これは報われない恋だ。

朝陽天満

文字の大きさ
上 下
88 / 830

88、誘惑、してみた

しおりを挟む

「……どうしてそう、抗えないようなおねだりをするんだ、マックは」

「ダメなら、口でさせて。ヴィデロさんを俺で気持ちよくさせたいから」



 ヴィデロさんは、俺の言葉にすごく考え込んでいた。

 その間に、背伸びをしてヴィデロさんの唇をいただく。

 ちゅ、ちゅ、とする間にヴィデロさんの眉がだんだんとハの字になっていった。



「マック、待て、ちょ……」

「もう待てない、から。お願い」



 下腹部の奥の奥が、疼くんだ。

 スリ……と何も生えてないっぽい手触りの下半身をヴィデロさんに摺り寄せると、ヴィデロさんのヴィデロさんはしっかりと硬くなっていて。

 気持ちよくさせるつもりが、俺の方が気持ちよくなりそうだった。

 っていうかこの身長差、俺からキスするにはちょっと辛い。

 さらに貪ろうとして、つま先立ちした足がよろけてしまう。



「う、わ」

「マック?!」



 ヴィデロさんに体重をかけてしまって、二人で床に転がる。

 今ヴィデロさんお尻打たなかった? 俺、思いっきり体重かけちゃったよ。



「ごめん、ヴィデロ、さ……」



 謝ろうと思って、ハッと気づく。

 なんかこれ、押し倒した感じの体勢だ。

 見下ろすヴィデロさんがすごく新鮮だった。



「怪我、しなかった?」

「いや、俺はこれくらいなんてことない」

「よかった」



 大丈夫みたいだ。じゃあ、実力行使、しよう。

 俺は床についた手をそのままに、ヴィデロさんにグイッと伸し掛かっていった。

 今度こそ伸びなくてもキスできるのが俺的に満足で、自然と顔が緩む。

 それに反して、ヴィデロさんは苦悩してるみたいだった。

 回復薬が効かないのが心配で仕方ないから使わせたくない、けど、我慢が辛いっていう、苦悩の顔。美形はどんな顔をしててもかっこいい。

 追い打ちとばかりに、俺はヴィデロさんのヴィデロさんを服の上から撫で上げた。



「これを、身体の中の、奥で」



 味わわせて。







 効果が切れるまで絶対に外に出ない、という約束で、俺は『細胞活性剤 小』を服用した。

 下着が剥がれた瞬間にはすでに息子がしっかりと主張していた俺は、ポーションで口をすすいでから、全裸でベッドに転がった。手にはしっかりと『ホットゼリー』を持って。

 備えあれば憂いなし、だから。ヤる気満々で来たわけじゃない、はず。



 ゼリーが塗られていくたびに、そこが熱くなっていく。

 もともと熱を持っていた俺のモノにも絡められて、熱で腰が溶けそうな錯覚に陥った。

 ヌルヌル……と何度かヴィデロさんの大きな手でそこを擦られただけで、頭が飛びそうになった。

 白い液体がヴィデロさんの手を伝って垂れていく。



「マック、可愛い……」

「は、早くてごめん……ヴィデロさんの手だって思うと、耐えられなくて……」



 素直に暴露したら、ヴィデロさんが「くっ……」と呻いた。



「俺が耐えられなくなるようなこと、言わないでくれ。我慢が効かなくなる……」

「我慢しないで欲しいんだけど……俺を、欲しがって、一緒に気持ちよく……っあ、あぁ」



 言い終わる前に、俺の中にヴィデロさんの長い指が挿入されていく。

 足りない。もっと。

 たくさんヴィデロさんを味わいたい。



「はやく、これを」



 少しだけ身を起こして、ヴィデロさんの興奮した熱に手を伸ばす。

 しっかりと硬くなっているそれを握り、擦り、手を離して。

 ヴィデロさんの指が入った俺の恥ずかしい所を両手で開くように押さえた。



「ここに」

「マック……っ、まだ、解れて」

「だってもうこんなに、トロトロ……」



 お腹の中が、すごく、蕩けてるんだ。

 ヴィデロさんの指が抜き去られると、次への期待が込み上がってきて、熱い吐息が洩れる。



「痛いときは、言ってくれ……」



 ヴィデロさんが、唇を啄ばむ。

 熱いモノがトロトロになった俺のに宛がわれて、心臓が跳ねる。

 ヴィデロさんの首に腕を回して、開かれた足をさらに自ら開く。



「あ、ぁああ……」



 ヴィデロさんの熱い塊が、俺の内壁を押し分けて挿ってくる。

 くらくらして、熱くて、愛しくて。

 俺はまたも目の前が真っ白になった。



「挿れただけで、イったのか、マック」

「……っ、すご、きもちイイ……から」

「マックの中、熱くて、すごく、うねってる……」



 お腹が痙攣してるような感覚があるから。

 今日はなんか、ダメだ。

 こうしてるだけでも頂点に行けるくらい気持ちいい。



 俺のビクビクが収まると、ずる、とゆっくりとヴィデロさんが動き始める。

 抜かれる感覚で、背中をゾクゾクゾク……と何かが走り抜ける。

 ゆっくりと奥まで挿し込まれると、今度は下腹部がかああっと熱くなる。

 だんだんとスピードを速くしていくヴィデロさんの熱に、俺はただただ喘ぐことしかできなかった。



 奥にヴィデロさんの熱が吐き出されても、まだまだとばかりにさらに責められ、身体を持ち上げられて抱っこ状態で揺さぶられ、唇を貪り合って、何度目かの精を二人の腹の間に零す。

 最後には疲れ切って、俺はヴィデロさんの肩に頬を預けて、荒い息を吐いていた。



「ヴィデロさん……絶倫なところも好き」

「悪い、自制できなかった……」



 気付くとすでに、夜中。何時間くらい寝れるのかな。

 っていうか、ヴィデロさん、こんな状態で、仕事大丈夫かな。



「俺に、付き合わせて、ごめん、ヴィデロさん……」



 誘惑しちゃったから。そう謝ると、ヴィデロさんは「それは違う」と目を細めた。



「俺が、マックに無理をさせたんだ。でも、本当はもっともっとマックを味わっていたい。愛してる」

「俺も。体力つけて、今度はヴィデロさんを、疲れさせてみたい……」



 こんなに息切れしてるのは、俺だけ。ヴィデロさんはうっすらと汗は掻いているものの、いつもとほぼ変わりない。



「それは、楽しみだな」

「うん……」



 ヴィデロさんの腕の中が気持ちよくて、まだ挿入されたまま、抱っこ状態なのに、俺はそろそろ夢の世界に旅立ちそうだった。

 そっとヴィデロさんの手のひらが俺の頭を撫でる。気持ちいい。好き。



「寝ていいよ、マック。身体は、俺が拭いておくから。中にたくさん出しちゃったしな……」



 それはあれですか。俺が寝てる間に指が突っ込まれて掻きだされるということですか……。



「ほっといても、大丈夫……」

「ダメだ。体調崩したらどうするんだ」

「でも、恥ずかしい……」

「余計にしたくなるだろ。そんなこと言われると」



 ああうん。今、ちょっと俺の中でヴィデロさんが成長したよ。でも、そろそろ限界。



「明日、農園に行くんだろ? 今日と同じような時間に迎えに行くから、気を付けろよ」

「ん……」



 ヴィデロさんの言葉に、夢うつつで返事しつつ、俺は、ヴィデロさんに抱っこされたまま、闇に飲まれていった。







 耳元で目覚ましがけたたましく鳴っている。

 ううう、本気で寝不足だ。だが悔いはない。



 目を開けられないまま身体だけを起こして、ふらふらとベッドから起き上がる。

 途中ドアにガンと頭を打って少しだけ意識が覚醒した俺は、何とか気力を振り絞って学校の準備をした。





 なんの授業をやったのかも定かじゃないまま雄太と共に帰路についた俺は、シャワーを浴びて頭をしゃっきりさせて、ようやく覚醒した。すでに夕方だけど。よし。農園に行こう。

 ギアを被ってログインすると、昨日の宿屋の部屋で目が覚めた。 

 もちろん、隣はもぬけの殻。門には近寄るなって言われたから、顔を確かめに行くこともできない。

 起き上がって、服がしっかり着せられているのに気付いて、カッと頬が熱くなる。

 あの後、本当に中を掻きだされたのかな。なんかちょっと寝てたのが勿体なかったような、なんて。

 突っ込まれたまま寝ちゃうなんて、ほんと、俺って。 

 と昨日のことを思い出しそうになって、慌てて頭を振る。

 農園に行かないとなんだってば。それにここで興奮しても、右手が友達にすらなれないし。

 活性剤の効果はすでに切れてて、パンツ張り付いた状態に戻ってるからね。



 よし、と気合を入れて、装備を整え、俺は宿屋を後にした。







 農園に行くと、モントさんが待っていてくれた。



「わかったぜ、あいつの特性。あいつの出す液体が万能薬の素になるんだってよ。っつっても俺は育てる専門だからそんなもんは作れねえんだけどな。マック、育てて液体持ってくか?」

「え、液体って……」



 過剰摂取したらアカンやつだ。

 万能薬の素は欲しいけど、なんか、エロゲ的嫌な予感しかしないんだけど……。



 
しおりを挟む
感想 503

あなたにおすすめの小説

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

処理中です...