196 / 830
193、魔物が!
しおりを挟む今日の夜は、豆の煮込みの缶詰と、缶詰パンを食べた。
缶詰のパンって初めて食べたけど、思った以上に柔らかくて美味いのな。
ふわふわのモチモチだ。
大粒のレーズンが入っているそれは、バルギーも気に入ったみたいだ。
『凄いな、街でもこんなに柔らかいパンは食えないぞ。一体どうやって作られているのだ?』
食べ切るのが惜しいのか、少しずつ大切に食べるバルギーがちょっと可愛い。
バルギーの家に無事到着したら、余った分は全部やろう。
この世界に慣れるまでは、世話になりたいしな。
食事を終えて、俺は横になる。
ちょっとした怪我はしたけど、その分今日はゆっくり休めた。
やっぱり自分で思っている以上に体は疲れてたみたいで、今日の休息で体がかなり楽になった。
今日進めなかった分、明日は頑張らないとな。
平気な顔をしているけど、やっぱりバルギーの怪我も気になる。
俺の怪我はともかく、バルギーのはいち早く医者に見せないとまずいヤツだ。
むしろ、あんな大怪我で涼しい顔をしているバルギーが怖い。
俺だったら、そうそうに駄目になってると思う。
痛いの嫌いだもん。
日中眠ったせいか、横になっても眠気が来ない。
寝るには時間も早いのかもしれない。
バルギーもまだ座ったままで、横になる気配は無い。
何となくゴロゴロしていたら、バルギーの大きな手が伸びてきた。
『ケイタ、寝る前にもう少し揉んでやる』
横になっていた俺の体を、バルギーの手がまたマッサージするように揉みほぐしだす。
「おぉ、今日は大サービスだなバルギー」
日中にしてもらったマッサージの気持ちよさを思い出し、俺はいそいそとうつ伏せになった。
片手だけで揉まれているのに、手が大きいからか力があるからか不足は全然感じない。
俺は目を瞑り、体を揉まれる心地よさに集中した。
バルギーの手が気持ちよくって、体から力が抜ける。
油断すると、だらし無く半開きになった口から涎が出そうだ。
打ち付けた腰辺りを避けながら、尻、太ももと歩くのに使う筋肉を解してくれる。
ちょっと痛気持ちいいくらいの力加減にウットリとしながら、この時、俺はつい余計なことを思い出してしまった。
あぁ・・・そう言えば、昔先輩に連れて行ってもらった風俗でお姉さんにしてもらったマッサージも気持ちかったなぁ・・・。
お姉さんが裸で俺の背中にのって、胸やら腰を揺らしながらイヤらしく揉んでくれたんだ。
ただ気持ちいいマッサージという共通点だけで記憶が繋がっただけなのだが。
次の瞬間、自分のしょうもない思考回路に後悔した。
目を瞑っていたせいで、記憶の中のお姉さんの気持ちいいマッサージと、バルギーの手の感触が結びついてしまったのだ。
あっ・・・やべっ、勃っちった・・・。
バルギーの手つきは勿論全くいやらしいものでは無かったのだが、俺の頭がイヤラしい方へ行ってしまったのが悪かった。
太ももを揉まれた時に、バルギーの親指が腿の内側を押したのにビクリと反応してしまう。
『すまない、痛かったか?』
俺の反応にバルギーが力を弱くしてくれたが、そのせいでサワサワとした触り方になってますます体の中心に血が集まる。
『バルギー!ありがとう!私、大丈夫』
慌ててバルギーの手を掴んで離すが。
『どうした?痛かったのか?それならもう少し優しくやろう』
俺の焦りは通じてないようで、バルギーの手がまた伸びてくる。
「いや、もう大丈夫だから!マジで!」
『急にどうした?』
分かっていないバルギーに、俺はため息を溢してしまった。
・・・まぁ、男同士だし、別にいいか。
俺は起き上がって、バルギーの方へ体を向ける。
『バルギー、ごめん。私、大丈夫、無い』
俺は自分の情けない状態の股間を指差す。
多少の気恥ずかしさはあるが、男同士なら笑って済ませられることだ。
10代の頃なんかアホなダチどもとAV鑑賞会なんぞもしていたから、男にそういう状態を見られるのに正直そこまでの羞恥心は感じない。
いや、まったく感じてない訳ではないぞ?
