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僕達は搾取される ※

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 三日目。いつもの時間に合わせて久木の部屋に来た。
 今日は、開発デーだから。と言われて、昨日と同じく翌日に連れていかれると、自分でシャワ浣できるように練習を申しつけられた。
 流石にここまで来たら、腹は決まっていた。誰かに犯される決心はまだついていないが、教育係である久木のいう通りにはする。昨日のこともあり、彼の置かれている境遇を理解し、信用に値する人だと判断した。

「ふ、うぅ……」

 とはいえ、シャワーで自分の肛門を浣腸するなんで、そう簡単に上達するわけもなく。
 お湯で指がふやけるんじゃないかというくらい時間をかけて、ようやく久木からの及第点を得て浴室を出ることができた。三十分以上も浴室にいて、しかもバスタブの縁に足を乗せて開いた姿勢をとっていたので、片足の腿の筋肉だけ変だ。
 タオルで身体を拭き、部屋に戻ってくると、今度はローションを渡されて自分で後孔を広げるようにと言われた。

「早ければ、放課後になってすぐに抱かせろと言ってくる奴もいる。準備の時間は、出来るだけ手早く済ませられるようになっていた方がいい」
「わかり、ました……っ」

 四つん這いになって、突き出した尻にローションを纏わせた指を突き入れた。
 何をやっているんだろうと思うが、久木曰くこういった前準備を入念にしないと痛い思いをするのは理玖自身だから、自分を守るためにちゃんとした方がいい、ということらしい。
 腕も指も疲れてきたところで、そろそろいいかな、と久木が新たなアイテムを取り出した。

「今日は、まずフェラチオの練習。男ってのはすぐフェラさせたがるから」

 久木が出してきたのは、男性器を模した太いディルドだった。
 先端から竿の血管、根元まで妙にリアルな作りになっている。

「昨日も、一昨日も僕がやってたの見てたでしょ?思い出してやってみて」
「……はい」

 そうは言っても、昨日も一昨日も冷静にやり方を見ていられるような状況じゃなかった。

「いきなり咥えなくていい。まずは、ローションを塗した手で扱いてみて。実際は、先走りを使うことになると思うけど」
「わかり、ました」

 手のひらにローションを塗して、吸盤で机の上に貼り付けられたディルドに手を添えた。大きい……と面食らったが、先輩達の勃起した性器は、これよりもさらに大きかった気がする。
 ひとまずやってみないことには、始まらない。恐る恐るだが、太くて逞しいそれを手で擦り始めた。

「ちゃんと感じやすいところを意識して、裏筋とか雁首とか……もっと、速く優しく……先端が一番敏感だから、そこも撫でたり擦ったりして」

 拙い手付きなのは、初めてなのだから仕方ない。それにしても、自分にも同じモノがついてるとは思えないくらい、おっかなびっくりという風に触り続けている理玖に、焦れた久木が大きく息を吐いた。

「足広げて。実際にやってあげるから、同じようにやってみて」

 全裸にタオルをかけただけの格好だった理玖の膝に手をかけると、足を広げさせて萎えている理玖のペニスに触れた。
 久木の手の動きは、すごかった。明らかに男の気持ち良いところを知り尽くしていて、あっという間に勃起してしまった。刺激に翻弄されて、自分の手が疎かになってしまう。

「ほら、手止めない。今触ってるところが、裏筋。僕と同じように触ってみて……そう、ゾクゾクして気持ちいいでしょ?」
「は、い……っ」
「亀頭は敏感だから、力を入れすぎず、でも入念に擦ってあげて」
「ひっ、ぃァ……っ、そこっ」
「手止まってる。快楽に弱いのはいいことだけど、マグロは自分の首絞めるだけだから」

 涙目で与えられる刺激を甘受しながら、必死になって同じように手を動かす。

「場合によっては、手でイカせてしまえば身体の負担は少なくなる。自分でも練習しておくこと。これはあげるから」
「……はい、」
「次は口ね。大前提としては、絶対に歯を立てないこと。ただ咥えるだけじゃなくて、手も使って根元を擦ったり揉んだりしながら、手で擦ったところを舐めたり、先端を吸ったりして」
「ふぁ、ぃ……ぅん……っ」
「わざと舐めたり擦ったりする音を出してもいい。声があんまり聞かない分、音で煽るのも手だから」
「ん、んむ、ぅ」

 じゅるっと涎とローションを吸い上げる音を出せば、そうそうそんな感じ、と頭を撫でられた。

「フェラの間、相手は暇だからこっちの様子をよく見てる。いかにエロく、煽るように出来るかで満足度は変わる。時々上目遣いで見てやるといいよ」

 言われた手技を、必死で実践してみるしかない。オモチャ相手に必死になって馬鹿みたいだ。顎も疲れてきた。

「うん、まあそんな感じでいいよ。こっちも自主練ね。最後に喉の奥を使ったイラマチオもさせられることが多いから、一応こんな感じって覚えといて」
「んぐっ、んむ……んぅっ!」

 後頭部に手を添えられて、ぐっと押され、頬張っていたディルドの先端が奥に入って来た。喉の奥に硬いシリコンがあたり、反射的に嘔吐きそうになるが、押さえられているのでどうにもならない。苦しくて、涙目になる。
 何度か喉を突かれたところで、ようやく解放されて、ディルドを口から抜いて咽せた。

「ごめんね。フェラでイかせられないと、イラマに発展することが多いから。出来るだけこうならないように、フェラ上手くなっとくといいよ」
「ゲホッ……は、い」

 ティッシュを差し出されて、だらしなく垂れていた涎を拭いた。しばらく口を開け続けていたせいで、顎の筋肉が疲れている。
 少し休憩ね、と言って、久木はディルドを持って脱衣所の方に消えていった。

(……こんなこと、しなきゃいけないのか)

 男を悦ばせるための技術。
 性的に搾取されるために練習を重ねるなんて、馬鹿げている。それでも、少しでも楽に出来るようにと、久木は教えているのだ。
 久木に触られたペニスが、熱い。高められた状態でそのままにしていたので、太腿をもぞもぞと擦り合わせていると、戻ってきた久木が見ていた。

「出したい?」
「……このままは、つらいです」
「後ろ入れながらだったら、触ってもいいよ」

 洗われたディルドにコンドームをかぶせ、やけに低い椅子の上に貼り付けた。

「騎乗位の練習。自分で挿れて、前立腺にあたるように動いてみて」

 そんな、あまりにも恥ずかしいことを強いるのかと恨みがましい目を向けたが、肩をすくめられるだけだった。
 前の熱は燻るままで、言われた通りにしなければ終わらないだろう。
 ああもう、なるようになれ!とヤケになって、言われた通りに椅子に跨るようにして、ディルドの先端に後孔をあてがった。
 解していたおかげで、簡単に飲み込んでいったそれを、腰を下ろしてさらに深く咥えていく。

「んぅう……っ」

 指やエネマグラとは桁違いの圧迫感に、一旦腰を止めて息を吐いた。

「ほら、もっと深くまで入るでしょ?」
「いきなりは、無理です……っ」
「あんまりタラタラしてると、焦れて一気に奥まで突っ込まれちゃうから、気をつけて」

 おそらく、体験談なのだろう。なんて自分勝手なんだろうと思うが、それが現実。性的に搾取する相手への認識なんて、そんなものなのだろう。

 
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