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昔の話 (※はR-18)
子供の悪魔 #2
しおりを挟む*行為はないですが悪魔くんがお薬を飲む描写があります。ご注意
*
「兄上?......はぁっ......うっ、なにを、してるの?」
兄上はオレをベッドの上に乗せてくれたが、ごそごそと他の布団や枕元に置いていたぬいぐるみを脇によけ始めた。
「ん?......準備だよ」
「オレ、ちょっと苦しい......っ」
そう言うと、兄上は無表情にオレに手を伸ばしてきた。兄上が良い人かまだ分からなくて警戒していたから、思わずびっくりして腰を引いてしまう。大きな手はオレの寝巻きのボタンにかけられ、上から一つずつ外していく。
「苦しいだろ?開けてあげるよ」
ああなんだ、具合を見て心配してくれたんだ。だけどあれ、このままじゃボタンが全部外されて、上が裸に......
オレの白い腹を見る兄上が、満足そうな顔をしているように見えた。
「魔力が......」
「分かってるって。ちょっと待ってね」
下のズボンにも手をかけていく。寒いんだって、何してるの、兄上......
「あっ、おい何してんだ!」
また突然に、開いていたドアから、別の兄上が入ってきた。オレと兄上を見つけると、なぜか怒って近づいてくる。全部脱がされる直前で止まって、良かったってことかな。
「抜け駆けはよせよ。はい、これ薬」
「は?......ったく、父上はなんでお前に......」
邪魔されて、ぶつぶつ文句を言っているようだ。よく聞こえない。オレに話しかけているときとは、ずいぶん口調が違った。それより、薬......?オレはパジャマを羽織り直して胸元を押さえて、入ってきた上の兄上が持ってきたものを見ようと身を乗り出した。兄上たちの身体で遮られて見えない。
「ほら欲しがってるだろ。飲ませてやりな」
「くそっ。分かったよ楽しみは今度にするよ。......ほら、シアン。これなんだか分かる?」
あの「薬」だ。分からないはずもなかった。見覚えのあり過ぎる小さな瓶。あの日も父様の書斎で見たものと同じ。書斎から逃げ出す直前に見たときのように、今もその瓶の中には......入り口までいっぱいに、液体で満たされている。
「............薬」
薬、だと思っていた。白く濁ったもの。どんな液体で、どんな味かも知ってる。どろっとしてなめらかじゃなくて、とっても不味い。
「そうだよ。父様はね、中央でのお仕事が忙しくなって、この家にはなかなか戻って来れなくなったんだ。だから今日からはこの兄たちで、シアンに薬をあげるからね」
「それは、兄上の......薬なの?」
すっかり血の気が引いてしまっている。これでは兄上たちに、怯えているのがバレバレだ。
「おれたちの薬?......ははっ、確かにその通りだよ。シアン、飲めばまた楽になるからね」
その通り......じゃあ、これは兄上たちの誰かが「作った」ものなんだ。もしかしたら、兄上たちも、あの書斎の、奥のあの部屋で、オレの裸の写真を見て......
「......なぁ、こいつはもう気づいてるんじゃないか?ぼかすだけ無駄だ」
上の兄上がこっそり耳打ちしている。嫌だよ、どうしよう、無理やり飲まされたら......
下の兄上が何か早口で返した。「まだ楽しみたい」って...何のこと?振り返ると、優しい声で言った。
「何怯えてるの。ただの薬だよ」
変な表情だった。口元は笑ってるのに、目だけぎらぎらと、強く光を放っていて......
「これ飲まないと苦しいままだよシアン」
もう一度諭すように言った。飲まないと、か。やっぱり、今すぐに魔力を回復するには、この薬を飲むほかにない。父様のあれは、見間違いだったのかな。それより、早く魔力が欲しい......
「んくっ......んくっ............」
気がつくと、兄上の手から瓶を奪って、口をつけていた。ぬるぬるの、ちょっと飲み込みづらい液が喉に流れ込んでくる。味はもうわからない。
でも、飲んでいくうちに魔力で満たされていくのが気持ちよかった。透明な瓶に入っている液体の量が、みるみる減っていく。2人の兄はそれをじっくり見守っている。どんな顔をして見ているのかまで気にしてる余裕なんてない。
最後の一滴まで飲み干すと、オレはすっかり楽になって、ベッドに倒れ込んで目を閉じた。
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