それなりに気恥ずかしさはあるけど、男同士なら理解してもらえる生理現象だ。
そう思ってバルギーを見たら、彼は目を見開いて固まっていた。
『っ!すまない!そういうつもりは無かったのだっ』
ハッと我に返ったように、バルギーが目を逸らす。
俺よりも動揺している。
そんなに反応されると、こっちも余計恥ずかしくなるんだけど・・・。
さっさと処理してしまおうと、俺は川辺へ向かおうと立ち上がる。
しかし、直ぐにバルギーに手を掴まれて阻止されてしまった。
『どこへ行く?』
「いや・・・さっさと抜いてこようかと・・・」
手を筒状にして扱く仕草をすると、バルギーの顔が驚くほど赤くなった。
いや、そんな顔するなら早く手を離してくれ。
『分かった・・・』
バルギーが杖を手に取り、立ち上がろうとする。
え、ちょ、何ついてこようとしてんだ、こいつ。
流石に抜いてるとこ見られるのはゴメンだぞ。
『バルギー、川、行く、駄目。私、見る、駄目』
バルギーの肩をそっと押す。
『む・・そ、そうか。駄目なのか。だが・・・・その手でできるのか?』
バルギーが気まずそうに、俺の手を指差した。
包帯を巻かれた自分の手を見て、俺は思わず舌打ちしそうになった。
そうだった、包帯してたわ。
せっかく綺麗に巻かれたのを汚したくは無い。
・・・・んー・・・、指だけでいけるか・・?
目を瞑りイメージしてみる。
・・・うん、いけるいける。大丈夫だ。
『バルギー、私、大丈夫!』
今度は指だけで輪を作って動かして見せると、その動きに、やはりバルギーは動揺するように目を泳がせた。
バルギーは下ネタ駄目なタイプか?
俺は大好きだぞ。
『バルギー、ここ。私、川。バルギー、川、行く、ダメ』
ついてくるなよと、立ち上がりそうなバルギーの肩を押さえると、今度はアッサリ手を離してくれた。
良かった、ついてこられたらどうしようかと思ったわ。
『・・・・終わったら直ぐに戻ってきなさい・・・』
俯いたバルギーが早く行けと言った感じに、軽く手を振る。
「いってきまー」
俺は気恥ずかしさを紛らわすように、わざと軽く言って川へと足を向けた。
缶詰のパンって初めて食べたけど、思った以上に柔らかくて美味いのな。
ふわふわのモチモチだ。
大粒のレーズンが入っているそれは、バルギーも気に入ったみたいだ。
『凄いな、街でもこんなに柔らかいパンは食えないぞ。一体どうやって作られているのだ?』
食べ切るのが惜しいのか、少しずつ大切に食べるバルギーがちょっと可愛い。
バルギーの家に無事到着したら、余った分は全部やろう。
この世界に慣れるまでは、世話になりたいしな。
食事を終えて、俺は横になる。
ちょっとした怪我はしたけど、その分今日はゆっくり休めた。
やっぱり自分で思っている以上に体は疲れてたみたいで、今日の休息で体がかなり楽になった。
今日進めなかった分、明日は頑張らないとな。
平気な顔をしているけど、やっぱりバルギーの怪我も気になる。
俺の怪我はともかく、バルギーのはいち早く医者に見せないとまずいヤツだ。
むしろ、あんな大怪我で涼しい顔をしているバルギーが怖い。
俺だったら、そうそうに駄目になってると思う。
痛いの嫌いだもん。
日中眠ったせいか、横になっても眠気が来ない。
寝るには時間も早いのかもしれない。
バルギーもまだ座ったままで、横になる気配は無い。
何となくゴロゴロしていたら、バルギーの大きな手が伸びてきた。
『ケイタ、寝る前にもう少し揉んでやる』
横になっていた俺の体を、バルギーの手がまたマッサージするように揉みほぐしだす。
「おぉ、今日は大サービスだなバルギー」
日中にしてもらったマッサージの気持ちよさを思い出し、俺はいそいそとうつ伏せになった。
片手だけで揉まれているのに、手が大きいからか力があるからか不足は全然感じない。
俺は目を瞑り、体を揉まれる心地よさに集中した。
バルギーの手が気持ちよくって、体から力が抜ける。
油断すると、だらし無く半開きになった口から涎が出そうだ。
打ち付けた腰辺りを避けながら、尻、太ももと歩くのに使う筋肉を解してくれる。
ちょっと痛気持ちいいくらいの力加減にウットリとしながら、この時、俺はつい余計なことを思い出してしまった。
あぁ・・・そう言えば、昔先輩に連れて行ってもらった風俗でお姉さんにしてもらったマッサージも気持ちかったなぁ・・・。
