隠し湖とか、レガロさんの店がある裏通りとかも本来ならプレイヤーは入れない場所なんだ。俺の工房はギリギリ表通りの端に面しているから、俺も居住区の方には行ったことなかったし、そっちの人と交流したこともほとんどなかった。ロイさんもフランさんと居住区で住んでいるとか。そして子供たちは表通りに出てこないようにしっかりと言い聞かされているみたい。
それが、何かの拍子に表通りに迷い出て来てしまったらしいんだ、ガレンさんが抱っこしてる子が。
ヴィデロさん、本来なら今日は森周りだったのに、その子の親探しが仕事になっちゃったらしい。
でもこの子、ガレンさん以外に抱っこされるとすぐ泣いちゃうらしい。
「俺も今日は門当番だしよ。困ってたんだよ。もう夜だろ。親も心配してるかもしれねえし」
「ほんとにね。俺は大丈夫だよ。おいで」
子供に手を伸ばすと、その子は一瞬動きを止めてから、ガレンさんの髭をさらにギュッと握った。ガレンさんの顔が引きつれてて大変なことになってる。
「ガレン、俺が当番代わるから、お前が探してやれよ」
「でも俺みたいなデカい獣人が歩いたら、こいつの親もビビるだろ。だからこういうのは人族が適任なんだよ」
「でもその子、お前から離れそうもないぞ」
「……ああ、もう、どうすっかな」
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