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短めな話
チョコレートフォンデュ・デュオ
しおりを挟む今日はとっても甘い香りがする。
「今度の休みさ」
「うん」
程よく温度を調節した室内、テーブルに二人向かい合って座り、ぐつぐつ煮える鍋を囲む。
「ミュゲとリナが遊びたいって言ってるから、ダブルデートしない?」
あの二人は店とは離れた一軒家に住んでいて、とても仲がいい。
オレは焦茶色の中身をぐるぐるかき混ぜ、頃合いかな、とコンロを保温状態にする。ちら、と見ると、チョコレートの香りにうっとりしていたシルフは目を丸くする。
「あいつらそういう関係だったのか」
「お......?シルフくん、オレたちのこと恋人って認めたよね?」
お互い何も言ってないからね。あたふたするシルフをよそに、一口めのマシュマロをチョコレートに浸す。
「いやっ......ぁ......引っ掛けたな」
照れるなよ。オレはたっぷり甘くしたマシュマロをシルフの口に突っ込んだ。いきなりで熱かったか。ちょっと涙目になっている。
「ふふ。で、場所だけど奴ら渋いから美術館とか言っててさ」
彼らは長生きな妖精だから、見た目は少年だけど割と趣向が老人くさいのだ、とオレは思っている。
「......良いんじゃないの」
シルフもお返しとばかりに、カットしたバナナを鍋にくぐしてオレに食べさせてくる。完熟になる前の酸っぱさとチョコレートの甘さが良いバランスだ。
「あ、そう?オレはもっと遊園地とかそういうとこだと思ってたんだけど」
「それも良いな」
「お前は何でも良いんだな。......じゃシルフだったらどこ?」
なんでも良いと言う反面、聞かれると迷うらしい。かたやオレはぱくぱくと苺や蜜柑を食べていく。
「うーん、......花園とか」
迷った末に言った答え。お前、けっこう可愛い趣味あるんだな。と思いつつ甘味を堪能してる今のオレにもブーメラン。
「またまたほっこりした。外だし夜じゃ花見えないんじゃないの?」
「夜は灯りが点いてもっと綺麗とか」
「じゃそこにしよ。あいつらにも言っておくわ」
なんのお祝いでもないけど、板チョコが特売だったのでやってみました、そんな夜。
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