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短めな話
留守番仔猫
しおりを挟む真夜中の任務は、夜行性の生き物である俺だけが就くこともある。今日もそれで午前4時ごろ、ひっそりと帰ってきたのに......
「おかえりぃ...」
頑張って起きていたのか、リビングのソファから眠そうな声が出迎えた。シアンの声が聞けて顔がほころんでしまったことは内緒だ。
「シアン、ただいま。......お前寝不足になるぞ」
「ぅ...~ん、しるふぅ......?」
ソファを回り込むと、ぽやんとした顔のシアンが見上げた。頬に背もたれの生地の凹凸がくっきり付いて、跡になっている。ここでしばらく寝こけていたことは間違いない。寝てはいたのか...なら少し安心だ。
「眠いんだろ。寝室に行って寝て」
「ううーん...動けない」
もたれかかるシアンの髪からシャンプーの香り。自分もシャワーを浴びなければならないと思いながら、シアンの身体を抱え上げる。ちゃんと食べてるのか心配になるくらい軽い。
「運ぶから。2階で寝ような」
「うん......」
シアンをベッドに収めてからリビングに戻ると、テーブルの上に置いてあるものに目が留まった。
「あっ......」
一本のビデオテープ。出かける前にシアンが、いっしょに映画を見ようと言っていたことを思い出した。
「それで待ってくれてたんだ......」
俺がたくさん待たせてしまったんだな。ごめん、シアン。今度ゆっくりと、2人で見よう。
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