上 下
88 / 197
昔の話 (※はR-18)

子供の悪魔 #2

しおりを挟む



*行為はないですが悪魔くんがお薬を飲む描写があります。ご注意





「兄上?......はぁっ......うっ、なにを、してるの?」

 兄上はオレをベッドの上に乗せてくれたが、ごそごそと他の布団や枕元に置いていたぬいぐるみを脇によけ始めた。

「ん?......準備だよ」

「オレ、ちょっと苦しい......っ」

 そう言うと、兄上は無表情にオレに手を伸ばしてきた。兄上が良い人かまだ分からなくて警戒していたから、思わずびっくりして腰を引いてしまう。大きな手はオレの寝巻きのボタンにかけられ、上から一つずつ外していく。

「苦しいだろ?開けてあげるよ」

 ああなんだ、具合を見て心配してくれたんだ。だけどあれ、このままじゃボタンが全部外されて、上が裸に......
 オレの白い腹を見る兄上が、満足そうな顔をしているように見えた。

「魔力が......」

「分かってるって。ちょっと待ってね」

 下のズボンにも手をかけていく。寒いんだって、何してるの、兄上......


「あっ、おい何してんだ!」

 また突然に、開いていたドアから、別の兄上が入ってきた。オレと兄上を見つけると、なぜか怒って近づいてくる。全部脱がされる直前で止まって、良かったってことかな。

「抜け駆けはよせよ。はい、これ薬」

「は?......ったく、父上はなんでお前に......」

 邪魔されて、ぶつぶつ文句を言っているようだ。よく聞こえない。オレに話しかけているときとは、ずいぶん口調が違った。それより、薬......?オレはパジャマを羽織り直して胸元を押さえて、入ってきた上の兄上が持ってきたものを見ようと身を乗り出した。兄上たちの身体で遮られて見えない。

「ほら欲しがってるだろ。飲ませてやりな」

「くそっ。分かったよ楽しみは今度にするよ。......ほら、シアン。これなんだか分かる?」

 あの「薬」だ。分からないはずもなかった。見覚えのあり過ぎる小さな瓶。あの日も父様の書斎で見たものと同じ。書斎から逃げ出す直前に見たときのように、今もその瓶の中には......入り口までいっぱいに、液体で満たされている。

「............薬」

 薬、だと思っていた。白く濁ったもの。どんな液体で、どんな味かも知ってる。どろっとしてなめらかじゃなくて、とっても不味い。

「そうだよ。父様はね、中央でのお仕事が忙しくなって、この家にはなかなか戻って来れなくなったんだ。だから今日からはこの兄たちで、シアンに薬をあげるからね」

「それは、兄上の......薬なの?」

 すっかり血の気が引いてしまっている。これでは兄上たちに、怯えているのがバレバレだ。

「おれたちの薬?......ははっ、確かにその通りだよ。シアン、飲めばまた楽になるからね」

 その通り......じゃあ、これは兄上たちの誰かが「作った」ものなんだ。もしかしたら、兄上たちも、あの書斎の、奥のあの部屋で、オレの裸の写真を見て......

「......なぁ、こいつはもう気づいてるんじゃないか?ぼかすだけ無駄だ」

 上の兄上がこっそり耳打ちしている。嫌だよ、どうしよう、無理やり飲まされたら......
 下の兄上が何か早口で返した。「まだ楽しみたい」って...何のこと?振り返ると、優しい声で言った。

「何怯えてるの。ただの薬だよ」

 変な表情だった。口元は笑ってるのに、目だけぎらぎらと、強く光を放っていて......

「これ飲まないと苦しいままだよシアン」

 もう一度諭すように言った。飲まないと、か。やっぱり、今すぐに魔力を回復するには、この薬を飲むほかにない。父様のあれは、見間違いだったのかな。それより、早く魔力が欲しい......

「んくっ......んくっ............」

 気がつくと、兄上の手から瓶を奪って、口をつけていた。ぬるぬるの、ちょっと飲み込みづらい液が喉に流れ込んでくる。味はもうわからない。
 でも、飲んでいくうちに魔力で満たされていくのが気持ちよかった。透明な瓶に入っている液体の量が、みるみる減っていく。2人の兄はそれをじっくり見守っている。どんな顔をして見ているのかまで気にしてる余裕なんてない。
 最後の一滴まで飲み干すと、オレはすっかり楽になって、ベッドに倒れ込んで目を閉じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

からっぽを満たせ

ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。 そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。 しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。 そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた

キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。 人外✕人間 ♡喘ぎな分、いつもより過激です。 以下注意 ♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり 2024/01/31追記  本作品はキルキのオリジナル小説です。

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

『僕は肉便器です』

眠りん
BL
「僕は肉便器です。どうぞ僕を使って精液や聖水をおかけください」その言葉で肉便器へと変貌する青年、河中悠璃。  彼は週に一度の乱交パーティーを楽しんでいた。  そんな時、肉便器となる悦びを悠璃に与えた原因の男が現れて肉便器をやめるよう脅してきた。 便器でなければ射精が出来ない身体となってしまっている悠璃は、彼の要求を拒むが……。 ※小スカあり 2020.5.26 表紙イラストを描いていただきました。 イラスト:右京 梓様

処理中です...