お姉さんが裸で俺の背中にのって、胸やら腰を揺らしながらイヤらしく揉んでくれたんだ。
ただ気持ちいいマッサージという共通点だけで記憶が繋がっただけなのだが。
次の瞬間、自分のしょうもない思考回路に後悔した。
目を瞑っていたせいで、記憶の中のお姉さんの気持ちいいマッサージと、バルギーの手の感触が結びついてしまったのだ。
あっ・・・やべっ、勃っちった・・・。
バルギーの手つきは勿論全くいやらしいものでは無かったのだが、俺の頭がイヤラしい方へ行ってしまったのが悪かった。
太ももを揉まれた時に、バルギーの親指が腿の内側を押したのにビクリと反応してしまう。
『すまない、痛かったか?』
俺の反応にバルギーが力を弱くしてくれたが、そのせいでサワサワとした触り方になってますます体の中心に血が集まる。
『バルギー!ありがとう!私、大丈夫』
慌ててバルギーの手を掴んで離すが。
『どうした?痛かったのか?それならもう少し優しくやろう』
俺の焦りは通じてないようで、バルギーの手がまた伸びてくる。
「いや、もう大丈夫だから!マジで!」
『急にどうした?』
分かっていないバルギーに、俺はため息を溢してしまった。
・・・まぁ、男同士だし、別にいいか。
俺は起き上がって、バルギーの方へ体を向ける。
『バルギー、ごめん。私、大丈夫、無い』
俺は自分の情けない状態の股間を指差す。
多少の気恥ずかしさはあるが、男同士なら笑って済ませられることだ。
10代の頃なんかアホなダチどもとAV鑑賞会なんぞもしていたから、男にそういう状態を見られるのに正直そこまでの羞恥心は感じない。
いや、まったく感じてない訳ではないぞ?
それなりに気恥ずかしさはあるけど、男同士なら理解してもらえる生理現象だ。
そう思ってバルギーを見たら、彼は目を見開いて固まっていた。
『っ!すまない!そういうつもりは無かったのだっ』
ハッと我に返ったように、バルギーが目を逸らす。
俺よりも動揺している。
そんなに反応されると、こっちも余計恥ずかしくなるんだけど・・・。
さっさと処理してしまおうと、俺は川辺へ向かおうと立ち上がる。
しかし、直ぐにバルギーに手を掴まれて阻止されてしまった。
『どこへ行く?』
「いや・・・さっさと抜いてこようかと・・・」
手を筒状にして扱く仕草をすると、バルギーの顔が驚くほど赤くなった。
いや、そんな顔するなら早く手を離してくれ。
『分かった・・・』
バルギーが杖を手に取り、立ち上がろうとする。
え、ちょ、何ついてこようとしてんだ、こいつ。
流石に抜いてるとこ見られるのはゴメンだぞ。
『バルギー、川、行く、駄目。私、見る、駄目』
バルギーの肩をそっと押す。
『む・・そ、そうか。駄目なのか。だが・・・・その手でできるのか?』
バルギーが気まずそうに、俺の手を指差した。
包帯を巻かれた自分の手を見て、俺は思わず舌打ちしそうになった。
そうだった、包帯してたわ。
せっかく綺麗に巻かれたのを汚したくは無い。
・・・・んー・・・、指だけでいけるか・・?
目を瞑りイメージしてみる。
・・・うん、いけるいける。大丈夫だ。
『バルギー、私、大丈夫!』
今度は指だけで輪を作って動かして見せると、その動きに、やはりバルギーは動揺するように目を泳がせた。
バルギーは下ネタ駄目なタイプか?
俺は大好きだぞ。
『バルギー、ここ。私、川。バルギー、川、行く、ダメ』
ついてくるなよと、立ち上がりそうなバルギーの肩を押さえると、今度はアッサリ手を離してくれた。
良かった、ついてこられたらどうしようかと思ったわ。
『・・・・終わったら直ぐに戻ってきなさい・・・』
俯いたバルギーが早く行けと言った感じに、軽く手を振る。
「いってきまー」
俺は気恥ずかしさを紛らわすように、わざと軽く言って川へと足を向けた。
851
お気に入りに追加
9,201
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
30歳まで独身だったので男と結婚することになった
あかべこ
BL
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。
キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者、の予定
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる