110 / 830
110、集団移動中
しおりを挟む『3…/23 ■■…3
……がしんで もう3かが たった
どの……をさがしても なにも てがかりが ない
どうしたら ……を もとに も…せるのか けんとうも つかない
3…/24 ▲■
こおりの ……にはいる ……はとてもうつくしい
はやく このつめたいから…を じゆうにして
あのかがやく ……おをみたい
3…/30 ■■
もしかしたら わたしはとても ……をしているのかも しれない
しかし つみ…かいとおもうことは ……をあきらめるのと おなじ
たとえ このいのち つきようとも ……を かならず
4…/48 ■▲▲
いにしえの ひやくとは
もしかしたら わたしの も…めていた ものかもしれない
ぐうぜんだい…しょかん みつけ…
こ…いちゅうのは ■
へそのわ…みず
ちょうじゅみ……がのち
ふし…ょうの……う』
最初の辺りを読んだ時点で閉じたくなった。
全然わからない。ある程度は読めるけど、読めない文字もあるし、言い回しが全然文字にならない感じ。もっと古代魔道語のレベルが上がらないと読めない文字なのかな。この日記は持って行けるのかな。
素直に日記を閉じて、インベントリに突っ込むと、『■■■▲●』と言う感じでその日記があらわされ、インベントリに収まった。うん、全然文字が読めない。なんなんだこれ。誰か知ってる人いないかな。
古代魔道語知ってる人っていったら、クラッシュとエミリさんとセイジさんくらいしか俺知らないんだよな。一度クラッシュに相談でもしようかな。
溜め息を吐いて、他の引き出しを開けてみる。あとはさっきみたいにインベントリに入らないメモのような紙ばかりだったので、一応一通りスクショするとそっと引き出しを閉じた。
次は、と壁に沿うように置いてあるチェストみたいな箱を開けてみる。
そこには、外套のようなものと、軽めの装備一式、そして、短剣が入っていた。
鑑定してみると、かなり性能のいい装備だってことがわかる。でも、耐久値がことごとく低い。これは修理に出さないと身に付けれないレベルの耐久値だった。
インベントリには収まったから、持って行ってみることにした。それにしてもこの短剣、なんか灰色のサラサラしたものがくっついてるけどなんだろう。鑑定できるかな。
と鑑定してみて、後悔した。
『ルミエールダガー(耐久値:14%)攻撃力:37……光属性の短剣。切っ先に古い血痕が付着している。初代魔王時代に作られた古代の短剣』
この灰色は、血痕だったらしい。血って時間が経つとこんな灰色のさらさらしたものになるの? は、初めて知ったよ怖い。
これは持って行っていいのかな。
血痕が付いた短剣をそのまましまうのもはばかられて、俺はウルフの毛皮を一枚取り出した。
そっと短剣を包んで、それをインベントリにしまう。ちゃんとインベントリには『ルミエールダガー』って出るんだけど、それを取り出すとしっかりと毛皮に包まれてるのが不思議だった。
あらかた部屋を調べ終えて、ふと気付く。ここって、どうやって出るんだろう。魔法陣で飛ばされて部屋の中央に出ただろ。部屋から出るときは?
見回しても扉のようなものは一切なく、本棚以外は岩肌がむき出しの状態になっている。
「感知」
スキルを使って、ようやく壁の一部にそれらしき文字を発見した。
入るときと同じような魔法陣だった。
感知しないと魔法陣が見えない辺り、徹底してるよ。
もう一度部屋を見回して、取りこぼしがないか確認する。ここはきっと、水が戻ればもう入れないダンジョンだろうから、今のうちに。
「大丈夫かな。紙類はスクショしたし。持ち出せるものは詰め込んだし。何百年も前の場所ってことは、もう持ち主もいないだろうし……」
よし、と頷いて、俺はMPを確認しつつ魔法陣に手を添えた。
MP減少と共に光に包まれる。
光が消えていくと、俺は森の中に立っていた。
「え、ここどこ?」
てっきりさっきのダンジョンの中に出るもんだと思ってたけど、予想外のことにちょっと慌てる。
地図を確認すると、渓谷沿いのちょっと上流の方にある森の中だったみたいだ。
確かに、物好きでもないとこんなところまでは人が来ないもんな。安全な場所に出るってことかな。
「安全でもないけどね」
木の間からとびかかってきた魔物を躱して、剣を構える。
俺でも倒せる強さでよかった、とホッとしながら、渓谷の方に戻ってみた。
下を覗くと、かなり下流の方にダンジョンの入り口が見えた。中のダンジョンが上流の方に伸びていて、その奥に隠し部屋があったって感じかな。
そして何やらダンジョン入り口が人で賑わっていた。とうとう皆に見つかったんだ、あのダンジョン。まあ、あれだけ堂々と口を開けてたらそうだよな。
上流の方に出たんだから、とついでに河の水が少なくなった原因を探るため、さらに上流に行くことにした。
先に進むと、一段高くなった岩肌があって、どう頑張っても登れそうもない壁がそびえ立っていた。ここら辺から向こうには行けません、って言われてるような岩の壁だった。
足を掛けれそうな出っ張りもない、なだらかなつるつるの岩に、溜め息が零れる。
「ジャンプ力が高くても、さすがに登れないよな……」
これはもしかして、渓谷の下を歩いて行かないといけないのかもしれない。フィールド側からは行けないから。
「一旦降りれるところに戻ろう」
歩いてきたところには、全然降りれそうなところはなかったから、やっぱりあの採取場所から降りるしかできないのかも。
戻って、採取場所から下に降りる。
そして上流に向かって進んでいった。となると、ダンジョンの方に向かうわけで。
やっぱりわんさか人が集まっていた。
それにしても気になるのは、プレイヤーに交じってしっかりとこの世界の人もちらほらといるってことだった。しっかり装備を身に着けてるってことは、冒険者ギルドに登録とかもしてそう。
ダンジョン付近に近付くと、一番端にいたプレイヤーが俺に気付いて、声を掛けてきた。
「あんたも掲示板を見てここに来た口か? でもここ、外れダンジョンみたいだぞ」
「掲示板?」
「ああ。今日、水の少なくなった渓谷でダンジョンが見つかったって書き込みがあってな。近くにいたから来てみたんだ。でも先に入ったやつらが、奥は行き止まりだったって。特に何も手に入らないし、敵はウルフだけ。だんだん強くはなってくけどドロップ品は同じものだったって。経験値もそこらにいるのと変わりないって話なんだ。俺もこれから入ってみようとは思ってたんだけどな」
「そうなんですか」
俺的に大当たりダンジョンだったんだけど、それは言わない方がよさそうだよな。
「あんたはどうするんだ?」
「いえ、俺は……」
答えようとしたとき、丁度中に入っていたパーティーがガヤガヤと出てきた。
「やっぱり行き止まりだったよ。しかも最後の所のウルフが、砂漠都市にいるあたりの魔物くらい強くて結構苦戦した」
「めぼしいものあったか?」
「あ、俺採取上げてたから、最初の所だけ結構いいもの取れたよ。『水切苔』ってやつ。これ、たまに出回るけど結構高値で売ってるんだ。使い方わからないから売るけどね。でも取れたのは最初の所ともう一つ先の所だけ。もっとレベル上がってれば先の所も採れるのかもしれないけど、『水切苔』しか出てこなかった」
「なに、それ俺に売ってくれねえか」
水切苔の話が出た途端、この世界の人が挙手して交渉に入った。採ってきた人も、笑顔で値段を決めている。そんな風に一種お祭り騒ぎっぽかったので、そっと人だかりの後ろを抜けて、さらに上流に行こうと足を進めた。
「おい、そこのやつ。何でそっちに行くんだ?」
人ごみから離れた途端、誰かに声を掛けられてしまった。
振り向いて声を掛けた人を見ると、プレイヤーじゃなくてこの世界の人だった。
「水が少なくなった原因が何かわかったら教えてくれって門番さんに頼まれてまして」
本当のことを答えると、その人が人ごみを抜けて、こっちに歩いてきた。
「なら一緒に行く。俺も気になってたんだ。こんな風に水が少なくなるなんて今までなかったから気になって来てみたんだ」
「そうなんですか」
断るのもあれだし、と並んで歩き始めると、外れダンジョンにがっかりしていたプレイヤーたちも、何だ何だと俺たちが進む方に歩き始めた。
え、集団移動?
振り返ると、興味津々の人たちが、一丸となって俺たちの後ろをついてきていた。
「皆で行くの……?」
思わず呟くと、隣を歩いている人が笑った。
「原因が分かった時、人手があった方が効率いいやり方ができるかもしれないだろ」
「まあ、確かに」
ということで、俺達を先頭に、総勢50人くらいの団体さんが渓谷移動を始めた。
騒がしく集団移動をすること一時間くらい。
目の前には滝がそびえ立っていた。
そして、目を凝らすと、滝の上の方に何やら木がごちゃっと詰まっているっぽいのが見える。
まるでビーバーが木の枝で作ったダムみたいな、そんな感じのモノだった。規模は全然違うけど。
隣を歩いていた人も、上を見上げて困ったように肩を竦めた。
「あれだな、水の減った原因は」
「どうするんですか、アレ。ここからだと何も出来なそうですよ」
「上に行って、あれを崩すしかないな」
なんて話をしている間に、他のプレイヤーの人が大声で叫んだ。
「お――い、ここに上に上がれそうなところがあるぞ――」
声に従って移動してみると、降りてきた時と同じような蔦が、大岩に隠れるようにして壁に絡まっていた。その先には岩の出っ張りがある。見つけた人は早速上に向かっていた。
我先にと一斉に蔦にへばりつく人たちの「いて、蹴るなよ!」「早く行けよ!」「押すなよ!」という声を聞きながら、俺は最後でいいや、とただただそこに突っ立って上を見上げていた。
あの集団に紛れ込んだら真っ先に潰されるのは俺だって知ってるからな。
753
お気に入りに追加
8,993
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる